ポケットモンスター サファイア編




Menu

Back Next



ルビーにBack ルビーにNext





第10話 「10月6日の恐怖…」





これは…私ユウキがホウエンに来て一年目、最も恐怖した時の日記である…。



『10月3日 午後2時 12分 ムロタウン 港』


ハギ 「もう、ムロの用事はいいのか?」

ユウキ 「はい! 次はカイナにお願いします!」

ハギ 「わかったじゃあ早速船に乗り込んでくれ!」

港でハギ老人に用事を終えたことを伝えると俺は早速ハギ老人の元に向かった。
幸いハギ老人は船の前で待っていたので会ってすぐ出発できるとの事だ。
ジム戦やって石の洞窟でダイゴさんに会ってすぐ出発…ハードすぎだな。

だが、俺にそんなことで弱音を言っている余裕は無い。
もう10月…時間が無いのだ!

タンタンタンタン…!


俺が船に乗り込むと船はゆっくりと加速してムロの港を離れた。
こっから107番、108番、109番水道を抜けないといけない。

ユウキ 「そういや、カイナシティまでどれ位かかるんですか?」

俺はふと疑問に思ってそう聞いてみる。
これの返答次第でスケジュールは厳しくなるからな…。

ハギ 「そうじゃな…この速度なら…11日までには着くじゃろうな」

ユウキ 「11日!? 一週間以上もかかるんですか!?」

今現在が10月3日、つまり11日は8日後になるわけだ。
さすがにきついな…覚悟は決めないといけないか…。

ハギ 「まぁ、昔は10日以上もかけて行っとったからな、のうピーコちゃん」

ピーコ 「キャモー!」

ピーコちゃんは船頭に立ってこっちを振り向きそう返事をする。
そういやピーコちゃんとハギ老人の付き合いって何年くらいになるんだ…?
少なくとも10年…いや20年は経ってそうだな…。

ユウキ (ポケモンってそんなに長生きだったけかな…?)

そして、俺は暇な1日を船の上で過ごすのだった。
ある意味いい休みになったか…?
船の上じゃリラックスできんがな。

ユウキ 「かったるそう〜…つーかもうすでにかったる」



…………………。
……………。
………。
……。
…。





『10月4日(月)』



ユウキ 「行けども行けども…海〜」

一日明けて昨日の明日、朝起きたら海だった…。
そして日が沈んでも海だった…。
海は飽きたぞ…コンチキショウ…。



…………………。
………………。
……………。
…………。
………。
……。
…。





『10月5日(火)』



ユウキ 「あ〜あ〜大海原のように〜」

今日も海…。
ココハ本当ニホウエン地方デスカ?
島ひとつ見えやしない。
なんか間違えて太平洋にでも出ちまったんじゃないだろうな…?

ピーコ 「キャモー!」

ハギ 「おお、少しずれていたか…修正しないとな」

そう言ってハギ老人は船を少し左へ旋回させる。
地図上に沿っていれば東に向かっているはずだが。

ユウキ 「はぁ…かったるい」



『10月6日(水)』



そして、やってきた10月6日…。
この日は最悪だ…。


ユウキ 「何でだ〜? なんで霧が出ているんだ〜?」

海に出て3日目正午位になっていきなり霧が海に立ち込め始めた。
…て、ヲイ、おかしいだろ?
普通霧っつうのは寒く凍った空気が徐々に暖かい空気がそれを溶かして大量の水蒸気を辺りに出すものだぞ?
例外もあるが基本的には朝日が昇ったと時、つまり明朝に起こる現象だ。
それが何で昼に…?

ユウキ (俺たち…黄泉の世界にでも来たのか?)

ピーコ 「キャモ…」

ハギ 「まずいのう…これでは方角はおろか数メートル先も見えんぞ…」

ハギ老人とピーコちゃんはほとほと困っている様子。
つーか寒いし…。
霧が出てるっていうことはある程度寒いって事だからな。
って、…ありえね〜…。

ユウキ 「…て、アレは…?」

俺は霧が出て数時間…太陽の光もあまり通らず常に薄暗く今何時かもわからない中ある『モノ』を発見する。
それのまず第一印象は大きさ…。
それはハギ老人のこの小型船とは比べ物にならない程の巨大さ。
そして容貌…。
それはまさしく船だった…。
ただ、それは漁業船やフェリーと言ったものとは違う。
…豪華客船、言うなればそれである。
装飾は割と地味で大して目を引くものではいない。
ただ、問題はそこじゃない。

何故、こんなところにこのような船が…?
見た所座礁しているようだがどうも様子がおかしい。
船は死んでいるように静寂に包まれている。
しかしそれにしては妙に小奇麗だ…。
錆(サビ)や崩れはない。
しかしそれにしては船は大きく海面から乗り出していた。
通常ではありえないくらい…船の底の浮力タンクが見えるくらい乗り出していた。
その船の周りには小島が3つ…それどれマングローブの木が1本づつ育っていた。

ユウキ 「ハギさん…これは…?」

ハギ 「見た所座礁した船のようじゃな…」

そんなことは俺にも分かります…。
でも、俺が聞きたいのはそんなことじゃなくて…。

ハギ 「ふむ…見た所状態は良いな…」
ハギ 「よし、今日はここで一泊しよう」

ユウキ 「え!?…マジスカ?」

ハギ 「仕方がないじゃろう…この霧じゃ航海は危険すぎるし…のう、ピーコちゃん」

ピーコ 「キャモー!」

ユウキ 「そりゃそうだけど…」

ハギ老人とピーコちゃんは船にあからさまに怪しく掛けてあった昇降用はしごを上って行く。

ユウキ 「幽霊は怖くないけど出たらやだなぁ〜…」

しかし、俺だけ残るわけにも行かずしぶしぶハギ老人達のあとを追った。



ユウキ 「…これって状態良いって言うんですか?」

ハギ 「………」

さすがのハギ老人も甲板に上った途端唖然とした。
その理由は甲板の状態…。
いたるところ穴だらけで歩くところがほとんどない状態だった。

ハギ 「ま、まぁ…中は大丈夫じゃろ…行くぞ、ピーコちゃん」

ピーコ 「キャモ…」

ピーコちゃんも怯えたようにしてハギ老人の後を歩いて追って中に入っていった。

ユウキ 「………」

俺も絶句しながらその後を追い、中へ入った。



……………。



ユウキ 「はぁ…」

とりあえず一応無傷の部屋を見つけてそこのベットで倒れていた。
ベットは埃を被っており虫食いにあっていないのが不思議だが特に気にしなかった。
埃も払う気が起きない。

ユウキ (そういや、俺のホウエン人生って波乱万丈な気がするなぁ…)

唐突だが今俺の頭には走馬灯のごとく思い出が駆け巡っていた。
ま、別に死ぬわけじゃないけど。

ユウキ 「考えてみればこれが何だってんだよな」

考えすぎだよな、これが亡霊船って可能性はあるってだけだ。
でも、その可能性は低い…つーかほぼありえない。
ただ、雰囲気に惑わされただけなんだ…。

ユウキ 「でも…昼間に霧が出るなんて…」

だめだぁ…。
妙に賢いのも考え物だな…。

ユウキ 「はぁ…すっげーかったるい」

俺はいい加減雰囲気に堪えかねてもう寝ることにした。


…。
……。
………。
……。
………。
…。
………。



ユウキ 「眠れん!」

俺は目を瞑ったのはいいがそのままでは恐怖で眠れなかった。
逆に見えてることが恐怖になるんだよな。
ていうか、目を開けても怖いけど目を閉じても怖いっていうのはどうかと思う。
どないすりゃいいねん…。

ユウキ 「幽霊は怖くないんだけどこういう雰囲気って怖いんだよな…」

ホラー映画を見ている感じかな?
全く無音の中俺が動くたびにベットが軋むのは嫌な感じだった。

ユウキ 「仕方ねぇ…」

俺はそう言うといきなり全てのモンスターボールを投げる。

スバメ 「スバー?」

キノココ 「キノキノ!」

かったるいがこいつら出しといたらとりあえず気は晴れるだろう。

ラルトス 「マスター…ここは?」

ユウキ 「さてな…」

ラルトス 「?」


…クスクス。


ユウキ 「何が可笑しいんだラルトス?」

ラルトス 「え? 僕笑ってませんよ?」

ユウキ 「あん?」

ラルトスは笑っていないと言う。
おかしいな…たしかにさっき笑い声が聞こえたんだが?

ユウキ 「………」

俺は少し考えてみる。
ラルトスじゃなければ一体誰が?

ユウキ 「………」

しかし、考え出すとすぐに嫌な感覚が俺を襲う。


クスクス…アハハ…。


グラエナ 「ガウ…?」

ユウキ 「………」

俺の首筋に冷たい雫が垂れる。
俺の汗だ…今一瞬俺の体は凍りついたかのような感覚が襲った。

ユウキ 「誰か…いるのか?」

俺は扉の方を凝視してそう言う。


………。


答えは返ってこない。
まるで最初から誰もいないかのようだ。

ユウキ 「へ…上等じゃないか!」

俺はそう言う扉へと歩み寄る。
幽霊が怖くて覚悟を決めれるかっての。
シャドウと戦うほうがよっぽど怖いわ。

ガチャ。

俺は勢い良く…とはいかないが扉を開け外の様子を見る。

しかし、外の通路のには何も見えない。
左右に永遠と続くかのようにも思えるくそ長い客室通路。
一応上も見てみたがやはり何もない。

ユウキ 「やっぱり気のせいか」

俺はそう思い扉を閉じた。

ヌマクロー 「ヌマ…」

ヌマは俺が扉を閉じた後もなお扉の先を見続けていた。
俺には幽霊なんて見えないがヌマには見えているんだろうか?
見えない何かが…。

スタン…スタン…。

ユウキ 「またか…」

今度は足跡がする。
俺は今度は足音が消える前に扉まで行く。
そして、扉の前まで足音が来ると俺は勢い良く扉を開く。

ユウキ 「………」

やはり誰もいない。
…まったく、なんだってんだチクショウ。


俺はこれまた勢い良く扉を閉める。
だんだん腹がたってきた。
なんなんだよ…コンチキショウ…。

スタン…スタン…スタン。


ユウキ 「………」

今度は扉の前にはじめからいる。
そして、最初と同じようにできるだけ足音が近づくのを待つ。
そして、今度はさっきより少し遠い距離に来たところで扉を開ける。

ユウキ 「………」

そして、やはしいない…。
まじでむかつく…。

ユウキ 「ひんむいてやる…」

俺はそう呟いていい加減無視することにした。
ていうかいちいち構ってていても仕方がない。



………



ユウキ 「………」


スタン…スタン・…


ユウキ 「またか…」

しばらくたって再び足音が聞こえ始める。
しかし、もう俺はこんな物に反応はしない。
どうせまた俺を嘲笑うように行っても姿を消すんだ…。
つーか、いちいち構うのもかったるくなってきたしな…。


スタン…スタン…スタン。

やがて足音は俺の部屋の前に止まる。

ユウキ (はぁ、かったる…どうせ、そこで消えるんだろ?)

幽霊に構っていられるか。
…しかし、俺の予想に反して…。


ギィィィ…。

ユウキ (え!? 入ってくるの!?)

扉は開き何かが入ってこようとする。
俺はさすがにベットから飛び上がる。

ユウキ (こうゆう場合どうすればいい!?)

ここで…ふたつの選択肢があった。

まずはA…。
先制攻撃、姿を現した瞬間人間大陸弾頭弾(ドロップキック)!

つづいてB…。
様子を見てから判断。

→A
 B


ユウキ (様子なんて見ていられるか!! 殺らなきゃ殺やられんだ!!)

ベットから降り扉の方へ一直線に突っ込む。
そして…。

ユウキ 「おりゃー!!」

ハギ 「おー…い!?」

ユウキ 「げ!?」

俺は迷わずクロスボンバー張りにラリアットを放つ。
て、当たったらハギ老人ヤバイだろ!?

ユウキ (とまれー!!)

しかし、だめでした…。
ごめんよ、ハギ老人これもいい思い出に変わるから…。

ユウキ 「て、思い出に変えられるかー!!!」

俺は自ら転ぶことで何とかハギ老人への攻撃を阻止する。
まったく我ながら早とちりしたもんだ…。

ハギ 「大丈夫…か?」

ユウキ 「ええ、まぁ」

ハギ老人は倒れた俺の顔を覗きながら無事を確認してくる。

ハギ 「チーズサラミあるんじゃが…食べるか?」

ユウキ 「いりません…」

ハギ 「そうか…」

ハギ老人はそう言うと少々戸惑いながら部屋を出て行った。
つーか、なんでチーズサラミなんだよ…。
驚いちまったぜ…。

ユウキ 「はぁ、もう寝よ…」

俺は起き上がるとそのままベットへと倒れこんだ。



……………。



『10月6日? ?時??分 ?????』


ピチョン…。


ユウキ 「ん?」

突然雫の落ちる音。
俺はそれに目を覚ます。
一体何事かと思って回りを見渡すとどうも雫はこの部屋じゃないようだ。
つうか。

キノココ 「きの〜」(眠)

ツチニン 「ニィ…」(眠)

ポケモン達はそのまま地べたに倒れこんで眠っていた。
ボールに戻し忘れてたんだな…。
俺はとりあえず眠っているポケモン達をボールに戻すと窓から外の様子を見た。
外には相変わらず綺麗な月が映っていた。
こっちの空は本当に綺麗だ、月とそれを彩る星々たちが俺を不思議な世界へ誘ってしまいそうだ。

ユウキ 「月を見て残酷な気分になれるのは俺だけかな…」

月は好きだがその存在は怖かった。
月が俺を狂わし俺が俺でなくなりそうだから…。


ピチョン…。

ユウキ 「…通路か?」

どうも音は通路の方から聞こえているようだった。
まぁ、おんぼろ船だから雨漏りでもしているのかもな。

俺はとりあえず確認のため月に照らされた船内を歩き出した。


ガチャ、ギィィィ…。


俺は部屋を出るとまずそこの天井を見た。
ここじゃない…。


ピチョン…。


音は通路の左側から聞こえる。
俺はその音の方へと歩き出した。


キラン!


ユウキ 「!」

一瞬今何かが地面で光った。
俺はそれの側まで行きそれを確認する。

ユウキ 「何だ…剣?」

それは折れた剣の柄だった。
白銀剣の部分が月の光を反射して光ったのだ。
折れた剣ならもう1つつるぎの部分があるはずだがその辺りには見当たらない。

ユウキ 「! 何か書いてある…」

よく見ると剣の持つところになにやら文字が書かれていた。

ユウキ 「odurar?」

わけがわからん…つうかどう読めばいいんだ?
オドゥラー?

? 「………」

ユウキ 「!?」

俺は突然白銀のつるぎの部分に謎の存在を確認し、咄嗟に顔を上げる。

? 「………」

ユウキ 「なんだこいつ!?」

そいつは不思議な奴だった。
オレンジ色の身体で腹部に紫の水晶のようなものが見える。
手は二本というか四本と言うかなんともいえない奴だった。

?『チガウ…ニテハイルガチガウ…』

ユウキ 「!?」

突然頭に奴の声と思う物が響く。
ほんとうになんなんだこいつは!?

ポケモン図鑑 『ピコーン』

ユウキ 「ポケモン図鑑が反応した?」

ポケモン図鑑が反応した…ということは奴はポケモンか?

ポケモン図鑑 『デ………ス ……A……モン』
ポケモン図鑑 『た…が、ガガ、ガガガガガガガガ…!』

ユウキ 「なんだ!? どうなっている!?」

突然ポケモン図鑑が激しいノイズを出し始める。
電磁障害でも起きているというのか!?

ユウキ 「!? …まじかよ…」

突然その謎のポケモンの周りにオーロラが見える。

? 「……!」

ユウキ 「な! なんだ!?」

突然俺の周りに不思議な空間が広がる。
なんともいえない表現できない色で常に変化し続けるゆがんだ空間。
奴の攻撃か!?

ユウキ 「う…なんだ、この感覚!?」

突然何か最悪な感覚が体の中を電気のように流れる。
死の匂い…。
俺の周りにはそれが漂っていた。
この船の亡霊か何か知らないがそれは確実に俺を死の世界に誘っていた。
それに感づいた俺は瞬間俺の知らない自分が姿を現す。

ユウキ 「く…あっ!!?」

ドカァン!!

何か抑えられない物が俺の中を駆け巡り俺はそれを少し体外へ放出すると謎のポケモンのいた辺りが吹き飛ぶ。
もうその辺りには何もない、奴の水晶のみがその場に残っていた。

ユウキ 「な、何だこの力…!?」

不思議な空間は姿を消す。
やはり奴が作り出した物ということか。

しかし、それとは別に問題が発生していた。
死を感じた瞬間何かが弾けるように突然力が起こった…いや、目覚めた。
初めてじゃない…以前にも何度か感じたことのあった力だ。
実際にああいうようにその力が姿を現したのは初めてだった。

力はもう感じられなかった、一体なんだったのかはよくわからない。

キサマカ…コノフネヲアラスノハ!

ユウキ 「なんだ!?」

ノロイコロシテヤル!
キサマモジゴクヘミチズレダ!

やばい…。
今度は幽霊さんですか…。
つーか殺すとか言ってるし!
今度はさっき以上の死を感じる。
しかし、力は感じない…。

ユウキ 「てか、絶体絶命!?」

シネェェェェェ!!!!

ユウキ 「ぁぁぁぁぁ!!!!」

突然意識に激しい苦しみが襲う。
肉体的痛みではなく精神的に汚染されてしまう。
永遠に覚醒し続ける意識に憎しみや憎悪といった負の感情が逆流するようにどっと俺の精神に流れ込んでくるのだった。
最悪だった…生きているかどうかもわからない…ただ、永遠の苦しみがその時見えた。
気絶することも許されない…何も考えられない…。

『オレハココデシヌノカ…?』



? 「ター!」
? 「マスター!」
ラルトス 「マスター! 起きてください!」

ユウキ 「は!?」

突然腹部に少し重みが感じたと思ったらラルトスが乗っていた。

ユウキ 「ラ、ラルトス…?」

ラルトス 「よかった、やっと起きてくれた」
ラルトス 「もう、朝ですよ、こんな気味の悪いところさっさとおさらばしましょう!」

ユウキ 「………」

ラルトス 「…どうしたんですか?」

ユウキ 「…いや、なんでもない」

夢…だったのか?
俺は左手でボールラックのついたベルトを取り外に出しっぱなしのポケモン達をボールに戻した。

ユウキ 「体が重い…」

全身に何か倦怠感があった。
全くとんだ夢オチだぜ…。
俺はそう思ってベットから降りるとあることに気付く。


キラン!


ユウキ 「………」

俺の右腕には横に真っ二つに折れた剣が握られていた。
その瞬間俺の体温は3度ほど下がった気がした…。
俺は恐る恐る柄の部分を見る。

『odurar』

ユウキ 「ラルド…」

確かにあった、その言葉…。
どうゆうわけかそう言う言葉が頭にわく。
多分人の名前だと思うがそれが誰だかは知らなかった。
ただ、反対から読めば…。

『rarudo』

…そう書いてあった。




ポケットモンスター第10話 「10月6日の恐怖…」 完






今回のレポート


移動


ムロタウン→107番水道→108番水道→?


10月7日(ポケモンリーグ開催まであと145日)


現在パーティ


ヌマクロー

グラエナ

ラルトス

スバメ

キノココ

ツチニン


見つけたポケモン 17匹




おまけ



その10 「シタッパの捨てられ船探索」




シタッパ 「チクショウ…なんだってんだよチクショウ」

A 「ぼやくなよ、シタッパ」

俺は今107番水道上にある捨てられ船に来ていた。

話は少し戻るが、ムロを出た後無事カイナへ行ってミツルと別れたんだが、その先でイズミさんに作戦の失敗の罰として探知機をもってこいと言う命令を受けたのだった。

A 「船につけるぞ」

こいつはAと言う。
『エース』ではなく『エー』と読むのが正しいぞ。

ガコン!

船は捨てられ船に横からぶつかる。

シタッパ 「んじゃ行ってくる…」

A 「おう、早く戻ってこいよ」

俺はそのまま捨てられ船へと乗り込み探知機の捜索を開始した。

シタッパ 「しっかしおんぼろの船だな」

乗り込んで第一印象がそれだった。
そして、中に入るとこれまたぼろかった。
ホントにこんなとこに探知機なんてあるのか?
つーか、探知機なんて何に使うんだ?

俺はとりあえずそのまま中の部屋という部屋を片っ端から調べた。


………。


シタッパ 「畜生…ねぇぞ!」

俺は全部屋調べたが探知機おろかそれらしき機械もなかった。
もしかして、島流しじゃないだろうな?

? 「カゲ?」

シタッパ 「誰だ!?」

突然後ろを振り向くとそこには…。

シタッパ 「………」

誰もいなかった…。

? 「カゲ〜♪」

また後ろから声が…。
俺は振り向くが、やはしその先には誰もいない。

? 「カゲッカゲッカゲ♪」(笑)

シタッパ 「やろう…」

今度は笑い声がまた頭の後ろから聞こえる。
変な笑い方しやがって…。
俺は素早く後ろを振り向く。
と、同時にもう一回反転し、一回転する。

? 「カゲ!?」

シタッパ 「見つけた〜」

声の正体は『カゲボウズ』だった。

カゲボウズ 「カゲ〜♪」

カゲボウズは俺に見つかったのが余程嬉しいのか嬉しそうに俺の頭の周りをまわった。
浮遊してるからちょっと不気味だな。

でも、カゲボウズは地震でダメージ受けるんだよな〜なんでだろう?

シタッパ 「何なんだテメェは?」

さっきまでシメてやると思っていたがこいつの無邪気な顔を見ていたら一気にそう言う気分じゃなくなってしまった。

カゲボウズ 「カゲ〜♪」

シタッパ 「……」

これは無視しているのか、それとも答えかどっちだろうか?
どっちにしてもわからん…。

カゲボウズ 「カゲ! カゲカゲ!」

カゲボウズはなにやら叫んで何処かへ飛んでいく。
ついて来いってことか。

…………。


カゲボウズ 「カゲカゲ!」

シタッパ 「一体何があるんだよ?」

カゲボウズはある部屋まで行き部屋の角で俺を呼ぶ。
俺はその先を見ると。

シタッパ「こいつは探知機!?」

それはまさしく探知機だった。
もしかして、こいつを俺に教えてくれたのか?

カゲボウズ 「カゲ〜♪」

俺がそれを手にとるとカゲボウズはうれしそうにした。

シタッパ 「へ…まさかテメェなんかに教えられることになるとはな…」

カゲボウズ 「カゲ〜…?」

シタッパ 「ありがとよ…カゲボウズ」

カゲボウズ 「! カゲ♪」

しかし、これでやっと帰れるな。
これでイズミさんにも文句は言わせないぜ。

シタッパ 「じゃ、あばよ、カゲボウズ」

カゲボウズ 「カゲ、カゲ〜…」

カゲボウズは途端に悲しい顔をする。

シタッパ 「………」

こいつ、もしかしてずっとひとりぼっちだったのか?
よくよく考えればこんな所にいても誰もこないわな…。
てことはずっとここにこいつはひとりでいたのか…。

シタッパ 「おい、カゲボウズ…」

カゲボウズ 「カゲ?」

シタッパ 「お前にその気があるんならついて来い…子分くらいにはしてやる」

俺は後ろを向きながらそう言う。

カゲボウズ 「カゲ! カゲー♪」

カゲボウズはそれを聞くと嬉しそうに俺の後を着いてきた。
俺は振り向かずさっさとAの待っている船へと向かった。

カゲボウズ 「カゲ♪」

シタッパ 「たく…意味わかってんのかコンチキショウ?」

カゲボウズ 「カゲ?」

カゲボウズは何のことかわからないと言った顔で俺の前に出る。
こいつをしごけるほど鬼にはなれないか…チクショウ。



おまけその10 「シタッパの捨てられ船探索」 完


ルビーにBack ルビーにNext

Back Next

Menu

inserted by FC2 system