ポケットモンスター サファイア編



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第15話 「新パーティ、フエンへ…?」





『10月17日 午前5時28分 ポケモンセンター前』


ユウキ 「あ〜、みんな昨日はご苦労!」
ユウキ 「さて、今日朝早くからみんなにボールから出てもらったのは他でもない」
ユウキ 「知っている奴は知っていると思うがキノガッサがパーティから外れたため新しく入った仲間を紹介する」

俺はコホンと咳を吐き紹介を始める。

ユウキ 「新しい仲間のココドラだ、一応♀な」

ココドラ 「ココー!」

俺がココドラに手のひらを向けるとココドラは元気よく挨拶する。
ちなみにこのココドラ、石の洞窟で捕まえた赤い目のココドラだ。
ちなみに後々気づいたんだがどうもこのココドラ色違いらしい。
何で気が付かなかったんだろうな。

ヌマクロー「ヌマ〜」

キルリア 「えと…お久しぶりです…」


さてここで一旦みんなの紹介をしようと思う。

ヌマクロー 「ヌママ?」

まずはヌマクロー。
俺のファーストポケモン『ミズゴロウ』の進化系で俺にとっての取っておき。
実力も俺的には一番高い。
遠近、力に技、あらゆる局面に柔軟に力を発揮する万能ちゃんだ。
どうもせっかちな性格らしくそのせいかこの前自分の素早さで足を怪我したようだ。
コイツはコイツでおっちょこちょいなのかもしれないな…。


スバメ 「スバー♪」

次はスバメ。
103番道路で労せず捕まえてしまった鳥ポケモンだ。
素早さは現俺パーティ中で極めて高い。
その回避率の高さは優秀の一言に尽きるがあまりに打たれ弱い。
とはいえ、やはり俺のパーティにおいて重要なポケモンに違いはない。
ちなみに性格はどうも陽気な性格のようだ。


グラエナ 「ガウ?」

続いてグラエナ。
俺のセカンドポケモン『ポチエナ』の進化系だ。
実力はヌマと同等で接近戦ではヌマより一枚上手かもしれない。
性格はいたって冷静な性格で常に頭の中で動く作戦会議室があるようだ。
こいつの威嚇はどんなポケモンにも効くぞ。


キルリア 「ほら、あのときのラルトスですよ」

んで、コイツはキルリア。
俺にとってのサードポケモン『ラルトス』の進化系。
控えめな性格のようで必要以上にでしゃばらない。
時々性格が豹変するような時があるがあれはなんなんだろうか?
特攻は現パーティ内ではダントツのトップ、化け物の一言に尽きる。
また、人語が話せるから出番は多いぞ。


テッカニン 「ニンニン!」

最後にテッカニン。
ツチニンの進化系で昨日進化した。
素早さはダントツトップ。
こいつの前ではスバメでさえ霞んで見える。
しかもその限界と思われるところからコイツは更に加速する。
実質コイツより早いポケモンはいないんじゃないかとさえ思う。
ちなみに性格は以外に呑気な性格のよう。


ココドラ 「ユウキ、ココ?」

一応紹介、ココドラだ。
石の洞窟で捕まえたポケモンで俺を異常に慕っている。
愛情といっても間違いない…。
本人は俺のことをあらかじめ知っていたようだったが一体何者なのだろうか?
ちなみにココドラは防御型のポケモンらしく素早さは低いが防御は進化前のくせに1番だ。
ただし、素早さも下から1番だが…。
どうも本人はおっとりした性格のようだがどこがなんだろうか?

ココドラ 「ココ! ユウキ! ココ!」


そもそも、このココドラ自体不思議がいっぱいな気もするんだよな…。

ココドラ 「ココ! ココォ!」

キルリア 「ユウキさーん…」

ユウキ 「ん? あ、なんだお前ら?」

ココドラ 「ココ〜…」

ココドラはそんな俺の様子を見るとハァ…とため息をつく。
俺、なんかした?

ココドラ 「ユウキ、ココ…」

キルリア 「ボ〜として心配しましたよ」

ユウキ「そ、そうかすまない、で、自己紹介は終わったか?」

ココドラ 「ココー♪」

ココドラはバッチシといった顔で笑う。

ユウキ「なら、俺たちはこれからフエンタウンに向かうわけだが1週間近くかかるわけだが気合入れていこう!」

ココドラ 「ココー!」

ヌマクロー 「ヌマ!」

グラエナ 「ガウ」

テッカニン「ニンニン!」

ユウキ 「じゃ、戻れ、お前ら」

俺はそう言ってココドラから順番にポケモン達をモンスターボールに戻していった。
それが終わると俺は111番道路の方へ歩き出す。
フエンタウンには19日には着く予定だ。
テッセンさんの話ではそこにアスナという新人ジムリーダーがいるそうなのだが…。





………………。
……………。
…………。
………。
……。
…。





『10月17日』


ユウキ「ふう、なんか今日は暑いな…」

111番道路に入ってからなんだか暑く感じていた。
それに砂が妙に舞っている…。
ここら辺に砂漠でもあるのか?

ユウキ 「ふぅ…」

ここからは少なくとも砂漠なんて見えない。
単に今日はそう言う日なだけか…。





………………。
……………。
…………。
………。
……。
…。





『10月18日』


ユウキ 「キルリア! コイルに『ねんりき』!」
ユウキ 「ココドラはキルリアの盾になれ!」

キルリア 「ハァ!」

ココドラ 「ココー!」

ゴニョニョ 「ゴニョー!」

コイル 「コイー!?」

キルリアはコイルに『ねんりき』を当てる。
2発目のヒットにしてやっと倒れてくれた。
残るはゴニョニョ一匹だけだ。

ユウキ 「よーし! 最後はツープラトンでゴニョニョを攻撃だ!」

ココドラ 「ココー!」

キルリア 「はぁ!」

ゴニョニョ 「ゴ、ゴニョ〜…」

キルリアは遠距離からゴニョニョに『ねんりき』を放ちトドメにココドラの『たいあたり』が決まる。
それによりゴニョニョも倒れ、俺の勝ちだ。

インタビュアー 「すごーい! すごいすごーい!」

カメラマン 「いい映像が取れたぞ!」

さて、俺はいきなり何をやっているかというと某有名テレビ局のアナウンサーに引っ掛かってダブルバトルをする羽目になったのだ。
朝の早朝放送で逸材トレーナーを探しているんだそうだ。

インタビュアー 「君こそまさしく私たちが探していたトレーナー!」

カメラマン 「うむ、君を出せば視聴率も上がるかも!」

ユウキ 「え〜と…」

これって既に撮影されているんだよな…。

インタビュアー 「じゃ、アナウンスに応えてくれるよね?」

ユウキ 「だってさ…どうする?」

ココドラ 「ココ」

キルリア 「えと…僕も答えかねます…」

俺は二匹に振ると二匹は首を横に振ってしまう。
自分で考え自分で決めろってことですか…。
かったる〜…。

インタビュアー 「じゃ、まず君名前は?」

ユウキ 「えと…ユウキです」

インタビュアー 「ユウキ君! そう、それが彼の名前だー!」
インタビュアー 「じゃあ、ここで今回のバトルの勝因は何か一言!」

ユウキ 「え、えと…チームワークかな?」

インタビュー 「チームワーク! なるほど!」

ユウキ 「あはは〜…」

インタビュアーは俺の一言一言に随分なリアクションをしてくれる。
そして、カメラマンさんは常に俺を撮り続ける。
なんかやな感じだぞこれ…。

インタビュアー 「じゃあ! 最後に一言!」

そう言ってインタビュアーさんはびしっとマイクをこっちに近付ける。

ユウキ 「えと…キ…」

インタビュアー 「キ?」

ユウキ 「キルリア! 何か言え!」

キルリア 「ええ!? 僕ですか!」

ユウキ 「というわけで後任せた!」

俺はここでキルリアにマイクをまわす
どうもこういうのは苦手だ。

キルリア 「え、えと…」

インタビュアー 「ドキドキ…」

しかしこうやって見るとポケモンにインタビューするというのもおかしな光景だな。
わざわざインタビュアーが腰をおろしてキルリアにマイクを近づけキルリアは顔を赤くして下を向いている。

キルリア 「えと…どうもありがとうございました!」

キルリアは言うときはこっちが恥ずかしくなるぐらい顔を真っ赤にして裏返った声でそう言った。
可愛いもんだ。

インタビュアー 「はい! ありがとうございましたー!」

カメラマン 「ども、いい映像が取れたよ!」

キルリア 「恥ずかしい…」

ユウキ 「はは…よくやった、もうボールに戻れ」

俺はそう言うとボールを取り出しキルリアとココドラをボールに戻す。

インタビュアー 「それじゃあ、どうもありがとうございました!」

カメラマン 「またお願いしますねー!」

ユウキ 「あはは…かったるい…」

インタビュアー達は取り終えると手を振り何処かへ歩き出していった。
局へ戻って編集するのか、それともまた新たなトレーナーを探しているのか…?
どちらにしてもやっと旅が再会できる訳だ。
1時間近くも撮影を手伝わされる羽目になってしまったな。

ユウキ 「…痛!」

突然俺が進む方向、つまり北のフエンの方から砂が飛んでくる。
ただの砂じゃない、大変乾燥して硬い砂だ。

ユウキ 「何か111番道路に入ってからやたら砂が舞ってくるんだよな…」

俺はこの先に砂漠でもあるんじゃないだろうなとも思いつつ歩き出した。

ユウキ 「まさかな…」


しかし…それは本当に俺の前に姿を現すのだった…。



………。



ユウキ 「おいおい…まじかよ…」

ヒュウウウ…。

一面広がる黄色い景色…。
舞い上がる砂塵…。
前も見えぬほどの砂嵐…。
そう…それは、まさしく…。

ユウキ 「なんで砂漠があるんだよ…」

そう、俺の目の前には文字通り砂漠が広がっていた…。
本当になんで砂漠があるんだ…。
もしかしてここ通らないとフエンに行けないってことないよな…?

俺はそれを頭に思うと再び砂漠を見つめる。

ヒュウウウ…。

砂漠はいつまで経っても砂嵐が吹き荒れていた。
ここ通るのは無理だろ…?

確信があった。
砂嵐に視界を遮られて迷うのは確実だ。

ユウキ 「かったるいし、急がば回れか…」

俺はそう思ってこの砂漠を迂回することにした。
ここから西へ行くと山道に繋がりそうだ。
恐らくそれがデコボコ山、そこを越えればいいはずだ。





………………。
……………。
…………。
………。
……。
…。





『10月19日』


ユウキ 「えっと、この山を越えるには…」

キンセツを出て3日目、俺はとりあえずデコボコ山に来た。
後はこの山を越えればいいはずだが。
どうもそれには山のトンネル内を通らないといけないようだ。
ちなみにここ外でもかなぁり暑いんだけど…。

ユウキ 「どうしても通らないといけないわけ…?」

しかし、周りには誰もいないからその問いに答えてくれるものなどいる筈がなかった。
まさか山が答えてくれるはずないからな…。

ユウキ 「ハァ…かったる、行こ…」

何か凄く空しくなったので俺はさっさとデコボコ山を抜ける『炎の抜け道』へと入った。
最近かったるいって言葉が増えてきたように感じるのはなぜだろうか?




『炎の抜け道』


ユウキ 「中はもっと暑いぃ〜…」

中に入って第一声、真っ先に感じたのは暑さだった。
この山、間違いなく火山だな…。
地面の所々から白い煙がもうもうと立っていた。
まるで蒸し風呂だな、こりゃ…。

? 「マグマグ…」

ユウキ 「! マグマッグ?」

俺があまりの暑さに苦笑していると突然マグマッグが姿を現す。
野生のマグマッグだ、やる気かコイツ…?

マグマッグ 「マグー」

マグマッグはやる気がありそうな声で鳴く。
いや、ありそうだからわからならないけど…。

マグマッグ 「マグー」

ユウキ 「げっ!?」

俺がマグマッグの対応にどうしようか悩んでいるとマグマッグのやつ、いきなり『ひのこ』を放ってきやがった。
俺は咄嗟に身を翻してその『ひのこ』を回避する。
ちょっと火が首筋をかすめたので滅茶苦茶暑い…。

ユウキ 「も、燃え移ってないよな…?」

俺は首の辺りに手を当てて確認する。
大丈夫だ燃え移ってはいなかった。

マグマッグ 「マグー」

マグマッグはなおもとぼけた顔で鳴く。
とぼけた顔はドンメルだけでええっちゅーの!

ユウキ 「上等だ! 出てこい! グラエナ!」

俺はボールを腰から取り出すとグラエナを繰り出す。

グラエナ 「ガウ! ガルル…」

マグマッグ 「マグ…」

グラエナはいつも通り出てきていきなり『威嚇』をするがマグマッグには効いているのか効いていないのかわからない表情だ。
一応効いている…はず。

マグマッグ 「マグ〜…」

マグマッグはまた口から『ひのこ』を出す。

ユウキ 「かわして『かみつく』攻撃!」

グラエナ 「ガウ!」

グラエナは左に避けるとそのままマグマッグに突っ込む。

ユウキ (は!? ちょっと待て! 確かマグマッグの特性は…!)
ユウキ 「やばい!? グラエナ! 攻撃するな!」

グラエナ 「ガウッ!?」

グラエナはかみつく寸前俺の命令を受けて咄嗟にマグマッグを飛び超えてマグマッグのバックをとる。
マグマッグの特性は『ほのおのからだ』、触ったら火傷してしまう。
触れる技しか持たないグラエナは不利か?

マグマッグ 「マグ〜…」

マグマッグはグラエナの方を振り向くこともなくただ鳴いた。
やる気あるのか無いのかどっちなんだ…こいつ。

ユウキ (マグマッグは二つ特性をもっているからマグマのよろいの可能性もあるんだよな…)

マグマのよろいは凍らない特性だ。
こっちは凍らせる技はないから全く関係ない。
もしこっちならグラエナは攻撃しても大丈夫なのだが。

ユウキ 「賭けをする気にはなれんか…ここは!」

俺はその場から一目散に逃げ出した。
三十六計逃げるに如かずだ!
グラエナも少し反応が遅れたが持ち前俺より足が速いためすぐに追いつく。

マグマッグ 「マグ〜…」

マグマッグはなんとものんびりした泣き声でこちらに吼えた(?)。
下手に博打うって勝ってもグラエナに火傷されたらかなわんからな。

? 「コー!」

ユウキ 「へっ!?」

ゴゥ!

突然謎の鳴き声が聞こえたと思うと目の前を『ひのこ』が飛ぶ。
さっきのマグマッグの5割増位の威力だ。

ユウキ 「い、一体なんだ!?」

マグマッグから逃げたらまたしても炎ということ少々驚きながらも俺はその炎の出た先を見た。


? 「コー!」

ポケモン図鑑 『コータス 石炭ポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ0,5m 重さ80,4Kg タイプ 炎』
ポケモン図鑑 『石炭を燃やしてエネルギーを作り出す』
ポケモン図鑑 『火の勢いが無くなり弱まると元気が無くなり戦うときは石炭をたくさん燃やす』

『コータス』。
それは、陸亀のような姿で甲羅のてっぺんに大きな空洞がありそこから白い煙を出したり黒い煙を出していた。
肌は赤、甲羅は石炭のような黒だった。
動きは遅そうだが、その分硬そうだ。

コータス 「コー!」

コータスはやる気満々に勢いよく黒い煙を噴き出した。
こいつもバトルする気か!?

コータス 「コ〜…」

しかし、勢いよく煙を出した瞬間コータスは勢いが無くなり煙は白くうっすらとなる。
…石炭不足?
まぁ、なんにしてもこちらが息苦しいことに変わりは無かった。

ユウキ 「大丈夫か…?」

一応聞いておく。
勢いの無いやつと戦ってもあんまり意味ないからな。

コータス 「コー!」

今度は鼻から黒い煙を出す。
マジで息苦しいからやめてくれ…。

ユウキ 「くそ! こんなことしてたらこっちが先にダウンしちまう! グラエナ、『かみつく』攻撃!」

俺はもう向こうの反応を待っている余裕も無くなり、グラエナに攻撃命令を出す。
コータスの特性は確か『しろいけむり』だから問題なし!
ちなみにしろいけむりは『なきごえ』や『いかく』などによる能力値低下を防ぐ特性だ。

グラエナ 「ガウ!」

グラエナはその大きな口でコータスに噛みつこうとする。
どう見ても噛みついても効きそうになさそうだが『かみつく』は悪タイプの技。
つまり特攻技なので防御力には関係なし!
そこの所はポケモンの不思議だな。

コータス 「コ〜…コー!」

コータスはちょっと気だるそうだがここ一番で元気を取り戻しグラエナを迎え撃つ。

グラエナ 「ガウ!」

グラエナはコータスの頭に噛みつこうとするがコータスは頭を引っ込めてかわす。
そしてそのまま口から『えんまく』をだす。

えんまくは煙幕。
周囲一体を煙に包んでトレーナーの目も奪う。
また、目にこの煙が入ろうものならそのバトル中は目を開けられず命中率のダウンは必死だ。

ユウキ 「グラエナこっちまで戻って来い!」

俺がそう命令するとグラエナはこっちを向きこちらに走ってくる。
コータスとの距離は離れているから俺のところまでは煙はこない。

コータス 「コー!」

ユウキ 「やばい!?」

コータスはグラエナが背を向けたのを見て『ひのこ』を放ってくる。

グラエナ 「ガウっ!?」

グラエナはそれをわずかに受けてしまう。
『ひのこ』の射程はせいぜい1〜2メートル。
ところがあのコータスは4メートルは飛ばしてきやがった。
なかなか高い火力を有してやがる。

ユウキ 「なかなかやるじゃねぇか!」

これだけの力があるんなら即戦力にできそうだな。
俺はそう考えると手持ちのボールを確認する。

ユウキ (…モンスターボールがあるか)

手持ちにはモンスターボールが3つあった。
これだけあればとりあえずゲットできるか。

ユウキ 「おっしゃ! お前の力を見込んでゲット作戦開始だ!」

俺はそう言うとグラエナに再びかみつく攻撃をさせる。
まずはできるだけ弱らせて弱らせて…これでもかって位に弱らせる作業だ。
過程の判断は個人次第だが倒しちまったらゲットできないからな。

グラエナ 「ガウ!」

コータス 「コー!」

コータスは『ひのこ』を口から吐いて攻撃してくる。
グラエナはそれを前進しながらかわし、一気に距離を詰めてコータスの首にかみつく。

コータス 「コー!?」

それを喰らったコータスは怯んだ。
『かみつく』には怯み効果がある。
怯んでしまったらもう1発はダメージ覚悟だ。

ユウキ 「よし! もう一回!」

グラエナ 「ガウ!」

コータス 「コォー!!」

ゴォォ!

グラエナが噛みつこうとした瞬間突然コータスは口から激しい炎を出す。
その炎は一瞬でグラエナを覆い、竜巻のように渦を巻く。

ユウキ 「!? 『ほのおのうず』か!?」

ほのおのうずは炎の渦。
恐らく炎技で最も炎を使用する量が多い技で大抵の炎ポケモンにとっては最高位技だ。
その技は炎の渦で相手を包み、継続して炎によるダメージと空気を除外して相手の体力を奪う技だ。
効果として場に残りつづけるから別の技で追い討ちをかけることができる。

ユウキ 「まさか『ほのおのうず』まで使うとはな!」

しかし、実の所『ほのおのうず』は実用性に欠ける。
消費が高すぎるのと見た目以上にダメージの少なさが原因だ。
とはいえこの技はある種炎ポケモンの実力のパロメーターであることに変わりは無い。
『かえんほうしゃ』や『オーバーヒート』は技マシンによって覚えられる実力外の技だ。
その点、この『ほのおのうず』は技マシンには無くレベルアップでしか覚えられない。
ポケモンによって個体差はあるがこの技はある程度レベルが高くないと覚えないのだ。

ユウキ 「グラエナ! 『かみつく』!」

グラエナ 「ガウ!」

俺がそう命令するとグラエナは多少強引炎から抜け出しコータスに噛みつく。

コータス 「コォ!?」

コータスは2回かみつかれたかことでいい加減ダメージが溜まり足がふらつく。

ユウキ 「そろそろだな! いけ、モンスターボール!」

俺は頃合を見てコータスにモンスターボールを投げる。
コータスはモンスターボールに当たり赤い光がコータスを包むと粒子レベルにコータスは変化しモンスターボールに入る。
後は伸るか反るか…ゲットできたらオメデトさんだ。


……ボフゥン!


モンスターボールはいつもの機械音を出してそのままゲットの成功を示す。

ユウキ 「コータス、ゲット!」

俺はボールを手にとるとそう言う。
そしてボールは手持ちが満杯なのでボールについている転送装置でボックスに…。

ユウキ 「…あれ?」

何と既にポケモンを6匹持っているにも関わらずボールの転送装置は起動せずボールは手に残ったままだった。
ボールの故障か?

ユウキ 「て、言ってもそれを確認できないしな…」

はっきり言ってボールの仕組みなんて俺にはわからない。
本来はボールがパソコンに転送されるはずなのだがされないと言うことは明らかに故障だろう。
仕方が無いので俺はそれをバッグに入れてこの洞窟を抜けるのだった。

ユウキ 「ふう…今日中にはなんかフエンに着きそうに無いな…」

このとき俺は気が付かなかった…。
もう既にフエンへの道を間違え『ハジツケ』に向かっていることを…。




ポケットモンスター第15話 「新パーティ、フエンへ…?」 完






今回のレポート


移動


キンセツシティ→111番道路→炎の抜け道


10月19日(ポケモンリーグ開催まであと133日)


現在パーティ


ヌマクロー

グラエナ

キルリア

スバメ

テッカニン

ココドラ


見つけたポケモン 28匹

コータス

マグマック

ゴニョニョ



おまけ



その15 「コータスは照れ屋な女の子」




あ、さてさて今回はポケモン達のお話。
旅するユウキは炎の抜け道を抜けた後とある民家に一泊泊まる事になったのだった。
そこはケンコー婆さんの家、ユウキはまたいつものように外にポケモン達を野放しにして今日は少し早いが眠ることにするのだった。



………………。



ヌマクロー 「…よし」

キルリア 「どうしたんです? …あ、足治ったんですね!」

ヌマクローはギプスを外して両足で立つとキルリアはヌマの前に立ってそう言った。
ヌマクローはあれからずっと大事を取っていたがついに足の怪我は治ったのだった。

ヌマクロー 「これで最前線で戦えるな!」

キルリア 「はは、あんまり無茶してまた怪我しないで下さいね」

ヌマクロー 「気を付けるよ」

キルリアは笑ってそう言うとヌマも笑いながらそう言う。

コータス 「あの…」

キルリア 「え?」

ヌマクロー 「君は…?」

ヌマ達がそうやって楽しく談話していると突然コータスが現れる。
コータスは新参者なので挨拶をして周っていたのだ。

コータス 「わたし…コータスっていいます、よろしくお願いします」

キルリア 「ええ、こっちこそよろしく、僕はキルリアです」

ヌマクロー 「俺はヌマクロー、よろしくな」

コータスは丁寧に挨拶するとそれに合わせてキルリアも頭を下げる。
ヌマも頭こそ下げなかったが軽く挨拶をした。
そろそろヌマクローにも先輩としての風格が出てきたようだ。

ヌマクロー 「あれ? でも、なんで君が?」

ヌマクローはあることに気付くと急に頭をかしげた。

キルリア 「え? …ああ!」

キルリアは一瞬ヌマクローが頭をかしげた理由がわからなかったがすぐに理解する。

キルリア 「僕たち6匹いるはずなのになんで?」

ヌマクロー 「全員いるよな…?」

ヌマクローはそう言うと周りの仲間達を数え始めた。

テッカニン 「な?」

グラエナ 「…あんだよ」

ココドラ 「?」

スバメ 「はぁ…」

ヌマクロー 「全員いるよな…」

ヌマクローは全員数え終えるともう一度コータスを見て頭を傾げる。

キルリア 「7匹目…? いや、それはおかしいし…」

さすがにこれにはキルリアも頭を悩ませた。
それもそのはず本来トレーナーはポケモンを6匹までしか所持できない。
もし、それ以上ゲットするとボールに付いてある自動転送装置で誰かのパソコンに送られるのだ。
つまり絶対に6匹に固定されるのだ。

コータス 「えと、どうもボールの故障で転送装置が壊れているみたいなんです」

コータスはそう言って淡々と説明をした。
どうやらコータスは見かけによらず頭がいいようだ。

ヌマクロー 「ほう…そんなこともあるのか」

キルリア 「らしいですね、まぁ僕たちあまり外の世界のことあまり知りませんからね」

それはコータス含め皆に言えること…。
ユウキさえもこんな事態は聞いたこともなかったのだから。

コータス 「まぁそんなこんなでよろしくお願いします」

キルリア 「うん、一緒に戦うことがあったらよろしくね」

コータスはそう言うと今度はテッカニンの方へと向かっていくのだった。

ヌマクロー 「…使えるやつかな…あいつ」

キルリア 「そうですね…炎タイプはいないですからいたら便利かもしれませんね」

ヌマクロー 「結構可愛いしな」

キルリア 「そうですね、キノガッサさんは怖い人だし、ココドラさんはあれだし…あの娘、可愛いですね」

ヌマクロー 「ほうほう…」

キルリア 「…て! 何言わせるんですか! こんなのココドラさんに聞かれたら事ですよ!」

ヌマクロー 「いやいや、その点は大丈夫、それにしてもそうか、キルリアは…」

キルリア 「うぅ…」

ヌマクロー 「ふぇふぇふぇ」

キルリア 「何ですかそれ…変ですよ〜…」

キルリアは泣き目になりながら下目遣いにヌマを見てそう言った。

ヌマクロー 「ま、今は恋沙汰は忘れるんだな」

キルリア 「恋沙汰って…そこまではいっていませんよ〜…」

結局この日キルリアはヌマクローにからかわれまくるのだった…。




おまけその15 「コータスは照れ屋な女の子」 完


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