Menu
BackNext
サファイアにBackサファイアにNext




POCKET MONSTER RUBY



第26話 『再会』




ハルカ 「どうも〜、ポケモンの回復は終わってますか?」

受付 「あ、お帰りなさい。あなたのポケモンはすっかり元気になってますよ!」

そう言って、笑顔で受付嬢が私にボールを渡してくれる。
私はそれを受け取ると、ボールラックにしまう。
そして、しばらく考えた後。

ハルカ 「それじゃあ、私はカナズミシティに向かいます」

受付 「そうですか、何かお急ぎなのですか?」

ハルカ 「ええ、早めに到着したいので」

私はそう言ってポケモンセンターを出る。
本当はお腹が空いているんだけど、ここは我慢しよう。

ハルカ 「……」

私は、シダケタウンのポケモンセンターを出て考える。
もし…この先のカナシダトンネルから先に行けなければ、かなり遠回りをすることになりそうよね。
カイナシティまで戻って、船を当てにするのも手だけど、どっちにしてもかなり時間がかかる。
まぁ、多分大丈夫だと思うんだけどね。
私はそんな結論を出してカナシダトンネルを目指す。



………。



ハルカ 「…こちら側からだと、こうなっていたのね」

以前はカナズミ側からだったから、少し別の空間に感じる。
だけど、中の空気は紛れもなく以前入った空間のものだった。
中は静かで、注意して周りを見ればゴニョニョがたくさんいる。
元々、ゴニョニョは大人しいのか臆病なのか、自分から飛び出してくることは少ないようだ。
私は、改めて歩を進める。



………。



ハルカ 「…ん?」

見ると、ひとりの女性が大岩の前に立ち塞がっているのが見える。
まさか、割る気?
とはいえ、私でも『多分』無理なのに、あのいかにも普通そうな女性には到底無理な気がした。
何かを待っているのだろうか?
少なくとも、デートの待ち合わせにこんな場所を選ぶとも思えない。
周りを見るが、『人』の気配は無い。
と言っても、道の幅自体、人が2〜3人立って横に並べるかどうか位の幅しかないのだけど。

ハルカ 「……」

女性 「……」

女性は、こちらに気付いていないようだ。
結構近くにまで来たのだけれど、それでも岩を凝視しているようだった。
ただ、背中越しに酷く悲しげというか、切なさげというか…そんな感情が感じられた。
…祈りでも捧げているのかしら?
どちらにしても、こちらとしてはさっさとここを通りたいのが本音だ。
悪いけど、どいてもらおう。

ハルカ 「すみません、ちょっとそこから三歩半ほど退がってください!」

女性 「…え?」

女性は振り向き、不思議そうに私を見る。
私は気にせずに、モンスターボールを出してポケモンを呼び出す。

ハルカ 「『マッスグマ』! 頼んだわよ!」

ボンッ!

マッスグマ 「…グマ」

女性 「え? あ、あの…」

ハルカ 「今から、その岩を砕きますから、離れてください!」

女性 「え、ええ!?」

女性は咄嗟にこちら側へと走る。
私はそれを確認して、マッスグマに指示を出す。

ハルカ 「マッスグマ、『いわくだき』よ!」

マッスグマ 「グマッ」

マッスグマは後ろ足だけで立ったまま、右爪を後ろに振りかぶる。
そして、目標に向かって一直線に…。

女性 「あっ、ちょ、ちょっと!」

ハルカ 「…は?」

突然女性に呼び止められるが、マッスグマは止まらない。
マッスグマの右爪が、大岩の下部にめり込む。

ドガァッ!! メキメキメキィ…!!

大きな音を立て、岩にヒビが入る。
後は、一瞬のことだった。

ガラガラガラッ!! ズドドドドドォォォンッ!!!

ハルカ 「うわ…さすがに派手だわ」

道は狭いだけに、煙が凄かった。
当のマッスグマも少々煙たがっていた。

ハルカ 「オ、オッケー! マッスグマ戻って!」

シュボンッ!

私はボールを操作し、マッスグマを手持ちに戻した。
そして、大きく崩れた岩の先を見る。

男性 「う、うぐぐ…」

ハルカ 「……」

どうやら、岩の先に誰かがいたらしい。
思いっきり、下敷きになっている。
Mr.ドリラーで言う所の、『ミス』というやつだ。
情けないわね…あれじゃ立派なドリラーにはなれないわよ。
とは言いつつも、私は男性の上に乗っている岩盤をどけてあげる。
一応、私のせいだからね。

男性 「ぐぐ…助かったよ、ありがとう」

ハルカ 「い、いえ…気になさらずに」

だって私のせいだし。
とりあえず、これで先には行けそうね。
私は気を取り直して、先に進むことにした。

男性 「いやぁ、一時はどうなるかと思ったけど、君がこの岩を砕いてくれたんだね」

ハルカ 「え? あ、えと…はい」

ばれてるんじゃん…うやむやに出来るかと思ってたのに。
しかしながら、怒ってはいないようだ。
むしろ、ニコニコと笑顔を振りまいている。
天然系だろうか? それともただの馬鹿?

男性 「そうだ、感謝の印といっては何だけど、この秘伝マシンを受け取ってくれ」

そう言って、男性は『ひでんマシン』を私に渡す。
これって、中身は…?

男性 「そいつは4番…中身は『かいりき』が入っている。力持ちのポケモンに覚えさせれば、大きな岩を動かせるよ」

ハルカ 「ほう…そいつは重畳。ありがたく受け取っておきます」

私が例を言うと、男性は奥にいる女性の方に向かった。

男性 「ミチルさん! これからいつでも会えます!」

ミチル 「良かった…です」
ミチル 「さぁ、私の家でゆっくり休んでください」

ふたりは、まるで何年も会うことの許されなかったカップルのように寄り添い、歩き出す。
どうやら、シダケタウンに向かうようだ。
気がつくと、ただひとりその場に残されていることに気付いた。

ハルカ 「…ま、いいか」

私は特に考えることを止め、先に進む。
後は、以前にも行ったことのある道路だ。



………。
……。
…。



ハルカ 「…帰ってきたわね、ここまで」

カナズミシティの北口に立って私は呟く。
時間は15:00。
さすがにお腹が空いて仕方ない。
まずはどこかで食事でも摂ろうかしら。

? 「あーっ、ハルカさん!!」

ハルカ 「……この聞き覚えのある、天下無双の声は?」

言ってて馬鹿馬鹿しくなるけれど、この街にいる以上会う確率は高いだろうしね。
とりあえずは、飯にはありつけそうだわ。

ツツジ 「ハルカさん、お久しぶりです! あれからしばらくですね!!」

ハルカ 「あはは、ツツジさん元気ですね〜」

私は久方ぶりに会う親友(ツツジさんが一方的に思っているけど)と手を取り合い(ツツジさんが離してくれない)、再会を喜んだ(ツツジさんが一方的に)。
彼女は以前に見た時よりも、更に天下無双振りに磨きがかかっているようだ。

ツツジ 「まさか、今日会えるとは思ってもいませんでしたよ」
ツツジ 「あれから、私も色々頑張ったんですよ!」

ハルカ 「ツツジさん、とりあえず…ジムの方にでも行きません?」
ハルカ 「私、お腹空いちゃって…」

ツツジ 「あ、ごめんなさい! 私ったらつい! ではすぐにジムへ行きましょう! 今ならリンカも暇だと思いますし!!」

そう言って、私の手を引っ張るツツジさん。
私はどの道そうするつもりだったので、今回は素直に従った。



………。
……。
…。



リンカ 「あ、ハルカちゃん!! 久し振りーー! 何どうしたの? 何でまたカナズミシティに?」

ハルカ 「あはは…リンカちゃん落ち着いて、順に話すから」

私は嬉しくてしょうがないと言ったリンカちゃんを嗜めてジムの中に入っていく。
以前来た時と変わりない、活気のあるジムだ。
門下生…と言うかジムトレーナーは以前に増して多くなったようだ。
あれから、色々と頑張ったそうだけど、ツツジさんも成長しているんだろうな。

ハルカ (リターンマッチやったら、どうなるかわからないかもね)

岩タイプに拘っているのは今でも変わらないだろうから、水タイプや草タイプに弱いのは当たり前。
とはいえ、それは使い手にとっては更に当たり前のはず。
ゆえに、どんな対策を取っているのか…興味はあるわね。

ツツジ 「ハルカさん? どうかしたんですか?」

ハルカ 「ん? あ、ごめんなさい…ちょっと、ね」

今考えることじゃなかったわね。
私はこのジムのバッジを持っているのだから、ツツジさんと戦うことはないだろう。
とはいえ、本音としては実は戦いたい。
エキシビジョンで戦ってみようかしら?
そんな期待感を含めながら、私たちはジムの食堂へと向かった。



………。



リンカ 「は〜い、お待ちどう! たくさん作っておいたから、いくらでもおかわりしてね!」

ハルカ 「わぉ…随分豪勢ですね」

並んでいるのは、唐揚げ、サラダ、フランクフルト、焼き鳥…etcと、品目的には割りとありきたりだが、量が凄かった。
さすがに私ひとりで食べきるのは不可能だろう。
いや、3人がかりだったとしても、半分減るのかしら?

ツツジ 「量のことは気になさらないでくださいね? 余った分は、ジムの方々で食べてしまいますので」

ハルカ 「ああ…なるほどね」

それで、この量か。
確かに、一気に作りきってしまった方が楽だもんね。
私は納得し、箸を手に両手を合わせる。

ハルカ 「いただきます!」

リンカ 「はい、どうぞ〜♪」

ツツジ 「じゃ、私もいただきますね…」

ハルカ 「んぐ…あれ? ツツジさんも食べるんだ、お昼採らなかったの?」

ツツジ 「ええ、最近はちょっと忙しかったんで、お昼がずれることも多いんです」

そう言って、やや苦笑気味にツツジさんが箸を取る。
前に見た時と同様、丁寧な食べ方だ。
そう思うと、私の食べ方はかなり雑ね…サバイバル時代の癖が抜けてないらしい。

リンカ 「ん? どしたのハルカちゃん…?」

ハルカ 「え? ああ、いえ…ちょっと、ね」

私はうやむやにして食事を進める。
味は95点と言った所、さすがリンカちゃんね。



………。
……。
…。



やがて食事は終わり、私は以前泊まった時と同じ部屋で休むことになった。
今日は一泊していくつもりだ。
時刻はまだ16:30…まだまだ余裕がある。
その気になったら、今日中にトウカシティに着いてジム戦をすることも十分可能だったかもしれない。
だけど、気負って急いでもいい結果は出ない。
余裕を持ちすぎて気が抜けるのも問題だけど、ね…。

ハルカ 「さて、とは言ってもこのままダラダラと時間潰すのももったいないしなぁ」

そんなことを考え、私は部屋を出ることにする。
折角、ここにいるんだしね。





………………………。





『ハルカがカナズミジムにて休んでいる同時刻…サファリゾーン前』



キヨミ 「…!? マグマ団」

ヒワマキシティでジムバッジをゲットし、次はミナモシティに向かおうと進んでいた所、私は見覚えのある集団を見かけた。
間違うはずもない、あの服はマグマ団の制服だ。
私は以前に彼等と問題を起こしていることもあり、少々進むのが躊躇われた。

キヨミ (表立って正体がばれないようにこんな格好しているけど、この状況だと返って目立ってしまうわね)

私はそう思い、被っているローブを脱ぐ。
久し振りに太陽の光をまともに浴びた気がした。
ヒワマキの辺りでは、ほとんど雨に打たれたため、太陽の光を見ることさえ少なかったからだ。
それがなくても、あの格好では光を浴び難い。
私はしばらく、その場で様子を見ることにした。

キヨミ (空から、向かうのも手かしらね)

だけど、見つかったら事だしね…第一、ミナモ方面の道路から彼らが現れたのも気になる。
もしかしたら、ミナモシティにもマグマ団がいるのかもしれない。
だとしたら、このまま進むのは少し危ないかもしれない。

? 「はい、Hold Up…」

キヨミ 「!?」

チャキッ

突然、後頭部に銃を突きつけられる。
正直、洒落になっていない。
冗談でしょ!?
私は、声も出せずに固まっていた。

? 「余計な事は考えないで、そのままサファリゾーンに入りなさい…」

キヨミ 「…?」

私は言葉通りにサファリゾーンへと入っていく。
近くに人はいない…誰も気付いていないようだった。



………。



スタッフ 「ようこそ、サファリゾーンへ!」

キヨミ 「……」

? 「はい、もういいわよ…こっち向きなさい」

キヨミ 「はぁ…?」

私が恐る恐る振り返ると、そこには見知った顔があった。

カガリ 「Bang! アハハッ、まんまと騙されたわね!」
カガリ 「こんなのオモチャに決まってるじゃない…さすがのマグマ団でも銃刀法違反だけは守ってるわよ」

キヨミ 「ね、姉さん…」

一気に脱力する。
どうして声で気がつかなかったんだろう…?
そういえば、姉さんはこう言った冗談が恐ろしく好きな人だった。
寿命が縮んだわ…。

カガリ 「何、ビビッてるのよ…ポケモンバトルではあんなにクールなくせに。あなたって本当に実生活ではだらしないわね〜」

キヨミ 「姉さん…何のつもりなのよ〜、私を脅かして楽しいの?」

カガリ 「当たり前じゃない…楽しくなかったらやらないわ」

本当に脱力する。
何でこれが私の姉なのか、全くわからない…。

カガリ 「ふふ、本当のことを言うとね…ミナモシティの近辺にマグマ団のアジトがあるのよ」

キヨミ 「!? やっぱり…そうだったんだ」

カガリ 「その反応だと、薄々感づいていたのかしら?」
カガリ 「まぁ、付け加えるなら…ミナモからの船はしばらく出せないって事」

キヨミ 「ええっ!? じゃあ、次のジムには…」

カガリ 「当分は、お預けね…今はアクア団も動いているらしいし、マグマ団としてもアジトを死守しなきゃならないから」
カガリ 「空から行こう…何ていうのも止めた方がいいわね」
カガリ 「カイリューのようにスタミナ豊富なポケモンならともかく、私のクロバットじゃあなたを乗せてトクサネシティまでは無理があるわ」
カガリ 「場所がわかっているなら、可能かもしれないけど…あの広い海の中、もし万が一が起こったら大変よ」

それはわかっていた。
いくらなんでも、場所もわからずに『そらをとぶ』を使うのは無理がある。
トレーナーが思っているほど、あの技は簡単なものではない。
姉さんのクロバットは元々大きなタイプではないし、人を乗せるのには本来適さない。
かと言って、並みの鳥ポケモンでも行くのは困難だろう。
このままだと、強制的に止められてしまうわね…。
ちなみに、私が今使っている6体のポケモンは、全てこの『姉さん』から借りているポケモンだ。
私のポケモンは以前ハルカちゃんに話した通り、マサキに預けている。
現状、ホウエン地方からでは、マサキのパソコンに繋ぐ事が出来ないので、まだしばらくこのままだろう。

キヨミ (クロバットで、ある程度の所まで行って、そこからはマンタインに乗って海を渡っていけば…)

カガリ 「何考えているのか、大体わかるけど…止めておきなさい。今はマグマ団が海を哨戒しているから」

キヨミ 「……」

カガリ 「しばらくはミナモシティで息抜きしなさい…あなたが急ぐ理由はないはずだけど?」

確かにそうだ。
私が急ぐ理由などほとんどない。
ただ、あの娘に追い抜かれるのはさすがに問題がある気がした。

カガリ 「もう、どうせ何とかしようと思っているんでしょう?」

キヨミ 「……」

図星だった。
少しでも確率があるのなら、その確率をどうやって引き上げるかが私のやり方だからだ。
だけど、今回ばかりは何をやってもいい方向にはなりそうになかった。
いや…あると言えばあるのだけど。

カガリ 「頼むから、マグマ団を壊滅させて通ろうなんて考えないでよ? あなただと本当に出来てしまうから、ね」

キヨミ 「…そういえば、どうして姉さんはマグマ団に?」

カガリ 「……」

姉さんは胸の下で両腕を組んで黙る。
表情からは何も読み取れなかった。
相変わらずのポーカーフェイスだ。
だけど、これでも妹なんだから、さすがに予想位はできる。
姉さんのことだから、どうしようか迷ってるんだろう。

キヨミ 「…わざわざ私にアジトの場所を教えたり、姉さんがただマグマ団に従って動いているとは到底思えないわ」

カガリ 「うふふ…そうね、あなたにだったら、言ってもいいかしらね」

そう言って、姉さんは妖しく笑う。
やばい…姉さんがこういう顔をする時は、大抵ロクでもない時だ。

カガリ 「私はね…見てみたいのよ、伝説のポケモンを…」

キヨミ 「伝説のポケモン…? スイクンやフリーザーたちのような?」

スイクン、エンテイ、ライコウ…これらがジョウト地方に伝わる伝説のポケモン。
そして、フリーザー、ファイヤー、サンダーがカントー地方に伝わる伝説のポケモンだ。
姉さんの言う、伝説のポケモンとは…?

カガリ 「…違うわ、そんなありきたりな伝説のポケモンじゃない」
カガリ 「私が『見たい』と思っているのは、『たいりくポケモン』の『グラードン』よ」
カガリ 「あなたも…聞いた事くらいはあるんじゃないの?」

キヨミ 「……」

『たいりくポケモン』グラードン…確か、ホウエン地方に伝わる伝説のポケモン。
太古の昔から存在しているとさえ言われている、かなり大物のポケモンだ。
実際に見た人間さえ、今ではいないと言われている…。

カガリ 「私の目的はそれだけ…マグマ団はその手がかりを探しているから、都合が良かったのよ」

キヨミ 「…例えマグマ団が間違っていても?」

カガリ 「私には関係ないわね…マグマ団が何をしても、どうせ大したことは出来はしないわ」
カガリ 「せいぜい、一時の混乱を起こすくらいのもの…ポケモン協会がその気になったら、簡単に壊滅できる程度のものよ」
カガリ 「もっと極論を言えば、あなた位のトレーナーと、それに順ずるLvのポケモンがいれば、それだけで十分でしょうね」

キヨミ 「……」

姉さんは遠い目をしてそう言う。
本当にそうなのだろう…この人は適当なことを言う人ではない。
だとしても、どうしてそこまで?
姉さんは、伝説のポケモンに対してそれほど執着があったとは思えないけど。

カガリ 「…さて、余計な話は置いておいて、ひとつ勝負でもしてみない?」

キヨミ 「…勝負?」

姉さんは妖しく笑ってそう言う。
こんな所で勝負と言うことは、つまり…。

カガリ 「どっちが、ポケモンを多く捕まえられるか…勝負しましょ」

キヨミ 「…数だけの勝負?」

カガリ 「まさか…それだけだと面白くないでしょ? もちろん、捕まえ難いポケモンほど高いポイントと言うことにするわ」

キヨミ 「…なるほど、さしづめ進化系だと2ポイント…って所かしら?」

カガリ 「その通り、レア系は3ポイントにするわ」

ルールは良くわかった。
と言うことは、無理に細かいのを集めても仕方ないと言うことね。

キヨミ 「いいわよ、受けて立つわ!」
キヨミ 「って、ちょっと待って! 姉さん、まさかその格好でやるの?」

カガリ 「うん? 問題あるかしら…?」

いや、まぁ…そっか、別に問題はないの…かな?

カガリ 「それじゃあ、今回は私が料金を持つわね…はい1000円」

スタッフ 「あ、はい! それでは、これがサファリボールです、どうぞ」

カガリ 「…はい、あなたの分よ」

キヨミ 「……」

とにかく、服装に関しては問題がないまま、私は30個のサファリボールが入った袋を受け取る。
基本ルールはカントーと同じようね。

スタッフ 「制限時間は30分ですので、この時計をお持ちください! 時間になりましたら知らせてくれます」
スタッフ 「時間が過ぎた時点で、ボールの方も使用が不可能になります」
スタッフ 「それでは、ごゆっくりどうぞ!」



………。



カガリ 「さて、それじゃあ…あなたはどっちに行く?」

キヨミ 「……」

どっち…とはエリアのことだろう。
広さから考えて、全てのエリアを廻るより、一定のエリアで粘った方が賢明だ。
私は、勘を働かせ。

キヨミ 「西エリアに向かうわ…」

カガリ 「じゃあ、私は北ね…それじゃあ、30分後に会いましょう!」

そう言って、姉さんはすぐに走り去る。
私は一番近くにある草むらへと足を運んだ。



………。



キヨミ 「…ん? ポロック置き場?」

見慣れない物があった。
看板にはポロック置き場のことを表記してあった。

キヨミ 「とは言っても、私ポロックなんて持ってないし…」

? 「ソーナンス!!」

キヨミ 「!?」

いきなりポケモン出現!
しかも、ソーナンスじゃない! これはレア系かしら!?
ともかく、私はボールを投げる。

ボフゥンッ! コロコロ…シュボンッ!!

キヨミ 「あ…」

ソーナンス 「ソーーー!!」

ソーナンスは一目散に逃げ出す。
くっ…さすがにいきなりじゃ難しいか。
こればかりはある程度運だから仕方ない。
私は他のポケモンを探してみる。



…そして20分経過



キヨミ 「ここまでで、ナゾノクサ、クサイハナ、キリンリキ、サイホーン、ドードー、ネイティ、ピカチュウ…か」

戦果は上場…ただ、残りのボールはすでに10個となっている。
はっきり言って運が良すぎる位だが、まだ粘ることは出来そうだ。
後は、ラストスパートとなるだろう…狙うのはやはりレア系!

? 「ロースッ!!」

キヨミ 「カイロス!? こんなポケモンもいたのね! ゲット…させてもらうわよ!!」



………。



ぴんぽーん!!

アナウンス 「時間切れです!」

キヨミ 「…ふぅ、どうなるかな?」

とりあえず、私はゲットしたポケモンを確認することなく最初の場所に戻った。



………。



キヨミ 「……」

カガリ 「来たわね…それじゃあ、計算しましょうか?」

まずは、姉さんが自分のを計算し始める。

カガリ 「ゴマゾウ、ソーナンス、ドードリオ、ネイティオ、ピカチュウ、ナゾノクサ、クサイハナ…そして、ヘラクロスよ」

キヨミ 「…進化形が多いわね、ポイントは?」

カガリ 「…16ポイントね、そっちはどう?」

私は自分の姉さんに渡す。

カガリ 「ナゾノクサにクサイハナ、キリンリキ、サイホーン、ドードー、ネイティ、ピカチュウ…最後は、カイロス」
カガリ 「……」
カガリ 「…17ポイント」

キヨミ 「よしっ! ギリギリね!!」

どうやら勝てたようだ…まさかここまでギリギリだとは思わなかった。
正直、最後のカイロスをゲットできなかったら負けていたんだからね。

カガリ 「ふぅ…さすがにやるわね。相変わらずポケモンを見る目があるわ…あなた」

キヨミ 「運が良かっただけよ…姉さんだって、ほとんど負けてないじゃない」

カガリ 「うふふ…ありがと。でも、負けは負けよ…」

キヨミ 「…?」

一瞬、姉さんは暗い顔をした気が。
見間違いだったかもしれない…私もちょっと疲れているし。

カガリ 「さて、じゃあ私はそろそろアジトに戻るわ」
カガリ 「あ、そうそう…今日ゲットしたポケモン、私が貰ってもいいかしら?」

キヨミ 「え? ええ…いいわよ、私は手持ちを替える気ないし」

カガリ 「そう、なら頂いていくわね…部下がサファリのポケモンを欲しがっていたから、丁度良かったわ」

キヨミ 「そ、そう…」

配るのね…部下に。
そう言えばマグマ団って、何かと地面タイプや炎タイプで構成されているようだけど、何か拘りでもあるのかしら?

カガリ 「…あ、そうそう。私のポケモンだけど、元気にしてる?」

キヨミ 「え? ええ…もちろんよ。姉さんのポケモンたちだもの」

私はやや空笑いを浮かべてそう言う。
実際には、かなり無理をさせている気もする。
本来は私のポケモンではないのだから…。

カガリ 「そう…なら、いいのよ」

それだけ言って、姉さんはサファリゾーンから出て行った。
思うところはあるのだろう。
やっぱり、自分のポケモンなのだから。

キヨミ 「ふぅ…マサキのパソコンに繋がるなら、すぐにでも返せるんだけどね」

元々、自分の素性をばらしたくなかったので姉さんのポケモンを借りてきた。
しかしながら、少々無計画すぎたかもしれない。
自分のポケモンをこっちのパソコンに預けてから借りればよかったのかも。

キヨミ (でも、姉さんは今のポケモンがあるはずよね…?)

マグマ団で幹部にまでなっているのだ、部下よりも遥かに強力なポケモンを持っているはずだ。
それでも、何かあるのかしら?
考えても、こればかりは確証が出なかった。
ただ、私は姉さんを信じていたい。

キヨミ (いざとなったら…自分で全て終わらせるつもりなんだろうな)

あの人は、そう言う人だ。
自分はそ知らぬ顔をしているように見せかけて、全部自分で背負い込むタイプ。
一番…厄介なタイプよね。
バックアップしにくいから…。

キヨミ 「さて…私も、ミナモシティに行こうかな」
キヨミ 「あそこには、コンテスト会場もあるし、見学してみようかな」





………………………。





『そして、同時刻:カナズミシティ カナズミジムにて』



ハルカ 「あ、いたいた…ツツジさん!」

ツツジ 「はい? あ、ハルカさん!」

私はジムの受付にてツツジさんを発見する。
どうやら、時間は空いているようだ。
私は、ある程度無理を承知で聞いてみる。

ハルカ 「ツツジさん、もし…できるなら、私とポケモンバトルをしませんか?」

ツツジ 「ええ? 一体どうしたんですか?」

ツツジさんは急なことに少々驚いているようだ。
私は簡単に答える。

ハルカ 「…私、次はトウカジムでジム戦をやります」

ツツジ 「!?」

リンカ 「あらあら…そうなんだ」
リンカ 「来るべき時が来たって感じねぇ…ツツジ、相手してあげたら?」

ツツジ 「え? でも…」

ハルカ 「別にジム戦をやろうってわけじゃないんです、ただ…バトルがしたくて」

リンカ 「ハルカちゃん…自信ないんでしょ? お父さんに勝つ…」

ハルカ 「……はい」

正直な言葉だった。
ポケモントレーナーになってわずかの私が、父さんを超えようと言うのだ。
普通じゃ考えられない。
ただでさえ、父さんの実力はホウエン地方全域に知れ渡っているほどだと言うのに。
ツツジさんと戦って自信が着くとは限らない。
でも、せめて…開き直るキッカケにでもなれば、と思ったのだ。

ツツジ 「…わかりました、親友の力になれるのなら」

ハルカ 「…ありがとう、ツツジさん」

リンカ 「それじゃあ、すぐに始める?」

ハルカ 「あ、お願いします! 私は、大丈夫です」

ツツジ 「わかりました、ではすぐに始めましょう」

そう言って、ツツジさんとリンカちゃんはバトルフィールドに向かった。
私はふたりの後を追う。
この戦いで、私は何を得るのだろうか?
それが何かはわからない…でも、例え得るものがなくても、私は戦う。
これだけは、私の中で確信していることだ。



…To be continued




Menu
BackNext
サファイアにBackサファイアにNext




inserted by FC2 system