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POCKET MONSTER RUBY



第47話 『Overwhelming surprise』




夢…夢を見ているのね。

私は…夢を見ている。

古い夢…まだ子供だった頃の……。





………………………。





『それは今から17年前……某日・サイユウリーグ』



………。



実況 「決まったー!! これで残った勝負は1戦!!」
実況 「互いに全勝の両者! 優勝してチャンピオンになるのはどっちだーーー!?」

センリ 「ついに…ここまで来たのか」

ゲンジ 「どれ…お前のポケモンがどれほどの物か、ワシ自身が判断してやろう!」


キヨミ 「……」


そう、私は見ていた。
当時、まだ5歳の私でも未だに鮮明に思い出せる。
私がポケモントレーナーになるきっかけとなったこのポケモンリーグ。
私は両親に連れられてここに来ていたのだ。
ホウエン地方に来たのは、たまたまだった…そのたまたまが、今の私を作っているのだから、不思議な物だ。


センリ 「行け、『ケンタロス』!!」

ゲンジ 「行け、『コモルー』!!」

ボボンッ!!

ケンタロス 「ケンッ!」
コモルー 「コモッ!」

実況 「両者互いにポケモンは登場! さぁ、最後の戦いだ!! Ready…Go!!」

センリ 「ケンタロス『れいとうビーム』!!」

ケンタロス 「ケーーンーー!!」

ゲンジ 「! コモルー『まもる』!!」

コモルー 「!!」

コォォォォッ!! ピキィィンッ!!

実況 「ケンタロスの『れいとうビーム』が炸裂! しかしコモルーはノーダメージだ!!」

センリ 「くっ…ケンタロス『かげぶんしん』!!」

ケンタロス 「ケンタッ!!」

バババッ!!

ゲンジ 「コモルー『がんせきふうじ』だ!!」

コモルー 「コモッ!!」

ドガァッ!!

ケンタロス 「ケンーー!!」

実況 「コモルーの『がんせきふうじ』!! 地面から岩が突き出てケンタロスの足を止めたぁ!!」

センリ 「しまった…! ケンタロス脱出しろ!!」

ゲンジ 「遅い…コモルー『ずつき』だ!!」

コモルー 「コモッ!!」

ドッガッァッ!!

ケンタロス 「ケンターーー!!」

岩ごとケンタロスは吹き飛ばされる、が何とか踏み止まって再び動き出す。

ケンタロス 「ケンタッ!!」

センリ 「行けるのか…? よし、ケンタロス『つのでつく』!!」

ゲンジ 「受けて立とう! コモルー『ずつき』だ!!」

ケンタロス 「ケーーーン!!」
コモルー 「コモッ!!」

ドドドドドッ! ドッガァァァァンッ!!

ズシャァァァァッ!!

ケンタロス 「ケ…ケンタッ!!」

コモルー 「コ、コモッ!!」

実況 「互いに一歩も譲らない! 互角の戦いだ!!」
実況 「だが、ダメージは互いに明らか! 勝負を決めるのはどっちだ!?」


キヨミ 「……」

私は食い入るようにそのバトルを見ていた。
そして、自分にはポケモンの感情が読めることがわかった。
どのポケモンが何を考え、何をしたいのかがわかる。
そう、それが私にはわかってしまったのだ。
その時、私はポケモントレーナーになる運命を感じた。


センリ 「ケンタロス『はかいこうせん』!!」

ゲンジ 「焦ったな! コモルー『まもる』だ!!」

ケンタロス 「ケーンターーーーー!!!」

ドギャギャギャギャ!!

コモルー 「コモッ!」

ババババババッ!!

実況 「ケンタロスの『はかいこうせん』! しかしコモルーは無傷だ!!」
実況 「千歳一隅のチャンス! ケンタロスは反動で動けないぞーーー!!」

ゲンジ 「コモルー『りゅうのいぶき』!!」

コモルー 「コモーーー!!」

ビュバアァァァァァァァァッ!!

ケンタロス 「ケンターーーー!!」

ズシィィィンッ!!

大きな音をたててケンタロスは地面に沈む。
もう…戦えない。

審判 「ケンタロス戦闘不能! コモルーの勝ち!!」

センリ 「く…勝負を急ぎすぎたか、すまないケンタロス」
センリ 「ならば、こんどはこのポケモンだ! 行け『ミルタンク』!!」

ボンッ

ミルタンク 「ミル〜♪」

実況 「さぁ、次のポケモンが出てきたぞ!! バトルスタートだ!!」

ゲンジ 「無理はすまい、コモルー『りゅうのいぶき』だ!!」

コモルー 「コモーーー!!」

センリ 「ミルタンク『ふぶき』!」

ミルタンク 「ミ〜ルーーーー!!」

ビュゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォッ!!!

コモルー 「コ、コモッ!?」

ビュゴゴゴゴゥッ!!

『ふぶき』に巻き込まれ、あえなく倒れるコモルー。
この時点で、ほぼ勝負は決まっていた。
ドラゴンタイプの弱点は氷。
ゲンジさんの手持ちは全て氷に弱いポケモンで構成されている。
加えて、センリさんのポケモンは全てノーマルタイプ。
氷タイプの技も多く所持している。
そして、センリさんは、ゲンジさんに打ち勝ち、全勝と言う偉業を持ってホウエンリーグのチャンピオンになった。
これで、センリさんはジョウト、ホウエンとふたつのリーグを制覇したことになるのだった…。





………………………。





キヨミ 「……?」

気がつくと、そこは海の上。
私は…眠っていたのね。
あれからすぐに私もトクサネへと渡ったが、思いの外ハルカちゃんがてこずっているのか、まだジム戦ができそうになかった。
というわけで、しばらくこの辺りの水道をくまなく調べていたのだ。
もしかしたら、マグマ団がいるかもしれないからね。
とはいえ、この広い海で適当に探していても見つからないのは仕方ない。

キヨミ 「…で、ここはどこかしら?」

気がつくと、流されていたようで、そこは意味不明の場所だった。
元々はエアームドで飛行しながら探索していたのだけど、休むために地上へ降りたのだ。
それから…どうして私はイカダの上に乗っているのだろうか?

キヨミ 「…まさか拉致!?」

とはいえ、他には誰もいない。
この海の上に気配は感じなかった。
荷物を一応確認するが、問題ない。
何で?

キヨミ 「駄目だわ…思い出せない」
キヨミ 「そもそも、何で海の上で寝てるのよ私」

私は一旦立ち上がり、周りを見る。
波は穏やかで、危険は感じない。
が、外はまだ薄暗く、早朝と言った所だろう。
少々霧がかっているが、正面に何やら陸地を見つけた。
私はそこに向かってエアームドを飛ばすことにした…今は陸地で様子を見よう。



………。



『某日 時刻6:30 ?????』


キヨミ 「…陸に上がったはいいけど、洞窟があるだけ?」

辿り着いた場所は、陸と言うよりも浅瀬と言った方がいい場所だった。
靴が少々濡れてしまっているが、もう気にしない。
私はこのまま洞窟の方に入っていくことにした。



………。



キヨミ 「…何で、あんな夢を見たのかしら」

昔の記憶を思い出すような夢だった。
私は洞窟の中を歩きながらそんなことを考えていた。
洞窟…と言うよりは洞穴と言った方がしっくり来るわね。
中はそろそろ時間的にも朝日が差し込んで来ているため、明るくなってきていた。
洞穴の全体を私は改めて見る。

キヨミ 「…かなり広いわね」

実際、この洞穴は下手な町と同じ位広かった。
私はこのまま進んで行くと、何やらお爺さんを発見する。
私は丁度いいと思ってお爺さんに駆け寄る。
すると、私の足音に気付いたのか、お爺さんがこちらを振り向く。

お爺さん 「ほう、こんな朝早く珍しいの〜…あんたも塩を取りに来たのかい?」

お爺さんは朗らかに笑ってそう言う。
塩? 何のことかしら…。

キヨミ 「…あの、悪いんですけど、ここってどこなんでしょうか?」

お爺さん 「はぁ?」

そう返される。
そりゃそうでしょうね…自分でも意味がわからない。
とりあえず、私は詳細を述べることにした。



……説明中……



お爺さん 「なるほどのぉ…いつの間にか流されて」
お爺さん 「あんた、相当なおっちょこちょいじゃな〜」

キヨミ 「……すいません」

言い返す言葉も無い。
自分でもあんな状況で眠ってしまうとは思わなかったわ。
う〜ん、でも何か原因があったような気もするんだけど。

お爺さん 「そうそう、ここは『あさせのほらあな』と言うてな…トクサネシティのすぐ北側にある洞穴じゃよ」
お爺さん 「ここでは『塩』と『貝殻』が取れることでも有名でな…それらを合わせると、とてもいい物ができるんじゃ」

お爺さんは笑いながらそう言う。
何だか、おっとり気味な気もするわね…でもこれでよくわかった。

キヨミ 「じゃあ、そんなに深刻な場所には流されてないわけね…ふぅ」
キヨミ 「…でも、こんな早朝からお爺さんはどうしたんですか?」

お爺さん 「何、ちょうど『塩』を取りに来ていてな」
お爺さん 「ここは6時間ごとに満潮と干潮が入れ替わるんじゃ」
お爺さん 「今は干潮の時で、塩が取れる。満潮の時じゃと貝殻が取れるんじゃよ」

キヨミ 「6時間で満ち干きが入れ替わる…今は干潮で塩が、ねぇ」

お爺さん 「あんた、ポケモントレーナーじゃろ? もし良かったら、塩を取るのを手伝ってくれんかのぉ?」
お爺さん 「少々量がいるでな、もし手伝ってくれたら、ワシがいい物をプレゼントしよう」

キヨミ 「いい物? それって…」

お爺さん 「それは、出来てからのお楽しみじゃ♪」
お爺さん 「ちなみに、必要な塩はこう言った物じゃ」

そう言って、お爺さんは足元辺りから掌分位の塩を見せる。
まさに天然物で、かなりいい味が出そうだった。
要はそれを持ってくれば言いわけね。

キヨミ 「わかりました、お手伝いします…どの位必要なんですか?」

お爺さん 「ふむ、これ位が後3つと言った所かの…塩のある場所はいつも決まっておってな、洞穴の奥に行けば見つかると思うよ」

キヨミ 「…奥か」

私は奥を見るが、段差があって石段を降りていかなければならない。
とはいえ、私にはエアームドがいるので空中から行くことも出来る。
それ位ここは広いので問題ない。

ボンッ

エアームド 「エアッ!」

お爺さん 「ほう、これはまた大きなエアームドじゃな…ダイゴ君のと比べても遜色ないわい」

キヨミ 「ダイゴ…それは?」

お爺さん 「うん…ダイゴ君を知らんのか? おかしいのぉ…トレーナーじゃったら、知らんはずがないと思っておったが」
お爺さん 「はっはっは、まぁ世界は広いと言うしの…」

何だかお爺さんは自己完結してしまう。
なるほど、トレーナーにとって有名ね…と言うことは。

キヨミ (ジムリーダーとか、そう言うのかしら…でもどこかで聞いたような気もする)
キヨミ 「まぁ、いいか…それじゃあ行ってきますね!」

エアームド 「エアッ!」

私はエアームドに乗って洞穴を探索する。
とりあえず、先がありそうな道を3つ見つけた。
私はとりあえず一番高い場所にある右側を選んだ。



………。



キヨミ 「…これは、『おおきなしんじゅ』ね、塩じゃないわ」

しかしながら、こんな物まで取れるのね…これって換金したら結構いいお金になるわよ。
とはいえ、今回必要なのは塩だ。
真珠はバッグに入れて先へと進む。
ここからは歩いていく、エアームドは後ろから着いて来る。



………。



キヨミ 「うわ…まだこんなに大きなフロアがあるんだ」

見ると、更に大きなフロアが広がっていて、探索は予想以上に難航しそうだった。
この広いフロアでいくつも道が別れている…ここからあの塩を探すなんて、お爺さんもひとりでよくやるわね。
そう言えば6時間で変わるのよね…後何時間あるんだろ?
下手をしたら、もう時間がそんなにないのかもしれない。
私は、エアームドに乗って、急いで探すことにした。



………。
……。
…。



『時刻8時30分 あさせのほらあな・地下2階』


キヨミ 「…!! な、何ここ!?」

ある梯子を降りると、そこは極寒の冷蔵庫だった。
周りは氷で溢れ、まるで南極にでもいるかのようだ。
気温もかなり低い。
私は薄着だったので、さすがに辛かった。

キヨミ 「うう…しょうがない! 出てきて『バクフーン』!!」

ボンッ!

バクフーン 「フーン!!」

バクフーンの登場で自分の周りが暖かくなる。
ただ、何だか足元が濡れ始めてきた。

キヨミ 「…え?」

足元を見ると、水が垂れ流れていることに気付く。
垂れ流れって…もしかして!?
私は降りてきた梯子を見てみると、海水が入り込んできていることに気付く。
まずい! 満ち潮になっているんだわ!!
このままだと、この空間は海水で完全に埋まってしまうのかもしれない!

キヨミ 「いや、待ってよ…でもここはほとんど冷蔵庫」

少なくとも気温は間違いなく−10以下だろう。
ポケモンだって結構いる。
海水が入り込むのなら、この空間は凍るわけがない。
それなら、どうして…って!?

? 「シシーーーーッ!!」

バリバリバリパキィィッ!!!

何やら、小さなポケモンが唯一の出入り口を凍らせてしまう。
なるほど…そうやって海水をシャットダウンするのね。
つまり、脱出不可能と。
ちなみに、このポケモンは一体?
私は旧式のポケモン図鑑を開いて見る。
旧型だけど、ちゃんと全国図鑑にアップデートされてるから問題はないわ。


ポケモン図鑑 『ユキワラシ:ゆきかさポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:0.7m 重さ:16.8Kg タイプ:こおり』
ポケモン図鑑 『ユキワラシが訪れた家はお金持ちになると言われている。マイナス100℃でもへっちゃら』


キヨミ 「へぇ…こんなポケモンもいるんだ」
キヨミ 「って、そんなこと言ってる場合じゃない!!」

完全に閉じ込められたせいか、気温はどんどん下がっている。
間違いなくこのままだと凍死する。
バクフーンが近くにいてくれるのでまだ大丈夫だが、後6時間はこのままと言うことになる。
ど、どうしよう…?

キヨミ 「塩は…一応2つか」

後ひとつあればいいらしいのだが、お爺さんが見つけているかもしれない。
一度戻った方が良かったか…はぁ。
私は諦めて、歩く…今蓋を開けたらとんでもないことになるしね。





………………………。





『同日 時刻9:00 トクサネシティ・ポケモンセンター』


ハルカ 「…え、交換?」

ユウキ 『ああ、良ければだけど…実は、サメハダーが必要なんだよ』

それは唐突な電話だった。
ユウキは、私にサメハダーを譲ってくれと電話してきたのだ。
と言うか、交換でいいとユウキは言ってくれている。
実際には、サメハダーを捕まえてくれ…とのことだったのだけど、すでに私はゲットしているので問題ない。
ただ、ジム戦のことを考えると、どうしようか迷っている。
まぁ、サメハダーなら捕まえに行けばまた捕まえられるとは思うけど。

ユウキ 『一応、こっちからはホエルコをプレゼントしようと思っているんだけど』

ハルカ 「ホエルコ…ってあの大きなポケモン?」

確か子供でも2メートルはあるであろう大きなポケモンだ。
興味はありあり…それもいいかも。

ユウキ 『ちなみに、もうひとついいことを教えてやるよ…交換して、もらったポケモンは成長が早いんだ』
ユウキ 『ジム戦…どうせ、困ってるんだろ? ホエルコは水タイプだから役に立てると思う』
ユウキ 『進化まではすぐだと思うから、育ててみたら? ちょっと『おくびょう』だけど、ハルカちゃんにならすぐに懐くと思う』

ハルカ 「…そうね、わかったわ! サメハダーでいいのね?」

私はそう返事する。
そして、2階の交換施設に上がった。



………。



ユウキ 『そう、そこにボールを置けばOKだ、後はこっちで操作するよ』

ハルカ 「…ここね、OKよ」

私が指定された場所にボールを置くと、機械が作動してボールを転送する。
そして、数秒ほど待つと、新たなボールが転送されてきた。

ユウキ 『確かに…受け取ったぜ、サメハダー』

ハルカ 「…こっちもホエルコを受け取ったわ」

ユウキ 『無理言って悪かったな、でもその代わりのホエルコはきっとハルカちゃんが気に入ると思うから、大事にしてやってくれ!』

ピッ

そういい残してユウキは通話を切る。
そして、私の手持ちには『ホエルコ』が追加された。



………。



『時刻9:30 トクサネシティ・南海岸』


ハルカ 「それじゃあ、早速出てきて『ホエルコ』!!」

ボンッ!

ホエルコ 「ホエ〜」

ハルカ 「…で、でかい」

出てきたホエルコは、すでに3メートルは越えているであろう大きさだった。
見上げないと顔が見えないわ…。

ハルカ 「…交換したポケモンは成長が早い、かぁ」
ハルカ 「ユウキの口ぶりから言っても、進化は近そうだし…ここは実力を見てみることにしますかね」
ハルカ 「出てきて『アーマルド』!!」

ボンッ!

アーマルド 「アーマッ!!」

進化してやる気十分のアーマルド。
いかつさも倍増しで、大きさも数倍。
とはいえ…。

ホエルコ 「ホ、ホエ…」

アーマルド 「…ア、アマ」

ハルカ (アーマルドでさえ小さく見えるわね…私のポケモンじゃかなり大きい方なのに)
ハルカ (それ以上に自分よりも小さいアーマルドに驚くホエルコの方が気になるけど)
ハルカ (そう言えば、『おくびょう』だとか言ってたわね…う〜ん)
ハルカ 「まぁいいわ! ホエルコ、とりあえずこのアーマルドと勝負してみて!」

ホエルコ 「ホ、ホエッ」

ホエルコはためらいながらも、何とか返事をする。
やる気は大丈夫のようだ、さすがユウキと言うべきか…ちゃんとそれなりに育ててあったみたいね。
私はアーマルドの方を見る。

ハルカ 「私は指示をしないから、自分の判断で戦ってみて」

アーマルド 「アマッ!」

ドガァッ!

ホエルコ 「!? ホエッ」

アーマルド 「ア、アマ…」

アーマルドは『げんしのちから』で突進するが、ホエルコは後ろに転がっただけだった。
思いの外ダメージは殺されている…まさか特殊な体!?
そして、後ろに一回転した所で、ホエルコは反撃する。

ホエルコ 「ホエーー!!」

ギュッバァッ!!

アーマルド 「アマッ!?」

バッシャアアアンッ!!

ハルカ 「あの技は…『みずのはどう』!?」

アーマルドは直撃をくらってよろめく。
さすがに効果抜群の攻撃はきついようだ…いやそれよりも。

ハルカ (体が大きいから、吐き出す水の量も半端じゃないわね…)

言ってしまえば、ジMのビームとガソダムのビーム位違う…ってそれは言いすぎか。
でも例えは間違っていなかった…明らかに効果範囲が違う。
これは、期待が大きいわね。

アーマルド 「アマーーッ!!」

アーマルドは怯まず反撃に出る。
アーマルドは接近して効果のある技がほとんどなので、近づかなければ戦いにならないのだ。

ホエルコ 「! ホエッ!!」

バババババッ!!

アーマルド 「ア、アマーーーッ!?」

ハルカ 「な、何あの技!?」

ホエルコは口から水を吐いたかと思うと、その水がアーマルドを包み込んで『うずしお』を作り出した。
あれではアーマルドは身動きが取れない。
そして、ホエルコは次弾を放つ。

ホエルコ 「ホエーーー!!」

ギュッバァッ!!

アーマルド 「アマッ!?」

ズッバァァァンッ!!

水と水が衝突する音。
だが、アーマルドは瞬間に『まもる』を行っていた。
『うずしお』から解き放たれたアーマルドは一気に近づいて反撃に転じる。

アーマルド 「アーマッ!!」

ホエルコ 「ホエーッ!!」

ホエルコは何と転がってアーマルドを下敷きにしようとする。
しかし、アーマルドはそれを正面から受け止める。

ガシィッ!!

ハルカ 「おおっ! やるぅ!!」

少なくともあのホエルコは間違いなく150キロ位の重量があると見た…それを正面から止めるとは。
さすがアーマルドね、そしてその後に繰り出されるのは。

ザシュウッ!!

ホエルコ 「ホエーーーー!!」

ズシャアアアアンッ!!

ホエルコはアーマルドの『つばめがえし』によって海面まで吹っ飛ぶ。
さすがにここまでのようね…私はホエルコに駆け寄る。

ホエルコ 「ホエホエ〜…」

ハルカ 「ご苦労様! 見せてもらったわよ、あなたの実力」

ホエルコ 「ホエ〜」

私がホエルコの体を優しく撫でてあげると、ホエルコは嬉しそうに鳴き声をあげる。
私はホエルコとアーマルドを休ませるため、一度ポケモンセンターに戻ることにした。
これからのことも計画しないと…。





………………………。





『同日 時刻15:00 あさせのほらあな・地下2階』


キヨミ 「…ガガガビビビビ…ペキシッ!!」

あれから6時間…私は耐えに耐えている。
ようやくね、これで脱出できるはずだわ。

キヨミ 「ズズズ!! バクフーン『かえんほうしゃ』!!」

バクフーン 「フーーンッ!!」

ゴゴゴゴゴオオオオオオッ!!

バクフーンの口から放たれる『かえんほうしゃ』が出入り口の蓋を溶かしてしまう。
そこから海水が落ちてくることはなかった。



………。



キヨミ 「や、やっと出られた…」

まさに地獄だった…あれは冷凍庫よりもきついわ。
何せ、中で氷タイプのポケモンが生活しているほどだもの…特にユキワラシが酷かった。
バクフーンに向かって氷技を連発してくるもんだから、温度が下がる下がる…生きているっていいわね〜。

キヨミ 「でも…収穫もあったのよね」
キヨミ 「まさか、あんな所で見られるとはね…私も初めて見たし、ゲットも出来た」
キヨミ 「さて、とりあえず入り口まで戻らないと…」



………。



『時刻15:30 あさせのほらあな・入り口付近』


お爺さん 「おお、あんた! 無事じゃッたのか!!」

キヨミ 「あはは…遅れてごめんなさい、塩…取って来ましたよ」

私は空笑いを見せながらそう言うと、お爺さんは。

お爺さん 「おお…そうかそうか、無事で何よりじゃ…よし、ちょっと待ってくれなされ」

お爺さんは塩を受け取ると、何やら貝殻を磨き始める。
そして何やら作業をし始め、数分待つとお爺さんはひとつの『鈴』を私に渡す。

お爺さん 「それは『かいがらのすず』…ポケモンにつけてあげれば音を聞いて喜ぶんじゃ」
お爺さん 「そして、不思議な効果もあってな、ポケモンの体力を回復させるとも言われておる」
お爺さん 「ワシからの気持ちじゃよ、受け取ってくだされ」

キヨミ 「あ、ありがとございます! へぇ…これが『かいがらのすず』、聞いたことはあるけど」

実際、ジョウト地方やカントー地方でも見ることは出来る、ただあくまで輸入物なのでここのように産地直送というわけには行かない。
加工無しで、完全に天然から作られたこれは非常に価値の高い物だろう。
あくまで、トレーナーにとっての話だけど。

お爺さん 「…それじゃあ、ワシはこれで失礼するよ」

キヨミ 「あ、はい…今日は何だかご迷惑をおかけしたみたいで、すみません」

お爺さん 「いやいや、気にせんでもいいよ…ワシは他にやることもないし、こうやって毎日『かいがらのすず』を作っておるのが趣味なんじゃよ」

そう言って、お爺さんは洞穴を出て行った。
私はそれを見送って、トクサネシティに戻る。
もう昼はとっくに過ぎている…お腹空いたわね。





………………………。





『時刻16:00 トクサネシティ』


ハルカ 「…う〜ん! さて、そろそろトレーニングを再開しようかな」

私はポケモンセンターを出て背伸びをし、そう呟く。
すると、上空から何やらポケモンが飛んで来る。

エアームド 「エアーーー!!」

バサバサバサ!!

キヨミ 「…ふぅ、戻っていいわよエアームド」

ハルカ 「キ、キヨミさん!?」

それはキヨミさんだった。
どうやら、まだトクサネシティにいたようだった…。
もう次のジムに向かっているのかと思った。

キヨミ 「あら、ハルカちゃん…調子はどう? ジム戦は終わったのかしら?」

ハルカ 「あはは…思いっきり負けました」

私は言いながらがっくりうな垂れる。
それを見てキヨミさんは。

キヨミ 「…今のハルカちゃんが負けるほどのジムなのね」
キヨミ 「さすがに気は抜けないか…」

キヨミさんはそう言って表情を変える。
う〜ん、さすがに元チャンピオンは違うわね、気迫を感じるわ。

キヨミ 「そう言えば、ハルカちゃん…あれから随分成長したみたいだけど、どう? 私と一戦交えてみない?」

いきなりキヨミさんからそんな挑戦が出る。
私はこれほど優秀なパートナーはいないと踏む。

ハルカ 「是非お願いします! 光栄ですよ!!」
ハルカ 「私のポケモンも成長できるし、是非!」

キヨミ 「そう…こっちもちょっと育てているポケモンがいるし、丁度いいわね」
キヨミ 「多分、レベルの差はそんなにないと思うから、いい勝負になると思うわ」

そう言って、キヨミさんは海岸の方に向かう。
私は黙ってそれに着いて行く。



………。



キヨミ 「使用ポケモンは2体、ジム戦を想定してダブルバトルと行きましょうか!」
キヨミ 「こっちのポケモンは、この2体よ!!」

ボボンッ!! きらりらり〜ん☆

トドグラー 「トドー!!」
アブソル 「ソルッ!」

ハルカ 「!? 知らないポケモン…」

私は図鑑を見る。


ポケモン図鑑 『トドグラー:たままわしポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:1.1m 重さ:87.6Kg タイプ1:こおり タイプ2:みず』
ポケモン図鑑 『初めて目にしたものは必ず鼻でクルクル回してみる習性を持つ。タマザラシを回して遊ぶ事がある』


ハルカ (…なるほどね、タマザラシの進化系か)

しかし大きさは結構大きくなっている。
後、色が全然違うんだけど…進化したら色変わるのかしら?
確かタマザラシは青かった気がするんだけど…あのトドグラーは紫色だ。
まぁ、この際気にしないことにする、私のコイルも色違いって言われたし、多分そう言う特別なポケモンなんだろう。
もう片方のアブソルは、私がプレゼントしたポケモンだろう。
さて、ならこっちは…。

ハルカ 「任せたわよ、『ホエルコ』、『マッスグマ』!!」

ボボンッ!!

ホエルコ 「ホエーー」

マッスグマ 「…グマ」

さて、これで場は整った…。

ホエルコ 「……」

トドグラー 「…ト、トド」

ハルカ (う〜ん、やっぱりホエルコは圧巻ね)

進化していないのに、進化系のトドグラーを子ども扱いの大きさ。
いくらなんでもあれを鼻で転がすのは無理でしょうね…潰れるわ。

マッスグマ 「……」

アブソル 「…ソル」

そして、こちらは何やら因縁めいた物を感じる。
って言うか、アブソルの方が異様に照れている?
確か、あのアブソルは♂だったわね…まさか、ね。

キヨミ (マッスグマは以前見たけど、随分成長しているようね)
キヨミ (そして、注目すべきはホエルコか…あんなに大きくなっているってことは、進化は間違いなく近いわね)
キヨミ (こっちのトドグラーも進化は近い、これは予想以上にいい機会だったかもしれない)
キヨミ 「さぁ、始めるわよ! アブソル『かまいたち』!! トドグラーはマッスグマに『オーロラビーム』よ!!」

アブソル 「! ソール!!」

トドグラー 「トドーー!!」

アブソルは力を溜め、次の攻撃を用意する。
そして、その溜めをフォローするようにトドグラーがマッスグマを攻撃する。

ハルカ 「マッスグマ、横にかわして! ホエルコはアブソルに『みずのはどう』!!」

ビビビビッ!!

マッスグマ 「グマッ」

ホエルコ 「ホエーーー!!」

ギュッバァァッ!!

アブソル 「!? ソルーー!!」

マッスグマは見事に回避し、ホエルコは攻撃を命中させる。
いいわ、動きも万全! キヨミさんも少々表情を曇らせている。
ポケモンの条件はほぼ互角…後はトレーナーの実力次第だけど、それは勝ち目がない。
だったら、少しでも相手の予想できないことをやるしかない…とはいえ、キヨミさん相手にそれをやるのは難しすぎる。

キヨミ 「…混乱したようね、仕方ない。トドグラー、アブソルの前に立って! そしてホエルコに『アンコール』よ!!」

トドグラー 「トドーー!!」

ハルカ 「させないわ! マッスグマ、トドグラーに『10まんボルト』!!」

マッスグマ 「グマー!」

バリバリバリィ!!

トドグラー 「トドーーー!!」

マッスグマの『10まんボルト』でトドグラーは一瞬怯む。
そして、次弾を打ち込む隙が出来る。

ハルカ 「ホエルコ、トドグラーに『ころがる』!!」

ホエルコ 「ホエーー」

ゴロゴロゴロッ!!

キヨミ 「く…アブソル!!」

アブソル 「!? ソーーール!!」

ズバァァンッ!!

ホエルコ 「ホエ〜〜!!」

突然放たれたアブソルの『かまいたち』にホエルコは吹き飛ぶ。
しまった…混乱したからと言って、攻撃できないとは限らない。
迂闊だったか…!

トドグラー 「トドトド!!」

パチパチパチ!!

トドグラーはホエルコに向かって両手を合わせて拍手する。
アンコールだ…これでホエルコはもう『ころがる』しか使えない。

ハルカ 「く、マッスグマ、アブソルに『ずつき』!!」
キヨミ 「アブソル、マッスグマに『でんこうせっか』!! トドグラーは『まもる』よ!!」

マッスグマ 「グマッ!!」
アブソル 「ソーール!!」

ドガァッ!!

マッスグマ 「グマッ!!」

トドグラー 「トドッ!!」

ホエルコ 「ホエッ!?」

ピキィンッ!!

マッスグマはアブソルに止められ、トドグラーはホエルコの攻撃を止めてみせる。
まずい…コンビネーションが崩れてきている。
どうするどうするどうする!?

ハルカ (ホエルコは『アンコール』で縛られている…マッスグマに頼るしかない!)
ハルカ 「マッスグマ、相手に接近するのよ! ホエルコはそのまま『ころがる』」

マッスグマ 「グマッ」

ホエルコ 「ホエ〜」

キヨミ 「接近してきた!? でも! アブソル、マッスグマに『かみつく』よ! トドグラーはマッスグマに『オーロラビーム』!!」

ハルカ (攻撃を集中させてきた!? でも、相手が固まっている今がチャンス!!)
ハルカ 「かわせマッスグマ!!」

マッスグマ 「!!」

バッ!!

アブソル 「ソルッ!?」

トドグラー 「トドーーー!!」

ビビビビッ!!

マッスグマ 「グマッ!!」

ザシャッ!!

キヨミ 「そ、そんな!?」

ハルカ 「よっしゃあ!!」

マッスグマは、アブソルの攻撃を横に避け、すぐに前方へジャンプしてトドグラーの攻撃も回避してみせる。
ここまでで僅か3秒…言うことなし!
そして、マッスグマが着地した場所は相手の背後で絶好の攻撃チャンス!!

ハルカ 「マッスグマ、『10まんボルト』よ!!」

マッスグマ 「グマーー!!」

バチバチバチィッ!!

トドグラー 「トドーーー!!」
アブソル 「ソルーーー!!」

キヨミ 「!? 2体同時に…!!」

トドグラーとアブソルが接近しすぎていたのが災いし、マッスグマの攻撃で2体同時に感電する。
そして、ようやくホエルコの攻撃が効果を発揮する。

ホエルコ 「ホエ〜」

ゴロゴロゴロッ!!

ドガドガドガッ!!!

アブソル 「ソルー!!」

トドグラー 「トドーーー!!」

マッスグマ 「!?」

ドシャアッ!×3

ハルカ 「…ってマッスグマまで!?」

思いっきり轢いてんじゃない!!
ま、まぁ結果オーライね!!

キヨミ 「く、まだ勝負は終わってないわ! アブソル、ホエルコに『かみなり』!! トドグラーは『ふぶき』よ!!」

ハルカ 「!? ここでそんな大技を…!」

アブソル 「ソルーー!!」
トドグラー 「トドーーー!!」

カッ! ピシャアアンッ!!
ビュゴゴゴゴゴゴゴォォォッ!!

ホエルコ 「ホエホエホエーー!?」
マッスグマ 「!?」

ホエルコは転がりながら感電する、しかし勢いは止まるどころか増しながらアブソルにぶち当たる。
マッスグマは『ふぶき』の直撃を受け、凍ってしまった。

ドッガァァッ!!

アブソル 「ソールッ!!」

バッシャアアアンッ!!

キヨミ 「ア、アブソル!?」

アブソルは海にまで吹っ飛ぶ、さすがにダウンでしょうね。

ゴロゴロゴローー!!

ホエルコは更に転がって勢いを増す。 あれは岩タイプの技でもあるから、氷タイプのトドグラーには効果抜群! でも…。

キヨミ 「トドグラー『まもる』!!」

トドグラー 「トドッ!!」

ピキィィンッ!!

ホエルコ 「ホエッ!?」

ドッズウウゥゥンッ!!

大きな音をたててホエルコは止まる。
トドグラーにはあれがある…『ころがる』は効果的な技じゃない。
マッスグマは凍って動けない…私はマッスグマをボールに戻し、キヨミさんを見る。
アブソルは戻されたようだ…と言うことは、残っているのはホエルコとトドグラーのみ。
くしくも同じ水タイプか。

キヨミ (あれだけサイズが違うと、並みの攻撃ではビクともしないでしょうね)
ハルカ (ダメージは見た所5分か…向こうもかなり打たれ強いわね)

キヨミ (ダメージはある…だったら、ここは長期戦を想定して!)
ハルカ (こうなったら持続力で勝負よ!!)

キヨミ 「トドグラー『ねむる』!!」
ハルカ 「ホエルコ『ねむる』!!」

私たちは同時に叫ぶ。
って、同じ事考えてるし!!

トドグラー 「トド〜…ZZZ」
ホエルコ 「ホエ〜…ZZZ」

2体は同時に眠りだす。
う〜む、これで仕切りなおしか。
って、このまま同じようなことが繰り返されるんじゃなかろうか?

カァァァァッ!!

ハルカ 「って、嘘ぉ!?」

突然、トドグラーが光りだす。
ま、まさかあれって進化!? 2回目!?

キヨミ 「! ついに来たわね!!」

トドグラー? 「ZZZ…ZZZ」

しかし眠っていた…とりあえず、私は図鑑を確認する。


ポケモン図鑑 『トドゼルガ:こおりわりポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:1.4m 重さ:150.6Kg タイプ1:こおり タイプ2:みず』
ポケモン図鑑 『発達した二本の牙は10トンもある氷山を一撃で粉砕する。脂肪が分厚く氷点下でも平気』


ハルカ (150キロ!! ホエルコと同等の重量になってしまった…)

ウェイトの有利がこれで無くなってしまった。
まずい…非常にまずい!!
とはいえ、互いに眠っているのでこのままでは動きようもない…とりあえず考える時間はあるわね。

キヨミ 「トドゼルガ、『いびき』よ!!」

ハルカ 「へ?」

トドゼルガ 「ZZZ〜ゼルーーー!!」

ホエルコ 「ZZZ〜ホエ〜!?」

トドゼルガの口から強烈な『いびき』が発せられ、ホエルコは後ろに吹っ飛ぶ。
ま、まさか音波攻撃!? あんな技もあるなんて…。
そ、それじゃあ圧倒的に不利なんじゃ!?

キヨミ 「計算外だったようね…悪いけど、この勝負は貰ったわね! トドゼルガ『いびき』よ!!」

トドゼルガ 「ZZZ〜ゼルーーー!!」

ホエルコ 「ZZZ〜!? ホ、ホエーーーーー!!」

ハルカ 「め、目覚めた!? よ、よし! これで攻撃が出来る!!」

幸い、大きさではまだ負けてない。
よし、ここは機転を利かせて!

ハルカ 「ホエルコ、『はねる』!!」

キヨミ 「!? 『はねる』…?」

ホエルコ 「ホエ〜」

ぼよ〜ん…

などと言う、効果音が鳴りそうな跳ね方で、ホエルコはトドゼルガの真上に跳ねた。
そう、それこそが狙い。

トドゼルガ 「!? ゼルッ!!」

ズシィンッ!!

ハルカ 「嘘!? 受け止められた!!」

キヨミ 「トドゼルガのパワーを甘く見たわね…そのまま『ふぶき』よ!!」

トドゼルガ 「ゼルーーーー!!」

ビュゴゴゴゴゴゴオオオオッ!!

一際大きな『ふぶき』がホエルコを上空に持ち上げる。
もう駄目かも…。

ホエルコ 「ホエ〜〜〜〜〜〜!!!!」

カァァァァァァァッ!!

ハルカ 「ほえ?」

突然、ホエルコの体が輝いたように見えた。
いや、って言うか…あれ、あれれれ!?

キヨミ 「…え?」

ホエルコ? 「ホエ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」

トドゼルガ 「…ゼ、ゼル」

ドッ!! ズウウウウゥゥゥゥゥゥゥンッ…!!!!

ハルカ 「……」
キヨミ 「……」

その時、一瞬時間が停止したように見えた。
互いに言葉を発せず、ただ…その圧倒的な光景を見ていることしか出来なかった。
私は…結果を確認する前にポケモン図鑑を開く。


ポケモン図鑑 『ホエルオー:うきくじらポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:14.5m 重さ:398.0Kg タイプ:みず』
ポケモン図鑑 『見つかった中では最大のポケモン。大海原をゆったりと泳ぎ、大きな口で一気に大量の餌を食べる』


ホエルオー「…ホエ〜」

ハルカ 「……」
キヨミ 「……」

その姿…まさに軍艦。
あまりにも圧倒的過ぎて、見る者全てが立ち止まるほどだった。
だって、人が点に見えますぜ? べいべ〜…。
高さにして14.5メートル…前後幅は、どう考えても50メートルはありそうだ。
まさに100人乗っても大・丈〜夫!

ハルカ 「…とりあえず、戻ってホエルオー」

ホエルオー 「ホエ〜」

シュボンッ!

あんなに大きなポケモンでもボールに入るのね、文明の利器って凄いわ〜。
そして、その後に見つかったのは、無残な姿。

トドゼルガ 「……」

キヨミ 「も、戻ってトドゼルガ…」

シュボンッ!

ハルカ 「……」

キヨミ 「……」

互いに言葉を失う。
そして、私はようやくこう切り出す。

ハルカ 「えっと…私の勝ちでございましょうか?」

無闇に敬語。
そしてキヨミさんも。

キヨミ 「え、ええ…よろしいかと存じます」

もう、笑うしかなかった…はぁ、明日…天気になるかなぁ?



…To be continued




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