ポケットモンスター サファイア編




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第45話 『出発と出逢い』





『12月25日:午前5時18分 アクア団基地』


ユウキ 「さて…望みはあるがどうやってそれをつなげるか…」

問題が少しある。
船がない。
本音は潜水艇(艦でもいいよ)があれば一番言いのだが贅沢は言えない。
俺のスフィアフォルムの可能性を信じればきっと潜水服無しでも潜れると思うんだが…。
問題はどうやってそこまでいくか。

ユウキ 「困ったな…」

面倒なことにミナモに船が無い。
個人の船ならあるが公共の船は全部この町から消えている。
アクア団め…やるようになった。

ユウキ 「いくらなんでも知らないところへ空を飛ぶは不可能だしな…」

ラグラージに乗っていくという決死策が無いわけではないが、とても策とは呼べない。
最低でもまずはトクサネシティに行きたい。
できればジム戦して探す! これを考えているのだが。

ユウキ (無茶苦茶かな?)

さすがにジム戦をしていたら捜索に間に合わないか?
いや、しかし、できれば同時進行したい。
ただでさえ捜索には時間がかかりそうなのだからな。

ユウキ (だが、アクア団もそれは同じ)

海が大半を占めるこのホウエン地方においてその広大な海からたった一つの海底洞窟を探すのは至難だ。
多少のロスがあっても何とかなるかもしれない。

ユウキ 「問題はどうやってトクサネに行くか…」

俺は途方に暮れていた。
まさかミナモでストップとはな。

ユウキ 「う〜…む?」

俺は前方からこっちに近づいてくる船に気付く。
どこかで見たことのあるような…。
ていうか、あの人って…?

ユウキ 「ハギ老人…?」



…………。



ハギ 「いやあ、なにやらアクア団基地が騒がしいから何事かと思って近づいてみたらお主がいたとはな!」

ユウキ 「俺的にはなんでハギ老人がいるのかの方が気になりますが」

突然現れたのは他でもない、ムロへ行く時お世話になった元船乗りハギ老人だった。
俺は思わぬ来訪者に驚きつつも案外運のいい自分をたたえていた。

ユウキ 「でも、本当なんで?」

ハギ 「いや、実はユウキ君と別れた後割とすぐにミナモに来とったんじゃ」
ハギ 「しかし、来たのはいいが突然アクア団に海を封鎖されちまって出られなくなっちまったんじゃ」
ハギ 「アクア団が一斉にどこかへ去ってしまったから何があったのかと来てみたらこれじゃ」

ユウキ 「はぁ…」

ハギ 「まさか、おぬしがアクア団を壊滅させるとはの〜」

ユウキ 「まだ、壊滅していませんけどね…」

ハギ 「なぁに、もう壊滅したも同然じゃろ! はははっ!」

ハギ老人はそう言って呑気に笑う。
こっちは絶体絶命なんだけどな〜…。

ユウキ 「まぁ、物は頼みなんですが…」

俺はハギ老人に事情を話して協力をお願いする。

ハギ 「それはいいが、お主潜水服は持っていおるのか?」

ユウキ 「それはそれ、これはこれ…で、どうです?」

ハギ 「もちろん協力させてもらうよ! まずはトクサネじゃな!」

ユウキ 「はい、お願いします!」

交渉成立。
俺は船に乗せてもらえる。
これなら大丈夫そうだ。

ハギ 「じゃあ、乗りたまえどうせ切羽つまっとるじゃろ?」

ユウキ 「ははは…はい」

さすがに苦笑いするしかない。
俺はそのまま船に乗せてもらう。

ピーコ 「キャモー!」

ユウキ 「よ、久し振りピーコちゃん」

ピーコ 「キャモ♪」

船にはキャモメのピーコちゃんがいた。
相変わらずどこでも一緒だな。

ハギ 「それじゃ行くぞ」

ユウキ 「あ、ちょっと待って…戻って来いチルタリス!」

チルタリス 「お呼びとあらば即参上!」

俺はずっと上空から見張っていてもらっていたチルタリスを呼び戻す。

ハギ 「ほう、なかなか立派チルタリスじゃな」

ユウキ 「ども、ご苦労チルタリス」

チルタリス 「ういうい、ふぇふぇふぇ」

チルタリスは奇妙な笑いをすると、俺はそのままボールに戻した。

ハギ 「それじゃあ、行くぞーっ!」

ユウキ 「ういっさぁ! お願いします!」

俺を乗せたハギ老人の船はトクサネシティを目指す。
待っていろよ…アオギリ!

パラ…。

ユウキ 「!」

ハギ 「おっ」

突然、冷たい何かが降ってきた。
俺は空を見上げる。
まだまだ空は暗い…しかし、白い粉のようなものがパラパラ降ってきていた。

ユウキ 「雪…?」

ハギ 「ほう、今年はホワイトクリスマスじゃな…」

ユウキ 「白い…門出、か…」

少し奇妙に思えた。
積もることもなく明朝だけの雪だろうが、ホワイトクリスマスには違いない。
だが、俺の旅にとってはどうだろうか?
白とは切ないものだからな…俺はどうなるんだろか?





……………。
…………。
………。




それから一週間ほどして俺はある島に着いた。
とりあず目的地のひとつ。

ユウキ 「トクサネシティだ!」

そう、トクサネシティに無事到着だ。
何事もなさすぎて大変アレだがとりあえず速攻でジムへゴーだな。

ハギ 「まずはジム戦をするんじゃろ?」

ユウキ 「はい、できるだけ早く終わらせます!」

ハギ 「いや、別にワシはずっと待っといてやるよ」
ハギ 「まぁ、頑張るんじゃぞ」

ユウキ 「はい!」

とりあえず、ポケモンたちは大丈夫。
どんなジムか知らないが勝たせてもらう!

ユウキ (つってもあのパパが薦めるジムだ…恐らく並の強さじゃないだろう)

とはいえ、気後れはしない。
楽に勝たせてはもらえないだろうが、勝つには勝つ!
というより負けている時間が無い!
うぬぼれもあるかもしれないがポケモン達の強さだけなら負けないはず。
だが、問題もある…。

ユウキ (俺のパーティは連係プレーが苦手だ)

ウシオとの戦いでよくわかった。
個人プレーではみんな高いポテンシャルを最大限に発揮して戦えるが、その反面タッグバトルになると相手に遅れを取ることがある。
いくら個人は強くても息のあった二人を相手にするのは困難なことだ。
元々主張の激しい奴らだ、連係プレーを磨けというのも無理なのかもしれない。
自由奔放な育て方は規律が無い。
それはそれで伸び伸びと育っていい特徴を持ったポケモン達になるが不慣れなことには中々対応し難い。
個人の強さで押せることはウシオ戦で証明したが、これからのことを考えると…。

ユウキ 「と、あれこれ考えるのはやめよう」

ダブルバトルなんて滅多に挑む奴も無いんだし、気にしなくても大丈夫だろう。
そして、そんなことを考えているとあっという間にジム前へ。

ユウキ 「ここがトクサネジムか」

なんだか研究所のようなジムだった。
いままで一番でかい建物のジムだな。
トウカジムは屋敷だからアレだったけど。

ユウキ 「じゃ…」

ガッ!

ユウキ 「なんて嫌な響きだろう…」

そう、それはヒワマキジムでも聞いた音だ。
つまり、開いていない。

よく見ると窓には全て暗幕がかかっている。
ということはいないのだろう…。

ユウキ 「…ジムもそうなるのか?」

よくよく目の前を見てみるとかなり控えめに張り紙があった。
それにはこう書いてある。

『本日は誠に勝手ながら正月休みとさせてもらいます トクサネジム』

ユウキ 「今日は1月1日だもんな…」

そう、今日は1月1日なのだ。
パパは正月でさえジムを開いていたから気にしなかったが普通は休むわな。
しょうがないか…さすがにねぇ…。

ユウキ 「じゃ、どうしよう?」

アクア団捜索をしてもいいが効率的に考えると一日待った方がいい。
明日ジム戦を行ってもらおう。

ユウキ 「とりあえず、ポケモンセンターに向かおうかな?」

とりあえずポケモンの回復をしてもらおう。
大丈夫だとは思うがずっと診てもらっていないからな。

ダイゴ 「あれぇ? ユウキ君?」

ユウキ 「はえ? ってダイゴさん!?」

なんとビックリダイゴさんが現れた。
なんで?

ダイゴ 「思ったより早い到着だね」

ユウキ 「ダイゴさん、どうしてここに?」

ダイゴ 「実は恥ずかしながらここに僕の家はあるんだよ」

ユウキ 「え? トクサネシティに?」

ダイゴ 「うん、意外かもしれないけどね」

そりゃ、意外だったよ。
なんたってあのデボンの御曹司がこの街に住んでいようとはな。
その歳で隠居ですか?

ダイゴ 「まぁ、ここで会ったのも何かの縁だしこれあげるよ」

ユウキ 「はい、…って技マシン?」

ダイゴ 「それは秘伝マシン08『ダイビング』だよ」
ダイゴ 「僕にはもう必要ないし、あげるよ」

ユウキ 「はぁ、そりゃどうも」

こいつはたしかに必要そうだな。
アクア団追うのに便利そうだ。

ダイゴ 「じゃ、僕はもう行くよ」

ユウキ 「え? 行くってどこに?」

ダイゴ 「ルネシティさ、もし良かったユウキ君も来てみるといいよ」
ダイゴ 「ルネシティにはジムもあるからね」

ユウキ 「はぁ、まぁ一応寄る予定でしたけど」

ダイゴ 「ふふ、じゃあジム戦がんばってね」

ダイゴさんはそう言って行ってしまう。
うーむ、相変わらずの人だった。
やっぱり本当に『ポケモンチャンピオン』なんだろうか?

ユウキ 「…だとしたらあの人が最終目標になる」

確証があるわけではない。
だが、旅を続けながらもこのホウエン地方のことは調べさせてもらった。
そして少ない情報量だがポケモンリーグのこともつかんでいる。

まずは奇抜な戦法。
冷ややかな冷静さと獣のような荒々しさを持ったトレーナー。
四天王の切り込み隊長『カゲツ』。

魂の鼓動を響かすトレーナー、『フヨウ』。
四天王としては新参者だがかなり光るものを持つ聞く。
魂天方神『フヨウ』

烈火の氷人、『プリム』。
氷のような冷たさ以上に炎ような情熱を持ったトレーナー。
矛盾を乗り越えた氷使い、氷炎の『プリム』。

天を駆け、陸を走り、海を越える竜を従わせる者…。
卓越したバトルセンスと、人知を超えた強力なドラゴンポケモンの力。
他のポケモントレーナーを寄せ付けない最強の四天王『ゲンジ』。

そして、このホウエンでもっとも優れ、強いという称号…ポケモンチャンピオンの栄光を勝ち取った男の名は…ダイゴ。
去年のポケモンリーグで決勝戦ゲンジ氏を破り、ポケモンチャンピオンになったらしい。
あまりいい情報は得られなかったがこのホウエンの歴史の中でもかなりの強さらしい。
どこか、そんな強さも感じられる人だが…はたして単なる同名なのかそれとも本当なのか?

ユウキ 「やれやれだよな…」

ああいうひょうひょうしたトレーナーの方がかえって怖い。←こいつがいわゆるひょうひょうとしたトレーナー。
なにしでかすかわからないからな…。←こいつも何しでかすかわからないトレーナー。
しかもタヌキだし。←こいつもタヌキなトレーナー。

? 「こらー! まちなさーい!」

ユウキ 「あん?」

後ろから誰かが追いかけてきているようだ。
俺は振り向いてみる。
すると中華系な少年同じく中華系な少女に追いかけられていた。
ふぅ、どうやら俺ではないようだな。

少年 「…うわっ!?」

あ、少年がこけた。
正確にはもうすぐこける。
俺の4メートルほど後ろで。

ユウキ 「…よっと」

少年 「え!?」

俺は少年がこける前に引き返しこける前に助ける。
少年は突然のことに不思議そうな顔で俺を見た。

ユウキ 「大丈夫か少年A?」

少年 「あ、うん…て、やべ!?」

ユウキ 「?」

見てみると、後ろから少女が追いかけてきている。
よく見てみると少年とそっくりだ、二卵性双生児の双子の姉弟ってか?

少年 「た、助けてくれてありがとう! それじゃ!」

少年は慌てて逃げ出す。

少女 「もうー! まちなさいよー!」

少年が逃げ出した後、少女が俺の横を通り去る。
ふむ、二人とも10歳から12歳って所か。

少女 「…あっ!?」

あ、少女もこけた。
正確にはもうすぐこける。
俺の4メートルほど前で。

ユウキ 「やれやれ…」

少女 「え?」

今度は逆に前へ進んで前のめりにこける前に助ける。
少女は突然のことに不思議そうな顔で俺を見た。
やっぱ姉弟って感じだな。
感覚が一緒だ。

ユウキ 「大丈夫か少女A?」

少女 「え、うん…て、あ!?」

おんなじ反応。
中々面白い。
たまには傍観者ではなくこうやって参加者になってみるのもいいものだ。
なかなか面白いものを見せてくれる。

ユウキ 「ちなみに少年はすでに君を撒いている」

少女 「ああっ!? やられた!」

少女は犯人に逃げられた刑事さんみたいな顔をした。
なるほど、つまりそれほどか。

ユウキ 「あの少年は必要なのか?」

少女 「え? 必要? うーん、必要とかじゃないけど…」

ユウキ 「では、質問を変えよう」
ユウキ 「あの少年をまだ探しているか?」

少女 「あ、はい…」

なんだか少女が敬語になっている。
うむ、苦しゅうない苦しゅうない。

ユウキ 「でろ、チルタリス」

チルタリス 「タリーっす」

俺はチルタリスをだす。

ユウキ 「乗りなさないな」

少女 「え?」

チルタリス 「come in」

ユウキ 「よっと、ほら」

少女 「あ、お邪魔します…」

家じゃないんだから…。

ユウキ 「チルタリス、浮上」

チルタリス 「あいよ」

とりあえずチルタリスには空に飛んでもらう。

少女 「わぁ! すごーい!」

少女はこんな高い所は初めてなのかやや浮かれている。
高い所は怖くないのか。
なんていうか子供って怖いもの知らずだよな。

少女 「すごい…街があんなに小さく見える」
少女 「て、ちょっと高すぎじゃ…」

ユウキ 「ん…あ、いた」

たしかに常人には高すぎるだろう。
しかし、段々化け物化してきた俺にとってはこれくらいの高さの方が探しやすい。
首を回す手間がはぶけるからな。

ユウキ 「降下」

少女 「え?」

チルタリス 「あいよ」

ヒュウ!

少女 「きゃああっ!?」

ユウキ 「?」

少女が驚く。
あ、しまった…もうこの降下速度に慣れてしまったからな…。
どうやら、初体験の人には怖いようだ。

ユウキ 「あそこ、松の木の2本あるところ」

チルタリス 「ういっす」

チルタリスは一気に地面に近づく。
俺は少女の体を抱える。

ユウキ 「ジェットコースターのようで悪いが」

俺は少女の体を抱える地表4メートルくらいの所から飛び降りる。
当然少女も一緒。

ストン!

少年 「あれ!? さっきにいちゃん!? て、姉さん!?」

少女 「…ひ、こ」

ユウキ 「よっと、大丈夫か?」

少女の顔が青くなっている。
しまったな…逃げられる前に追い詰めるためこんな方法取ったんだが、少女を怯えさせてしまったか。

少女 「こ、怖かった〜…」

少女はなみだ目でうな垂れる。
うーむ、やはり俗世とはかみ合わんな…。

少年 「ね、姉さん?」

ユウキ 「ほら、目の前目の前」

少女 「あ、こらー! フウ!」

フウ 「うわっ!? 立ち直り早っ!?」

ユウキ (女の子って立ち直り早いよな〜)

などと驚きつつも俺はチルタリスをボールに戻す。

ユウキ (まぁ、俺も随分変わったよな)

とりあえず、そんな自分に乾杯。

フウ 「俺が何したって言うんだよ! ラン姉さん!」

ラン 「どうしたもこうしたもないでしょ!?」

ユウキ (なるほど、フウとランね)

楓蘭であり風乱かな?
見事な双子姉弟って感じだな。
さて、このまま兄弟喧嘩を静観してもいいが俺にも用事がある。

ユウキ (ここらで退散させてもらおう)

俺は忘れ去られているうちにその場を退散する。
とりあえずポケモンセンターへ。



…………。



お姉さん 「ようこそ、ポケモンセンタートクサネ支店へ!」

ユウキ 「ポケモンをお願いします」

お姉さん 「かしこまりました! しばらくお待ちください!」

俺はいつもどおりボールを渡すとその場を離れる。
とりあえず、いつもどおり窓際に行くか。
俺って窓際族?

ユウキ (意味が違うけどな…)

わかっていてもボケて突っ込むのは性だな。
う〜む、慣れていくのだな…自分でもわかる。

ユウキ 「しかし、まぁ」

東側は西側とは随分景観が変わるな。
海に囲まれ無数の諸島によって形成されるこの東側。
西側よりやや田舎な感じがする。
また、気候も更に暖かくなり、もはや別の国のような景観を作り出していた。
実際、今日はチャイナ服風の姉弟に出会ったしな。

ユウキ 「て、あ…」

フウ&ラン 「お願いします」

お姉さん 「かしこまりました! しばらくお待ちください!」

ユウキ (マニュアル人間…)

そういう言葉が頭に浮かぶ。
どんな相手にでもあれだもんな…。
まぁ、別にいいんだけどな。

さて、あの姉弟はこっちに近づいてくる。
どうするか? とりあえず声をかけてみるか。

ユウキ 「おおーい、そこの姉弟」

ラン 「え?」
フウ 「あ、あの時の!」

姉弟はほぼ同時に俺に気付く。
うーむ、そっくりさんな姉弟。

ユウキ 「奇遇だな、姉弟」

ラン 「えと…」

ユウキ 「ユウキ、って名前だよランちゃん」

ラン 「あ、ユウキさんですか…て、どうして私の名前を?」

ユウキ 「さぁ、どうしてだろうねぇ〜フウ君?」

フウ 「え? えと…なんで?」

ユウキ 「まぁ、鳥さんだけが知っているのさ」

本当は自分達で言っていたから知っているだけなんだがな。

フウ 「ん〜、お兄ちゃんなんか、他の人と雰囲気違うね」

ユウキ 「あん? そう?」

いきなり弟くんったら変なこと言ってくれるぜ…。

ラン 「うん、なんて言うか雲みたいでつかみ所が無いよね」

ユウキ 「おいおい…嬢ちゃんまで言うかい?」

なんだか、口調が足長おじさんみたいになってきているのが自分でも気になるな。
いい加減、普通に話そう。

フウ 「おにいちゃん他の人とは違う…」
ラン 「なんだか暖かいものを持っている…」
フウ&ラン 「すごい変な感じ…」

ユウキ 「息ぴったりだな…でも本当変なこと言うな」

なんとも奇妙な姉弟だ。
実はス○ンド使いだったり…。
それはないか。

フウ 「えへへ…」

ラン 「ねぇ、お兄ちゃんはどうしてこの町に来たの?」

ユウキ 「どうしてだと思う?」

フウ 「もしかして、ジム戦かな?」

ラン 「それとも、ロケット?」

ユウキ 「片方は正解」

フウ&ラン 「ええ、どっちなの?」

本当に息ぴったりだ。
なかなか見ていて面白い。
人間に疲れることはあっても面白いと感じたのは初めてだな。

ユウキ 「ジム戦」

フウ 「あ…」
ラン 「えへへ…」

ジム戦と聞くとこの姉弟驚いたような顔をしながらもすぐにいやらしく笑い始める。
読めた…そうか、お前らか。

ユウキ 「で、どっちがジムリーダー?」

フウ 「お兄ちゃん鋭いね」

ラン 「もしかして、ESP?」

フウ&ラン 「でも、半分不正解」

ユウキ 「? 半分?」

フウ 「僕たちがジムリーダー」
ラン 「私たちがジムリーダー」

ユウキ 「二人でひとつ?」

フウ 「そう、双子のジムリーダーだよ」

ラン 「おにいちゃん、驚いた?」

ユウキ 「…ま、なんとなく予想できたしな」

うすうすそれも思った。
しかし、双子の姉弟のジムか。
まさかと思うが…。

ユウキ 「もしかして、ダブルバトルか?」

ラン 「正解だよ、お兄ちゃん」

フウ 「僕たちのジムはダブルバトル!」

ビンゴ…。
今日危惧していたことがいきなりですか…。
ちくしょう…やぁってやるぜ。

ラン 「そうか〜、お兄ちゃんが相手なんだ」

フウ 「これは面白いことになりそうだ」

ユウキ 「……」

どうにも嬉しそうな姉弟。
一体どういうつもりなんだろうな。
まぁ、たとえ子供だろうが老人だろうがリングの上では倒すしかないがな。
ポケモンバトルでだけど…。

お姉さん 「はい、お待たせいたしました」

ユウキ 「ん? あ、どうも」

お姉さんは回復したポケモン達の入ったボールをトレイに乗せて持ってきてくれた。
俺はそれを受け取る。

ラン 「ふ〜ん、6匹なんだ」

フウ 「すごいね」

ユウキ 「…そうか?」

ラン 「ポケモンたちは一体どれ位の強さなのかな?」

フウ 「6匹皆育てるのは大変だからね」

ああ、確かにな。
それゆえ、やはり6匹同時に育てるトレーナーは少ない。
どうしても平均レベルが落ちるからな。
だが、俺のポケモンはそんな心配は無用。
シングルバトルなら軽くのしてあげましょう!
今回、ダブルバトルだけど…。

フウ 「ねぇ、お兄ちゃんどんなポケモン使うの?」

ユウキ 「対戦相手に教えると思うか?」

フウ 「うん、思う…」

ユウキ 「……」

言い切られた。
さすがにそこまでお人よしじゃないぞ。

ラン 「ねぇ、お兄ちゃんどんなの?」

ユウキ 「後で一匹だけ見せてやる」

ラン 「え? 本当?」

ユウキ 「ああ、本当だ」

フウ 「やった」

ラン 「やったね、フウ!」

ユウキ 「やれやれ…」

なんとも不思議な姉弟と出会ってしまったものだ。
しかも、最悪のダブルバトル。
こうなったらやれるだけやるしかないな…。
しかし、後編に続く!




ポケットモンスター第45話 『出発と出逢い』 完






今回のレポート


移動


ミナモシティ→124番水道→トクサネシティ


1月1日(ポケモンリーグ開催まであと59日)


現在パーティ


ラグラージ

サーナイト

ボスゴドラ

コータス

チルタリス

ユレイドル


見つけたポケモン 50匹




おまけ



その45 「お正月」




グラエナ 「お正月だー!」

オオスバメ 「お正月ですね!」

キノガッサ 「お正月ね!」

グラエナ 「とりあえず年初めだし、今年の抱負の書初めをしますかー!」

キノガッサ 「私たちの腕でどうやって筆持つんだって突っ込みはやめてね♪」

グラエナ 「よーし、じゃあ書くぞ〜!」




……………。




『世界制服 Byグラエナ』
『ヒロインはワ・タ・シ♪ Byキノガッサ』
『命が欲しい Byヌケニン』
『さしみ Byオオスバメ』

全員 「………」

オオスバメ 「突っ込みどころ満載っすね〜♪」

グラエナ 「…ぎゃふん」




おまけその45 「お正月」 完



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