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POCKET MONSTER RUBY



第9話 『ジムリーダーの意味』




ハルカ 「……」

トウキ 「……」

私たちはすでに対峙していた。
現在時刻は9:59。
ジム戦が開始するまで後数十秒足らず…。
場にはすでに緊張が走っており、沈黙が支配していた。
カナズミジムと違い、一般観客はひとりもおらず、いるのはジムトレーナーが数人だった。



………。



たった1分が凄まじく長い。
元々、本番に弱いと言うわけではないけど、この場はさすがに緊張する。
自分の中でボルテージが徐々に上昇していく。
トウキさんも同じように見えた。
やがて、試合場の中心に審判が現れ、時刻を確認して声をあげる。

ジャッジ 「では、これよりポケモンリーグ公認、ムロジム公式、第98回ジム戦を行います!」

今回は歓声ひとつない。
元々、観客を意識する方ではないので、どうでもいいけど。
今回のバトルフィールドは、割と平坦で、通常の土で敷き詰められている感じだ。
タン、タン、と足で踏み抜いてみるが悪くない。
これなら蹴りでも十分に踏み込める。まさに格闘らしい戦いをするには申し分ない。
ただ、逆におかしいと思うこともある。
このフィールドでは障害物がひとつとしてない。
つまり、空を飛ぶことのできる…すなわち格闘タイプの弱点である飛行タイプが戦うに適しすぎている。
考えすぎかもしれないけど、何かあると思った方が良さそうね。

ジャッジ 「まず挑戦者を紹介します! ミシロタウンのハルカ!!」

私はその場でトウキさんに向かって一礼する。
観客はいないので、盛り上がりはないが、その分緊張感は高まる。

ジャッジ 「そして、ムロジムのジムリーダー、トウキ!!」

トウキ 「……」

トウキさんも私に向かって一礼する。
瞬間、更に緊張感が増す。
これから戦いが始まるのだ、トウキさんも相当本気だというのが見て取れた。

ジャッジ 「ではルールを説明します! 時間は無制限で、使用できるポケモンは2体。ポケモンの途中交代は基本的に制限なしとします!」
ジャッジ 「試合中の図鑑使用は、閲覧のみ認められ、それ以外の用途での使用は失格と見なされることもあります」
ジャッジ 「なお、使用できる道具は、支給される『いいキズぐすり』をひとつのみとし、使用する場合は手を上げてコールしてください」
ジャッジ 「コール後、私の方から試合を一旦中断します。なお、中断後に加撃を行った場合はペナルティを課しますので」
ジャッジ 「以上が基本ルールです。それではハルカさん、何か質問はありますか?」

例によって、そう言われる。
私は特に聞くことはないので。

ハルカ 「いえ、大丈夫です」

ジャッジ 「それでは、これより試合を開始します! まずジムリーダー、最初のポケモンを!!」

トウキ 「いけ! 『ワンリキー』!」

トウキさんがモンスターボールを投げると中からいかにも格闘タイプと言った感じのポケモンが出てくる。
背は低いが、かなりの筋肉をしている…パワーは凄そうね。
しっかりした足腰で地面を踏みしめ、バトルフィールドの中心に立つ。
折角なので、一応図鑑確認しておく。

ポケモン図鑑 『ワンリキー:かいりきポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:0.8m 重さ:19.5Kg タイプ1:かくとう』
ポケモン図鑑 『どんなに運動をしても痛くならない、特別な筋肉を持つポケモン。大人100人を投げ飛ばすパワー』

ハルカ (パワー勝負じゃ、話にならないかもしれないわね…)

それでも、私はこの娘を信じるしかなかった。
トウキさんの切り札は予想した通り、マクノシタ。
だったら、少しでもアゲハントの負担を軽くするために、頼るしかない。

ハルカ 「任せたわよ…ワカシャモ!!」

ボンッ!

ワカシャモ 「シャモッ」

ボールからワカシャモが登場し、颯爽とバトルフィールドの中心に降り立つ。

ハルカ (こうやって見ると…)

身長差はややワカシャモが大きい…リーチにすればワカシャモの方がかなり長いだろう。
図鑑で見た所、体重はほとんど同じ、これなら打ち合ってもそう引けは取らないかもしれない。
スピードならワカシャモ、パワーならワンリキーね…。
考えていると、審判がフィールドラインの外に出て、号令を出す。

ジャッジ 「それでは、試合始めっ!」

審判の合図と共にバトルは始まる。
私は先制攻撃を試みる。

ハルカ 「ワカシャモ、『にどげり』よ!!」

ワカシャモ 「シャモ!」

ドガァ!!

ワンリキー 「ワン!」

ワンリキーは両腕をクロスして、右足による一度目の前蹴りを受け止める。
しかも…。

ハルカ 「!? 退がらない…!」

体重差はほぼ同じ、それでワカシャモの蹴りを正面から止めた。
少々甘い考えだったかもしれない。
パワー差は歴然だ…。

トウキ 「よし、二度目の蹴り足を掴め!!」

ワンリキー 「ワン!」

ワカシャモ 「シャモ!!」

ハルカ 「く…」

ワカシャモは二度目の蹴りを一度目と同じように顔面に向かって放つ。
それをワンリキーはいともたやすく掴んだ。

トウキ 「よし、そのまま『からてチョップ』だ!!」
ハルカ 「ワカシャモ、『ひのこ』!!」

私たちはほぼ同時に指示する。
それに反応して、両者のポケモンが動く。

ワンリキー 「ワン!!」

ワカシャモ 「シャモ!」

ボボボッ! ドォンッ!

互いの技が交差し、弾けるように両者のポケモンが後ろに吹っ飛ぶ。
両方とも背中を地面に落とし、やや動かない時間があった。

ハルカ 「…ダメージは?」

トウキ 「……」

ワカシャモ 「…シャモ」

ワンリキー 「ワンッ」

互いに起き上がる。
ダメージとしては、こちらの方が重そうだった。
距離はやや大きく、格闘技は届かない。
先制攻撃は失敗に終わった。
正面から素直に崩せるほど甘い相手じゃなかった。

ハルカ (どうしよう…まぁ、相手もあの位置じゃ攻撃は出来ないだろうけど…)

トウキ (…攻撃技は届かない、そう思っているんだろうね。だけど)
トウキ 「ワンリキー! 『ビルドアップ』だ!!」

ワンリキー 「ワンー!」

ハルカ 「!?」

いきなりそんな技を宣告される。
すると、ワンリキーは体を動かし始め、何だか気持ち分…体が大きくなったように感じる。
ただ、確実にわかったことは…。

ハルカ (このままじゃマズイことになる!)
ハルカ 「ワカシャモ、『ひのこ』よ!!」

ワカシャモ 「シャモ!」

ワカシャモは口から火の粉を放ち、それがワンリキーに直撃する。

トウキ 「耐えろワンリキー、更に『ビルドアップ』だ!!」

ワンリキー 「ワーン!!」

火の粉を耐え、ワンリキーは更にビルドアップを続ける。
すでにかなりのダメージが通っているはず、このままだと…。

トウキ 「よし、審判タイムだ!!」

ジャッジ 「一旦試合を中断する!!」

ハルカ 「!? そうか…!」

私はここで理解した。
いくらダメージを負っても、アイテムで一度は回復できる。
つまり、恐らくは全快した状態でステータスが上がっている…。
初めて見たけど、あの『ビルドアップ』と言う技は、確実に『能力を上げる』ための技だと言うことがわかった。
もしかしたら…かなりヤバイ状況かもね。

ジャッジ 「では、試合を再開する!」

トウキ 「よし、今度はこちらから行くぞ! ワンリキー、『けたぐり』だ!!」

ハルカ 「く、ワカシャモ避けて!!」

ワンリキー 「ワンッ!」

ワカシャモ 「シャモー!」

ワカシャモは空中に飛び、ワンリキーの攻撃をかわす。
そして、ワカシャモが空中から落下し…。

ハルカ 「そのまま『にどげり』よ!」

トウキ 「受け止めろ、ワンリキー!!」

ワンリキー 「ワン!」

ワカシャモ 「シャーモ!!」

ワカシャモが蹴りのモーションに入り、ワンリキーはそれを受け止めるためにガードのポーズを取る。

ドガッ!

いともたやすく蹴りは止められる。
だけど、今度はそれも織り込み済み。

ハルカ 「ワカシャモ、そのまま『ひのこ』よ!」

トウキ 「何!?」

私は二度目の蹴りを放つ前に、『ひのこ』を指示する。
そのままでは捕まれるのがオチ、なので同じ事はしない。

ワカシャモ 「シャモ!」

二度目の蹴りがヒットした瞬間、捕まれる前に『ひのこ』がワンリキーの顔面に直撃する。
さすがにワンリキーは怯んで、首を左右に振った。

トウキ 「怯むなワンリキー! 『からてチョップ』!!」

ワンリキー 「ワンッ」

凄まじい風切り音を立てて、ワンリキーが横薙ぎのチョップを右手で放つ。

ハルカ 「ワカシャモ!」

ワカシャモ 「シャモ!」

ブンッ!!

ワンリキー 「!?」

ワカシャモはすかさずダッキングし、それを紙一重でかわす。
そして、ワンリキーは完全にミスブローの体勢を残す。
私はそれを逃さない。

ハルカ 「ワカシャモ、『つつく』!」

トウキ 「!」

ワカシャモ 「シャモッ」

ガツッ!!

ワンリキー 「!!」

ワンリキーの喉元にワカシャモのクチバシが炸裂する。
まさに『きゅうしょ』に当たったわ。

ドシャアッ!!

大きな音をたて、ワンリキーは背中から地面に落ちる。
それを見て審判は。

ジャッジ 「ワンリキー戦闘不能! ワカシャモの勝ち!!」

ハルカ 「よしっ!」

これで、かなりこちらが有利な状態になった。
トウキさんは道具を使い、一匹戦闘不能。
こちらはまだ二匹目を温存している。

トウキ 「…よくやったワンリキー」

トウキさんはワンリキーをボールに戻し、より真剣な表情をする。
次に出てくるのは間違いなくマクノシタ。
見たことはないけれど、ワカシャモがどこまでやれるか…。

トウキ 「行け! マクノシタ!」

ハルカ (やっぱり…ね)

ちゃんと予想は当たっていた。
だけど見たことはなかったので、やや驚きはある。
そのポケモンはまさしく『力士』のような姿をしていたからだ。
私はすぐに図鑑を参照する。

ポケモン図鑑 『マクノシタ:こんじょうポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:1.0m 重さ:86.4Kg タイプ1:かくとう』
ポケモン図鑑 『何回倒されても諦めず立ち上がる。立ち上がる度、進化するためのエネルギーが体の中にどんどん蓄えられていく』

ハルカ 「…冗談、86kgって」

相当な重量だ。
ツツジさんのノズパスに比べれば軽いけど、その分瞬発力は間違いなくある。
格闘家での戦いにおいて、ウェイト…重量は重要な要素を持っている。
ワカシャモの4倍以上…人間同士なら絶望の重量差ね。
最も、ポケモンでその理論は通用しないでしょうけど。

ハルカ 「ワカシャモ、まだ行けるわね?」

ワカシャモ 「シャモッ」

ワカシャモは答えてくれるけど、確実に弱っていた。
確実に勝つためにはワカシャモで少しでも体力を削らないと…。

ジャッジ 「それでは、始め!」

ハルカ (ワカシャモは疲れてる…でも、マクノシタもどうせ『ビルドアップ』を使うんでしょうね)

勘だが、恐らくあれはトウキさんの得意技だ。
ツツジさんでも『がんせきふうじ』があったように、トウキさんは『ビルドアップ』。
と言っても、勘なので過信は禁物。

ハルカ (どっちにしても、やれることをやるだけ!)
ハルカ 「ワカシャモ、『ひのこ』よ!!」

トウキ 「?」

ワカシャモ 「シャモー!」

ワカシャモは指示通りに『ひのこ』を吐き出す。
どこを狙うわけでもない、マクノシタの体全体を狙う。
私はそれでマクノシタを凝視する。

マクノシタ 「マクーーー!!」

高らかに叫んで、マクノシタは『ひのこ』を吹き飛ばす。
ダメージはほとんどないようだ。
だけど…。

ハルカ (なるほどね…)

私はあることに気付く。
そうしていると、トウキさんは指示を出す。

トウキ 「マクノシタ、『つっぱり』だ!」

マクノシタ 「マクマクッ!」

マクノシタは即座に突っ込んで渾身の突っ張りを連発する。
ワカシャモはまともに貰ってしまう。

パパパンッ!!

高速の『つっぱり』がワカシャモを後に吹き飛ばす。
だけど、まだ倒れてない!

ハルカ 「ワカシャモ、気合入れて! 『ひのこ』よ!!」

トウキ 「何だって…!?」

トウキさんは意外そうな顔をする。
『あついしぼう』によって炎タイプの技は半減すると言うのに、なお『ひのこ』を指示するのだ。
それは意味がわからないだろう。
だけど、意味はあった。

ワカシャモ 「シャ〜モーーー!!」

ゴゴゴゴッ!!

細かい『ひのこ』がマクノシタの体に直撃する。
その『ひのこ』は以前よりも確実に威力があった。

トウキ (しまった、『もうか』か!?)

ハルカ 「よし、ワカシャモ、マクノシタの腕を狙って!!」

ワカシャモ 「!!」

ワカシャモは『ひのこ』を吐きながら、それをマクノシタの右腕に集中させる。

トウキ 「くっ、そう言うことか! マクノシタ『すなかけ』だ!!」

マクノシタ 「マクッ!!」

ザザァッ!!

ワカシャモ 「シャモッ!? シャ〜…」

マクノシタの『すなかけ』がワカシャモの顔面に直撃する。
なるほど…下が土なのはこのためか。

ハルカ 「何て、考えてる場合じゃないわね…ワカシャモ、『ひのこ』よ!」

トウキ 「やらせるか! マクノシタ、『たいあたり』!!」

ワカシャモ 「シャモ!?」

マクノシタ 「マクッ!」

ドゴッ!!っと鈍い音が響いてワカシャモが地面に激突する。
さすがに、それ以上は無理だった。
でも、十分だ。

ジャッジ 「ワカシャモ戦闘不能! マクノシタの勝ち!!」

トウキ (…やられたな、完全に)

マクノシタ 「…マクッ」

ハルカ 「よくやったわ、ワカシャモ」

私はワカシャモをボールに戻してマクノシタを見る。

ハルカ 「……」

確実に右腕が『やけど』していた。
あれなら力はさほど入らないだろう。
最後に『つっぱり』でなく、『たいあたり』を指示したのが証拠だろう。
これで私は安心して次のポケモンを繰り出せる。

ハルカ 「仕上げよアゲハント!!」

アゲハント 「ハ〜ント…」

相変わらずおっとりな感じで登場する。
不安はあるが、ワカシャモがそれを和らげてくれた。

トウキ (…やはりか、果たしてどこまでやれるか)

トウキさんの表情がやや固く感じる。
予想外…と言うか、読み間違い。
この戦い、思ったよりもあっけない結果になるかもしれないわね…。

ハルカ (今は、あの時のような威圧感がない…どうしたのかしら?)



ミサト (トウキさん…やっぱり)
シノブ (…どうして)

今のトウキさんは、まるで別人のように感じた。
追い詰められ、戸惑う感じ。
私たちジムトレーナーの知らないジムリーダーの姿が、今目の前にあった。



トウキ 「…やるしかないさ、マクノシタ『ビルドアップ』!!」

マクノシタ 「マクーー!!」

ハルカ 「え…?」

マクノシタは『やけど』で徐々にダメージを負う。
その上で『ビルドアップ』なんて…無謀すぎる。
策があるとしても、それはポケモンにとって辛い選択だろう。
私は、少々納得できなかった…。

ハルカ 「アゲハント、『しびれごな』よ!!」

トウキ 「なっ!?」

アゲハント 「ハ〜ント!」

アゲハントは羽を高速で羽ばたかせ、鱗粉(りんぷん)のような粉をマクノシタに浴びせる。
すると、『ビルドアップ』をしていたマクノシタはモロにそれを浴びる。
次第にマクノシタは体力を失っていくのがわかった。
もう、戦える状態じゃない…。

トウキ 「マクノシタ…」
ハルカ 「もうギブアップしてください!!」

トウキ 「!?」

私はなおもマクノシタに戦う指示をだそうとするトウキさんにそう言う。
これ以上は戦えない…それがわかっているはずなのに、その指示を出すのが私には耐えられない。

ハルカ 「トウキさん、ポケモンは自分とは違うんですよ!?」
ハルカ 「このまま戦っても、マクノシタにできることはほとんどないはずです!」
ハルカ 「それでも、戦わせようと言うんですかあなたは!?」

トウキ 「……!」

マクノシタ 「……」

マクノシタは、体力がなくなったのか、そのまま地面に座り込んだ。
『まひ』のせいもあるのだろう、『やけど』と重なっては戦える体ではない。
それを見て審判はすぐに判定を下す。

ジャッジ 「マクノシタ戦意喪失! よって、勝者ミシロタウンのハルカ!!」

トウキ 「……」

トウキさんは無言でマクノシタをボールに戻す。
そして、弱い足取りで私の前にやってくる。

トウキ 「すまなかった…」

まず一言、そう言う。
私は何も言わなかった。

トウキ 「君は…いいトレーナだな。僕とは違う…」

ハルカ 「…トウキさんは、ジムリーダーなんでしょ? だったら、当たり前だと思います」

私は静かにそう言う。
私だってトレーナーになって間もない、ポケモンの『ポの字』も知らなかった私がこんなこと言うのもアレだろうけど。

ハルカ 「私、ジムリーダーがどんな存在かは知りません…でも父の姿を見て、知っていることはあります」
ハルカ 「ジムリーダーは、トレーナーのために戦って、ポケモンのために頑張るんだって…」

トウキ 「!? 父って…君はジムリーダーの娘なのかい?」

私はコクリと頷き。

ハルカ 「トウカシティのジムリーダー、センリの娘です…」

トウキ 「! …そうだったのか、道理で強いわけだな」

ハルカ 「いえ、私はまだポケモンと触れ合ってから数日しか経ってません」
ハルカ 「今回のは、トウキさんが悪いだけです…もっとジムリーダーとしての戦いを学ぶべきかと」
ハルカ 「素人同然の私が言うのは、変ですけど…ポケモンに対する愛情はわかっているつもりですから」

私が自信なさげにそう言うと、トウキさんはやや俯き、そして突然噴出す。

トウキ 「ハハッ…そうか、そうだよな」
トウキ 「うん、よくわかった! 本当にありがとうハルカちゃん!!」

そこにいたのは、以前見たトウキさんだった。
自信に満ち溢れ、迷うことのない表情。
私は、それ以上言葉を放たなかった。

トウキ 「これが…ムロジムのバッジ、『ナックルバッジ』だよ!!」

トウキさんは懐からそれを取り出し、私に渡す。
これが、二つ目のバッジ。
私はそれを握り締め。

ハルカ 「…これで、また一歩」

そう呟く。
これで、またカガミに近づくことが出来た。
追いつけるかは私次第。
今はこの一歩を大切にしよう。

アゲハント 「ハ〜ント♪」

アゲハントも飛び回って喜ぶ。
あんまり、褒められた結果じゃない気がしたけど、素直に喜ぶ方がポケモンは嬉しいのかもしれない。

ハルカ 「ありがとうね…アゲハント」

私はアゲハントをボールに戻し、一息つく。
すると、トウキさんが話しかけてくる。

トウキ 「そういえば、ハルカちゃんポケナビは持ってるかい?」

ハルカ 「え? あ、はい…」

私はポケナビを取り出して見せる。
すると、トウキさんは自分のポケナビを取り出して。

トウキ 「…もう一度、君と戦いたい。その時は今度こそ本当の力を見せるよ!」
トウキ 「だから、番号を交換しないかい? もちろん、そちらが良ければ、だけど」

私は断る理由もないので、了承する。
そして、互いに番号を登録し、確認する。


ジムリーダー:トウキ

作戦:直接打撃が得意

持ってるポケモン:格闘ポケモン命!

自己紹介:世界のビッグウェーブが俺を呼んでるぜ!


ハルカ (無駄に熱いわね…って言うか、一人称が『俺』?)

等と、やや失礼なことを思いつつも、変な疑問を抱き、私は苦笑した。

トウキ 「それじゃあ、ハルカちゃん…また会おう!」

ハルカ 「ええ…いつか、また!」

そう言って私はジムを後にする。
これで次の目的を果たす時が来た。



………。
……。
…。



ミサト 「トウキさん…」

シノブ 「トウキさ〜ん…」

ふたりが暗い顔で僕を見ていた。
結果が結果だけに、ちょっと顔を合わしづらかった。

トウキ 「すまなかった!」

僕はとりあえずそう謝る。
ふたりはキョトンとしていたけど、僕はただ謝りたかった。
僕を信頼してくれ、目標にしてくれるトレーナーに対して、僕はあんな戦いをしてしまった。
僕はハルカちゃんに教えられた。
ジムリーダーの本当の戦いを。
そして、ようやくわかった。
師匠が何故僕にあの質問を投げかけたのかを…。

トウキ (でも、僕はやっぱりジムリーダーであり続けたい)

ミサト 「あ、あのトウキさん…」

シノブ 「頭を上げてください…何か、そういうの違うと思います!」

トウキ 「いいんだ、謝りたかったから」
トウキ 「今日の僕は…最低だった」

ミサト 「そうかもしれませんね…でも」

シノブ 「私たちはトウキさんが大好きでジムトレーナーになったんですから! だから今日のバトルを教訓にまた一から頑張りましょう!!」

ミサト 「私たちは、トウキさんに着いていきますから!!」

トウキ 「うん…ありがとう!」

やりなおそう…。
本当のジムリーダーになるために。
そして、今度こそ本当のジムリーダーとして、ハルカちゃんと戦おう。





………………。





ハルカ 「…さて」

例によって、私は『いしのどうくつ』に来ていた。
さっさと仕事を終わらせないと。

ハルカ 「これでいなかったら張っ倒す…なんて、過激なこと言ってみたり」

前科があるのでイマイチ冗談に聞こえないのが怖い。
まぁ、何とかなるでしょう…ならなかったらこの際無視しよう。

ハルカ 「っと、そういえば忘れてた」

そう、肝心の『フラッシュ』を覚えさせてなかった。
何でも、この世には『わざマシン』なる便利な物があるらしい…。
『わざマシン』とは、ディスクに入った情報をポケモンに渡し、技として覚えさせる、非常に便利な道具だ。
しかし、『わざマシン』は一度使うと、ただの空ディスクとなる。
つまり使い捨て。
しかし、この『フラッシュ』が保存されている、『ひでんマシン』は一味違う!
『ひでんマシン』は、使ってもデータが消えず何度でも使える優れ物だ。
ただ、一度覚えると二度と忘れられないと言う、よくわからないデメリットがある。
この世界では特に忘れる意味がないので、気にしなくてもいいのだ。
ちなみに↑の解説は、ちょっとアレなんで深く考えないでね☆

ハルカ 「そう言えば、使えるポケモンは…」

私は図鑑を取り出し、ディスクと接続する。
これはちょっとしたケーブルを使った接続なのだ。
ディスクといっても、MOやMDのように外部ケースに入ったまま挿入ができるタイプなので、ケーブルを直接差す事ができる。
これで、図鑑参照にて覚えられるポケモンがわかるのだ。

ハルカ 「アゲハントとコノハナね…」

二匹とも覚えさせるのもアレだけど…ここはコノハナにしておく。
理由は単純、コノハナの方が技が少ないからだ。
これからの戦いでも役に立ってくれるかもしれないし、損はないと思う。

ハルカ 「それじゃあ、今度はボールと接続して…」

私は別の機材にケーブルを繋ぎ、それとボールを接続する。
と言っても、その機材はボールを置けるように窪みのある、四角い台座型の機械だ。
つまり、ボールをその機械に『置く』ことが『接続』することになるのよ。
私はスイッチを入れ、コノハナに技を覚えさせた。
そして、機材をバッグに押し込み、私はコノハナを外に出す。

コノハナ 「コ〜ノ〜」

相変わらず間延びした鳴き声。
とりあえず、本当に覚えているかどうか確かめないと。

ハルカ 「じゃ、行くから着いて来て!」

コノハナ 「コ〜ノ」

私は以前よりも先に進み、下に進む階段…もとい、梯子(はしご)を見つけた。

ハルカ 「下は本当に真っ暗ね…コノハナ、『フラッシュ』お願い」



………。



ハルカ 「…あれ?」

気がついたら、コノハナがいない。
もしかしてはぐれた!?
私は周りを見てみる。
すると、簡単に見つかった。

コノハナ 「コ〜ノ〜♪」

楽しそうにゆっくりとこっちに向かっていた。
私は項垂れる…この娘本当にトロイ。
進化しても、元の性格が変わるわけじゃないもんね…。
私は仕方ないので作戦を変更する。

ハルカ 「コノハナ、背中に乗って!」

コノハナ 「コノ〜?」

ハルカ 「……」

私はやや無理矢理にコノハナを持ち上げた。
背負うと言うよりは、肩車だ。
そしてそのまま地下に飛び降りる。

ハルカ 「はっ!」

コノハナ 「コ〜〜〜♪」



ザシャアァッ!!

大きな音をたてて私は着地する。
そこは、真っ暗な空間だった。
まさに一寸先は闇…。

ハルカ 「コノハナ、『フラッシュ』!」

コノハナ 「コノ〜♪」

コノハナは肩車が楽しいのか、喜んで技を使う。
すると、明るい光が周りを照らし、視界が開く。

? 「ココ!?」
? 「ズバッ!?」
? 「ケー!?」
? 「マクー!?」

瞬間、多種多様なポケモンが驚いて逃げる。
見たことないのもいたわね…瞬間移動した奴までいたし。

ハルカ 「…って、あれ?」

見ると、一匹逃げてないポケモンがいた。
と言っても、見ると異様なポケモンだった。
私は図鑑を参照する。

ポケモン図鑑 『クチート:あざむきポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:0.6m 重さ:11.5Kg タイプ1:はがね』
ポケモン図鑑 『鋼の角が変形した大きな顎。大人しそうな顔に油断をしていると、突然振り向きバクリと噛み付かれるぞ』

ハルカ 「鋼の角。それが顎ってことは…」

クチート 「クチー♪」

瞬間、クチートの顎(予想)が私に向かって突っ込んでくる。
間違いなく、喰らったら逝く!!
私は瞬間的に体が動く。

ハルカ 「ハアァッ!」

両足で地面を蹴り、空中に跳ぶ。
綺麗なムーンサルトを成功させ私はクチートの後ろ…もとい前に出る。

クチート 「クチッ!?」

クチートは驚いたように私を見る。
顔は結構可愛いじゃない…恥ずかしそうに口を両手で覆って赤面していた。
私はそれを見てため息をつく。

ハルカ 「もう…何なのよ一体」

クチート 「クチッ、クチッ」

その場で右往左往するクチート。
よくわからないけど、何かを伝えたいのかな?

ハルカ 「…何言ってるのかがわからないのは不便よねぇ」

つくづくそう思う。
でもそれがわかるようになるのがトレーナーなのよね。

クチート 「クチッ!」

クチートは走ってどこかへ行ってしまう。
と言っても、道は今の所一本道なので、先しかない。

ハルカ 「仕方ないわね…行きますか」

コノハナ 「コノ〜」

ハルカ 「……」

そういえば、コノハナのこと忘れてた。
担いだまま跳んでたのね…。
とりあえず私はクチートを追った。



………。



クチート 「クチックチッ!」

クチートはその場で飛び跳ねたりして私を呼ぶ。
他にも道はあったが、とりあえずクチートのいる方に向かった。

ハルカ 「何かあるの〜?」

クチート 「クチ〜!」

私の言葉が聞こえているのかいないのか、クチートはより地下に降りてしまった。
まだ下があったのね…。
私は依然コノハナを担いだまま飛び降りた。

ズシャァッ!

着地と同時に砂煙を上げ、私は先を見た。
道はより広くなっており、一本道だった。

クチート 「クチクチクチ…!」

ハルカ 「にしても、えらく『せっかち』ねぇ…」

すでに視界の端の方にクチートは向かっていた。
私は振り切られないように全力で走る。

コノハナ 「コノ〜♪」

ハルカ 「あんた…勘違いしてない?」

コノハナ 「コノ?」

間違いなく、遊んでいると思っている…。



………。



そして、そのフロアの奥の方に進んだ所で、クチートが止まっていた。
私は息を整えながら、その場にたどり着く。
さすがに体力を使ったわね。
これじゃ、また筋肉が付くわね…。

クチート 「クチッ!」

クチートはこちらを向き、後ろの大顎で何かを指す。
私はそれを見ると、何やら岩のような物があった。
やや大きく、1メートル弱のやや丸い形の岩だった。

ハルカ 「これがどうかしたの?」

クチート 「クチクチッ♪」

私が聞くと、クチートは顎を器用に使って、何やら小さな石を私に差し出す。

ハルカ 「? 何これ…石にしては綺麗な形ね」

私はそれを受け取り、まじまじと見る。
それは角張ってはいるが、綺麗な形をした灰色の石だった。
掌位の大きさで、そんなに重くはない。
ただ、不思議と妙な感覚を覚えた。
普通の石ではない…それはわかった。

ハルカ 「これ、私にくれるの?」

クチート 「クチッ」

クチートは笑顔で頷く。
何だかわからないけど、この子に懐かれてしまったようだ。

ハルカ 「う〜ん、でもどうしよう…」

ボールは例によってハイパーボールしかなかった…。
しかも1個だけ。
元々は6匹いたので、買おうとしてなかったのが問題だ。
まぁ、後で買ってからでもいいかな?

ハルカ 「というわけで、着いて来るなら歓迎するけど?」

クチート 「クチ? クチクチッ!」

クチートは何やら喜んでいるようなリアクションでその場を走り回った。
忙しい子ね…。
そして、ここで私は本来の目的を思い出す。

ハルカ 「…結局ここまででは出会えなかったけど」

クチート 「クチ?」

当然ながら、クチートがわかるわけもないよね…。
それでも、ダメ元で聞いてみようかな。

ハルカ 「ねぇ、クチート…この洞窟で、他に人間を見なかった?」

クチート 「クチ? クチクチッ!」

それを聞くと、クチートは一瞬考え、すぐに走り出す。
『着いて来い』ということだろう…。
私はコノハナを担いだまま追った。



………。



ハルカ 「あれ…ここからは上がるんだ」

見ると梯子があって登れるようだった。
クチートはあの体でどうやって登ったのか、すでにいなかった。

ハルカ 「…しょうがないわ、ねっ!!」

私は渾身の力でジャンプし、梯子を蹴って、三角飛びの要領で上に上がる。
我ながら無茶をする。
コノハナは依然楽しそうに喜んでいた。

ハルカ 「って、またぁ!?」

見ると、次のフロアは異様に狭く、目の前に梯子が再びそびえていた…。
私は気合を入れ、同じ要領で上に上がる。

ハルカ 「はぁっ、はぁっ!」

コノハナ 「コノ〜♪」

今度は明るくなる。
どうやら入り口があったフロアのようだ。
私はさすがに疲れ、肩車しているコノハナをボールに戻した。

ハルカ 「…で、クチートは?」

クチート 「クチーーー!」

何やら奥の方で呼ぶ声がする。
私は身軽になり、全力で走った。



………。



ハルカ 「お、部屋がある…」

見ると、クチートは中にいるようだった。
光は辛うじて入っているようだが、それでもやや暗かった。
そして、中には何やら人の気配がする。

ハルカ 「もしかして…」

? 「あれ…?」

中に入るとそこにはひとりの男がいた。
意外に身長は高く、180近くあるだろう。
年齢は恐らく20代半ば。
服装はまさに探索用と言うか何と言うか、山男と変わらないような服装だった。
目はやや細めで、表情は柔らかい。
そしてその顔立ちはまさしく社長譲りと思えた。
ちなみに、クチートは私のすぐ左横にいた。

? 「君は…ポケモントレーナーだね。このクチートは、君のポケモンかな?」

ハルカ 「えっと、まぁ…もうすぐと言うか何と言うか」

私は曖昧な返事をし、とりあえず仕事を果たすことにする。
バッグを漁り、ツワブキ社長より預かった手紙をその人に差し出す。

ハルカ 「ダイゴさん、あなたの父からこの手紙を預かりました、どうぞ」

ダイゴ 「父さんから…?」

ちなみに、『父』言ったのは勘。
実際にそう聞いたわけではないけれど、間違ってなかったようだ。
見た目はツワブキ社長に似ているし、年齢的に兄妹とは考えにくい。
まぁ、ダイゴさんの反応を見ても間違ってなかったようだけど…間違ってたらごめんなさいって謝ろう。

ダイゴ 「……」

ダイゴさんは手紙を受け取り、封を開く。
そして、それを舐めるように読んでいく。

ハルカ 「……」

クチート 「…クチクチ」

クチートは落ち着きがなかった。

ダイゴ 「なるほど…そういうことか」
ダイゴ 「そう言えば、君もポケナビを持っているね」

ハルカ 「え? あ、はい…」

何かと使うことも多くなって来るだろうから、腰にぶら下げていたわね…そういえば。
それを見てか、ダイゴさんはそう言って自分のポケナビを出した。
この展開は…もしや。

ダイゴ 「これ、僕の番号。何かあったら連絡してくれていいから、できることなら力になるよ」

そう言って、番号を書いたメモを私にくれる。
それを受け取ると、私はすぐに自分の番号をダイゴさんに教える。

ダイゴ 「うん、わかった…そう言えば、君はどうしてわざわざここまで?」
ダイゴ 「手紙を届けるだけなら、トレーナーに頼まなくてもいいはずだし…」

ハルカ 「あ、それはちょっと…」

私は、ことの経緯を話した。
すると、ダイゴさんはそれを真剣に聞いてくれる。
クチートも何やら楽しそうに聞いていた。

ダイゴ 「成る程。じゃあハルカちゃんは、ポケモンリーグを目指しているのか」

ハルカ 「はい、ちょっと…高い目標ですけど」

ダイゴ 「そうだね。でも、諦めなければきっと辿り付けるよ」
ダイゴ 「僕はトレーナーを見る目はあるんだ。君は、チャンピオンになれるかもしれないな…」

ハルカ 「…ダイゴさんはポケモントレーナーじゃないんですか?」

私がそう聞くけど、ダイゴさんは笑って。

ダイゴ 「僕は、見ての通り…石集めが趣味さ」

ダイゴさんはそう言って、この洞窟で見つけたと思える石を、私に見せてくれた。
その形状や色を見て、私はあの時の石を取り出す。

ダイゴ 「あれ…? 君も見つけたのか」

ハルカ 「これって…普通の石じゃないんですか?」

ダイゴ 「とんでもない!」

私が気楽にそう言うと、ダイゴさんは意外な反応を見せる。
まさか…ダイゴさんって、石マニア?
かなりのこだわりを感じた。

ダイゴ 「それは、『かわらずのいし』と言って、ポケモンに持たせていると、進化しなくなる特別な石だよ」

ハルカ 「『かわらずのいし』…そんな効果があるんですか」
ハルカ 「でも、進化しないことに何か意味が…?」

ダイゴ 「そうだね、進化することによって特性が変わることもあるからね」
ダイゴ 「進化しない時の特性が必要だと思うなら、進化させないで連れ歩くのもひとつの選択だと思う」

私はそれを聞いて、成る程。と思う。
進化することによって色々メリットはあるけど、デメリットが必ずしもないわけじゃないというわけね。

ダイゴ 「例えば、アメタマなんかは進化しなければ『すいすい』によって素早さが上げられるけど、進化してしまうと『いかく』になってしまうから上げられなくなる」
ダイゴ 「これはどっちもバトルで使える特性なだけに、どちらを選ぶかはトレーナー次第だよね」

ハルカ 「なるほど…確かに」

それはいいことを聞いてしまった。
アメタマはまだ療養中だけど、そう言う変化が出るのね…。
早く良くなって、また一緒に旅ができればいいけど…。

ダイゴ 「ハルカちゃん…君はポケモンが好きなんだね」

ハルカ 「あ、はいっ」

私がそう答えると、ダイゴさんは嬉しそうに笑う。
そして、バッグから何やらどこかで見たことのある物を私に差し出した。

ダイゴ 「手紙を届けてくれたお礼にこれを君にあげるよ」

それは『わざマシン』だった。
『ひでんマシン』と色が違うけど、形状は同じようだ。

ハルカ 「…あ、ありがとうございます!」

ダイゴ 「ちなみにそれは47番、中身は『はがねのつばさ』さ」
ダイゴ 「僕のお気に入りの技のひとつなんだ」

ハルカ 「へぇ…何か強そうな名前ですね」

ダイゴ 「翼を持っているポケモンなら、大抵覚えることができると思う」
ダイゴ 「その技は攻撃するのと同時に、防御力を上げることもできるから、活用するといいよ」

ハルカ 「はい、ありがとうございます!」

ダイゴ 「うん、それじゃあ僕はこれで…」

ダイゴさんはそう言うと、その部屋を去って行った。
部屋には私とクチートが残る。

ハルカ 「『はがねのつばさ』ねぇ…」

当然ながら初めて聞く技だ。
図鑑の技検索で私は調べてみるが、どうも鋼タイプの技らしい。
硬そうね…。

ハルカ 「そう言えば、クチートは鋼タイプなんだよね」

クチート 「クチ〜」

クチートは笑って頷く。
でも、クチートに翼はないから覚えられないのね…。

ハルカ 「まっ、とりあえずは最初の任務完了! 戻りましょうクチート」

クチート 「クチ〜♪」

こうして、私たちはダイゴさんと出会い、新しい仲間のクチートと出遭った。
ジム戦は、少し変な結果になってしまったけど、悪い結果ではないと思う。
次はカイナシティに向かうことになるけど、そこには何があるんだろうか?
期待と不安が交錯し、私の旅は続く…。



…To be continued




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