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もうかなり眠った。これで、徹夜三日は持つな。と、トラン考えていた。今までの疲れが全部とれた。

ト:・・・・・。

喋りたくても、ウンディーネに注意された言葉が頭を横切る。

ト:・・・・・。

ウ:(おはよー。気分はどう?)

元気な声が、頭の中で響く。

ト:(気分は別に悪くないようなー・・・。)

ウ:じゃ、もう喋ってもいいよ。

ト:ああ・・う・・・。

昨日の言葉を思い出して、少し拒否感があったが、喋ってみた。

ト:喋れてる・・・?

ウンディーネに聞いた。

ウ:うん、喋れてるよ。

ト:喉が渇いちゃった・・・。

無理もない・・・。一日、何も飲んでいなかったのだから。水が差し出された。

ト:はぁー・・・。

トランは水を飲んだ。だが、少し疑問になった。なぜ、こんなに早くに水が出されるのだ?と。

ト:どこから水が・・・?

ウ:それはね、私の体の一部なの。

ト:ブッ!!

トランは、ビックリして口の中に含んでいた水を吐いた。

ト:ケホケホ!!か、体の一部!?

ウ:ウソウソ、空気中にあるわずかな水分を集めて飲料水に変えたの。

トランは、よく分からなかったが、内心「野郎・・・!!」と、怒っていた。

ト:はぁー・・・。

トランは、呆れかえって下を見た。その時、見てはいけないものを見たような顔をしてしまった。

ウ:どうしたの?

ト:いいいい、いやいやいやいやいや!!ななななな、何でも、なななないよ!!

トランは、ビックリしすぎて壁に肘をぶつけてしまった。

ト:ウガッ!!うううううう・・・・。

トランは、肘が思いっきり当たって奇声を上げてしまった。ウンディーネは、怯えて目が潤んでいる。

ウ:だ、大丈夫・・・?

声が怯えていた。

ト:だ、大丈夫・・・。

トランは、もう一度確認するかのように下を見た。

ト:(尾びれだ!!じゃ、この人は人魚なんだ!!)

ウ:うん。私は、人魚だよ。

トランは、あっけに取られて喋れなかった。

ト:まさか・・・。人魚がいるなんて・・・!!

ウ:うーん・・・。人魚だけど・・・、ちょっとだけ、違うの。

ト:何が?

ウ:私は、水神ウンディーヌの生まれ変わり、水神ウンディーネなの。

ト:じゃ、七神を知ってる!?

ウ:うん。知ってるよ。

ついに、「七神」の一人、「水神」を見つけた。

ト:やったー!!七神の一人を見つけたー!!

ウ:よかったね!!

ト:じゃ、ついてきてね。

ウ:それは無理・・・。

ウンディーネは、悲しい声で答えた。

ト:へ?何で?

ウ:私は他の人と違って尾びれがあるし、水の中でしか住めないし・・・。

ト:じゃ、どうしたらいいの?

ウ:私と同じ力を持つ人がもう一人いてくれたら・・・。

ト:じゃ、私が。

ウ:いいの?じゃ、どこに印を付けよっかなー・・・?

ト:何するの?

ウ:肩に入れよっと。じゃ、「清い水よ・・・、この者の体に移り我が願いを叶えたまえ・・・。」

ウンディーネは手を拝み、呪文みたいなものを唱えた。すると、トランの肩が水色に光りだした。

ト:な!何これ!?

光が消えた。トランは、肩を見てみると水色で涙模様のタトゥーがあった。

ト:何これ?

ウ:これで、私の力のコピーがあなたの体に移ったよ。

ト:ふーん・・・。あ!!ぐぐっ・・・!!うううぅ・・・、あぁぁぁぁ・・・!!

ウ:ど!どうしたの!?大丈夫!?あっ!!

ウンディーネは、壁に弾き飛ばされた。トランは、頭を抱えてひざをつきながら悲鳴を上げている。

ト:うあああ!!

ウ:眩しい・・・!!

トランの体が黒くなり、次第に大きくなっている。

?:クックックッ・・・。新たな体を持って我は蘇った・・・。

明らかに、トランの声ではなく、若い男性の声だった。

ウ:誰・・・?

ク:我が名はクロウ。闇の神だ。

クロウは、赤い髪に見たことのない、黒っぽい鉄の胴を全身に着込んでいて、顔は青白く、目は黒く、中心に赤い目があった。そして、何よりも不気味だったのは、背中に黒い羽が2本生えていた。

ク:そして・・・。

クロウは、背中に背負っている2本の剣の片方に手を掛け、次の瞬間、ウンディーネの腹部に刺した。

ク:すべての命を治める者・・・。

ウンディーネは、力が抜けたように倒れた。

ク:恐れる事はない・・・。古き命は、我が命の一部となって、生きる事が出来る・・・。




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