Menu
BackNext
サファイアにBackサファイアにNext




POCKET MONSTER RUBY



第32話 『ポケモンレンジャーとの出遭い』




『某日 時刻7:00 118番道路」


ハルカ 「さて…ここからは未開の地、何が待っているかわからないわね」

私は118番道路の海に来ていた。
今までは海を越える術を持っていなかったから(別に定期船を使えばいいのだが)、行こうとは考えなかったけど(ただ単に街が遠いから)…。
今度は違う…目的がある。(ただの成り行きのような気もするけど)
新しいスタートは切った…後は、私次第。
私は胸に秘めた想いと共に、ペリッパーを外に出す。

ペリッパー 「ペリ〜」

ハルカ 「行きましょうペリッパー!」

私はペリッパーの背中に乗って。海を越える。
向こう岸までは遠くないので、数分もあれば着くだろう。
問題は野生ポケモンね…結構多い。
少なくとも…キャモメやペリッパーが空を飛んでいるし。

ザッパーン!!

キバニア 「キバー!!」

ハルカ 「こういうのもいるのよね〜…しょうがない! 行け『アノプス』!!」

ボンッ!

アノプス 「アノッ!!」

私は訓練も兼ねてアノプスを外に出す。
そして、向かってくるキバニアを見定めて。

ハルカ 「アノプス、『ひっかく』!!」

アノプス 「アノーッ!!」

アノプスは体をくねらせるように動かして海中を自由自在に動き回る。
おお…やるじゃない。
そして、一気にキバニアの側まで接近して、大きな爪で引っ掻く。

ズバッ!!

キバニア 「キバ〜…」

キバニアはあっさりとダウンする。
私はこのままアノプスを出して進行する。

ハルカ 「まだまだ出て来そうね…アノプス大丈夫?」

アノプス 「アノアノッ!!」

大丈夫そうね…元気で何よりだわ。
こんな感じで、私は10数分かけて向こう岸まで辿り着いた。
ちょっと、時間かかったわね…予想外かも。



………。



ハルカ 「よ〜っし、ペリッパー、アノプス戻って」

ペリッパー 「ペリ〜」
アノプス 「アノッ」

シュボボンッ!!

私は2体をボールに戻し、改めて陸を見る。
少し、空気が違う気もする。
ヒワマキの方は標高が高いらしいから、ここからは少々山登りということになるわね。
とはいえ、フエン程ではないはずだから、そこまで気にしなくてもいいかな?
とか思いつつ、先へ進んでいくと…。

? 「あー! あなたはハルカさん!!」

ハルカ 「? はぁ…?」

私はいきなり名前を呼ばれて、振り向いてしまう。
すると、そこには何と以前会ったことのある二人組みがいた。

マリ 「また、会ったわねハルカさん! じゃあ早速バトルと行きましょうか!!」
マリ 「カメラ頼むわよ!」

ダイ 「はいっ!」

何か、いきなりやる気になっているんですけど…まぁ、いいか。
こういう突発的なバトルもポケモンの魅力だしね♪

マリ 「お願い、『レアコイル』!!」
ダイ 「行けっ、『ドゴーム』!!」

ボボンッ!!

レアコイル 「PGPGPGP!!」
ドゴーム 「ドッゴーム!!」

わ…進化してる。
これは驚きだわ…以前とは違うってことね。
やっぱり、こうやって私を含めた色んなトレーナーと戦っているから、ポケモンもどんどん強くなるんだろうなぁ…。
などと感心している場合ではない。
こっちもダラダラとやるつもりはない、一気に行かせて貰うわよ!

ハルカ 「行け、『バシャーモ』、『ライボルト』!!」

ボボンッ!!

バシャーモ 「シャモ」
ライボルト 「ラ〜イ♪」

私もポケモンを出して、すぐに戦闘態勢に入る。
さぁ、手加減無しで行くわよ。

ハルカ 「バシャーモ、レアコイルに『ブレイズキック』! ライボルトはドゴームに『スパーク」よ!」

バシャーモ 「シャモッ!」
ライボルト 「ライッ!」

私が指示を出すと、2体は一気に駆ける。
相手の距離を詰め、すぐに行動に移る。

バシャーモ 「シャモッ!」

ドゴアァッ!!

レアコイル 「PGPGPGPG〜!!」

バシャーモの炎を纏った飛び蹴りが炸裂し、爆発音と共にレアコイルは吹っ飛んで後ろの崖に激突する。

マリ 「ああ、レアコイル!?」

ライボルト 「ラーイッ!!」

ドゴッ! バチバチィ!!

ドゴーム 「ドゴー!!」

続いてライボルトの攻撃もヒットする。
成す術もなくダウン…ま、こんな物かしら。

マリ 「凄いわ…また強くなってる!」

ハルカ 「さて、じゃあ先急ぎますんで!」

私はややこしいことになる前に退散することにした。
またインタビューとか言われても困る。
私はどうもそう言うのが慣れない。
格闘技選手権の時もそうだったけど、TV中継とか苦手なのよね。

ハルカ 「ふぅ…振り切ったかな?」

? 「何をだい?」

ハルカ 「うひゃあっ! い、いつの間に?」
ハルカ 「って…あれ、ダイゴさん!?」

そう、何とそこにいたのはダイゴさんその人だった。
ただ、前とは違ってスーツのような服を着ている。
まぁ、あのデボンの社長のご子息なんだから、当たり前といえば当たり前な気もした。
しっかし…こうして見ると。

ハルカ (美形よね…この人)

思わず見惚れそうになる。
だが、私はすぐに忘れて本題に入る。

ハルカ 「あの…ダイゴさんはどうしてここへ?」

ダイゴ 「ん…僕はちょっと野暮用でね。今からヒワマキの方に行くんだ」

ハルカ 「あれ? じゃ私と一緒ですね」

私がそう言うと、ダイゴさんは少し驚いたような顔をする。
予想外…といった感じにも見えたけど。

ダイゴ 「そうか…もうそんな所まで来たのか、この調子だとポケモンリーグに間に合いそうだね」

ハルカ 「え? 間に合いそうって…」

ダイゴ 「いや、気にしなくていいよ…君なら自分のペースで大丈夫だと思うから」
ダイゴ 「じゃ、僕はこれで」

ハルカ 「あ、ちょっとダイゴさん!?」

だが、私が詰め寄ろうとした瞬間、ダイゴさんの頭上に1体のポケモンが現れる。

ハルカ (エアームド!? それも凄い大きさの!!)

以前見た野生のエアームドとは比較にならない大きさだった。
羽ばたきの強さも比較にならず、近くにいるだけで吹き飛ばされそうになる。

ダイゴ 「じゃあ、ヒワマキまで頼むよエアームド」

エアームド 「ムドー!!」

バサッバサッバサッ!!

ハルカ 「!!」

エアームドは凄いスピードで飛んでいってしまう。
ダイゴさんはエアームドの背中に乗って一緒に行ってしまった。
あの方角にヒワマキがあるのね。
私は少し呆然としながら先へと進むことにした。



………。
……。
…。



『時刻7:30 119番道路」


ポツ…ポツ…

ハルカ 「あ…雨」

あれから少し進むと、すぐに雨が降り出してきた。
どうやら、この辺りはこう言った通り雨が多発するようだ。
一応折畳みの傘は持っているけど…。

ハルカ 「この状況じゃねぇ…」

私の視界には高い草が囲んでいた。
草が水を吸収するため、傘を差していても結局濡れてしまう。
こういう時はレインコートの方がいいんだけど、生憎持ち合わせていない。
そして、何より今鬱陶しいのは雨ではなく…。

? 「ふふふ…ついに出会ってしまったね!」

ハルカ 「ち…また出たか!」

? 「我らは物真似サークル! いざ尋常に勝負!!」

そう、さっきからこんな感じで鬱陶しい奴らが徘徊している。
すでにふたりほど屠ったのだが、どうやらサークルと言うだけあってまだ何人かいるようだった。

男 「さぁ、行くぞ! 『テッカニン』!!」

ボンッ!

テッカニン 「ニンニンッ!!」

ハルカ 「く、見たことないポケモンね…!」

私はとりあえず図鑑を参照することに…しなかった。
一応防水加工はしてあるだろうけど、万が一がある。
この状態で精密機械を使用するのは気が引ける。
ここは私の勘で何とかしよう。
少なくとも蝉のような風貌は間違いなく虫タイプ。
私は一気に焼き尽くすことにした。

ハルカ 「『バシャーモ』、任せたわよ!」

ボンッ!

バシャーモ 「シャモ!」

男 「よ〜しっ、行くぞテッカニン! 『みだれひっかき』だ!!」

テッカニン 「ニンッ!!」

ハルカ 「バシャーモ『ほのおのパンチ』で迎撃よ!!」

バシャーモ 「シャモッ!」

ビュンッ!

ハルカ 「速い!?」

男 「ふははっ! 全てのポケモンの中でもトップクラスのスピードで空を舞うテッカニンを舐めるなよ!!」

言われるだけある。
テッカニンは凄まじいスピードで、バシャーモの拳をかわした。
そして、いつの間にかバシャーモの背後に回っていた。

テッカニン 「ニンッ!!」

ズバズバズバッ!!

バシャーモ 「シャ、シャモ!」

バシャーモは背中を3回ほど切られる。
だが、そこまで大きなダメージではない、すぐに反撃を行えば…!

ハルカ 「バシャーモ、後ろに…」

男 「テッカニン、『かげぶんしん』だ!」

ハルカ (く、まだ速くなる!?)

すでにテッカニンは次のモーションに入っている。
いくらなんでも速すぎる。
今まで、ここまでのスピードは見た事がない。
それも…段々『かそく』している気がする。
まずいことになってきた。

バシャーモ 「シャ…シャモ!?」

バシャーモが慌て始めている。
こんな展開は初めてだから仕方ない。
参ったわね…。

ハルカ 「バシャーモ! 慌てずに待ちなさい! 相手の攻撃をしっかりと受け止めるのよ!!」

男 「ふふふ…そう上手く行くかな? テッカニン『いやなおと』!!」

テッカニン 「ニンニンニンニンニンニーン!!!」

ハルカ 「うわっ、うるさっ!!」

バシャーモ 「シャモ!!」

バシャーモは耳を塞いで屈んでしまう。
やばい…こんな状況じゃ負けるわ!

男 「よし、トドメだ! テッカニン『きりさく』!!」

テッカニン 「ニン!!」

ハルカ 「来た! ラストチャンスよバシャーモ!!」

バシャーモ 「シャ、シャモ…!」

バシャーモは構えなおして攻撃を待つ。

ザシュウッ!

バシャーモ 「!!」

テッカニンはバシャーモの頭上から一気に頭部を狙って来た。
だが、間一髪バシャーモは頭への直撃は避ける。
テッカニンの鋭い爪はバシャーモの左肩に食い込んだ。

男 「!?」

ハルカ 「行っけーバシャーモ! 『オーバーヒート』!!」

バシャーモ 「シャモー!!」

ドグァッ!!

爆音をあげ、バシャーモは炎を巻き起こす。
そして、テッカニンの爪を左手で握り締め、右拳を振りかぶる。
この距離で逃げれるものなら…逃げてみなさい!!

バシャーモ 「シャモォッ!!」

ズッ! ドォォオオオオンッ!!

直後爆発。
バシャーモの右拳がインパクトした瞬間にテッカニンは爆炎と共に吹き飛んだ。
間違いなくダウンね…耐えられても困るわ。

男 「むむ…ここまでか!」

男はがっくりとうな垂れ、すぐにテッカニンの元へと走る。
よし…どうにか勝てたわね。

サァァァァ…ザアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァッ!!!!!

ハルカ 「ひ、ひえっ!? スコール!?」

急に雨が激しくなってしまった。
このままじゃ風邪ひいちゃううわ!
すぐにバシャーモを…ってあれ!?

ハルカ 「バ、バシャーモどこ!?」

気がつくとバシャーモがいない。
私は慌ててバシャーモを探す。
だが、すぐに見つかった。
何と、足元に倒れていたのだ。
私はすぐにボールへと戻す。

カチッカチッ!

ハルカ 「って、あれ!?」

何といくらボタンを押してもバシャーモが戻らない。
いつもなら、ボールから光が出てすぐに吸い込まれるのに。
まさか、故障!?
一瞬、私はゾッとする。
バシャーモは間違いなく雨にやられてる。
ただでさえ水が苦手なのに、『オーバーヒート』の後…急激に体温が低下して倒れてしまったんだわ!!
私は仕方なく、バシャーモを背中に抱えて走り出す。
とはいえ、この高い草が邪魔で全然前に進めない。
いや、正直前に進んでいるのかどうかもわからない。
徐々に背中のバシャーモから温度が下がっているのを感じながら、私は水を吸って重くなった体を突き動かした。



………。



『時刻9:00 119番道路』


サァァァァァァッ!

外は依然、雨が降り続けている。
あれから、数十分私は歩き続けた。
どうにか高い草を越えると、私はできるだけ広い場所まで行って、『あかいテント』を張ったのだ。
カラクリ親父もこういう時、役に立つわね…ホント、助かったわ。
とはいえ、私が助かっても意味がない。

バシャーモ 「……」

バシャーモはぐったりと横になっていた。
一応、体をタオルで念入りに拭いて今は毛布に包んでいる。
このテントに布団も一式揃っていたので助かった。

ハルカ 「バシャーモ…大丈夫? ここじゃご飯も作ってあげられないけど…我慢してね?」

バシャーモ 「……」

バシャーモは答えない。
いや、答えられないのだ。
体力がかなり低下している。
本当はボールに戻しておけば、ある程度の生命維持をしてくれるのだけど…今はそれも出来ない。
色々見てみたが、私にはモンスターボールの故障などわからなかった。
直る様子は全くなく、今はこの状態を維持するしかなかった。

ピッ

ハルカ 「…ヒワマキまで、まだ大分距離があるわね」

少なくとも今日中に着くのは無理だろう。
バシャーモがこの調子じゃ、雨の中を進むことが出来ない。
とはいえ、この雨が止むということの方がむしろ無茶な気がした。
絶望的…といえば絶望的。
はぁ…どうしたらいいんだろう。
その時、外から足音が聞こえる。
誰か来たんだろうか?

? 「確か、この辺りだったよな?」

? 「ええ、バシャーモを背負って歩いてた少女…もしかしてこれかしら?」

ハルカ 「? 私のこと…?」

どうやら、会話は私に関することのようだった。
って言うか、バシャーモを背負って…なんて私くらいだろう。
誰かが不審に思って通報したんだろうか? だけど返ってチャンスだ。
今のこの状況を考えたら、助けてもらった方がいい…。
私はテントの入り口に進むと、声の主が先に入り口を開けた。

男 「あ、君かい!? バシャーモを背負って雨の中歩いてた少女は?」

ハルカ 「は、はい! あの、あなた達は?」

見た所、何やら救急隊員…みたいな格好に見える。
私が尋ねると、女性の方が笑顔で答えてくれる。

女 「あ、私たちはね、こういう者よ」

ふたりは何やら証明書のような物を差し出す。
それを見ると、何やらまずエムブレムが目に入った。
しかも、見た事がない…。
だが、すぐに何かということはわかった。

『ポケモンレンジャー 認定証』

そう、この人たちは、ポケモンレンジャーなんだ!
確か、フィオレ地方にあるレンジャーユニオンとか言う組織があって、そこで自然を護るために活躍してるって話だ。
噂程度には聞いたことあるけど、本物を見ることができるなんて…。

男 「俺はマモル! こっちはマナミだ」

女 「私たち、フィオレ地方からホウエン地方に派遣されたポケモンレンジャーなの」

ハルカ 「あ、あの! それじゃ私のバシャーモを助けてもらえるんですか!?」

私が慌ててそう言うと、ふたりは笑顔で。

マモル 「もちろん! そのためのレンジャーだよ」

マナミ 「あれがあなたのバシャーモね…ちょっと診てみるわね」

マナミさんがバシャーモに近づくと、驚いたようにマモルさんを見る。

マナミ 「まずいわ、体力が予想以上に低下している! マモル、救急用の薬を出して!!」

マモル 「わかった! これでいいか!?」

マナミ 「ありがとう、ちょっと痛いかもしれないけど…我慢してね」

マナミさんは注射器を構えて手馴れた手つきでバシャーモの腕にそれを刺す。
バシャーモは特に反応しなかったが、薬は注入されていった。

マナミ 「…体力はまだ戻らないわね、でも休ませていれば大丈夫のはずよ」

ハルカ 「ほ、本当ですか!?」

マモル 「だけど、どうしてボールに戻さないんだい? ボールに戻せば十分持つだろうに」

ハルカ 「あの…壊れちゃって、戻らなくなったんです」

マナミ 「そうだったの…ごめんなさいね、私たちにはそれは直せないわ」
マナミ 「でも、この先に『てんきけんきゅうじょ』があるから、そこでなら直してもらえると思うわ」

そうか、研究所というくらいだからそう言うのも直してもらえるのか。
どちらにしてもよるつもりではあったのでちょうどよかったと言える。

マモル 「だけど、どうする? 『てんきけんきゅうじょ』までまだ少し距離があるぞ?」
マモル 「この状態であまり動かすのは…」

マナミ 「あら、私のパートナーをお忘れ?」

マモル 「ああ…そうだったな、よしそれで行こう!」

ハルカ 「え? え?」

何やら、勝手に話が進んでいる。
どうやら、これから『てんきけんきゅうじょ』まで行こうということらしい。
でも、この雨の中進むのは。

マナミ 「出ていらっしゃい、キレイハナ!」

ボンッ!

キレイハナ 「ハナ〜♪」

ハルカ 「わ、可愛いー! こんなポケモンもいるんだ〜」

私は思わず図鑑を参照してしまう。
でも出てこなかったらどうしよう?
だが、それは杞憂に終わった。


ポケモン図鑑 『キレイハナ:フラワーポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:0.4m 重さ:5.8Kg タイプ:くさ』
ポケモン図鑑 『太陽の光を一杯浴びると、体の葉っぱがくるくる回り始める。キレイハナのダンスは南国の名物だ』


キレイハナはその場でくるくると回りながらダンスを踊る。
とても可愛らしい仕草で、見ているだけでも和む。
って言うか、今は和んでる場合じゃない!

マモル 「じゃあ、とりあえずバシャーモを運ぼうか…担架使うか?」

マナミ 「冗談でしょ…『てんきけんきゅうじょ』までまだ高い草が続くんだから、担がないと」

ハルカ 「あ、それは私がやりますから、気になさらずに!」

マモル 「え? でもバシャーモって50kg以上あるし、女の子には辛いと思うけど?」

ハルカ 「大丈夫です、鍛えてありますから」

マナミ 「まぁ、大変そうだったらマモルに代わってもらえば良いわ。さて、外に出ましょうか」

そう言ってマナミさんは外に出てしまう。
そして、私たちも同じ様に出て行くと。

マナミ 「キレイハナ『にほんばれ』よ!」

キレイハナ 「ハナ〜♪」

カアアアァァァァァァッ!!

ハルカ 「わっ、この技って確か…!」

以前アスナさんが使っていた技だ。
確か、場を『ひでり』状態に変えてしまう技。

マナミ 「これで、私たちの周りの雨雲は消えるわ」
マナミ 「とは言っても、この状態が続くのはせいぜい5分程度…使い続けても5回が限界」

と言うことは、25分以内に着かないと駄目なわけか。
時間の勝負になるわね。
私はバシャーモを背負い、ふたりの背中を追う。

ハルカ (…凄いな、ポケモンレンジャーって)

何だか、トレーナーとは全く違う雰囲気がある。
誰かのため…自然のため…ポケモンのため…いいな、そう言うの。
凄く共感が持てる気がした。



………。



そして、少し進んだ所でまた高い草が現れる。
この時点ですでに一回目の『にほんばれ』が消えかかっていた。

マナミ 「もうそろそろ5分ね…マモル、草は任せたわよ?」

マモル 「任せろ、出て来い『キノガッサ』!!」

ボンッ!

キノガッサ 「キノ!」

ハルカ 「あれが、マモルさんのポケモン」

今はバシャーモを背負っているので図鑑を開けない。
が、多分キノココの進化系だ。
そんな感じがする。
バシャーモに比べると小柄で、スピードはありそうだった。

マモル 「よし、キノガッサ『いあいぎり』だ!」

キノガッサ 「キノッ!!」

バサバサバサッ!!

キノガッサは凄いスピードで手刀を振り回す。
そして高い草は次々に切り落ちていく。
これなら一気に駆け抜けられるし、視界も見渡せる。

マナミ 「キレイハナ、『にほんばれ』!」

キレイハナ 「ハナ〜♪」

カァァァァァァッ!!

これで二度目の『にほんばれ』。
私たちはなおも急ぐ。
マナミさんが言うには天気研究所まであと15分程度。
かなりギリギリになりそうだ。



………。
……。
…。



ハルカ 「…はぁ、はぁ」

マモル 「大丈夫かハルカちゃん!? 代わろう、俺が背負うよ!」

ハルカ 「いいです…こればっかりは譲れませんから!」

私は汗を拭うことさえ出来ずにただ走った。
その想いを汲んでくれたのか、マモルさんもマナミさんも納得してくれる。
そして、今度は目の前に段差が現れる。
それも人の身長を軽く越える段差だ…行き止まり?

マナミ 「ここを越えればすぐだけど…回りこむ? 時間的にはもう…」

マモル 「いや、ここを越える! 幸い…あそこにトロピウスがいる!」

マナミ 「あ、本当だわ! 珍しいわね…でも、凄く幸運!」

ハルカ 「え? もしかしてゲットしちゃうんですか?」

私がそう聞くと、マナミさんは首を振って否定する。
見ていればわかる…とだけ言った。
そして、マモルさんはトロピウスというポケモンに近づき、何かを取り出す。
ポケナビ…のような大きさで赤い色をしている。
何だか携帯電話のようなデザインだけど、マモルさんはそれを持って叫ぶ。

マモル 「行け、『キャプチャ・ディスク』!」

マモルさんがそう言うと、赤い機械からアンテナのようなものが伸び、そしてトロピウスに向かってコマのようなものがクルクルと回転する。
どうやら、マモルさんの機械に連動しているようで、マモルさんが機械をクルクル動かすと、コマもクルクル動くのだ。

マナミ 「あれは、ポケモンレンジャーの秘密兵器『キャプチャ・スタイラー』よ」
マナミ 「残念ながら、時間が時間だから説明は省くけど、アレを使って野生ポケモンの助けを借りることができるの」

トロピウス 「…!? トロッ!」

マモル 「よし、頼むぞトロピウス! 彼女をこの上に上げてくれ!!」

トロピウス 「トロッ!!」

ハルカ 「わ、凄い! 言うことを聞いた…」

マナミ 「あれが、キャプチャって言うの…とは言っても、絶対にキャプチャできるわけじゃないわ」
マナミ 「ある程度条件が必要なんだけど、今回は本当に運がよかったわね」
マナミ 「さぁ、行って…昇ればすぐに『てんきけんきゅうじょ』よ」

ハルカ 「え? マナミさんたちは?」

マナミ 「私たちは…仕事があるから。困っているのは、ハルカちゃんだけじゃないから、ね」

そう言ってマナミさんはウインクをする。
私はそれを聞くと、すぐにトロピウスというポケモンの元に走った。

マモル 「よし、さぁトロピウスの背中に乗って! このポケモンは空を飛べるから、すぐに昇れるよ」

ハルカ 「あ、あの! マモルさん、マナミさん! ありがとうございました! この恩は忘れません!!」

マナミ 「気にしないでハルカちゃん! でも、もしポケモンレンジャーに興味があるんだったら、いつかフィオレ地方にいらっしゃい!」

マモル 「ああ、俺たちはそこのリングタウン出身のレンジャーだから、何かあったら訪ねてみるといい」
マモル 「ユニオンの方にもたくさんポケモンレンジャーがいるから、きっと困った時には力になってくれるよ!!」

ハルカ 「はいっ! わかりました!! もし、フィオレ地方に行くことがあったら、必ず寄らせてもらいます!!」

私は大きい声で答える。
ふたりは大きく手を振って答えてくれた。
私は、この日…ふたりの『ポケモンレンジャー』と出会い、運命的な経験をした。
何かを護るために活躍する『ポケモンレンジャー』…それは私の心にしっかりと残った。



………。



ハルカ 「トロピウス…ありがとう! あなたも元気でね!」

トロピウス 「トロ…♪」

トロピウスは元気に羽ばたいていく。
私はそれを見送って目の前の大きな建物を見定めた。
雨も降ってきている…急いで私は中に入った。



『時刻9:30 てんきけんきゅうじょ・ロビー』


ハルカ 「ごめんくださーい!! 誰かいますかー!?」

男 「ああ!? 誰だよ!!」

いきなりやぶから棒な応対が帰ってくる。
何よ、ヤンキーが研究やってるの?
だが、現れた男を見て私は呆然とする。

男 「テ、テメェはぁ!?」

ハルカ 「あーーー!! マグマ団!?」

それは、突発過ぎる戦いの始まりだった…。



…To be continued




Menu
BackNext
サファイアにBackサファイアにNext




inserted by FC2 system