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POCKET MONSTER RUBY



第79話 『疑問』




『4月11日 時刻10:15 サイユウシティ・自由公園』


ユウキ (さ〜て、注目のダブルバトルだが…ここでヒビキさんが負けるようなら、その場で試合終了だ)
ユウキ (本人としても、踏ん張り所…冷静なバトルをするとは聞いてたけど、あの表情からは全然そう見えないな…)

ヒビキ 「……」

ハルカ 「……」

私はヒビキさんの表情に冷や汗を覚える。
いつもなら、冷静にバトルを組み立てつつも、強力な攻めを行うヒビキさん。
だが、今のヒビキさんからは、むしろ冷静さは感じない。
言葉は無いけれど、表情からは絶対に勝つと言う気迫が伝わってくる。

ミク 「……」

ハルカ (だけど、ミクさんはそれを平然と受け止めている)

ザラキさん譲りとも思える、真っ向勝負のバトルを行うミクさん。
防御や補助と言った戦法すら伺えず、全て攻撃のみ。
気迫と言う点では、今のヒビキさん以上かもしれない。
ふたりの間からは、無言の分厚い気迫がぶつかっているのだ…。
トレーナーの感情は、そのままポケモンに表現される。
攻撃的バトルにおいて、気迫負けすれば押し切られるのは道理。
ましてやミクさんやザラキさんの様に『攻め』に特化した戦術を極めたとも言えるトレーナー相手には、即敗北に繋がるだろう…
ヒビキさんは、それがわかっているからこそ、未だかつて無い気迫を持って立ち向かっている。
このバトルに勝てないようなら…ザラキさんには、多分勝てないだろうから。

ハルカ (でも、どっちが勝つかなんて私には予想できない)

ユウキ (…同じ戦術なら、二の舞だろうね)

私はチラリとユウキの横顔を見る。
特に考えているようには見えない…こいつには、結果が何となく読めているのかもしれない。
いや、逆に言えば…それを覆せなければ、終わり。

ヒビキ 「行くぞリザードン! ダイノーズに『かえんほうしゃ』!」

ハルカ 「!? どうして岩タイプのダイノーズを…」

ユウキ 「ちなみに言い忘れてたが、ダイノーズは進化して『はがね』タイプになる」
ユウキ 「炎なら、通常通りのダメージさ…とはいえ、賢い選択とはとても思えないね」
ユウキ 「ダイノーズの特殊防御は、並じゃない…よほどのレベル差が無ければ」

リザードン 「グオオオッ!!」

ゴオオオオオオオオオワァァァァァッ!!

ダイノーズ 「!! ノーッズ!!」

ブォワァッ!!

ハルカ 「炎を吹き飛ばした!?」

ダイノーズは『かえんほうしゃ』をモロに食らう。
しかし、ダイノーズはまるで怯みもせず、横に1回転して炎を吹き飛ばした。
ダメージは大してあるようには見えない。

ユウキ 「と、ああなる…弱点でも易々とは倒れちゃくれないよ」

ハルカ 「…なるほど、ね」

あの『かえんほうしゃ』の威力でも、ダメージにならないなんて…
ヒビキさんの表情は一瞬強張る、予想外…と言うほどではなさそうだけど。

ヒビキ (やはり、ダメージにならんか…だが、今のでダイノーズの傾向はある程度読めた)

ミク 「ユキメノコ、リザードンに『れいとうビーム』!」

ユキメノコ 「ユッキーー!」

コオオオオオォォォッ!!

リザードン 「ザアアァッ!!」

リザードンは攻撃後に『れいとうビーム』を食らい、ダメージを追う。
逆にこっちは随分と効いているようだ。

ユウキ 「攻撃力はともかく、防御力に差がありすぎる…ダイノーズ相手にまともな打ち合いは危険すぎるね」
ユウキ 「俺なら、先にユキメノコを集中的に狙う…リザードンもエアームドも氷には相性がいい」

ユウキの言うことはもっともだった。
結果を見れば、どちらに軍配があがっているのかは明白。
同じことを続けていれば、結果は見えてる。
だけど、ヒビキさんの顔は追い詰められているような顔ではない。

ヒビキ 「エアームド、ユキメノコに『はがねのつばさ』!」

エアームド 「エアッ!」

バササッ!!

ミク 「ダイノーズ『がんせきふうじ』」

ダイノーズ 「ノズッ!」

ドガガッ!!

エアームド 「ムドッ!?」

向かってきたエアームドをダイノーズが『がんせきふうじ』で止める。
いくら防御力の高いエアームドでも、そのまま砕いてくるのは無理だった様だ。

ヒビキ 「リザードン『きあいだま』! エアームド『かげぶんしん』!」

リザードン 「リザーーー!!」

ギュゥゥンッ!! ドギャアアァッ!!

リザードンは両手を胸の前に出し、『きあいだま』を作る。
そして、エアームドのいる位置に向かって発射し、エアームドは『はがねのつばさ』で『がんせきふうじ』を砕く。

エアームド 「エアッ!」

ドガァッ!!

エアームド 「エアッ!!」

バババッ!!

ユキメノコ 「!!」

ギュアァァァッ!!

エアームドは『かげぶんしん』を行い、ギリギリの所で『きあいだま』をかわす。
エアームドの分身を貫いた『きあいだま』はそのままユキメノコへ…

ハルカ (って、ゴーストに格闘は…)

ヒュンッ! ドォォンッ!!

ユキメノコの体をすり抜け、『きあいだま』はユキメノコの後ろに着弾する。
地面を吹き飛ばし、砂煙を上げるが、別に目潰しにすらなりはしない。

ユウキ (…理解に苦しむね、どうしてあんな指示をしたのか)
ユウキ (意味が無い…『きあいだま』じゃなく、『かえんほうしゃ』なら、ユキメノコにダメージを与えられたはずだ)

ハルカ (…ヒビキさんは、やっぱり表情を変えない。何かを…見てる?)

ヒビキさんは、無駄な行動を取っているようにも見える。
だけど、本人の顔からはそう思えなかった。
むしろ、ここまでの行動は全て、何かを確認するかのような素振りだ。

ヒビキ (…なるほどな、これで確信に変わった)

ミク 「ユキメノコ、『ふぶき』! ダイノーズは『いわなだれ』!」

ユウキ (同時に、多数攻撃か…上下左右、逃げ場は無い)

ユキメノコ 「ユッキーー!!」

ビュゴゴゴゴオオオオオオオオオオオオオォォォッッ!!!

ダイノーズ 「ノーーッズ!!」

ドガガガガガッ!!!

ヒビキさんのポケモンに対し、正面から『ふぶき』が、空中からは『いわなだれ』が襲い掛かる。
上下左右をほぼ同時に攻撃し、逃げ場はまるで無い。
食らえば、ダメージは確実に受ける…一体、どうする!?

ヒビキ 「リザードン『みがわり』! エアームドは上で『まもる』!!」

リザードン 「リザッ!!」

ボンッ!!

エアームド 「ムドッ!」

バササッ! ピッキィィィンッ!!

ヒビキさんの声に即座の反応を見せるポケモン。
リザードンは『みがわり』を作り、『ふぶき』を受け流す。
やや遅れて、エアームドがリザードンの真上に飛び、『まもる』で『いわなだれ』を受け止めた。
完璧な防御方だ、ダイノーズのスピードが遅かったため、エアームドの行動が間に合ったと言える。

ミク 「ユキメノコ『みずのはどう』!」

ユキメノコ 「ユッキッ!」

ギュバァッ!!

ユキメノコは顔に着いているもみあげ(?)から『みずのはどう』を作り出し、リザードンに向けて放った。
スピードが今までと違う、まさか…ここまでは意図的に抑えてた!?

ユウキ (やっぱり、そうか…ユキメノコにしては、遅いと思ってたんだ)
ユウキ (わざとリザードンよりも遅いと思わせておいて、これか! あまりにも急でリザードンは回避しきれない!)

バッシャァァンッ!!

リザードン 「ガアァァァッ!!」

直撃を受け、リザードンは後ろに倒れそうになる。
だが、二本の足でしっかりと大地を踏み鳴らし、踏みとどまって見せた。
そして、次の瞬間、リザードンの体から蜃気楼が現れる。

ユウキ (熱量が一気に高まった! 『もうか』だ)
ハルカ (リスクを負った分のリターンはこれで返せる!)

ヒビキ 「リザードン! 『ねっぷう』だ!!」

リザードン 「グゥゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォッ!!!」

ゴオオオワアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァッ!!!

リザードンがこれまでにない咆哮をあげて炎を吐き出す。
その炎は、通常の物ではなく、『ねっぷう』と呼ばれる技だった。
私は見るのが初めての技で、どうやら風圧系の技のようだ。

ジュジュジュジュジュジューーーーー!!

ユキメノコ 「ユ、ユッキーーーー!!」

ダイノーズ 「ノズッ!!」

ゴオオオオオォォォッ!!

弱点のタイプに苦しむユキメノコを見てか、ダイノーズが指示も無しにユキメノコを庇う。
だが、いくらダイノーズでもダメージはかなりあるようだった。

ヒビキ (仲間を庇うか! この時点でお前たちの負けだ!!)
ヒビキ 「エアームド『いわくだき』!!」

エアームド 「エアーッ!!」

『ねっぷう』の終わり際に、エアームドが高速でダイノーズに向かう。
『いわくだき』は格闘タイプの技。鋼も岩もこれには弱くなる、食らえばダイノーズは…!

ミク 「『だいばくはつ』!」

ダイノーズ 「ノーーーーッズ!!」

カッ! チュッドオオオオオオオオオオオオオォォォォォッン!!!!

エアームド 「エ、エアッ!?」

リザードン 「リ、リザーーーーーーーー!!!」



………。



ヒュゥゥゥゥ…

ダイノーズ 「……」

ミク 「……」

シュボンッ!

ミクさんは、ダイノーズを無言でボールに戻す。
やることはやったという顔だ。
表情ひとつ変えずに、この状況を冷静に受け止めていた。

ハルカ (…ま、まさか、ここで)

ユウキ (…何となく、予想はしてたけどな)

さすがのユウキも苦い顔をしていた。
爆風に驚いたとかそんな小さなことじゃない…この展開に予想を裏切られたって顔だ。
ダイノーズはエアームドより先に技を発動した…『ねっぷう』に巻き込まれないため、エアームドが行動を遅らせたのが原因だ。
エアームドだけならいざ知らず、爆風はリザードンにまで及んだ。
リザードンは元々残り体力が少なかったため、起き上がる気配は無い。
そして…ゴーストタイプのユキメノコは…無傷。

ハルカ (完璧な攻撃だわ…あのタイミングで発動されたらら、もうどうしようもない)

ユウキ (起き上がれるか? できなきゃ終わりだ…)

私たちは、地面に突っ伏すエアームドに注目する。
すると、ヨロヨロになりながらも、しっかりと起き上がるエアームドの必死な姿が映った。
ヒビキさんは、それを確認し、リザードンのみをボールに戻す。

エアームド 「エ、エア…!」

リザードン 「……」

シュボンッ!

ヒビキ (…予想はしていた、だが予想以上の攻撃力だ)
ヒビキ (防御力の高いエアームドに対し、半減させたダメージでこれとはな!)

ミク 「ユキメノコ『れいとうビーム』!」

ユキメノコ 「ユ、ユキッ!」

ヒビキ 「『はねやすめ』!」

エアームド 「!!」

コオオオオオオオオォォッ!!

エアームドは咄嗟に『はねやすめ』を行い、ダメージを回復する。
しかし、すぐに『れいとうビーム』が襲い掛かる、今の体力じゃこれを耐えるのは…

エアームド 「!! エアーーーッ!!」

ハルカ 「うそ!? 回復した!?」

ユウキ 「『はねやすめ』の効果だ…飛行タイプがこれを使っている間は、飛行タイプの弱点は無くなる」
ユウキ 「鋼タイプは氷タイプが効きにくい、何とか凌いだみたいだな」

ユウキは冷静に解説してくれる。
そ、そうか…そんな効果が『はねやすめ』にあったのか…と言う事は。

ヒビキ 「これで、形勢逆転だ! エアームド『こうそくいどう』!」

エアームド 「エアッ!」

バヒュンッ!!

体力を回復させ、再び空を飛ぶエアームド。
しかもスピードを倍化させ、一気にユキメノコに向かって行った。

ヒビキ 「エアームド!」
ミク 「『こごえるかぜ』!」

ユキメノコ 「!!」

ヒュオォォォ…

ヒビキ 「『はねやすめ』!」

エアームド 「エアッ!!」

ザシャアアアァァァッ!!

ミク 「…!」

ここで、初めてミクさんが表情を変える。
エアームドの反応が予想以上に早かったためか、エアームドは先に地面に着地してしまったのだ。
その後、『こごえるかぜ』を受け止め、エアームドは更に体力を回復させた。
ユキメノコの体力も残りは少ない…もはや、以前のようなスピードは出ていないわね。

ユウキ 「詰みだ…これ以上はユキメノコが対応しきれない」
ユウキ 「体力を回復した今のエアームドが相手じゃ、結果は見えてる」
ユウキ 「降参するべきだ…今のユキメノコじゃ、弱点攻撃は耐えられない」

ハルカ 「…だけど、まだ勝負は終わってない」

ユウキは、確かに正しいのだろう。
ポケモンのことを考えれば、危険を避けて降参するのは決して悪いことじゃない。
だけど、退けない時だってある…ましてやミクさんが、そんな選択を取るとは思えない。
私だって、最後まで絶対に諦めない!

ミク 「ユキメノコ『ふぶき』!」

ユキメノコ 「ユッキー!」

ヒビキ 「エアームド『はがねのつばさ』!!」

エアームド 「エッアーー!!」

ビュゴオオオォォッ!! ギュンッ!!

ユキメノコの『ふぶき』を正面からエアームドは突破する。
ダメージは絶対にある、だけどエアームドは退かなかった。
そして、スピードが減少しつつも、エアームドは『はがねのつばさ』をユキメノコにぶち当てた。

ドッギャァッ!!

ユキメノコ 「ユッキーー!!」

ドシャァッ!! ズダンッ! ズザザァッ!!

派手な音をたて、ユキメノコは地面に二度、三度とぶつかって地面を転がった。
そして、当然のように起き上がる気配は無い、完全に今回はヒビキさんの勝利だ。

シュボンッ!

ミク 「……」

ヒビキ 「これで…1対1だ」

ユウキ (最初は相性の差を覆されて負けた様な物だった)
ユウキ (今度は、きっかり相性通りって所か…まっ、実力で勝ったとは言い難いだろうね)
ユウキ (爆発の時点での判定だったら、ミクさんの勝ちだったろうからな)
ユウキ (しっかし…ミクさんの戦い方は、まさに鬼だな)
ユウキ (攻めのみを追求し、極めた戦い方だ…詰めが通用する相手じゃない)
ユウキ (ユキメノコの最後の『ふぶき』…間違いなく、倒す気で放った気迫の一撃だ)
ユウキ (俺の予想なんて、遥かに超えていた…『はねやすめ』の回復量がもうちょっとでも足りなかったら…まず耐えられなかったろうな)

ハルカ 「……」

ユウキは、考え込むような表情で目を瞑っていた。
今のバトルに対し、ユウキはどう思ったのだろうか?
私には少なくとも、戦慄が走っていた。

ハルカ (ミクさんも、ヒビキさんも…本当に凄い)
ハルカ (私なんかが戦ってたら、きっと呆気なく終わってる)
ハルカ (成長する暇なんてない…まさしく、一番嫌な相手だ)

私の今のレベルでなら、少しはマシに戦えると思っていた。
だけど、それが甘いと言うのがよくわかった…。
今の私じゃ…ザラキさんやヒビキさんには絶対勝てない。
レベルの差は埋められても、多分負ける。

ハルカ (もっと…根本的な部分で追いつかなかったら、勝負にならない)
ハルカ (まさしく『気迫』…闘う気を持って、ポケモンの背中を押す)
ハルカ (その中に優しさや甘さは微塵もない…これは、鬼のバトルだ)

だけど、私は私のバトルを信じる。
優しさが不要だとか、甘いから勝てないとかは思わない。
それでも勝てる、と自分のポケモン信じられなくなったら、終わりだ。

ミク 「…最後のバトルね、1対1のシングルバトル」
ミク 「最後は、このポケモンよ!」

ボンッ!

ドダイトス 「ドッダーーーーーー!!」

ミクさんが最後に出したのは、巨大な緑のポケモン。
4足歩行で、背中に木を生やしている。
草タイプなのが、何となく予想できた。

ユウキ 「…ドダイトスか、シンオウ地方の初心者用ポケモン、草タイプのナエトルが進化したポケモンだ」
ユウキ 「草タイプと地面タイプの併せ持ちで、パワーはかなりの物だ」
ユウキ 「反面、特殊系は苦手で素早さも遅い」

ハルカ 「……」

ミクさんのドダイトスはどっしりと落ち着いていた。
戦うことに慣れているのがわかる。
恐らく、あのポケモンはミクさんが一番信頼を寄せるポケモンだ。

ヒビキ 「…ならば、俺はこのポケモンが最後だ! 『カイリュー』!」

ボンッ!

カイリュー 「リュー!」

ヒビキさんが最後に繰り出したのは、ヒビキさんの切り札とも言えるカイリュー。
最も長い時間を一緒に過ごし、ヒビキさんが一番信頼するポケモンだ。

ユウキ 「カイリューか…相性はいいが、果たしてどうなるかな?」

ハルカ 「……」

予想なんて、できはしない。
ここまでのバトルを見て、相性差は微妙だ。
相性でバトルが左右されるレベルなら、このバトルは必要ないだろう…

ハルカ (どちらにしても…結果は自ずと出る!)

ヒビキ 「先手はもらう! カイリュー『かえんほうしゃ』!」

カイリュー 「リュー!!」

ゴオオオオオオオオォォッ!!

カイリューは先制で口から『かえんほうしゃ』を放った。
見た目からして鈍重に見えるドダイトスはその場を動こうともしない。

ミク 「ドダイトス『ストーンエッジ』!」

ドダイトス 「! ドッダーーーーー!!」

ゴオワアアアアアアァァァッ!!

炎に焼かれるドダイトス。
だが、ドダイトスは苦しみつつも、前足を地面に強く叩きつける。
その瞬間、カイリューの足元から岩が飛び出す。

ドガガガガガガッ!!

カイリュー 「リュ、リューーー!?」

地上に立っていたカイリュー目掛けて鋭利な岩がいくつも飛び出し、カイリューを傷つける。
互いに効果は抜群の技、ダメージ覚悟で立ち向かうなんて…

ユウキ (馬鹿げた戦略だ…回避されることも考えられた。『まもる』とか覚えさせてないのかよ)
ユウキ (普通なら受け流して反撃するところだ、わざわざ相打ち狙いで立ち向かう必要性がわからない)

ハルカ (防御していたら、反撃は確実に間に合わなかった…)
ハルカ (あのタイミングで反撃させたからこそ、カイリューにもダメージを与えることができた)

カイリュー 「リュ、リュー!」

ヒビキ (見た目以上に効いているな…想像以上のパワーだ)
ヒビキ (だが、相手も相当なダメージのはずだ…スピードに勝るこちらが有利!)
ヒビキ 「カイリュー『れいとうビーム』だ!!」

ミク 「ドダイトス『じしん』!」

ユウキ (正気かよ!? 相手は飛行タイプだぞ!)

ハルカ (カイリューは地面に足を着けてる、同時に打ち込めば…!)

カイリュー 「リューー!!」

コオオオオオオォォォッ!!

ドダイトス 「ドッダーーーーーーー!!」

ドッガアアアアアアアアアンッ!!! コキィィンッ!!

ヒビキ 「!? 飛べカイリュー!!」

カイリュー 「!! リューー!!」

ドガガガガガッ!!

何と、ドダイトスが放った『じしん』は地面を隆起させ、『れいとうビーム』を遮った。
同時にカイリューを攻撃するが、ヒビキさんの早い反応でカイリューは難を逃れる。
今の一撃が決まっていたら、共に倒れていてもおかしくなかった。

ヒビキ (凄まじい威力だ…あのまま地上にいたら間違いなく倒されていた)
ヒビキ (正面から技を放っても倒せんか…だが、それができなければこの先の戦いには勝てん)
ヒビキ (やるしかないんだ…俺が勝つには!)
ヒビキ 「カイリュー! 『げきりん』だ!!」

カイリュー 「リューーー!!」

ギュオンッ!!

カイリューは自らの体から、異様な気を発しドダイトスに向かって急降下する。
確か、あの技はドラゴンタイプの技…弱点攻撃でなく、力技で勝ちに行った。

ミク 「ドダイトス『ウッドハンマー』!!」

ドダイトス 「ドッダーーー!!」

ドスンッ! ドススンッ!! ドッスゥンッ!!

大きな地響きをあげながら特攻するドダイトス。
今の技ははじめて聞く技だけど、名前から想像はできる。
間違いなく、草タイプの大技だ。
ミクさんは、正面から打ち勝つつもりだ…相性なんて考えてない。

ユウキ (常識的じゃない! カイリューには草タイプの攻撃がほとんど効かないんだぞ!?)
ユウキ (ドダイトスがいくら頑丈でも『げきりん』を食らえば倒れる!)

ハルカ (相手にダメージを与えるためじゃない…ミクさんは『技』に打ち勝つため、一番強力な技を繰り出したんだ)

カイリューとドダイトスが一気に接近し、互いの技がぶつかる。
ドダイトスの正面に大木とも思える木が現れ、それをドダイトスはバタリングラムの様に叩きつける。
対してカイリューは右拳を固め、全力でそれを振るった。
互いの技が正面からぶつかる、攻撃力の高い方が単純に打ち勝つ!

ドガッ!

カイリュー 「リュ、リュ〜!!」

ドダイトス 「…ドッダーーー!!」

ドゴアァッ!!

ヒビキ 「カイリュー!?」

ミク 「ドダイトス『かみくだく』!」

ドダイトス 「ドダッ!!」

ガブゥッ!!

カイリュー 「リュ! リュ〜!!」

ドダイトスは『ウッドハンマー』で『げきりん』を止め、即座にカイリューの足にかみついた。
そして、凄まじい顎の力でカイリューの左足を『かみくだく』

ミシミシィッ!!

ミク 「ドダイトス、そのまま地面に叩きつけろ!」

ドダイトス 「!!」

ドッズゥゥンッ!!

ヒビキ (攻撃を止められ、『げきりん』の効果が続かんか!)
ヒビキ 「カイリュー! 『かえんほうしゃ』だ!!」

カイリュー 「リューー!!」

ゴオオオオオォォォッ!!

ドダイトス 「ドダーー!!」

地面に叩きつけられながらも、カイリューはしっかりとドダイトスに『かえんほうしゃ』を見舞う。
だが、ドダイトスはそれさえも耐え、次第に緑の気を放ち始めた。

ユウキ (『しんりょく』の光…もうドダイトスは体力が残ってない)

ハルカ (次が最後の攻撃…食らった方が負ける!)

ミク 「ドダイトス『じしん』!!」

ドダイトス 「! ドッダーーーー!!」

ヒビキ 「『つばめがえし』!」

カイリュー 「リュッ!」

ヒュンッ!!

ドダイトス 「!?」

ドッガアアァァァァァンッ!!

至近距離で地面は振るえ、『じしん』が起こる。
だが、ドダイトスはその際、口を離してしまったためカイリューは自由になってしまった。
対象のいない『じしん』は空振りに終わり、次の瞬間。

ドシュゥッ!!

ドダイトス 「ド…ドダーーー!!」

ドッズゥゥンッ!!

地響きを起こし、ドダイトスの巨体が地面に沈んだ。
体力は残っていない…この勝負は終わった。

カイリュー 「リュ…リュゥ…」

シュボンッ!

ヒビキ 「よくやったぞ…」

ヒビキさんカイリューをボールに戻し、は労いの言葉を呟いた。
そして、同時にミクさんもドダイトスをボールに戻す。

シュボンッ!

ミク 「…見事ね、さすがと言うべきかしら」
ミク 「だけど、私に勝てたからと言って…ザラキさんに勝てるとは思わないことね」
ミク 「私の実力は、あの人の足元にも及ばないわ」
ミク 「…心して戦いなさい、恐怖を持ったままじゃ勝負にもなりはしないわ」

ミクさんはそう言う。
だけど、実際にそれほどザラキさんと差があるのだろうか?
私にはそうは思えなかった。
ザラキさんの実力がいくら凄いと言っても、ミクさんとそこまで大差があるようには思えなかった。

ヒビキ 「…今回のバトル感謝する」

それだけ言って、ヒビキさんは背を向ける。
また、戦いの場に赴くのだろう…あの人はそう言う人だ。
迷いを持ったら進めない、だからそれを断ち切るために戦う。
それは…今の私にも言えることなのかもしれない。

ユウキ 「…さて、終わったことだし俺も帰る」

ハルカ 「何よ…私に会いに来たんじゃなかったの?」

私がふざけてそう言ってやるけど、ユウキは小憎たらしい位平静に。

ユウキ 「どアホウ、お前に女としての興味など無い」

ハルカ 「ぐは…いいけどね」
ハルカ 「あんた、結局バトル見に来ただけなの?」

ユウキ 「まぁね…暇だったのは本当さ。だけど…理由はまだある」
ユウキ 「まっ、その内教えてやるよ! じゃあな」

そう言って、ユウキは駆け足に去って行く。
あいつの心境は未だにわからない。
何を考え、何を思うのか。

ハルカ (あいつ…確かベテランと同様の経験があるって、博士が言ってわよね)

年齢は、確か私と同じ17歳。
単純に10歳からポケモントレーナーになったとしても、7年か…相当な年月よね。

ハルカ (リーグには出たこと無いって言ってたけど…絶対に信じられない)
ハルカ (あいつは、出たことがあるはずだわ…だけど、口にはしない)
ハルカ (何かあったのかしら…?)

しかし、気にはなってもその詳細を知る物は語ってくれないだろう。
ユウキにとっては、古傷かもしれない。
触られたくない過去は誰にでもある…でも、気になるわね。

ミク 「…ちなみに、さっきのはあなたの彼?」

ハルカ 「まさか」

私は即答する。
あまりにあっさりとした答えに、ミクさんは呆気に取られていた。

ミク 「…親しいみたいだけど、どういう関係なの?」

ハルカ 「…妙に気にしますね、ミクさんにしては」

私は逆にそう言ってみる。
すると、ミクさんは少し『しまった』と言う顔をした。

ミク 「…ごめんなさい、悪気は無いのよ」

ハルカ 「…いえ、ユウキはただの友達ですけど」
ハルカ 「オダマキ博士の息子なんですよ、それでミシロタウンの隣の家に住んでるんです」
ハルカ 「何かと、世話にもなって…まぁ、良き先輩ってやつですかね」

私は本心でそう言う。
実際、あいつは私によく関わってきた。
最初のバトルで、私に戦い方を教えてくれた。
2度目のバトルは、相性を利用したバトルを教えてくれた。
フエンでは、『ゴーゴーゴーグル』をくれた。
ヒワマキでは壊れたモンスターボールを直してくれたり、不甲斐ない私に説教をしてくれた。
ミナモでのバトル…バトル後、ユウキは私にリーグ出場を託した。
トクサネでは、ホエルコとサメハダーを交換した。
そして…サイユウ。
ユウキは私の図鑑と自分の図鑑を交換してくれた。

ハルカ (考えても見れば、感謝することの方が多い…)

よくよく考えても見れば、私はユウキと幾度と無くバトルをしている。
私の戦術の半分近くは、あいつとのバトルで進化したのかもしれない。

ミク 「…先輩、ね」
ミク 「ハルカちゃん、彼のことはどう思っているの?」

ハルカ 「友達…先輩…まぁそんな所ですね」
ハルカ 「愛情なんてこれっぽっちも無いですね」

ミク 「…そう」

ミクさんは、やけに気にしているようだ。
何なんだろう? この感じ…妙だ。
私は、悪いとわかりつつも、ミクさんの感情に触れてみることにした。
直接読むのではなく、触れる。
これだけなら、さほど負担も無く、私には感情の『色』がわかる位。
だけど、その色はかなり重要で、その人の考えている意図を図ることができる。

ハルカ (…ミクさんの色は青、か)

青の感情は、主に疑問…疑惑、嫌疑。
ミクさんは、何かを疑問に思っている。
信じていない…そんな部分がある?

ミク 「…ハルカちゃん、ごめんなさい」
ミク 「今日は、ここで別れるわ…ポケモンを治さないと」

ハルカ 「ええ、気にしないでください! 今回のミクさんのバトル、私にはとても貴重でしたから」

ミク 「そう言ってもらえると、嬉しいわ」

今度の色は赤。
ミクさんは本当に喜んでいる。
赤は、喜びや情の色。
ミクさんは、微笑してポケモンセンターに向かった。
その場には、私だけが残される。
私は、少し考えることにした…

ハルカ (この先…私はどうなっていくのだろう?)

私は自分の『道』を考え始める。
思えば、私の最終目的は、ここに来ることだけを考えて戦ってきた。
だけど、目的を達成した今、私には何かが足りなかった。

ハルカ (そう…今の私には、気迫が足りない)

満たされているわけじゃない…だけど、私には目的がはっきりと出てこない。
キヨミさんやキヨハさんに勝つのは、あくまで目標であり、過程だ。
だけど、その先が私には無い…。

ハルカ (私は…何をしたいの?)

そんな疑問が、ふと浮かぶ。
あまりにも漠然とした疑問だった。
もし…もし私がポケモンリーグを優勝したとして、チャンピオンになったとして…その先には何があるのだろう?
途中で負けた場合、私はそこから何を始めるのだろう?
私には…それが見つからなかった。





………………………。





『同日 時刻14:00 海岸』


ヒビキ 「…勝つには勝った」
ヒビキ 「だが…このままではミクの言うようにザラキさんには勝てん」

俺は、海岸で立ち尽くしていた。
今回のバトル、勝ったとはいえ相性の良さで勝ったも同然。
あんな変則ルールゆえに勝てたと言ってもいい。
このままザラキさんと戦っても、結果は見えているだろう。

ヒビキ 「…恐怖は不思議と無い。吹っ切れているのかもしれんな」

俺は負けることには慣れている。
負けて弱くなるのは、本質が弱いからだ。
俺は負ける度に強くなってきた。
もし、負けても…それは自身の成長と俺は割り切れる。
だが…負けるつもりで戦うことは無い。
バトルの場に出る以上、俺は全力を持って相手を叩き伏せる!
ワタルさんの言葉は、俺にはまだわからない。
だが、俺には俺の信念がある…俺は、それを貫く!

ヒビキ (…だが、気になるのはあの少年だ)

俺は、ハルカの隣にいた少年を思い出す。
間違いなく、今朝俺を打ち負かした少年だ。
俺は…あいつを以前にも見たことがある気がする。

ヒビキ (だが、思い出せん…それほど古い話か?)
ヒビキ (確か…ユウキとか言われていたが)





………………………。





『同日 同時刻 ポケモンセンター』


店員 「はい、あなたのポケモンは皆元気になりましたよ!」

ミク 「ありがとう」

私は回復したポケモンを受け取り、その場を去る。
一度部屋に戻ろうと思い、私はホテルへ向かった。



………。
……。
…。



『時刻14:15 サイユウシティ・ポケモンリーグ出場者用宿泊施設・ザラキ・ミクの部屋』


ガチャ…

ミク 「あ…ザラキさん、いらしてたのですか?」

ザラキ 「む…今日は部屋で瞑想をしていた」
ザラキ 「サイユウの空気はいいが…静かではない」
ザラキ 「瞑想するには、ここの方が都合がよくてな」

そう言って、ザラキさんは座禅を組んで瞑想をしていた。
私は、ちょうど良いと思い、あのことを聞いてみる事にした。

ミク 「ザラキさん…ユウキという少年をご存知ですか?」

ザラキ 「! オダマキの息子か、無論知っている」
ザラキ 「センリやオダマキと共々、何度か会ったことはある」
ザラキ 「…それが、どうかしたのか?」

ミク 「…聞かせてください、ユウキという少年はまさか」

私の中で彼についてひとつの疑問があった。
確信は無い、だけど、もし…関わっているのなら。

ザラキ 「…残念だが、ミク殿が求める言葉にはたどり着けまい」
ザラキ 「ユウキはただの少年だ…」

ミク 「…そうですか」

ザラキさんが嘘を吐くとは思えない。
私はこれ以上は諦めることにした。

ミク (もしかしたら…『時渡り』に関わっているのでは?と思ったけど)
ミク (証明できる人間は本人しかいないでしょうね)

ザラキ 「…ひとつだけ」

ミク 「?」

ザラキ 「ひとつだけ…腑に落ちないことがある」
ザラキ 「ユウキと言う少年、今年で12歳…と言う事になるそうだが」

ミク 「…それが、何か?」

ザラキさんは何かしらの疑問を持っているようだった。
そして、曖昧とも取れる声でこう告げる。

ザラキ 「…いや、12歳の少年としては…あまりにも大人びて見えるのでな」
ザラキ 「ふ…見た目で人を判断してはいかんな」

ミク (!? やはり、私の勘に狂いは無かった!!)

私は確信に変わる。
今日見た、ユウキと言う少年…あの姿で12歳とはとても思えない。
やはり、あの少年は時渡りの少年だったのだ!
私はいても立ってもいられず、その場から走り出す。

ダッ!

ミク (もしかしたら、帰れるかもしれない! 本当の時代に!)





………………………。





『時刻15:00 RMUビル・研究室』


オダマキ 「へぇ…そんなバトルがあったのかい」

ユウキ 「ああ…相当なレベルだったね、俺がやっても勝てる自信はないよ」

オダマキ 「はははっ、それでも顔は負けないって言ってるようだけど」

父さんは笑ってそう言う。
まぁ、どうかな…実際に戦うことはないだろうし、試しようもないけど。

研究員 「ユウキ君! 君に会いたいって言う女性が来てるよ!」

ユウキ 「はぁ? 女性って…誰?」

オダマキ 「ハルカちゃんじゃないのかい?」

研究員 「大人っぽい女性でしたよ…それもナイスバディの」

研究員はそう言って、冷やかしの視線を投げかける。
俺は心当たりが正直無い。
とはいえ、このまま出て行かないのはそれで面倒になるかもしれない。
俺はとりあえず、出て行くことにした。



………。



ユウキ 「一体、どちら様〜…って」

ミク 「会いたかったわよ、ユウキ君」

俺の前に立っている女性は、何とミクさん。
間違えるはずはない、バトルを直接見た後だ。
しかし…何で、俺を呼びつけたのか…?

ユウキ 「…人違いじゃないですか? 俺は、あなたとは初対面だと思うんですけど」

嘘は言ってない。
話したことはないし、目を合わせてもいない。
こうやって面と向かって話すのは初対面だ。

ミク 「…そんなことはどうでもいいわ。セレビィの居場所を教えて」

ユウキ 「!! 何のことですか、いきなり?」
ユウキ 「そんなこと、俺が知るわけ…」

ミク 「時渡りの少年…私は探し続けた! 私を元の場所に戻して!!」

俺は驚愕する。
どうやら…同類らしい。
だけど、それを公にするわけにはいかない。
かと言って、ここでトボけるのは、個人的に気が進まない。
同類なら、尚更だ。

ユウキ 「話はここじゃまずい…着いて来て下さい」

俺はそう言って、ミクさんをある場所に連れて行く。
あそこなら、誰も来ないし誰もいない。



………。
……。
…。



『時刻15:30 サイユウシティ・鳥獣保護区』


ユウキ 「…さて」

ミク 「……」

ミクさんは黙って俺の言葉を待っている。
だが、どうしたらいいものか。

ユウキ 「…最初に言いますけど、俺はセレビィの場所なんて知りません」
ユウキ 「仮に知っていたとしても、言うつもりはありません」

ミク 「…信じろと言うの?」

ユウキ 「信じるかどうかはそちら次第…俺は、嘘を言っていない」
ユウキ 「時渡りの同類なら、この意味がわかるはずだ」

ミク 「……」

俺が強い口調で言うと、ミクさんは黙って俯いてしまう。
予想は…していたんだろうな。

ユウキ 「見たところ…相当な時間を越えたみたいですね」

ミク 「…10年、よ」
ミク 「あなたは…5年でしょう?」

当てられる。
確かにその通りだ…。
俺は…戸籍上は12歳になっているからな。
本当の年齢は17歳…だが、12歳の俺はもういない。

ユウキ 「俺の倍…ですか」
ユウキ 「5年でも、俺には地獄に思えた…ミクさんはその倍を生きたんですね」
ユウキ 「…本当に、帰りたいと思いますか?」

ミク 「…ええ、そう思っているからこそ、こうやって会いに来たのよ」

本心だろう。
本当に、ミクさんは帰りたいと思っている。
だけど…俺にはそれが正しいとは思えなかった。

ユウキ 「…俺は、もう帰ろうとは思いません」
ユウキ 「俺が…『ユウキ』と言う名を取り戻した日から、俺は『ユウキ』として生きると決めました」
ユウキ 「現代に帰った所で、自分の居場所は多分ない」
ユウキ 「でも…この時代には居場所がある…居場所が作れる!」

俺は思い出す。
去年の4月…俺はミズゴロウと一緒に旅に出るはずだった。
だが…俺はトウカの森で『セレビィ』に会い…そして、『時渡り』をした。



…To be continued




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