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POCKET MONSTER RUBY



第70話 『ハルカVSフィーナ! 本当のフルバトル!!』




『4月6日 時刻15:00 サイユウシティ・自由公園』


ハルカ 「………」

私は、深呼吸をし、心を落ち着ける。
ちょっとしたイベントがあったけれど、今は自分のことを考える。
強敵を今まで相手にしてきた今日の特訓バトル。
ついに、本日最大の相手を迎えて、私は本番さながらのテンションで挑もうとしていた。
そう、私がそれほどまでに本気にならなければならない相手…それは。

フィーナ 「……」

そう…彼女だ。
フィーナちゃんは、こちらを見ようとはせず、背中を向けて何かを考えているようだった。
今回のバトルは、私が自ら望んだ6対6のフルバトル。
私自身、6体戦はほとんど未経験。
野良トレーナーとの草バトルでなら、何回か経験した程度。
フィーナちゃんのように、リーグ出場クラスのトレーナーとはまるで未体験だった。
それゆえ、私はここで経験を積んでおきたかった。
ジェットさんやリベルちゃん、キッヴァちゃん相手にはあえてフルバトルはしなかった。
理由はふたつ、ジェットさんやリベルちゃんは、使うポケモンがわかっているから。
使うポケモンがわかっているだけならともかく、あのふたりは同じポケモンしか使わない。
これでは、正直フルバトルをしても、他の参考にならない。
どう考えても、出場者の皆さんは全て違うポケモンを6体揃えているのだから。
これが、理由のひとつ。
もうひとつの理由は、キッヴァちゃん。
あの時、彼女は6体ポケモンを所持していなかった。
ゆえに、やりたくてもできなかったのだ。

…これらの理由で、私は今までフルバトルはしなかった。
でも、今回は本当のフルバトル。
互いに6体出し尽くすかどうかはわからないけど、私は必ず出すことになるはず。

ハルカ (フィーナちゃん…何度もバトルはしたけど、勝ったことは一度も無い)
ハルカ (ううん…フィーナちゃんだけじゃない、皆と一緒に行動してた中、私は誰にも勝ったことが無かった)
ハルカ (いつだって…私は一番下)
ハルカ (だけど、それは前の話…今の私は、あの時私じゃない)
ハルカ (悪いけれど、今回ばかりは私が勝つ!)

私は振り向き、キッとフィーナちゃんの背中を睨む。
色んな意味で、このバトルには価値がある。
勝つにしろ、負けるにしろ、私が得る物は必ず大きい。
だからこそ、開き直って戦うことができる。

フィーナ 「……」

バッ!

フィーナちゃんは、勢いよくこちらに振り向き、私を睨み返してくる。
いい表情だわ…気負いも無い。
怖いわね…正直。
あの娘と、本気のバトルをしたらどうなるのか…見当もつかない。

フィーナ (ハルカさん…か)
フィーナ (今まで、お姉ちゃんみたいに私やメフィーと接してくれた)
フィーナ (腕っ節が強くて、料理が上手くて、そして…とても優しく、暖かい)
フィーナ (本当の家族を知らない、私やメフィーにとって、ハルカさんは本当の姉だった)
フィーナ (感謝することはあっても、恨む事は無い…だけど!)
フィーナ (これはポケモンバトル! バトルに関しては、俺の方が姉だ!!)

ミク 「ふたりとも、準備はいいわね!?」

ハルカ 「はいっ!」
フィーナ 「はいっ!」

私たちは同時に答える。
今回は、今までに無い長丁場。
互いのポケモンは大体わかってる、問題はどのポケモンで6体構成しているか。
私には元々バリエーションなんてそう多くない、だから経験を積ませたいポケモンを優先する!

ハルカ 「最初はこの子よ!!」
フィーナ 「一番手だ! 行け!!」

ボボンッ!!

クチート 「クチクチッ!!」

トドゼルガ 「トドーー!!」

私たちは同時にポケモンを繰り出す。
私が出したのはクチート、相手はトドゼルガだ。
相性はどうとも取れない…普通、ってところかしら。

ミク 「バトル、始め!!」

フィーナ 「先制攻撃だ!! 『じしん』!!」

ハルカ 「『てっぺき』よ!!」

トドゼルガ 「トドーーー!!」

ゴゴゴゴゴッ!!

クチート 「クッチ!!」

ビキィィィンッ!!! ゴッガアアアアアアアアァァァァァンッ!!

クチート 「ク、クチッ!!」

クチートは『てっぺき』で『じしん』のダメージを抑える。
とはいえ、さすがに効果抜群の技、かなり効いたようね。

フィーナ (ちっ、スピードじゃ負けてるな…先に動いたのに、防御された)
フィーナ 「今度は、これだ!! トドゼルガ『たきのぼり』!!」

ハルカ 「『かげぶんしん』よクチート!!」

クチート 「クッチ!! クチクチ!!」

バババババッ!!

トドゼルガ 「トッドーーー!!」

ザッパァンッ!! ドスンッ!!

フィーナ (外した! 分身だったか!!)

トドゼルガは目標を捉えられず、技を失敗する。
その隙は思ったより大きく、私はすぐに次の手を打つ。

ハルカ 「クチート! 『チャージビーム』!!」

フィーナ (な、何だその技!? 初めて聞くぞ!!)

クチート 「ク〜チーー!!」

バチィッ! ギャアァァァンッ!! バチバチィッ!!

トドゼルガ 「ト、トドッ!!」

クチートは角の口から『チャージビーム』を放つ。
まさにビームの様な電気の光線が一直線にトドゼルガへ命中した。
効果は抜群、それなりには効いているはず…。

トドゼルガ 「トッド!!」

フィーナ (よし、大して効いてねぇ!)

ハルカ (訂正…ダメージは薄いわね)

だけど、別に構わない。
元々、それが『目的』の技じゃないから。
フィーナちゃん、驚いた顔したけど、この技のことは知らなかったようね。
私も、勉強するまでは当然知らなかった…山積のマシンから、クチートは自分で覚えてたようね。

クチート 「ク〜チー!!」

ビビビビッ!!

フィーナ 「!? な、何だ今の…」

クチートは、攻撃後に体を震わせて、小さな電気を放出する。
まるで、小さな電気がクチートにまとわりついているようにも見えた。
そう、これこそが『チャージビーム』の真の目的。
『チャージビーム』は、撃つ度に使用者の特殊攻撃力を上昇させることがある。
威力は低くても、連発していればどんどん威力は上がる。
もちろん、他の特殊攻撃技を使ってもその恩恵は受ける。

フィーナ 「とにかく今の内だ! トドゼルガ『なみのり』!!」

ハルカ 「少し遅い! クチート『バトンタッチ』!!」

トドゼルガ 「トドーーーー!!!」

ゴゴゴゴッ…ドズアッパァァァァァァンッ!!

クチート 「クッチ♪」

ギュウゥンッ! シュボンッ!!

ザザザザザァァァンッ!!

ハルカ 「うわっと!」

フィーナ (しまった…これが狙いだったのか!?)

私はトドゼルガの『なみのり』に当たらないよう、少し離れる。
さっきの攻撃で、少々フィールドは水浸しになった。
タイミングが悪いと言えばそれまで、私は『バトンタッチ』の効果でボールに戻ったクチートの代わりに、次のポケモンを繰り出す。

ハルカ 「さぁ、行くわよ! 『ダーテング』!!」
フィーナ 「トドゼルガ『ふぶき』!!」

ボンッ! ギュゥンッ!!

ダーテング 「テンッ♪ テテ〜ン♪」

ダーテングは嬉しそうに踊りながら現れる。
とはいえ、いつものトロさで、ゆっ…くりとした動きだった。
そして、狙い済ましたトドゼルガの攻撃が襲い掛かる。

トドゼルガ 「トッドーーーー!!」

ビュッゴォォォォォッ!!!

ダーテング 「テン〜ッ?」

ゴゴゴゴオオオオォォッ!! ビュォォンッ!

フィーナ (外れかよ!? まさか踊りながらかわされるとは…)

何と、ダーテングの無駄に凝った登場が功を制し、『ふぶき』は痛恨のミス。
一瞬焦ったけど、これは運が向いてる。
一気に行くしかないわね…って、思うだろうけど、ここは冷静になる。
と言うわけで。

ハルカ 「ダーテング…!」
フィーナ 「戻れ『トドゼルガ』!」

シュボンッ!

予想通り、フィーナちゃんはポケモンを戻した。
このまま私は、言いかけていた技を指示する。

ハルカ 「『にほんばれ』!!」

フィーナ 「!?」

ダーテング 「テ〜ン、テ〜ンッ♪」

ボボボボォッ!! ドギュゥンッ!! カアアアアアアアァァァァァァァァァッ!!!

私は、ポケモン交代を読み、まず天候を変化させる。
今回のバトルはフルバトル。
長期戦になるのがわかっている以上、先にポケモンを失うのはプレッシャーがかかる。
ましてや、水と草では相性が悪い、先手を取れない可能性も高い。
だったら、フィーナちゃんは相性のいいポケモンに代えてくる…そう読んだ。
だから、ここは攻撃ではなく、自分のポケモンを有利にする技を選択したのだ。

フィーナ (く…ハルカさん、やっぱり以前とはまるで違う)
フィーナ (こっちの心を読まれているみたいだ…どうする? 誰を出す!?)
フィーナ 「…! 考えたって無駄か…! 行くぞ『ギャロップ』!!」

ボンッ!!

ギャロップ 「ギャローーーップ!!」

ハルカ 「ギャロップ…か」

フィーナちゃんのポケモンなのだが、あまり見たことが無い。
そう言う名前のポケモンを育てているのは知っていたけど、実際に相手をするのは初めてだ。
見た目からして炎タイプ、スピードもありそうね。
ダーテングは『バトンタッチ』の効果で防御力も特殊攻撃力も上がってる。
だけど、日照の状態が危険度を上げる…炎タイプゆえに、ね。

フィーナ (さぁて、どうする? タイプ相性上はどう考えても有利)
フィーナ 「問題は、防御力の上がっている状態で押し切れるか、か)
フィーナ (物理攻撃よりも特殊攻撃の方が、有効だな!)
フィーナ 「ギャロップ! 『かえんほうしゃ』だ!!」

ハルカ 「撃ち合うわ! ダーテング『ソーラービーム』!!」

ダーテング 「テ〜ンーーーー!!」

ギャロップ 「ギャローーーー!!」

ゴゴゴゴオオオオオオオォォッ!! キュィィ…ドギュアアアアアアアアァァァァァツ!! カッ! チュッドオオオオオオオオオォォォンッ!!

ハルカ 「!?」
フィーナ 「うわっ!」

互いの技がぶつかり合い、大爆発を起こす。
爆音と煙で、状況が掴み辛い…私は目を瞑って状況を確認する。

ハルカ (…ダーテングは健在、ダメージは…ない)
ハルカ (ギャロップは…吹っ飛んでる! 押し切ったのね!!)

フィーナ 「くそっ!? どうなってるんだ!?」

フィーナちゃんは慌てて状況を確認しようとするが、この状況では目視は難しい。
だけど、私にはわかる。
だから私はすぐに動く。

ハルカ 「ダーテング! 聞こえていたら『あくのはどう』よ!!」

ダーテング 「テンッ…テ〜〜〜ン〜〜〜〜!!」

ドギュウゥゥンッ!! ゴウッ!!

爆煙がまだ残っているため、目視ではよくわからない。
だけど、ダーテングを中心に、煙を吹き飛ばして行く物がすぐにわかった。

ギャロップ 「ギャ…!?」

ゴボォンッ!!

ギャロップ 「ギャローーーップ!!」

ドッズゥンッ!! ズザザァッ!!

フィーナ 「ギャロップ!?」

ミク 「…ギャロップ戦闘不能!!」

ハルカ 「よしっ! まずは1体!!」

私はガッツポーズを取って、喜ぶ。
この先手は嬉しい。
まだ始まったばかりだと言うのに、一気に流れを手にした感覚だ。
フィーナちゃんは、何が起こったのかもわかりきっていないようだった。
だけど、私の指示の声は聞こえていたはず、結果を見れば何が起こったかは理解できるわ。

フィーナ (…やられた、相性がいいからって完全に油断してた)
フィーナ (ハルカさんは、あの状況でしっかりポケモンの状態を把握してた、だからすぐに追撃の指示ができたんだ)
フィーナ (俺は、ギャロップの状況を確認することばかりに焦って、何も指示を出さなかった…)
フィーナ (出さなくても、まだ大丈夫って…決め付けてたんだ)
フィーナ 「…戻れギャロップ」

シュボンッ!!

フィーナちゃんは悔しそうな表情をして、ギャロップのボールを握り締めた。
悔しいでしょうね、何もできずに自分のポケモンが倒れる姿は。
でも、私だって何度も味わった。
そりゃ、フィーナちゃんの方がバトルの経験は多い。
数で言えば、フィーナちゃんの方が同じ思いをしたのだろう。
だけど、この状況で言えば、私は精神的にも押してる。

ハルカ (ここで気が抜けたら、もう勝負は決まるわよ、フィーナちゃん…)

私は、次のポケモンを冷静に待つ。
頭は冷静に、体はホットに…それが私のスタンス。
もっとも、自分が戦うわけじゃないから、自分の体を温めてもしょうがない。
要は、テンションの話だ。

フィーナ (…くそっ、冷静になれ! 相手はハルカさんじゃないと思うんだ!!)
フィーナ (あそこに立っているのは、もう私の知っているハルカさんじゃない!)
フィーナ (あれは、私の前に立つ、最強のトレーナーだと思うんだ!!)

ハルカ 「!!」

フィーナちゃんは、気合を入れなおした、と言う表情で向き直る。
そして、新たなボールを片手に、次のポケモンを繰り出す。

フィーナ 「任せたぜ『ボーマンダ』!!」

ボンッ!!

ボーマンダ 「ボーーーッマッ!!」

ダーテング 「テ、テン…!」

ハルカ (『いかく』か…厄介な特性ね)

場に出るだけで、こちらの攻撃力を下げてくる。
さすがに、ドラゴンタイプは威圧感あるわ。
フィーナちゃんのボーマンダだから、なおさらか。

ハルカ (でも…私は驚かない)

フィーナ (…ハルカさん、冷静だな)
フィーナ (本当に別人のようだ…もう、先輩風は吹かせそうにないな…)
フィーナ 「よしっ! ここは『りゅうのまい』だ!!」

ハルカ 「ダーテング! 『だいばくはつ』!!」

ボーマンダ 「ボーッマッ!!」
ダーテング 「……!! テ〜〜〜ン〜〜〜〜〜〜!!!!」

ギュゥゥゥ…カッ! ドッギャアアアアアアアアアアアアァァァァァァァンッ!!!

ボーマンダは一撃で倒れることは無い、とフィーナちゃんは判断したのか、能力アップを図った。
だけど、私はこの場でボーマンダを詰めることを選択した。
ダーテングは体を震わせ、一瞬の閃光と共に、『だいばくはつ』を起こす。
あのまま戦っても、悪い結果にはならなかったかもしれない。
でも、私はこの選択を選んだ。
ポケモンの残りは私の方が一体多い…非情かもしれないけど、強力なポケモンは先に倒すべきだと判断した。

ヒュゥゥゥ…ゴトッ!

ダーテング 「………」
ボーマンダ 「………」

一陣の風が吹き、石ころを転がした。
ダーテングを中心に、小さなクレーターができている。
爆風に巻き込まれたボーマンダは、地面に落ちて動く気配は無かった。

ミク 「…両者戦闘不能!!」

ハルカ 「…ありがとう、ダーテング。ごめんね、無理させて…」

シュボンッ!

私はダーテングをボールに戻し、ぎゅっ…とボールを抱きしめて謝った。
確実に勝つためとはいえ、やっぱりこの選択は辛い。
できれば、あんまりやりたくない戦術かも…。

フィーナ 「……!」

シュボンッ!

フィーナちゃんは、蒼い顔でボーマンダを戻す。
何かを言いかけた気がしたけど、声になってなかった。
予想もしてなかったんでしょうね…こんなことになるなんて。
これで、私は残り5体、フィーナちゃんは4体。
たった1体の差だけど、フィーナちゃんが失った物は大きい。

フィーナ (ダメだ…まだ終わってない! まだ半分も過ぎてない!)
フィーナ (心を折るな! ハルカさんに教わっただろ!! あの人の目の前でバトルを台無しにできるか!!)
フィーナ (戦うんだ! どれだけ惨めでも!! 最後の最後まで諦めない!)
フィーナ (あの人は、いつもそうだったじゃないか!! 今度は俺が見せるんだ!!)

ハルカ (フィーナちゃん…)

フィーナちゃんは、覚悟を決めたように次のボールを握り締めた。
私自身、ここまで上手く行くとは思ってなかった。
この時点で、私は自分で自分の成長がわかり始めていた。
強くなることの意味…ひょっとしたら、答えは想像以上に近いのかもしれない。

フィーナ 「頼むぞ『カメックス』!」
ハルカ 「もう一度よ『クチート』!!」

ボボンッ!!

カメックス 「カメー!」
クチート 「クッチクチッ♪」

私たちは再び、同時にポケモンを繰り出す。
私は最初と同じクチート。
フィーナちゃんはカメックスを場に出した。
さて、同じ手が通じるとは思えない…けど。

ハルカ (深読みしてくれるかしら? どっちにしても、相性は微妙ね)

フィーナ (ハルカさんは、確実にこっちの考えを読もうとしてる)
フィーナ (私の思考パターンは、多分完璧に読まれてる…対策のしようはない)
フィーナ (いや…ある、か?)
フィーナ (だけど、そんなこと、俺にできるか? 今まで試したことは無い)
フィーナ (いや…やるしかない! もう、それしか流れを変える方法が思いつかない!)

ハルカ 「よしっ! クチート『チャージビーム』!!」

フィーナ 「カメックス、『ハイドロポンプ』よ!」

ハルカ (!? な、何今の!?)

突然、フィーナちゃんは通常モードで指示を出した。
こんなことは今までない。
フィーナちゃんはバトルになると、大抵モードチェンジした。
ここまでの、アレがまさにそう。
だけど、ここに来てフィーナちゃんは、通常モードに戻った…この意味は?

クチート 「クチー!」

カメックス 「カメーーーー!!」

バチィッ! ビビビビーーーーッ!! ゴゴッ! ドギュバアアアアアアアァァァァッ!!!

クチート 「ク、クチッ!?」

ドォォォッ!!

ハルカ 「しまった!? 押し切られた!?」

ドォンッ!!

クチートは、水の圧力に押し切られ、勢いよく地面にめり込んだ。
前のダメージもある、さすがに無理か…!

ミク 「クチート戦闘不能!!」

ハルカ 「…ごめんねクチート、私が読みきれなかったわ」

シュボンッ!

ここで、私は一度深呼吸する。
フィーナちゃんは、単純に攻めてきた。
それも、正攻法で。
別に不思議じゃない…だけど、私は裏を読むかと思った。
私は、能力アップを読まれて攻撃…これが最初の読み。
だけど、フィーナちゃんはそれを更に読んで私が攻撃する…とフィーナちゃんは考える、と思った。
この際、おそらくカメックスが取るであろう行動は、『ばくれつパンチ』や『じしん』のような、効果抜群技。
だけど、正攻法の『ハイドロポンプ』が、飛んできた…正直私の裏をかかれた。
レベルの上でも、カメックスには勝てなかったのもある…だけど、『チャージビーム』ごと押し切る方法を取るなんて。

ハルカ (フィーナちゃんが通常モードに戻った意味、何となく想像つき始めたわ)
ハルカ (怖くなってきたわね…正直)

私は次のボールをスタンバイする。
相手はカメックス、生半可な攻撃じゃ歯が立たない、だったら変則で行くわ!

ハルカ 「任せたわ『ジュペッタ』!」

ボンッ!

ジュペッタ 「…出番か」

ジュペッタはゆっくりとした動きで、数歩前に出る。
ゴーストならではの威圧感を持って、カメックスの前に立ちはだかった。

フィーナ (ジュペッタ…ハルカさんのは特殊攻撃型だから、恐らく)

ハルカ (大体のことはバレてる…いきなり攻撃しても捌かれるでしょうね)

私たちは、まるで確認を取ったかのように、同時に声を発した。

ハルカ 「ジュペッタ!」
フィーナ 「カメックス!」

ハルカ 「『おにび』!」
フィーナ 「『まもる』!』

ジュペッタ 「ふんっ!」

カメックス 「カメッ!」

ボボボボボッ!!! ピキィィンッ!!

ハルカ (そう来たか! まずは様子見ってわけね…)

フィーナ (危なかった…いつもの調子で攻めてたら、まずかったわ)
フィーナ (ここまでは、予定通り…やっぱりハルカさんは読みきれなくなってきた)

ハルカ (不気味ね…あのモードのフィーナちゃん、可愛いんだけど、怖いわ)

まるで、読めない。
逆に私の方が詰められている感じだ…読み合いには自信あったけど、それはあいてのことがわかればの話。
この状況で、なおかつ予想もしなかった相手が現れた。
まさか、そんな戦法で来るとは…こりゃ、もっとテンション上げなきゃダメね。

フィーナ 「今度はこちらから行きます! カメックス『れいとうビーム』!!」

ハルカ 「かわすのよジュペッタ!!」

カメックス 「カメーー!!」

コォォォォッ!

ジュペッタ 「!」

バッ! キィィンッ!!

ジュペッタは、『れいとうビーム』のタイミングを読み、バックステップして回避する。
カメックスの肩から放たれたビームは地面を凍らせた。

ハルカ (ちょっと揺さぶってみましょうか…行けるわね?)

ジュペッタ (ああ、間違いなく戸惑うだろうからな)

フィーナ (!? ハルカさん、笑った…! 何か仕掛けてくる!?)
フィーナ (それも、絶対の自信を持った戦法…それなら!!)

ハルカ 「ジュペッタ『10まんボルト』!」

フィーナ 「来た! カメックス『まもる』!」

私の指示を確認して、すかさずフィーナちゃんは対応する。
確かに、最良の判断…だけど、この時点で私は流れを掴んだ。

カメックス 「カメッ!」

ピィィィン…

ジュペッタ 「……!」

ポ〜〜…

フィーナ 「ええっ!?」

フィーナちゃんは、驚く。
そう、何とジュペッタは私の指示を無視して『めいそう』を行ったのだ。
さすがにこれにはどんなトレーナーでも参るはず。
私の考えていることを読め、なおかつ自分で最良の行動を選択できるジュペッタだからこそ、できる芸当よ。
さぁ、これでまずは私有利…ここからは読み合い無しで行くわよ!

フィーナ (だ、ダメだわ! ハルカさんの行動を読んでも意味が無い!)
フィーナ (ジュペッタは自分で考えて、技を使ってくる、どうすれば…!)
フィーナ 「! カメックス戻って!!」

シュボンッ!!

ジュペッタ 「!?」

バチバチバチィ!!

ジュペッタはすかさず『10まんボルト』を放つも、先に戻されてしまった。
フィーナちゃん、いい判断するわ…次第に落ち着いてきてるし、案外あのモードの方が強いんじゃないの?
まぁ、ともかく私はジュペッタに任せ切る。
ここは私が指示するより、ジュペッタが自分で判断した方が有効かもしれないわ。

フィーナ 「行って『アブソル』!!」

ボンッ!

ジュペッタ 「!!」

ボボボッ!!

アブソル 「ふっ!!」

ボンッ!!

ジュペッタ 「!?」

ハルカ 「か、かわした!?」

フィーナ 「凄い、いいわよアブソル!」

アブソル 「…フィーナ? どうした、その気迫の無い表情は」

フィーナ 「え? あ…その…ちょっと、ね♪ 気分転換に♪」

どう考えても、無理がある…フィーナちゃんのアブソルは、不思議そうな顔をしていた。
ジュペッタは、冷静にその状況を見ている。

ジュペッタ (…悪タイプか、先手を打ったがかわされるとはな)

アブソル 「さて…いきなり『おにび』とは、恐れ入る」
アブソル 「相当な、キレ者と見た…」

ジュペッタ 「………」

ジュペッタのことを認めているせいなのか、アブソルはやや前傾姿勢に構える。
すぐに飛び込んでくる様子は無い、あくまでフィーナちゃんの指示を待つ、って感じね。
だけど、ちょっとまずいわね…。

ハルカ (さすがに相手が悪いか…退くのも戦術だけど)

ジュペッタ (いや、ここは攻めるぞ…相性は悪いが、試してみたいこともある)

ハルカ 「…よし、任せたわ!!」

ジュペッタ 「了解だ…」

アブソル 「フィーナ!」

フィーナ 「うん、アブソル『つじぎり』!!」

アブソル 「おおっ!!」

アブソルはフィーナちゃんの指示を受け、一気に突っ込んでくる。
ジュペッタは、その場から動かず、何か溜めているようにポーズを取ったまま動かない。
両手を斜め上に上げ、両足をしっかりと踏ん張るようなポーズだ。
まるで、何か元気でも集めているようね。
もちろん、それを阻止しようと思ってか、アブソルが突っ込む。

アブソル 「食らえ! 耐えられると…!!」
ジュペッタ 「!」

アブソル 「うっ!?」

ドガァッ!!

フィーナ 「そんな、外した!? どうして…」

ハルカ (…ジュペッタ、何かしたのかしら?)

私にも確認はできなかった。
確実にアブソルの攻撃が入るところだった。
だけど、アブソルはジュペッタを見た瞬間、一瞬恐怖を感じたように体を振るわせた。
直後、アブソルは攻撃を外したのだ。
アブソルの右爪による『つじぎり』は、ジュペッタの右足元の地面をえぐっただけだった。

アブソル (危険だと思った…あのまま行っていたら、『みちづれ』にされると思った)
アブソル (だが、実際は違った…こいつの狙いは!)

ジュペッタ 「!!」

ギュゥゥン!! ゴオオオオオオオオオオオォォォッ!!!

ハルカ 「な、何これ!?」

フィーナ 「く、空間がゆがんで!?」

突然、私とフィーナちゃんの間を結んだ中心点から、ドーム上に『何か』が広がる。
何とも形容しがたい空間が、目の前にあった。
中の状況は外からでも確認できる、別におかしな様子は無かった。
ただ、歪んでいる…そう見えるだけ。

ハルカ (まさか…これが)

ジュペッタ 「これが…『トリックルーム』だ」

アブソル 「…な、な…ん…だ?…」

フィーナ 「ど、どうなってるの? アブソル聞こえる!?」

アブソル 「フ…ィ…ー…ナ…?」

フィーナちゃんの声を聞いたアブソルは、何やら鈍そうな動きでフィーナちゃんを見る。
これが、『トリックルーム』…効果は確か。

ハルカ (素早さの逆転…!)

確か、そんな感じで説明があった。
意味はよくわからないけど、恐らく見たまま。
効果のほどは、ジュペッタが証明してくれるでしょうね。

ジュペッタ 「…ふ」

バチバチバチィ!!

アブソル 「う…お・おっ…!?」

アブソルは、『10まんボルト』をまともに食らう。
ジュペッタはいつも通りで技を仕掛けた。
だけどアブソルは何か鈍い。
スピードなら、圧倒的にジュペッタより速いはずなのに…いや。

ハルカ (つまり、これが素早さの逆転!)

要は、こういう事だ。
『トリックルーム』の中では、素早さが遅い方が速くなる。
とはいえ、具体的にどうなるかと言うと…。
まず、ジュペッタとアブソル。
この2体では、ジュペッタが遅い。
アブソルは普通なら速いけど、この空間だと、逆に遅くなる。
見た感じ、動きの速い方が遅くなるみたいね。
これは推測だけど、多分中にいるポケモンの速度によって、どれだけの影響が出るか変わるんでしょうね。
言い換えれば、遅いポケモンほど有利になるわけだから。

ハルカ (もし、普段からスローな動きのポケモンがいたら、それより遅く見えるわけね…怖っ)

しかし、これは見た感じかなりの溜めがいる技だ。
アブソルが攻撃を外したから良かったものの、当たっていたらどうなっていたか。
使えば一気に逆転だけど、使いどころはかなり難しい…防御力に自信のないジュペッタでは、よほど上手く狙わないと。

フィーナ 「ア、アブソル! 『つじぎり』よ!!」

アブソル 「!!」

アブソルはフィーナちゃんの指示を受けて表情を変える。
しかし、全然動きが遅い。
ジュペッタはそれを見て、悠々左に動いてかわす。

サッ! ドッガッ!!

再び地面をえぐるアブソル。
威力はそのままのようだ…ただ、地面のえぐれ方までスローになってる。
と、とにかくこのまま行けるはず!

ジュペッタ 「終わりだ!」

バチバチッ!

ジュペッタは右手に電気を集め、トドメの体勢に入る。
当たれば、恐らくアブソルは倒れる。
ここで倒せれば…!

フィーナ 「戻ってアブソル!」

シュボンッ!!

ジュペッタ 「………」

バチィッ!

ジュペッタは技を出す前に逃げられ、集めた電気を拡散させた。
フィーナちゃんの判断は正しい。
ここは、少しでも時間を稼ぐべきだろう。
交代するだけでも時間は経つ…『トリックルーム』の効果時間は大体5分。
さぁ、どうするつもりかしら?

フィーナ (ここでアブソルを失うわけには行かない…! ジュペッタよりも遅いポケモン、か)
フィーナ 「よしっ、だったら! 出てきて『トドゼルガ』!!」

ボンッ!!

トドゼルガ 「トドーー!!」

ジュペッタ 「!?」

バチバチバチィッ!!

トドゼルガ 「!! トドッ!!」

ジュペッタは、即『10まんボルト』で攻撃する。
効果抜群の技に、トドゼルガはかなり苦しんでいた。
だけど、今の攻撃を見て私はゾッ…とした。

ハルカ (ジュペッタの方が…今度は遅くなってる)

恐らく、ジュペッタも気づいたはず。
自分からは、多分普通に動いているつもり。
でも、相手が異常な速度になっているように見える。
まずい…この空間では、トドゼルガの方が速くなる!?

フィーナ (今の攻撃、若干遅く見えた…ということは、私の計算は間違ってない!)
フィーナ 「トドゼルガ『れいとうビーム』!」

ハルカ 「ジュペッタ!!」

ジュペッタ 「!!」

トドゼルガ 「トドーーー!!」

コォォォォキィィィンッ!!

ジュペッタ 「…!!」

ジュペッタは何とか持ちこたえる。
『めいそう』が効いているおかげだろう…ダメージを半減した。
だけど、このままじゃ不利なのは明白、まだ効果時間は続いている。
交換…はダメだわ、下手に交換して時間切れになったら後の祭り。
ごめん…もうあなたに任せるしか思いつかないわ!

ジュペッタ (…気にするなハルカ、俺のバトルは全てお前のためだ)
ジュペッタ (どこで散ろうと、俺は後悔しない)

フィーナ 「今度こそ! トドゼルガ『ふぶき』!!」

トドゼルガ 「トッド!!」

ジュペッタ 「お…お…おっ…!!」

ギュンッ! ドッガァァッ!!

フィーナ 「しまった!? 先制攻撃技!!」

ハルカ (『ふいうち』! そうか、そう言う攻撃技なら普通に動けるのね!!)

『ふいうち』は先制攻撃技、どうやら『トリックルーム』中でも先制攻撃はできるようだ。
ジュペッタの拳がトドゼルガの頬を横殴りに殴る。
だが、押し切れなかった…想像以上にトドゼルガの防御力は高かった。
至近距離、かわせない位置でジュペッタはトドゼルガの『ふぶき』を食らう。

ビュゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオオオオォォォッ!!!

ジュペッタ 「………」

ヒュゥゥ…トサッ!!

ぬいぐるみが落ちるような軽い落下音。
だけど、ジュペッタはただのぬいぐるみじゃない。
私は無言でボールに戻した。

シュボンッ!!

ハルカ (ジュペッタ…悪いわね、まるで犠牲にしたようで)

きっと、ジュペッタは構うなと言うだろう。
あの子はそう言う子だ。
私はきを引き締め、次のポケモンを繰り出す。

ハルカ 「行くのよ『ホエルオー』!!」

ボンッ!

ホエルオー 「ホエ〜〜」

フィーナ (で、出た…ハルカさんの超巨大ポケモン!)

トドゼルガ 「ト、トド…!」

相変わらず、ホエルオーの大きさは規格外。
トリックルームのほぼ全体を埋め尽くし、トドゼルガは隅の方でチョコンと佇んでいた。
だけど、すぐに『トリックルーム』の効果は消える。

キュゥゥゥ…ン

フィーナ 「元に戻った…これで、今まで通り!」

ハルカ (結局、私の方が押し込まれてしまった)
ハルカ (フィーナちゃんは4体出して2体ダウン、2体負傷)
ハルカ (こっちは3体使用、3体ダウンで4体目か…)

状況的には、五分と言ってもいい。
だけど、こちらが押している状態で考えれば、五分というのは押し返されている。
まだまだ、辛い戦いになりそうね…。

フィーナ (トドゼルガは、もう持たないわ…ジュペッタを倒せただけで、十分)
フィーナ (多分、先手は取れない…だから、せめて少しでも負担を!)
フィーナ 「トドゼルガ!『いばる』!!」

ハルカ 「『じしん』よホエルオー!!」

ホエルオー 「ホエーーー!!」

ゴゴゴゴッ!!

トドゼルガ 「トドッ! トドド!!」

ホエルオー 「!? ホッエホッエ!!」

ドッゴオアアアアアァァァァァァァンッ!!!

トドゼルガ 「トドーーー!!」

ドッズウウウゥゥンッ!!

トドゼルガは、『いばる』を使用しホエルオーの攻撃をまともに受けた。
宣告を待たずしてフィーナちゃんはボールに戻し、祈るようにボールを握り締めた。

ハルカ (さて…最後の抵抗をされるとは思わなかったわ)

ホエルオー 「ホエ〜! ホエ〜!!」

あの臆病なホエルオーが何やら怒り狂っている。
ただ怒っているのではなく、あれは『こんらん』している…。
しかも、『いばる』で混乱にされると、タチが悪い。
攻撃力をぐ〜んと上げて『こんらん』させるため、『こんらん』によるダメージまで大きくなってしまうのだ。
もちろん、元に戻れば攻撃力は上がっているので、いいこと尽くめ。
それだけに、退くかどうかは常に選択を迷う…。

ハルカ (とにかく、相手を見て考えるしかないわね)

フィーナ (残り3体…アブソルは負傷してる、体力十分のホエルオー相手には!)
フィーナ 「『ジュカイン』! あなたよ!」

ボンッ!

ジュカイン 「ジュッカ!」

出てきたのは、予想通り相性のいいポケモン。
草タイプか…対抗策が無いわけじゃないけど。

ハルカ (混乱状態でまともに戦えるかどうかはわからない)
ハルカ (交代がベターだけど、フィーナちゃんはそれを読んでいる可能性がある)
ハルカ 「! ままよ! ホエルオー『れいとうビーム』!!」

フィーナ 「ジュカイン『リーフブレード』!!」

ジュカイン 「ジュッカ!!」

ハルカ (やっぱり読まれた!! そんな予感はあったけど…!)

何となく、交代しない…と読まれる気がした。
あえて、リスクを負う形で賭けに出たけど、見事に裏目。
スピードでも勝負にはならないだけに、フィーナちゃんにはほとんどリスクが無かった。

ズバァァッ!!

ホエルオー 「ホ、ホエ〜〜〜!! ホーーー!!」

コオオオオォォォキィィィィンッ!!

ジュカイン 「ジュ、ジュカーー!!」

パリパリパリィンッ!!

何と、ホエルオーは混乱状態ながらも反撃を行った。
予想外の反撃だったのか、フィーナちゃんは驚いていた。
効果抜群の技にジュカインは怯む。
体に霜が着いたのを振り払い、まだまだ行けるとアピールする。

ホエルオ 「ホ、ホエッ…」

ハルカ (く…ホエルオーは一気にダメージを負ってしまった、これ以上は無理か!)

混乱を差し引いても、この結果。
まさか、ここで読み負けするとは…!

フィーナ 「ジュカイン『ギガドレイン』よ!!」

ジュカイン 「ジュッカ!!」

ギュゥゥゥンッ!!

ホエルオー 「ホエホエホエ〜〜!?」

ジュカインはホエルオーの体から、緑の球体を抜き取り、自分に吸収する。
この技は、相手の体力を奪う技だ。
効果範囲は『サイコキネシス』と同じ位で、相手のいる場所に狙って放てる。
ただでさえ体力の高いホエルオーから奪うだけに、ジュカインは大きく体力を回復したようだった。

ミク 「ホエルオー戦闘不能!!」

ハルカ 「く…」

シュボンッ!

私はホエルオーを戻す。
これで、4体失った…相手はまだ3体。
まだまだ元気なジュカイン、カメックス、そして傷ついたアブソル…
私に残されたのは残り2体…もうこの子達しかいない。

ハルカ (やっぱり、都合良くは行かなかったわね…でも、初めから折り込み済み! 予想はしてたことよ!!)

私はそう思って、5個目のボールを投げる。
そして、そこから現れるポケモンは……次回に続く!!



…To be continued




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