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OPERATION 19 『因果』



『某日:10:30 太平洋側 日本近海』


グレッグ 「カルタ、フリーダムの現在位置は?」

カルタ 「すでに日本領海内です」
カルタ 「目標攻略地点、東京まで200キロ」

グレッグ 「よし、艦内放送」

カルタ 「了解、艦内放送に切り替えます」

グレッグ 「フリーダム艦内全ての者に告ぐ」
グレッグ 「これより日本にいるエグザイルとの戦闘に入る」
グレッグ 「各員第一種戦闘配備、ユニット搭乗員は至急出撃準備」

カルタ (今回の作戦は日本との戦いじゃない…あくまで日本にいるエグザイルとの戦い)
カルタ (今回は楽なものだね…だけど、なんだろう何かないだろうか?)



…………。



マリア (ついに着ちゃったわね…極東の島国に…)
マリア (ずっと…南米戦線が終わってからずっと嫌な予感がしてきた)
マリア (まるで悪夢を見るような感覚…その真意をこれから確かめないといけないのね…)

私はレフトハンドの中で目を瞑る。
ここまで複雑な気分の出撃は初めて。
だけど…いい加減私もベテランなんだから…。

マリア 「これくらい…乗り越えないとね!」
マリア 「第一小隊、今回は軽い作戦だけどくれぐれも気を抜いちゃ駄目よ?」
マリア 「アルはいつもどおりサポート、レオナは近距離モードで先方の撹乱、高層ビルが立ち並ぶから気をつけてよ?」

アル 『了解』
レオナ 『了解しました』

マリア 「さて、あとは第二部隊は?」

私は第二部隊の方を見る。
第二部隊のほうもすでにユニットに登場しており、ミーティング中のようだった。



…………。



クレス 「第二小隊、本作戦はエグザイルを日本から追い出す作戦だ、くれぐれも日本軍を攻撃しないように」
クレス 「もし向こうが攻撃してきても反撃するな、そして今回は日本との後の友好性が問われる」
クレス 「出来る限り日本の建築物は傷をつけないでくれ、本音を言えば窓一枚割るな」
クレス 「無論、それが無茶なことというのは俺もわかっている」
クレス 「だが、日本との交渉がどう進むかは諸君らの働きにかかっていることを忘れないでくれ」
クレス 「以上だ、健闘を祈る」

デルタ (…なんだろう、急に不安がこみ上げてくる…)
デルタ (作戦失敗の不安? いいえ…そんなもので不安になるような育て方はされていない)
デルタ (では、なに…? このまるで誰かがいなくなるような不安は…)

グレッグ 『第一部隊及び第二部隊、作戦領域だ、出撃!』

グレッグから作戦開始の合図が入る。
これより出撃だ。

クレス 「各機出撃だ!」

ガルム 『了解!』
マリーナ 『了解ですわ』
デルタ 『了解…です』

クレス 「…? デルタ、歯切れが悪いな、どうした?」

俺はデルタにいつもとは違う異変を感じた。

デルタ 『いえ…なんでもありません』

クレス 「気分が悪いのか? なんなら今回は休むか?」

デルタ 『いえ、大丈夫です…それにパイロットが一人抜けるのはまずいでしょう』

クレス 「今回はそんなに辛い作戦ではない、デルタ判断はお前に任せるが危険そうならすぐにフリーダムに退きかえせ」

デルタ 『…了解です』

クレス 「…クレス、ナイトメア出るぞ!」

俺はイマイチ様子のおかしいデルタを尻目に出撃準備を終え、出撃する。


カルタ 『本作戦もう一度説明させていただきます』
カルタ 『本日10:30、東京市街地のエグザイルの掃討が目的です』
カルタ 『ここを抑えれば、大陸への足がかりとなります、確実に遂行してください』
カルタ 『また、日本との友好性もありますので、日本軍への攻撃はもちろんのこと、建物への損害も気をつけてください』
カルタ 『敵影、人型12、タンク型20、戦車38を確認、撃破してください』

マリア 『第一部隊了解!』

クレス 「第二部隊了解だ」

俺はナイトメアのレーダーを確認する。
レーダーには日本軍の姿は無い。
全てエグザイルの識別だ。
ならば、容赦はいらないな。

マリア 『クレス! これからレオナと私が突撃するから援護お願い!』

クレス 「了解だ! マリーナ、デルタ!」

マリーナ 『わかっています、ビット!』

デルタ 『……』

まず、マリーナのビットが先行して海岸線を陣取る敵を攻撃する。
それと同時に、デルタの遠距離攻撃も襲った。

マリア 『よーし! 行くわよレオナ!』

レオナ 『了解です、マリアさん』

マリアとレオナは敵陣深くに突っ込む。
俺たちは残りの海岸線にいる敵を撃破するのだった。



…………。



マリア 「はぁ!」

ザシュウ! ドカァン!!

私は市街地で陣形を考慮したタンクもどきを1機切り裂く。
タンクもどきとは戦車と人型の中間の機体で、上半身は人型なのだが下半身が戦車になっている。
とはいえ、これも人型に分類されるのでその大きさ戦車の比ではない。
装甲も高く、拠点防衛に適したタイプだ。

レオナ 『!!』

キュイイイイイン!! ガガガガガガガ!! ズガァァン!!

マリア 「ひゅうっ! 派手な武器ねぇ〜っとら!!」

ドシュウ!! ドカァン!!

レオナはプラズマチェーンソーで敵ユニットを真っ二つにする。
あれ、結構音も凄いし、目立つわよね…。
まぁ、そんなことを考えながらも私は遠くからこちらを狙う戦車をライフルで撃破するのだった。

マリア (グラディエーターって本当変な機体よね…)

プラズマ、マグマ、コールド、ウインド、光学兵器を搭載していないが、だからといって実弾兵器があるってわけでもない。
装備は出来るみたいだけどなんとも互換性のない機体よね。

レオナ 『! はっ!』

レオナは咄嗟に迫ってくる人型を左のウインドブレイドで切り裂いた。
右のプラズマチェーンソーに左のウインドブレイドをメインで戦うレオナ。
でも、他にもマグマランサーやコールドハンマーっていう両手武器もあるのよね…まるでスーパーロボットね…。

マリア 「にしても結構多いわね…! うざいっての!」

私はそういいながらも迫り来る戦車隊をなぎ倒す。

マリア (東京タワー…あれの上からならまとめて敵を倒せるかしら?)

なんとなく無茶を考えてしまう。
まぁ、私はここらエリアの敵を掃討すればいいでしょ。
あとはクレスたちが何とかしてくれる!



…………。



クレス 「はぁっ!」

ドシュウ! ドカァン!

俺は市街地に入ると縦横無尽に迫ってくる敵部隊を的確にライフルで打ち抜く。
なるべく被害を減らすため俺は車線の多い中央道路で戦っていた。
立体歩道橋などが厄介だが、そもそも市街地戦なんてこんなものだろう。

デルタ 『…!』

ガルム 『むぅ!』

マリーナ 『ビット、そこです!』

俺たち第2部隊は基本はスクラムを組みながら迫ってくる敵を各個撃破する。
数はだいぶ減っている。
このままいけばあと1時間もかからず東京全域のエグザイルを追い出せるだろう。

カルタ 『クレスさん、そこから東に8キロの地点に敵が集結を開始しているようです』
カルタ 『すでに第一部隊も向かっていますが、掃討をお願いします』

クレス 「了解だ、第二小隊、これより敵の掃討に向かう!」

ガルム 『了解だ!』
マリーナ 『了解ですわ』

俺は第二小隊を引き連れて敵の集結地点を目指す。



『同時刻 フリーダム ブリッジ』


カルタ 「現在のこちらの消耗率0パーセント、敵53パーセントです」

グレッグ 「さすがに余裕だな」

カルタ 「エグザイルは日本を放棄しても構わないのでしょうか?」
カルタ 「あまり防衛もそう専念しているようには思えませんね」

グレッグ 「東アジアのエグザイルのメインは大陸に上がった後になる」
グレッグ 「極東の日本は確かに最前線だが、そう重要視はしていないのだろう」

カルタ 「敵全戦力、集結完了」
カルタ 「? これは…?」

グレッグ 「ん? どうしたカルタ?」

カルタ 「早い!? 12時の方角から所属不明の未確認機急速接近!」

グレッグ 「!? いったいどういうことだ!?」

カルタ 「わかりません!」

僕はレーダーを食い入ってみる。
レーダーには桁違いのスピードで戦闘領域に突入する謎の機体を捕らえていた。




カルタ 『クレスさん! 気をつけてください! 正体不明機がエグザイル集結地点に急速接近しています!』
カルタ 『計算によると1分30秒早く、正体不明機が集結地点に先に到着します』

クレス 「了解だ、何かわかったら随時教えてくれ」

カルタ 『了解です!』

デルタ (…いったい…なんなの…これ?)

クレス 「聞いてのとおりだ、何が待っているかわからない、全員気をつけろ」

ガルム 『了解』
デルタ 『了…解…です』

クレス 「? 大丈夫かデルタ…?」

デルタ 『いえ…その…』

マリーナ 『クレスさん、嫌な気配がします、気をつけてください』

クレス 「! わかった…!」

あのマリーナが状況を危惧して注意を呼びかける?
どうやら…だいぶまずい事態になったのかもしれないな…。

クレス 「まもなく、集結地点に突入する!」

俺たちはコンクリートジャングルの中を駆ける。
高層ビルが連立し、視界は非常に邪魔だが集結地点に行けば視界は広がるだろう。
しかし…そのとき、俺たちが見たのは…。

クレス 「!? な…!?」

デルタ 『!?』

俺たちは集結地点に到着する。
すると、そこに見えたのものは…。

クレス 「エグザイル…全滅…」

俺たちが見たものは無残に破壊しつくされたエグザイルの機動兵器群だった。
一機たりとも逃されてはいない。
そして…スクラップの山になった終結地点の中央にある一機の機体がいた。

クレス 「なんだと…!?」

デルタ 『あ…ああ…!!』

ガルム 『あれは…?』

俺たちが見た機体は人型だった。
ただ、その機体は俺たちの機体より一回り大きく30メートルほど。
かなりの重装機体で太い腕や足は丸みを帯びている。
真っ黒な機体で頭部のカメラが赤く光っていた。
肩や足、肘、膝、腹などにスラスターもある。
明らかに地上戦以外を想定した機体…まさか…?

カルタ 『!? まさか…』

マリーナ 『カルタさん…あれは?』

カルタ 『UM03…ビックブラックマン…』

クレス (正体不明ナンバーの3番目か…まさか…しかしなぜやつらがここに…?)

UM03 『……』

チュィィィン…!

クレス 「複数ロック反応!? 全員退避だ!」

俺は敵のロック反応を感知する。
どうやら、全員攻撃してくるらしい。
俺は急いで回避動作に移った。

ドシュウ!!

ガルム 『むぅ!?』
マリーナ 『く…!?』

敵は両腕に装備されているエネルギーランチャーで固まっている俺たちを攻撃していた。
俺たちはとっさに散開してそれを回避する。

マリア 『到着…て、え…?』

アル 『あれは…!?』

レオナ 『マリアさん…』

敵の攻撃の後、すぐにマリアたち第一小隊が敵の背後から現れる。
これで挟み撃ちか。

マリア 『う…うそ…そんな…』

クレス 「マリア…?」

通信機越しからマリアの信じられないと言うような声が漏れてきた。

マリア 『このぉ!! マークの仇!!』

クレス 「!? よせマリア!」

アル 『マリアさん!?』

マリアはUM03を見るなりいきなりエネルギーライフルを構え、攻撃する。

UM03 「……!」

ピキィン!

マリーナ 『!? あれは!?』

クレス 「エネルギーシールド!?」

UM03は右腕に装備されたエネルギーシールドを展開して、マリアの攻撃を防ぐ。
まさか、エネルギーシールドを実用レベルで使うとはな。

デルタ 『くぅ…うううっ!!』

クレス 「!? デルタ! お前もか!?」

デルタも突然、ライフルを構えた。
マリアと挟み撃ちによる攻撃、UM03は防げないと判断し機体を動かし回避を行う。
デルタが冷静さを完全に失っている…!

クレス 「デルタ! 落ち着けデルタ!」

デルタ 『うう…うわああああああっ!!』

マリーナ 『デルタさん!』

ガルム 『デルタ少佐!』

デルタの耳にはまるで俺たちの声が届いていない。
まずい…このままではやられる!

UM03 「……」

UM03は再び攻撃態勢に入る。
まずい、今の状態ではマリアもデルタもやられるだけだ!

クレス 「くそーっ!!」

ドカァ!!

俺はナイトメアを動かしてUM03に体当たりをする。

クレス 「いくぞー!!」

俺はそのままヒートブレードでUM03に切りかかった。
しかし、UM03も腰からエネルギーブレードを取り出して俺の斬撃を弾く。
そのまま俺とUM03は距離を離した。
次の瞬間!

ダァン! ドシュウ!

クレス 「…!」

UM03 「…!」

俺たちは同時にライフルを放つ。
しかし、両者かする程度で当たりはしない。

UM03 「!!」

クレス 「く! はやい!?」

UM03は危険と見てか高速に俺たちを翻弄し始めた。
ちぃ…あの大きさでここまで動くとは。
スペックはナイトメアより一回り上か。

クレス (…こうなったら使うしかないな…あの『悪夢』を…)

俺はUM03の攻撃を回避しながらあるパスワードを入力する。

『N…I…G…H…T…M…A…R…E』

クレス (ヘレン…目覚めろ!)

ヘレン 『(あなたにちからを…)』

俺はナイトメア本当の力『ナイトメアシステム』を起動する。
ナイトメアシステムを起動したこの機体は機体の限界を突破し、パイロットに絶大な力を発揮させる。
しかし、ナイトメアにはヘレンという亡霊が憑いている。
今までこのシステムを制御しようとしたが、結局精神を汚染され、暴走して死んだ者は4人もいる。
このシステムを制御できるのは…俺だけだ!

ヘレン 『アルベルト…あなたなのね…』

クレス (ヘレン…共に戦ってくれ! 奴を倒す!)

ヘレン 『私はあなたと一緒にいるわ…アルベルト』

限界を超えたスピードに体は軋み、ヘレンとの精神のコンタクトにより異常なほど精神疲労が起きる。
いくら制御できるとはいえ肉体も精神もそう長くは持たない。
速攻でけりをつける!

クレス 「はぁ!!」

俺は一気にUM03の懐に入り、コックピットを蹴り倒す。
俺はそれと同時にライフルで敵に追い討ちをかける。

UM03 「!!」

UM03はたまらず高層ビルを盾に隠れる。
しかし、このシステムによって以上に精神は敏感になっている。
俺はビルの窓ガラスを縫って、ビルの向こうのUM03にライフル弾を被弾させた。
今の俺にはこんな神業的な操縦も可能だ。

レオナ 『ナイトメアのスペックが通常時の160%にまで上がっている…』

アル 『クレスさん、あれほどの力を持っていたのか…』

ガルム 『すごすぎる…まるでついていけない…!』

UM03 「!!」

ドシュウドシュウ!

クレス 「遅い!」

相手は俺をエネルギーライフルで狙うが、俺は全く当たらない。
そのまま相手の進路方向に先回りして、相手のを押さえ込む!

ガシィ!
俺はそのままUM03を捕まえた。

UM03 『…その腕…アルベルト准将だな』

クレス (特別回線…!?)

UM03から突然サナリィでもエグザイルでも使われていない特別な回線が開かれる。
この回線は…!?
俺は咄嗟にその特別回線以外、全ての回線を閉じる。



カルタ 「!? な、なんだ…これはナイトメアとUM03の回線がつながっている!?」

僕はフリーダムから状況を調べていた。
突然、ナイトメアがフリーダムとの回線を閉じた。
僕はとっさにナイトメアにハックをかけたが、なにやらジャミングがかかっている。

クレス 『特…監……か!?』

UM03 『ア…ベル……将、これ……ど……う……だ?』

クレス 『退…! 今…そ……で……い!』

UM03 『オペ…シ…ン…メ…オ…近い……』

クレス 『わか…て…る!』

カルタ (なんだこの会話…!?)
カルタ (クレスさんはUM03のパイロットを知っているのか!?)
カルタ (UM03とクレスさん…一体どんな関係が!?)

少なくともジャミングがきつすぎて会話は全くわからない。
だが、確実にわかることはクレスさんはUM03のパイロットを知っているのだろう。
だが、知っているからこそクレスさんは全ての通信回線を閉じた。
一体どうして…!?

UM03 『…!』

カルタ 「!? UM03退却!?」

突然、UM03はブースターを噴かせて上空へと飛び去る。
そのスピードは桁違いであっという間に索敵範囲外へと飛び去った。

グレッグ 「…逃げたのか」

カルタ 「…そのようですね」

グレッグ 「…フリーダムより、各機へ通信、作戦は成功だただちに帰還せよ!」



マリア 『はぁ…はぁ…!』

デルタ『う…く…!』

クレス 「はぁ…はぁ…二人とも、大丈夫か?」

俺はなんとかUM03を退ける。
肉体もかなり痛み、頭も痛い。
力を使いすぎた…。
俺はすぐにシステムを通常モードに移行する。
…正直、疲れた。

クレス (まさか…へレンに起きてもらう羽目になるとはな…)

ひどい倦怠感が俺を襲う。
俺はナイトメアを動かす気力もなく、ただしばらくコックピットでじっとしていた。

クレス 「回線…開きなおさないとな…」

俺はさっきまで閉じていた回線を全て開く。

マリーナ 『…さん、クレスさん、帰りますよ? 大丈夫ですか?』

クレス 「…ああ、大丈夫だ」

俺はなんとか機体を動かしてフリーダムに戻る。



…………。



『同日:某時刻 フリーダム艦内』


クレス 「く…」

マリーナ 「…大丈夫ですかクレスさん?」

ガルム 「なにやら、ひどく疲れているようですが」

クレス 「…大丈夫だ」

俺はナイトメアから降りるが、実際のところかなり体がしんどい。
あのシステムを使用したらこうなってしまう。
実戦レベルでの使用は初めてだったからわからなかったがこれほどの疲労がかかるとは…。

デルタ 「…大佐」

クレス 「…! デルタか、お前には少し聞かなければならないことがあるな…」
クレス 「今日のデルタはずっと不自然だった、そしてさっきの戦闘…一体何があった?」

俺はさっきのUM03との戦闘でデルタが平常心を失ったことを気にして聞いてみた。
普段、冷静沈着なデルタがあそこまで感情を表立たせるのは普通じゃない。

デルタ 「…黒いユニット…私の、故郷を滅ぼした…」

クレス 「故郷を? あのUM03がか?」

デルタは俯いていた。
体は振るえ、何かにおびえている。
そして、デルタは静かに語りだす。

デルタ 「焼けた大地…黒い雨がザァザァ降って、大地は黒かったり赤かったり…」
デルタ 「肉の焼けた匂い…鉄の焦げた匂い…時間の経って腐乱した犬…」
デルタ 「故国ドイツの小さな田舎町にあいつは現れた…」
デルタ 「なにか、あるわけでもなくただ私の村はあいつに破壊された…」

クレス 「俺がお前を引き取った時か…」

デルタ 「……」

デルタはコクリと小さく頷く。

マリーナ 「そんな、あの正体不明のユニットはそんなことを…」

ガルム 「虐殺ですか…しかし、なぜ…?」

クレス (UM03、ビックブラックマン…一体何のためそんな破壊活動を…)

マリア 「どこでも、やってんのね…あれ」

クレス 「マリア?」

そこへ突然、第一部隊のマリアが入ってくる。

マリア 「気持ちはわかるわ、私もあいつには恨みあるし」

クレス 「マリアも…?」

マリア 「…古い話よ」

マリアはそう言って格納庫を出る。
古い話か…奴は一体何が目的なんだ…?

クレス 「…第二部隊はこれで解散だ」

マリーナ 「ええ」
ガルム 「了解」

俺はとりあえずここで解散させる。
解散というと二人はそのまま格納庫を出て行くのだった。

デルタ 「……」

クレス 「どうしたデルタ?」

デルタ 「大佐…怖いんです…また…あいつに全てを奪われる気がして…」

クレス 「…心配するな、大丈夫だ、もう、戻るぞ?」

デルタ 「…はい」

俺はデルタの手を引っ張って格納庫を出る。
俺はデルタと別れるとその日はそのまま自室で眠りにつくのだった。



…………。



グレッグ 「…あの時の悪夢が再び現れるとはな…」

俺はさっきの戦いを思い出す。
正体不明の謎のユニットUM03『ビックブラックマン』
かつて、サナリィを一時戦闘不能状態まで追い込み、我々の英雄マーク・シャッドの命を奪った存在。
マリアは気が気じゃなかったろうな…。

グレッグ (この戦い…雲行きが怪しくなってきたな…)

…NEXT OPERATION A GO




Strategy of the following!


正体不明のユニットビックブラックマンを退け、なんとか日本での戦いを終えたサナリィ。
サナリィの次の目標は東アジア方面統治者『楊・仔静』。
広大な東アジアを攻めるため、サナリィは日本で体勢を整える。
その間少し休憩をもらう、パイロットたちは日本を散策するのだった。
そして、シュウイチたちも帰ってくる。

次回 UNIT

OPERATION 20 『観光』


クレス 「…疲れが抜けん…今日は寝る…」




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