Menu
BackNext
サファイアにBackサファイアにNext




POCKET MONSTER RUBY



第50話 『高まる結束』




それは…ある日の出来事でした。
私たちは、順調に回復の兆しを見せ、いつ戦いの場に出てもいいように特訓を続けていました。
そしてこの日、私たちは復活の狼煙を上げるのでした…。


『某日 時刻12:00 育て屋・ポケモン広場』


クチート 「おりゃあっ!」

アメモース 「何の! とぉっ!!」

ゴオオオオオッ!!

私の『かえんほうしゃ』をあっさりかわして空中を旋回するアメちゃん。
中々のスピードね…さすがに空中の相手を狙うのは難しいか。

アメモース 「よ−しっ、行きますよー!」

アメちゃんはそう言い、一旦空中で待機する。
そして次の瞬間、アメちゃんは羽を羽ばたかせて風を巻き起こす。

クチート (! 『かぜおこし』じゃない、これは!!)

ビュオオオオオッ!!

その風は銀色の輝きを放ち、私に向かって来た。
私は咄嗟に防御体勢に入る。

クチート 「甘い!!」

ビュゴオオッ!!

アメモース 「そんなっ! 新技なのに!!」

私はほぼ無傷の状態で立ち続ける。
それもそのはず、私は『てっぺき』を使って防御したのだ。

クチート 「いくら高威力の技だからって、鋼タイプには効きにくいわよ」

アメモース 「むむむっ! ならこれでどうですかぁ!!」

コオオオオオッ!!

クチート 「今度は『れいとうビーム』!?」
クチート 「しっかーし! それも無駄ぁ!」

ゴオオオオオッ!! ジュジュジュー!!

私は『かえんほうしゃ』にて相殺する。
まぁくらってもそんな大きなダメージにならないけどね。

アメモース 「あう…今のは隠し技だったのに」

クチート 「いつの間に覚えたのよ…あれ『わざマシン』でもないと使えないはずでしょ?」

アメモース 「はいっ、何だかよくわからないですけど、あっちに一杯落ちてたのを使ったんです!」

アメちゃんはあっさりと言う。
落ちてたって…。

クチート 「あんたねえ…他人の物だったらどうするのよ…」

アメモース 「え? だって、グマちゃんも落ちてるの拾ってたじゃないですか!」

確かにね…まぁそれは外で、しかも単品だからね。

クチート 「一杯って…そんなにあったら、普通誰かの所持品でしょ?」

アメモース 「う〜ん、どうなんでしょ?」

? 「こらーー!! お前らやな!? 勝手にワイらの『わざマシン』使ったんは!!」

等と、いきなりもめ事になっている…はぁ。
予想通りだけに何だかうっとうしい。

クチート 「ああ…その、まぁ…とりあえず謝りなさいアメちゃん」

アメモース 「ふぇっ!? やっぱり私がー!?」

クチート 「当たり前でしょ…当事者なんだから」

私が謝る義理は無いし。

アメモース 「あ、あの! すみませんでした! あなたのとは知らず…ってあれ?」

クチート 「どうかした? って、あら…いないじゃない」

アメモース 「ま、まさか怒って帰ったんでしょうか?」

クチート 「まさか…あ、やっぱり」

アメちゃんの真下を見てみると、小さなポケモンがいた。
見たことのない種類のようで、ちょっとわからなかった。
だが見た目は明らかに怒っているようで、真上のアメちゃんを睨み付けていた。

? 「お前ら、謝って済む思うなよ!」

アメモース 「うわっ! 下にいたんですね! そんなに小さいとは…」

確かに小さい…どう見ても30センチ位だ。
どうやら進化前のようでその体からはさして恐さはない。
しかも喋り方からすると、ジョウト地方? 関西弁ね…。

クチート 「まぁ、こっちも謝ってるんだからそんなに怒ることないじゃない」

? 「やかましい! 使った分はもう戻ってけぇへんねんぞ!」

そりゃごもっとも…しょうがないわね。

クチート 「だったら、賭けをしない?」

? 「賭けやと?」

クチート 「そう…あんたもポケモンなら、バトルで勝負してみない? もし勝てたら私たちの『わざマシン』を全部あげるわ」

? 「!? その話ホンマやろうな!!」

予想以上に食い付いてきた…これは釣れそうね。
もちろん嘘なのだが、勝てば良しということだ。
負けたら、その時はその時…何とかなるだろう。

クチート 「ええ、本当よ…その代わり、こっちが勝ったらそっちの『わざマシン』を全部もらうわよ?」

? 「何やと!?」

クチート 「あら、怖じ気づいた? だったら、さっきのことは忘れて帰りなさいな…こっちも忘れてあげるから」

私はわざと挑発してみる。
折角のカモなんだから、稼がしてもらいましょうか。

? 「ぐぐぐ…! 言うたな! 後悔すんなよ!?」

ほ〜ら釣れた…これは大量ね。
これを機にパワーアップを測れそうね。

アメモース 「ちょっ、ちょっとクゥちゃん!? 本気!?」

クチート 「当たり前でしょ? 勝ったらチャラどころか、もっともらえるわよ?」

まぁ、勝てばだけどね…負ける気はないけど。

アメモース 「で、でも誰が戦うの?」

クチート 「あんたに決まってんでしょう!! ほら、さっさと行く!!」

アメモース 「ふえーん! やっぱりー!!」

と、言うわけで突然バトルすることになった私たち。
折角なんだから、貰える物は貰わないと。



………。



『時刻12:30 育て屋・広場の草原』


というわけで、私たちはバトルを行っても大丈夫な場所に移動した。
一応草原のような場所で、障害物は無い。
最もスタンダードな地形と言えるだろう、お互いに有利不利は無いはず。

クチート 「それじゃ、始めるわよ! 準備いい?」

? 「いつでも来ーい!」

アメモース 「うう…何で私が」

やる気満々の相手に対して、やる気のなさそうなアメちゃん。
全く、原因はあんたなんだから、自分で何とかしなさいっての。

クチート 「それから、ちょっと聞くけど、あなた何てポケモン? こっち(ホウエン)では見かけない気がするんだけど」

? 「ワイは『ブルー』や! 小さいからって馬鹿にすんなよ!!」

そう言って、こっちを睨みつける。
へぇ…あれがブルーか、初めて見たけど、強いのかしら?
少なくとも、見た目だけだとどう考えても強そうには見えない。
しかし、ポケモンである以上油断は禁物、どれだけLvが高いかわからない。
とはいえ、戦うのは私じゃないのでアメちゃんを信じましょうか。

クチート 「よしっ、それじゃ始め!」

アメモース 「って早いよ! こっちはまだ心の準備が…」

ブルー 「どっせえー!!」

アメモース 「ひええっ、いきなりぃっ!?」

ブルーは開始からいきなりアメちゃんに『すてみタックル』を敢行する。
しかしながら、アメちゃんには咄嗟の反応で上昇する。
当然のように的が無くなって地面へとダイブするブルー。

ドザザザザァッ!!

うわ、顔面から…あれも反動ダメージ?。

ブルー 「ち、畜生! 空飛びよって!! それならっ」

バチバチバチィ!!

クチート 「電気技!? さすがに当たったら…」

アメモース 「……」

ブルー 「……」

クチート 「…オイ」

ブルー 「コラー、降りて来んかいー!」

電気技は電気技だけど…『かみなりパンチ』じゃねぇ。
当らなければどうと言うことはないわ。

アメモース 「ねぇ…何か悪いよ〜」

さすがに、根がいい娘ちゃんなアメちゃんは攻撃を渋る。
気持ちはわからなくもないけど、今回は賭けてる物があるんだから、非情になれっての。

クチート 「いいから攻撃しなさい…死にゃしないわよ」

アメモース 「もう、自分のことじゃないからって…」
アメモース 「悪く思わないでよ! ええい!!」

ビュオオオオオッ!!

そう言ってアメちゃんは『ぎんいろのかぜ』で攻撃する。
って、思いっきり倒す気じゃない…。
渋るくらいなら、少しは手加減したらいいのに。

ブルー 「ぐわーー!!」

当然のように後ろへと吹っ飛ぶブルー。
うわ…哀れ。
しかしながら、まだ立ってくる。

ブルー 「ち、畜生…卑怯やぞ!!」

抗議するブルー、しかし私は認めない。

クチート 「うるさいわね…そこまで面倒見切れないわよ」

結局、ブルーには空中へ攻撃する技がないようだった。
まぁ、運がなかったってことね。

アメモース 「うう…これじゃ弱いものイジメだよ」

うわ、追い打ち…別に言わなくてもいいことを。
それを聞いてブルーは。

ブルー 「く…こ、このっ!! ワイを馬鹿にすんなーーー!!」

カアァァァァァッ!!

最悪の光がブルーから発する…マジ?

グランブル 「ふぬーー!! 何か力がみなぎるーーー!?」

アメモース 「ぎゃあぁっ! 恐くなったぁ!!」

進化して『いかく』顔になったブルー。
アメちゃんは思いっきり怯む。
あんたも『いかく』してんだから、ビビるなっての。
とはいえ…さすがにまずいわね。

クチート (進化して、あそこまで大きくなるとは…これじゃあ空飛んでても届きそうね)

グランブル 「いてこましたるーーーっ!!」

バチバチバチィ!!

アメモース 「!!」

ドカアッ! バチバチッ!!

グランブルの『かみなりパンチ』が炸裂する。
一気に空中を吹っ飛ぶアメちゃん、しかし。

アメモース 「…そんなに痛くない? よーし、そっちがその気なら…!!」

クチート 「おおっ! まだ元気!」

しかも、今の一撃でやる気になったのか、アメちゃんは表情を変える。
そしてアメちゃんが放つのは…。

コオオオオオッ!!

グランブル 「ぐううっ! さ、寒ーーっ!!」

コキィィンッ!!

反撃の『れいとうビーム』で見事に凍るグランブル。
間違いない…アメちゃん、パワーアップしたわね。
『ぎんいろのかぜ』を使うと、時折こういうことがある。
『げんしのちから』にも同様の効果があるらしいけど、あそこまでとはね。
今のアメちゃんはレベルを10位上げたような状態だ。
これで勝負は決まったわね!

グランブル 「……」

アメモース 「……」

クチート 「……」

って言うか、もう終わってたみたいね…さすがに凍ってたら動けないか。
この時期だから、自然に解けるのは時間かかるわね〜。

クチート 「もしも〜し、聞こえてますか〜?」

コンコンッ!

私は氷を叩いて反応を待つが、反応なし。
さて、どうしましょうかね?
そんなことを考えていると、突然何かが近づいてくる。

? 「おいっ! あんたら、ブルーを見ぃへんかったか?」

見ると、♂のようで明らかにいかつい姿のポケモンがそう尋ねる。
緑色で、二足歩行、体は岩のようにも感じる。
どう見ても怪獣系だけど、見たことのないポケモン…しかも関西弁。
…と、言うことは。

クチート 「ここ、ここ」

私は凍っているグランブルを指差す。
すると、いかついポケモンは。

? 「おおっ! ブルー君ったら、こんな青々として!!」

それは、凍ってるからよ…って言うか進化したっていう所にツッコミはないのね。
まぁ、これで関係者と言う裏が取れたわね…さて。

? 「おのれ…よくもブルー君をこんな目に! こんな小さいブルー君に何っちゅう酷い事をすんねん!」

クチート 「待った! どこが小さいのよ!!」

私は思わずツッコム。
どこに目を付けてんのかしらこのポケモン…。

クチート (ん、よく見るとこのポケモン…)

背中のアレを見て突然思い出す…あれ思いっきり『バンギラス』じゃない!!
やば…さすがにこれはまずい。
相手がバンギラスってことは、どう考えてもレベルが上。
まともに戦って勝てるかしら?
いや、多分無理。
一応、勝ち目がなくもないけど…どうだろう?
元より、強さの幅が違う…となると、覆すのは頭か!?
私は頭脳をフル回転させて突破口を探す。
ここは力任せに行っても無理だわ、別の方法を…!

バンギラス 「おおっ! よう見たらブルー君やない!?」
バンギラス 「そうか、冗談やったんか〜。何や、早とちりしてしもうて申し訳ない」

クチート 「いや、だから進化したんだってば…普通ホウエン地方にグランブルはいないでしょ」

バンギラス 「何と! そうやったんか!! せやったら、何でこんな姿に!?」

私はここで、一気に突破口を見つけた。



………説明中………



クチート 「…と、言うわけよ」

バンギラス 「そういうことやったんか! むぅ…せやったら、まずグランブル君を助けへんと!!」

クチート 「はいはい…私がやったげるわよ。さがってなさい」

ゴオオオオオッ!!

私は『かえんほうしゃ』で氷を解かす。
数秒後、グランブルは無事に救出された。

バンギラス 「おおっ、無事かブルー君! いや、グランブル君!!」

グランブル 「はっ!? バンギラス君! 何でここに!?」

バンギラスたちは互いの顔を確かめて手を取り合う。
う〜む、まるで漫才の1場面? いやいや…友情ね、うん。
どうでもいいけど、勝負は勝負…貰うものは貰わないとね。

クチート 「とりあえず、約束は約束…ちゃんと守ってもらうわよ?」

グランブル 「むむ…確かに負けは負け」
グランブル 「せやけど、恥を承知で頼みがある! どうか、もう一度勝負してくれ!!」

そう言って頭を下げるグランブル。
だが、さすがにそれは出来ない。

クチート 「ダメよ、勝負はもう終わり。…まぁ賭け無しの勝負ならしてあげてもいいけど?」

グランブル 「…ぐ、そこを何とか」

バンギラス 「止めるんだグランブル君! それは男らしくないぞ!!」

グランブル 「バ、バンギラス君…」

バンギラス君の喝で、どうにか無事に話が済みそうだった。
私はここで、もうひとつの提案を出す。

クチート 「まぁ、当初は全部貰う予定だったけど、いくつかだけにするわ…それだったらそっちも被害少ないでしょ?」
クチート 「もっとも、何を持っていくかは決めさせてもらうけど…そっちの意見も一応聞くことにするわ」
クチート 「とりあえず、マシン全部持ってきて♪」

私は笑顔で可愛こぶってそう言う。

グランブル 「むぅ…そやな、賭けは賭けやし」

バンギラン 「うむ、向こうもああ言ってるんやしな」

そう言って、グランブルたちは一旦ここを離れる。
私たちも、それに続くことに…。

? 「待ちな、そこのプリティーガールズ!!」

クチート 「はい?」

アメモース 「…誰?」

とりあえずガールと言われたからには、間違いなく私たちのことだろう。
振り向いてみると、そこには『カイロス』が。
一体何用かしら? 少なくともグランブルやバンギラスは、すでに見えない所まで行ってしまっており、知り合いかどうかはわからない。

カイロス 「前のバトルは、見せてもらった…つーわけで、俺とバトルしてもらう!!」

クチート 「はぁ? 冗談…デートの誘いなら、もっとマシな言葉言いなさいよ」

私はそう言って邪険にする。
全く…最近の虫はこんな馬鹿しかいないのだろうか?

カイロス 「ふっふ〜、まぁそう言うだろうと思っていた! だから、俺たちも『わざマシン』を賭けよう!!」
カイロス 「そっちが勝ったら、俺たちの『わざマシン』持って行ってもいいぜ〜?」
カイロス 「ただし! そっちが負けたら…」

クチート 「こっちのを全部渡すってわけね…」

カイロス 「ノンノンノン!! 俺がほしいのはそれじゃない! そこのプリティーモースさ!!」

そう言って、カイロスはアメちゃんを指差す。
すると、アメちゃんは。

アメモース 「ぷりてぃーもーす? クゥちゃん、何それ?」

クチート 「…可愛いアメモースって意味よ」
クチート 「もっと簡単に言うなら、俺の女になれってことよ」

アメモース 「うええっ!? 何でそうなるんですかぁ!!」

かなり嫌がるアメちゃん…まぁ気持ちはわかるけどね。

カイロス 「それは単純…君の瞳に、惚れたからさ〜」

うわ、キザ…カイロスのくせに。
いかつい顔と、全然マッチしてない…不快だわ。

クチート 「よ〜し、だったらやってやるわよ! その代わり負けたらちゃんと支払ってもらうわよ!?」

私はそう言って、前に出る。
アメちゃんは先の戦闘で多少はダメージを受けているのだから、ここは私が出るべきだろう。

カイロス 「O〜K♪ それじゃあ、バトル行ってみようかぁ!?」

そう言って、カイロスは突撃してくる。
私は先制攻撃を行う。
まずは正面の口で『かえんほうしゃ』を放った。

ゴオオオオオォォォォッ!!

カイロス 「あらよっと!!」

クチート 「なぬ!?」

何と、カイロスはジャンプ一番で私の頭上まで飛び上がる。
ヘラクロスじゃあるまいし、空を跳ぶか!?

カイロス 「そして、『リベンジ』敢行ーーー!!」

クチート (やばっ!?)

『リベンジ』は相手の攻撃を受けて反撃する、格闘タイプの技…!
って、当ってないから倍にはならないか…とはいえ効果抜群!

クチート 「なんとぉー!!」

カイロス 「んげっ!?」

私は後頭部の口を頭上に上げ、カイロスを角の口で止める。
そして同時に『かみくだく』!

ベキバキボキィ!!

カイロス 「ぎゃーーーっす!!」

クチート 「痛い?」

カイロス 「い、痛い痛い!!」

クチート 「助かりたい?」

カイロス 「助かりたい助かりたい!!」

クチート 「駄目よ」

カイロス 「えぎーーーー!?」

私は噛み付きの強さを徐々に上げ、カイロスを砕いていく。

カイロス 「やめてとめてやめてとめてやめてぇ!!」

そして、最後に…。

クチート 「汚物は消毒しないとねーーー!!」

ゴオオオォォォォォッ!!

カイロス 「とめったーーーーー!!」

私は角の口で噛み付いたままそこから『かえんほうしゃ』を放つ。
同時に口を離し、カイロスは黒焦げになって地面に落ちた。
何よ、口ほどにもない…。

クチート 「それじゃ、約束は守ってもらうわよ?」

カイロス 「へっ…ま、守れたらなぁ……」

カイロスは息絶え絶えにそういい残す…。

クチート 「守れたら?」

すると、何やらカイロスの向こう側からドドドドドッと多くの足音が聞こえてきた。
そして、数秒後には、何と5体のポケモンが駆けつけてきたのだ!

緑 「ネイティオ・グリーン!!」

青 「ゴルダック・ブルー!!」

黄 「ピカチュウ・イエロー!!」

灰 「サイドン・グレー!!」

黒 「ドンファン・ブラック!!」

全員 「皆揃って! サファレンジャイ!!」

クチート 「…うわ、ウザ」

なるほど、要はサファリゾーンのポケモンってわけね…そう言えば、何かサファリからポケモンが来るとか情報流れてたもんね。
まさか、こいつの仲間だとは…。

ピカチュウ 「ああ、予想通りブラウンがやられてるわ!!」

ネイティオ 「う〜む、予想通り」

ゴルダック 「しかし! ここは俺たちに任せろ!!」

サイドン 「一気に叩き潰してやるぜ!!」

ドンファン 「ふんがーーー!!」

クチート 「異議あり!! リーダーのレッドはどうしたのよ!! 普通、赤がリーダーでしょ!?」
クチート 「そんな適当で戦隊モノやろうなんて、根本から間違ってるわよ!!」

ピカチュウ 「がーん!」

ゴルダック 「や、やはりそうなのか…」

ネイティオ 「むぅ…世間の風ぁ冷たいぜ」

サイドン 「何を言う! まだ間違っているとは…」

ドンファン 「ふんが〜」

アメモース 「大体…6体いる時点で、おかしいですよね〜普通は5体ですもん」

クチート 「そうそう、6体目はお助けで、最初はいないものよ」

私たちのコンビネーションであっさりと相手は戦意を喪失する。
ふ、もろいわね。

ピカチュウ 「だけど、バトルで負けたわけじゃないわ!! 私たちと勝負してもらうわよ!!」

クチート 「断る」

ネイティオ 「え、断るの!?」

アメモース 「だって、もう終わってるし」

サイドン 「え? 何で!?」

クチート 「これこれ」

私は足元のカイロス・ブラウンを指差す。

クチート 「こいつが負けたら『わざマシン』くれるって言ったし」

アメモース 「しかも景品は私だったし」

ピカチュウ 「ガッデム!! 何やってるのよ馬鹿ブラウンは!!」

ゴルダック 「ヒーローの風上にも置けん!!」

ネイティオ 「腹切って自害せい!!」

サイドン 「このクズ野郎!!」

ドンファン 「ふんがー!」

ボロクソに言われてるわね…まぁとりあえず。

クチート 「バトルって言っても、数合わないじゃん…そっち5体(6体)にこっち2体だし」

アメモース 「しかも、どっちもバトル後で万全とはいえないもんね…」

? 「その心配はないですよ〜」

クチート 「そ、その声は!!」

アメモース 「もしや!!」

アゲハント 「遅れて到着しました〜、助太刀します〜」

クチート 「アゲ君! 良く来た!! ナイスタイミングよ!」

ピカチュウ 「どうやら、役者は揃ったようね!」

クチート 「いや、だから足りないって…」

ピカチュウ 「よし、最初は誰が行く!?」

サイドン 「俺に任せろ! 虫なんざ岩で叩き潰しちゃる!!」

ゴルダック 「よし、任せたぞ!!」

ネイティオ 「奴らの鼻を明かしてやれ!」

ドンファン 「ふんがーーー!」

な、何だかよくわからないけど、向こうはサイドンで来るみたいね。
さて、こっちは…やっぱりアゲ君に頼るべきかしら?
でも、下手に岩を喰らったらまた怪我するかも…う〜ん。

アゲハント 「それじゃあ、行きま〜す」

クチート 「って、早っ! 大丈夫なの!?」

アゲハント 「大丈夫ですよ〜、多分」

アメモース 「多分って、不安だよーーー!!」

サイドン 「バトル、開始じゃい!! 喰らえ『ロックブラスト』!!」

ゴゴゴゴゴッ!!

サイドンは大量の岩を吐き出してアゲ君を狙う。
しかし、狙いは甘く、アゲ君はひらりと回避してみせる。

アゲハント 「甘いですね〜それじゃあ、今度はこっちから行きます〜」

サイドン 「!? う、うおお!! 力が吸い取られる〜〜〜!!」

クチート 「あれは『ギガドレイン』!! そうか、その技があったわね!!」

アゲ君は何やら緑色の光を放って、サイドンから力を吸収する。
岩と地面には効果抜群で4倍よ!!

サイドン 「む、無念…」

ズシャア!!

サイドンはあっけなく倒れる…特殊防御力は低いわね。

ピカチュウ 「あ、あっさりと…」

ネイティオ 「おのれ…次は俺が!!」

そう言って前に出てきたネイティオ…しかし。

ネイティオ 「…ほげ」

ズシャアッ!!

ゴルダック 「な、何が起こったんだ!?」

? 「…これで、もう1体ですね〜」

クチート 「おおっ、そのおっとり感は!!」

コノハナ 「『だましうち』一発で倒れるとは、まだまだ甘いですね〜」

コノちゃんがネイティオの背後から現れる。
しかし、不意打ちとは…さすがね。

ピカチュウ 「ひ、卑怯よ!! 不意打ちなんて!!」

コノハナ 「あら〜、でしたら数に任せて力押しは卑怯じゃないのですか〜?」

ゴルダック 「ぐぐ…ごもっともで」

コノハナ 「それに…私は悪タイプ、こういった戦いの方が性に合っているのですよ〜」
コノハナ 「さぁ、誰が相手をしてくれるのですか〜?」

な、何だかコノちゃん最近、日増しに凄みが増しているような…私たちの中じゃ一番Lv高いからねぇ。
以前のおっとり感は残っていても、やっぱり本質の『ずぶとい』性格があるから、こういう状況でもしっかりと場を見据えてるし。
やっぱり、コノちゃんが影のリーダーかしら?

ゴルダック 「俺がやってやる!!」

ピカチュウ 「おおっ、やる気は満々ね!!」

ゴルダック 「悪タイプにはこれだ! 『クロスチョーーーップ』!!」

そう叫んで、ゴルダックは両手をクロスさせてトペを敢行する。
しかし、あんな遠く(およそ10m)からやってもねぇ…。

コノハナ 「迎撃に『タネマシンガン』です〜」

ババババババババッ!!

ゴルダック 「げぺぺぺぺぺぺぺぺーーーーーー!!」

全弾入ったわね…愚かなり。
当然の如く地面に伏すゴルダック。

ゴルダック 「きゅ、急所に…」

ピカチュウ 「ああもう! 役に立たない!! よし、こうなったら私が!!」

ドンファン 「ふんがーーー!!」

ピカチュウ 「え? 行ってくれるのドンファン!?」

ドンファン 「ふんがーーーー!!」

ピカチュウを遮るようにドンファンが前に出てくる。
今度は地面か…だったら。

? 「こんどは私の番ですね〜」

コノハナ 「来たようですね〜」

アゲハント 「はい、ようやく揃いましたね」

クチート 「コイっち!」

アメモース 「これで総出演ですーー!!」

私たちの背後からレアコイルのコイっちが駆けつけた。
これで私たちは全員集合! もう負けはなさそうね!

レアコイル 「では、行きま〜す!」

ドンファン 「ふんがーーーー!!」

ズドガァッ!!

レアコイル 「PPP…急速回避です」

いきなり、ドンファンの『じしん』が炸裂する。
しかし、コイっちは前進してそれを回避してみせる。

クチート (『じしん』が使えるのか…厄介ね)
クチート (加えてコイっちは電気タイプだから、相性がすこぶる悪い)

ピカチュウ 「行けドンファン! ぶっ倒せー!」

気楽に応援するピカチュウ。
さて、どうするつもりかしらね、コイっち。

レアコイル 「『ソニックブーム』でーす」

バビュゥッ!!

ドンファン 「ふが!?」

コイっちの放った『ソニックブーム』がドンファンを襲う。
しかし、あの技は常に一定のダメージしか与えられないため、Lvの高い相手にはほとんど効かない弱点がある。

ドンファン 「ふんがー!」

レアコイル 「PPPGGG!!」

ドンファン 「ふんがーー!!」

コイっちの『ちょうおんぱ』が決まる。
これでドンファンは混乱状態だ。

ピカチュウ 「ドンファン! 正気に戻れーー!!」

ドンファン 「ふんがーー!!」

レアコイル 「とりあえず、こんな技はどうですか?」

ピィィィィ…

何やらコイっちの体×3を繋げる様な三角形の光線が現れる。
そして、次の瞬間、コイっちはその三角形をドンファンに向かって放った。

ギャンギャンギャンッ!!

ドンファン 「ふんがーー!?」

ピカチュウ 「『トライアタック』!? それがあったか!! でもドンファンの装甲はそれ位じゃ…!」

コキィィィンッ!

ドンファン 「………」

ピカチュウ 「嫌ぁーー凍ったーーー!!」

見事に凍結するドンファン。
『トライアタック』の効果はダメージと共に『やけど』、『まひ』、『こおり』の3効果がランダムで現れる。
まぁ、2割程度の確率だけど、引いてしまえばこっちの物、と。

クチート 「さ〜て、最後はどうしましょうか?」

コノハナ 「叩き潰すのが礼儀でしょう〜♪」

ピカチュウ 「こ、このーー! なめんじゃないわよ!! こっちだって負けっぱなしじゃないんだから!!」

そう言って、突っ込んでくるピカチュウ。
しかも何やら放電しながら…もしかしてあの技は!?

クチート 「ジャンプ一番!」

コノハナ 「電話は二番です〜」

そんなギャグを言いつつ、ジャンプしてかわす私たち。
ピカチュウは私たちの後ろを抜けて背後に回った。
一斉に私たちは振り向き、相手を見据える。

クチート 「『ボルテッカー』とは面白い技持ってるじゃない」

コノハナ 「威力も桁違い…『でんきだま』って所ですか〜」

アメモース 「『でんきだま』? 何それ…」

レアコイル 「ピカチュウの攻撃力を倍化させる特殊アイテムです、稀に持ってたりするんですよ〜ピカチュウが」

アゲハント 「要は、勝てばそれでいい! ですね〜」

ピカチュウ 「うわははははっ! これが私の実力よ! さぁ覚悟しなさい!! 今なら『10まんボルト』で黒焦げにしてあげるわ!」

調子に乗るピカチュウ。
確かにあの攻撃力は洒落にならない。
喰らったらどうしようもないだろう…しかし、相手がそう言う行動に出た以上、こっちにも考えがある。

クチート 「(皆、ちょっと耳貸して…)」

全員 「………」」

ピカチュウ 「今更土下座の相談? でももう許さないもんね!!」
ピカチュウ 「さぁ、皆一緒に吹っ飛べーー!!」

またしてもピカチュウが『ボルテッカー』で突っ込む。
私たちは固まっていたために、避けるのは難しい。
しかし、そこで終わる私たちじゃなかった。

ピキィィィィィンッ!!

ピカチュウ 「うきゅうっ!! 何、それーー!? A○フィールド!?」

クチート 「あ、あなたは…!?」

? 「やぁやぁ…やっと着きましたよ〜、カイナからでも結構大変ですね〜」

何と、私たちの前に出て守ってくれたのは、他の誰でもないペリ君だった!

ペリッパー 「ハルカさんに、しばらくこっちにいてくれと言われまして、何とか来たんですよ」
ペリッパー 「すると、何だかピンチのようだったので、咄嗟に『まもる』を」
ペリッパー 「邪魔じゃなかったですかね?」

クチート 「全然っ! 助かったわ〜」

コノハナ 「さて、これで本当に、全員と言うことですね〜」

アゲハント 「さて、それじゃあ〜」

アメモース 「ちょっと気は引けるけど…」

レアコイル 「悪党に情けは無用です」

ピカチュウ 「え、え? ええ!? 悪って私の事!?」

クチート 「それ以外にいないでしょうがー!!」

ゴオオオォォォッ!!

ピカチュウ 「ぎゃあああ! 熱いーーー!!」

私は『かえんほうしゃ』でピカチュウを焼く。
火達磨になって地面を転がるピカチュウ、そこへ…。

アゲハント 「あ、それじゃあ涼しくしてあげますよ〜」

アメモース 「私も〜」

ビュゴオオオオオォォォ!!

すかさずアゲ君とアメちゃんが『ぎんいろのかぜ』で追い討ちをかける。
風は火を煽って大きくするんだけどね…。

レアコイル 「それじゃあ駄目ですよ…やっぱりここは私が!」

ワピシャアアァンッ!!

コイっちの『かみなり』が炸裂…いつの間に覚えたんだか、あれ『わざマシン』じゃないと覚えないでしょ…。
まぁ、それはさておき、もはや黒焦げ状態のピカチュウ。
そして、更にペリ君が…。

ペリッパー 「あ〜あ、やりすぎですよ…よし僕に任せて!」

ザッパアァァァァンッ!!

ピカチュウ 「ぷきゃあ!!」

ペリ君は『なみのり』でピカチュウを水に流す。
いや…別に『みずでっぽう』でもよかったんじゃ?

コノハナ 「さて…それではラストにこの技を〜」

キュィィィィィッ…!!

クチート 「『ソーラービーム』!? あなたもいつの間に!?」

もう突っ込み切れない…そう思いつつも、それはもはや瀕死同然のピカチュウに向かって飛んで行く。

ドギュアアアアアアァァァァッ!!

ピカチュウ 「やなかんじーーーーー!!」(ドップラー効果で、キラ〜ンッ☆)

どこぞの某有名台詞を言い残して、空の彼方へと消え去るピカチュウ…悪は去ったわね。
さて、戦いも終わったし、後はもらえる物貰いましょうかね〜♪

クチート 「さ〜て、ちゃんと約束は守ってもらうわよ?」

カイロス 「ひ、ひぃっ!! は、はい! 守ります! 借金してでも払います!!」



………。
……。
…。



と、まぁ…こんな感じで今日は『わざマシン』ホクホクの一日だったと。



『時刻20:00 ポケモン広場』


クチート 「何だ…結局コイっちもコノちゃんもパクッてたのね」

レアコイル 「いや、落ちているものかと思いまして…」

コノハナ 「つい、手が伸びた…と、言った所でしょうか〜」

まぁ、いいけどね…結果オーライだから。
私たちは目の前に山積みされた『わざマシン』を見て、考える。

クチート 「役に立つのはほとんど揃ってるわね…私は『ヘドロばくだん』でも貰おうかな?」

コノハナ 「私は『かわらわり』を貰います〜、あ『にほんばれ』も欲しいですね〜」

アメモース 「あ、『みずのはどう』もあるんだ…これ貰ってもいいかな?」

ペリッパー 「大丈夫ですよ、僕は『なみのり』がありますし、その代わり『はがねのつばさ』を貰いますね」

アゲハント 「じゃあ僕は『サイコキネシス』と『つばめがえし』で」

レアコイル 「最後は私ですね…とはいえ、あまり覚えられないので、無難に『あまごい』と『10まんボルト』を貰います」

これで、全員がとりあえず、使えそうなのを貰ったことになる。
それでもこれだけ残ってる、まだ使える技も多数あるし。

クチート 「後は、ハルカさんの方に残した方がいいわよね?」

コノハナ 「そうですね…向こうは向こうで必要でしょうし」

アメモース 「でも、これで私たちも完全復活ですね〜」

アゲハント 「確かに〜…でも向こうは向こうで強くなっているでしょうし、まだまだ鍛えないといけませんね〜」

ペリッパー 「僕たちには、僕たちで出来ることをやればいいでしょう…今は慌てず、出来ることをやって行きましょう♪」

レアコイル 「…了解です」

全員がまとまった所で、私はこう切り出す。

クチート 「よしっ、じゃあ今日は解散! 色々あったけど、体は休めときましょう! 明日からまた頑張るわよーー!!」

全員 「おーーーー!!」

こうして、私たちはまたいつもと同じ日常に戻る。
でも、予感はしていた…私たちも戦う日はそう遠くない、と。



…To be continued




Menu
BackNext
サファイアにBackサファイアにNext




inserted by FC2 system