ポケットモンスター サファイア編




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第48話 『Space Fight』





『1月2日 午前10時55分 トクサネジム』


ユウキ (ジム戦開始まで後5分…覚悟はすえたけどよ…)

俺はトクサネジムのフィールドに立っていた。
俺は少々フィールドの中に唖然とする。
広いのだ…。
どれ位の広さかと言うと、縦14メートル、横30メートル、高さ8メートルもあるのだ。
ここ、室内ですよ?
更に驚くべきことに長方形の角の部分に『ヤジロン』が配備されている。
さらに中央線端にもだ…計6匹のヤジロンがその場にいる。
ジムリーダーサイドにジムリーダーの姿は…まだない。

ユウキ (地面から壁まであらゆる物が金属で出来ている…)

俺たちはさながら金属の箱の中に閉じ込められた状態だ。
そして、左4メートルくらいの高さのところに実況席…というか観察室があった。
強化ガラス越しに審判が状況を見るのだろう。
観察か…やはり研究所の再利用といったところか。

ユウキ (しかし、ちっとデンジャーな雰囲気が付きまとうな…)

審判が中ではなく、外から判定を出すくらいだ…危険なんだろう…。
トレーナーにも!

ユウキ 「かったるぅ〜…」

と、だれそうにもなる…。
いや、だれてるのか…。

フウ 「お待たせ、お兄ちゃん!」
ラン 「お待たせ、お兄ちゃん!」

ユウキ 「…やっとか」

とりあえず、ジムリーダーが部屋に入ってきた。
言わずと知れたフウラン姉弟だ。
どうやら…これで退屈しなくてすみそうだ…。

ユウキ (あとは…のるかそるか!)

審判 『これよりトクサネジム、ジム戦を開始します!』
審判 『使用ポケモンは2体! ダブルバトルで行います!』

強化ガラスの向こうからスピーカーを通して審判の音声のみが部屋に響く。
相当、密封された空間だというのがわかる。
しかし、空気は清浄…綺麗過ぎるくらいだ。
恐らく、宇宙開発かなにかに使っていたのだろう…。

審判 『なお、本ジムは特別ルールとして道具の使用を許可します!』
審判 『また、バトルを1ラウンド3分として計10ラウンドを戦います!』
審判 『フルラウンド戦って決着がつかなかった場合は判定とさせていただきます!』
審判 『ラウンド間はインターバルを1分設け、その間に道具を使用できます』
審判 『なお、道具の使用は1インターバルにつき2つまでとします!』
審判 『さらに、道具についてはこちらの支給した物を使用! 道具についてはジムリーダー挑戦共に同じであるためご自分の手元の道具をお確かめください!』

ユウキ (ようするにプロボクシングと同じか…)
ユウキ (10ラウンドって日本タイトルマッチかよ…)

審判 『挑戦者、質問はありますか?』

ユウキ 「いえ…大丈夫です」

審判 『では、これよりトクサネジム、第89戦! 挑戦者ユウキ対ジムリーダーフウとランの一戦を始めます!』
審判 『先制はジムリーダー!』

フウ (初めて会ったとき…違和感を感じた)
ラン (あれ…このひとは? …って)

フウ (関わるうちにこの人が…このお兄ちゃんが普通とは違うということを知った…)
ラン (そう、姿は同じでもここにいるのは人ではない存在…)
フウ (心が読めないって恐ろしい…)
ラン (相手の気持ちがわからないってとても不安…)
フウ (でも、本当は…わからなくて当然なんだよね…)
ラン (だから、こう言うの…『あなたの気持ちを教えて』って…)

フウ (僕たちって本当はちっぽけな存在なんだよね? 姉さん?)
ラン (うん…それがもしかしたら人間なのかも…)
フウ (でも、ポケモンバトルなら…あの『虚ろわざる』お兄ちゃんにも負けないよね!)
ラン (うん! さぁ、いこう! フウ!)

ラン 「いくよ! ルナトーン!」
フウ 「いくよ! ソルロック!」

ルナトーン 「ルナ!」

ソルロック 「ソルロッ!」

ポケモン図鑑 『ルナトーン:隕石ポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:1.0m 重さ:168.0Kg タイプ:岩 エスパー』
ポケモン図鑑 『満月の時期に活発になる習性』
ポケモン図鑑 『空中を浮いて移動し、赤い瞳は見たものの体を竦ませる迫力』

ポケモン図鑑 『ソルロック:隕石ポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:1.2m 重さ:154.0Kg タイプ:岩 エスパー』
ポケモン図鑑 『太陽光線がパワーの源』
ポケモン図鑑 『相手の 心を読み取ると言われている』
ポケモン図鑑 『体を回転させて高熱を放つ』

ユウキ 「ルナソルの陽月コンビか…」

フウが出したのはソルロック…太陽の姿(!?)をしたポケモンだ。
そしてランが出しのはルナトーン…三日月の形をしたポケモン。
二匹とも…見た目のインパクトは最強だ!

ユウキ (さて…結局改善策が取れないまま…さしずめ試作機のまま実戦投入か)
ユウキ 「いけ! ラグラージ! サーナイト!」

ラグラージ 「ラージ!」

サーナイト 「……」

俺はラグとサーナイトを出す。
後は伸るか反るか…。

審判 『では、バトルフィールドオープン!』

ユウキ 「はっ?」

ヤジロンA 「ヤジ〜」
ヤジロンB 「ヤジ〜」
ヤジロンC 「ヤジロ〜」

ラグラージ 「ラグゥ!?」

ユウキ 「な!? なぁっ!?」

突然、足が宙に浮く。

ラン 「ふふ、驚いた? これがトクサネジムの特殊バトル、『無重力』バトルだよ!」

ユウキ 「まじかよ…」

どうやら周りのヤジロンたちは無重力空間を作り出すためにいるようだ。
いきなり宙間戦闘っすか!?

審判 『第一ラウンドはじめ!』

ユウキ 「くそ! ラグラージ、ソルロックに『みずでっぽう』!」

ラグラージ 「ラージ!」

ラグラージは無重力状態の中、逆さまになったまま『みずでっぽう』をはなつ。

ラン 「ルナトーン、『ひかりのかべ』」
フウ 「ソルロック、『サイコウェーブ』」

ルナトーンは『ひかりのかべ』を張り、ソルロックは『サイコウェーブ』を放ってくる。


サイコウェーブはエスパータイプの技で、なんとも奇妙な技だ。
ダメージが極端なほど安定しない。
つまり、マグニチュードと同じような技なのだ。
ただ、ダメージの差異はマグニチュードほど大きくない。
また、どうもサイコウェーブは相手の防御力に依存しないようなのだ。

ユウキ 「とはいえエスパー技! サーナイトはラグの援護防御!」

サーナイト 「む、無理ですぅ〜!!?」

ユウキ 「んなっ!?」

しかし、サーナイトは空中で漂いながらじたばたしていた。
しまった! 地上とは勝手が違いすぎる!

ズバァ!

ソルロック 「ソロッ!?」

キィィィ!

ラグラージ 「ラグッ!?」

両者直撃。

ユウキ 「大丈夫かラグ!?」
フウ 「ソルロック!?」

ラグラージ 「ラージ!」
ソルロック 「ロック!」

とりあえず両者ダメージは少ない。
ただし、宇宙空間特有の反動が大きく、両者2メートルほど後ろに吹っ飛ぶ。
ラグは運良くダメージが少なくすみ、ソルロックは『ひかりのかべ』の効果で通常よりダメージが少なくすんだ。
そして、みずでっぽうの水は消滅してしまう。
酸素と水素に分離したか?
て、無重力なだけで真空状態じゃねぇっつーの!

ユウキ (さて、ダブルバトルというのもやばいのに…このフィールドはやばすぎる)

もともと重力下で戦闘が基本のラグとサーナイトは無重力では姿勢制御も困難となる。
大して相手の隕石コンビは元々宙間戦闘の方が得意なのか上下左右バーニアもなしに動き回れる。
はっきり言ってやばぁい…。

ユウキ (まともに動けないから援護防御もできないもんな…)

まぁ、それは俺自身にも当てはまる。
足元が無いと言う感覚には比較的に慣れているが、無重力は初めてだからな…。

フウ 「よし! サーナイトに『かえんほうしゃ』!」
ラン 「サーナイトに『れいとうビーム』!」

ユウキ 「やばっ!?」

フウとランは息ぴったりにサーナイトに同時攻撃してくる。
メ○ローアっすか!?
けっして合体して消滅魔法にはならないが、当たったらダメージ大であることに変わりは無い。
よーするに当たれないわけ!

ユウキ 「緊急回避!!」

サーナイト 「駄目です! 間に合いません!!」

というか、サーナイトの体は一ミリも動いていない。
こうなったら動かずに回避するしかない!
て、無茶苦茶だ!!

ユウキ 「! こうなったら○イタルジャンプ!」

これなら指ひとつ動かさないでも回避できる!
よーするにテレポートだ!

サーナイト 「DS○ライブ!!」

サーナイトは『テレポート』でなんとか回避する。

ユウキ 「よし! そのまま『さいみんじゅつ』!」

俺はそのまま新しく覚えた技『さいみんじゅつ』を使用させる。
3秒以内に2つ以上の技をコールできる相手に対応するには相手を選んでコールする余裕はない。
サーナイトにお任せだ。

サーナイト 「RRRRRRRRRRRR!」

ルナトーン 「ルナ? ルナァ〜…」

ルナトーンは『さいみんじゅつ』を受けて眠り状態になってしまう。


さいみんじゅつは催眠術。
確率は五分五分といったところだが、決まれば相手を眠らせてしまう技だ。

ラン 「ああっ! ルナトーン!」

フウ 「俺に任せてくれ! ソルロック!ラグラージに『サイコキネシス』!」

ソルロック 「ソーロック!!」

ソルロックの目が怪しく輝くと無条件でラグラージは『サイコキネシス』の呪縛にかかってしまう。
サイコキネシス…攻撃適正宇宙A、地上A、空中A、水中A…万能だ…。

ラグラージ 「ラググ〜!?」

ドカァ!

ラグラージはソルロックのサイコキネシスで思いっきり俺側の壁に激突する。

ラグラージ 「ラグラァ…」

フウ 「追い討ちだ! 『かえんほうしゃ』!」

ソルロック 「ローック!!」

ユウキ 「やばっ!?」

ラグラージは壁ダメージで怯んでいる。
そのまま動けないまま無条件で『かえんほうしゃ』が飛んで来る。

ラグラージ 「ラググ…」

ラグラージは意識を失いかけている。
体ひとつ動かない!
そして『かえんほうしゃ』が!

ゴォォッ!!

ユウキ 「はずれてくれた!?」

ラン 「ああ! はずれた!」

フウ 「無重力だから壁の反動が大きい!」

ラグは気絶するほど強く壁に激突したお陰で、フウの予想以上に体が反動でずれて、『かえんほうしゃ』は逸れてくれた。
『かえんほうしゃ』が効きにくいとはいえ、直撃はまずいからな…。

ユウキ (でも、待てよ? 反動が大きい? これって…)

俺はあることにひらめく…もしかしたらもしかするかも…。

フウ 「まだスタン状態だ! こうなったらソ…!」

カーン!!

ラン 「あ!」

ユウキ 「あんだ!?」

突然、ゴングが鳴る。
もしかして第一ラウンド終了?

ユウキ 「あ、重力が戻ってきた」

ゴングが鳴ると突然、重力が戻って地に足がつく。

ラグラージ 「ラグラ〜」

サーナイト 「はぁ…はぁ…ふぅ」

ラグラージとサーナイトが戻ってくる。
俺は2匹の状態を見てみるが、思ったよりラグがダメージを受けている。
たしか、アイテムの使用が認められていたな…たしかインターバル一回につき、ふたつまで使用していいんだよな?
ちなみに、支給品ってなんだ?

ユウキ 「『いいきずぐすり』2個、『すごいきずぐすり』2個、『まんたんのくすり』『かいふくのくすり』も1個」
ユウキ 「『なんでもなおし』は2個と『プラスパワー』『ディフェンダー』『スペシャルアップ』『エフェクトガード』『スピーダー』」
ユウキ 「『ヨクアタール』に『クリティカッター』…能力アップアイテム各種一個づつか」

結構多いな…。
しかし、フル戦う場合全部で15個しかないわけだから常に2つづつ使うことはできない。
どこかで我慢しないといけない所があるというわけか…。

ユウキ (まぁ、条件は向こうも同じだしな…)

とりあえず、ラグに『いいきずぐすり』を使うだけで終わらせることにする。
さて、後はセコンドらしく、対応策を言わなくてはな。

ユウキ 「いいか、ラグ、次から壁を使え!」

ラグラージ 「ラグ?」

ユウキ 「後は自分で考えろ」

サーナイト 「マスター無茶苦茶です…」

ユウキ 「大丈夫だ、なんとかなる」

ビィィィッ!!

やがて、インターバルの終わりが告げられる。
2Rが始まるわけだ…。

ユウキ 「よーし! がんばれラグ! サーナイト!」

ラグラージ 「ラージ!」
サーナイト 「はい!」

フウ 「いけ! ソルロック!」
ラン 「いって! ルナトーン!」

ソルロック 「ソル!」
ルナトーン 「トーン!」

両者のポケモンがバトル場に出る。
あとは…どうなるか?

ユウキ (て、ルナトーン目覚めてるし)

もしかして、ラウンド終わると眠りが解けちゃう?
ということは、『メロメロ』や『混乱』も治るんだろうな…。
それを踏まえると恐らく瞑想や、泣き声と言った技によるステータス変化やアイテムによる変化は1Rしか効果がないと考えるべきだな。
長期戦だからといって『めいそう』などに頼ることはできないということか…。

フウ 「作戦通りいくぞ! 姉ちゃん!」

ラン 「ええ! 回避できない!ラグラージに『れいとうビーム』!」

ルナトーン 「ルナッ!」

ユウキ (先にラグラージを仕留める気か!?)

ルナトーンの冷凍ビームは地面に足をつけているラグに直進していく。

ユウキ (ヒントは与えた! ラグ、活路は自分で見出せ!)

ラグラージ 「ラグ!? ラグッ!!」

バン! キィン!!

ラン 「えっ!?」

ルナトーン 「ルナッ!?」

ユウキ 「おっしゃ!」

ラグラージは地面を蹴り、それを推進力に天井に張り付く。
れいとうビームは地面に辺り、地面が凍った。
ラグラージは回避に成功した!

ラン 「地面を…蹴った?」

フウ 「まぐれに決まってる! ソルロック、『サイコウェーブ』!」

ソルロック 「ソル!」

ユウキ 「まぐれかどうか見せてやれ! ラグ! 回避と同時に『だくりゅう』!」

ラグラージ 「ラーグ!」

ラグは今度は天井を蹴り、ルナソルの後ろに出るとバックから『だくりゅう』をはなつ。
しかし…。

ラグラージ 「ラグゥ!?」

ユウキ 「なんですと!?」

なんと、『だくりゅう』はルナソルに届かず、宙に舞っている…もとい漂っている。
まるで暗礁宙域…。

ラン 「ある意味ラッキー!?」

フウ 「でも、これじゃ周りがよくわからない!」

ラン 「だったら、ルナトーン! 『サイコキネシス』で『だくりゅう』を払って!」

ルナトーン 「ルナー!」

ルナトーンは『サイコキネシス』で周囲に漂っている『だくりゅう』を払う。
しかし、そんなことをしているうちに俺は。

ユウキ 「ラグ! ルナトーンに『たいあたり』!」

ラグラージ 「ラグ!」

ラグはジムリーダー側の壁を蹴って、ルナトーンに突っ込む。

フウ 「ソルロック! 『コスモパワー』で援護防御!」

ソルロック 「ソルロッ!」

ソルロックは対放射線状に入ると『コスモパワー』を使う。


コスモパワーは防御と特防を同時にあげることの出来る技だ。
覚えるポケモンは少ないが、非常に優秀な技だな。
まぁ、今回はこのラウンドだけの効果だろうが…。

ユウキ (だが、能力アップは『こっちも使っている』んだぜ…)
ユウキ 「サーナイト! ソルロックに『10まんボルト』!」

サーナイト 「はぁ!」

忘れた頃にサーナイトが『10まんボルト』を放つ。

ドカァ! バチィ!

フウのソルロックは無条件に同時攻撃を受ける。

ソルロック 「ソ、ソルロ…」

フウ 「くぅ! 思った以上に『10まんボルト』が痛い!」

ユウキ (いきなりは終わってくれないか…)

さすがに1撃ダウンは虫が良すぎたらしい。
まぁ、『たいあたり』は今ひとつだし、『コスモパワー』も使っているからな…。
そして、これでルナトーンのアクティブタイムが回ってくる。

ラン 「くぅ! だったらサーナイトに『れいとうビーム』!」

ルナトーン 「ルナッ!」

キィン!

サーナイト 「くぅ! こんな位じゃ!!」

サーナイトは直撃してしまうが、あまり…というかほとんど効いていない。

ラン 「嘘っ!? 硬い!?」

フウ 「特殊攻撃力も高かったし…まさか『めいそう』!?」

ユウキ (正解…いい勘しているな)

そう、姉弟がラグに気を取られている隙にサーナイトにはちゃっかりテレパシーで『めいそう』を指示していたのだ。
だから、最初は影に隠れていたのだ。
ちなみに『めいそう』は特攻と特防を上げてくれるから、今回のバトルでは有効だ。
まぁ、ソルロックの『コスモパワー』同様、このRだけだけどな…。

カーンッ!

ユウキ 「と、もう?」

思った以上に時間が経つのが早い…。
バトルしていると時間を忘れるからな…。

フウ 「やっぱりきちゃったか…第3R…」

ラン 「ここからは私たちも気をつけないと…」

ユウキ (?)

なにやらフウラン姉弟は奇妙なことを言っていた。
なんか3Rからは問題でもあるのか?

サーナイト 「第2Rはポイントとりましたね」

ユウキ 「ああ、よくやったお前ら」

ラグラージ 「ラージ!」

とりあえず、さしたるダメージも無く過ごせた。
逆に向こうはソルロックが大ダメージだ。
間違いなくソルロックに回復アイテムを費やすだろう。

ユウキ 「さて、こうなったら速攻で決めにいきたいしな…よし、ラグは『クリティカッター』を使え」
ユウキ 「必要ないかもしれないがサーナイトは『ヨクアタール』だ」

『クリティカッター』は急所に当てやすくなるアイテム。
『ヨクアタール』は集中力を高めて、命中率を上げるアイテムだ。
これで残りアイテム数12個(8R中6R分)。

ビィィィィ!!

インターバルが終了する。
俺はそれを聞くと二匹を後押しする。

ユウキ 「じゃ! 決めにいくぞ! 頑張れ!」

ラグラージ 「ラグ!」
サーナイト 「はい!」

やがて、重力が無くなる…。
第3ラウンドの開始だ…。
そして、ヤジロンが…。

ヤジロン 「ヤジ〜」

ユウキ 「ん? なんだ?」

ラン 「ヤジロンたちは力をあわせて無重力を作っているわけだけど実は6匹じゃなくても無重力にできるんだ」
フウ 「そして、第3ラウンドからは6匹中2匹がランダムで無差別に攻撃を開始する!」

ユウキ 「は?」

ヤジロン 「ヤジ!!」

そうこうしているうちに『サイケこうせん』が2発放たれる。
ただし、方向違いに…。

ユウキ 「無差別すぎだろ…」

しかし…。

ピキィン!!

ユウキ 「て、反射した!?」

なんと、『サイケこうせん』は壁に当たると反射した。
これが反射レーザーですか!?

フウ 「トクサネジムは全国的に見ても超特殊なジム!」
ラン 「ダブルバトルに無重力バトル! ラウンド制、そして6匹のヤジロン!」
フウ&ラン 「そして、誰彼構わず強制攻撃! まさにトクサネジムの最大の特徴!」

ドカァン!

ラグラージ 「ラグ!?」
ルナトーン 「トーン!?」

ユウキ 「んなこと言ってるうちにくらってるって!!」

フウとランには悪いが、ヤジロンたちは容赦なくサイケ光線を乱射してくる。
ルナトーンもくらってるよ…。

しかし、ダメージは薄いようだ…。
どうやら、そんなに強いわけではないようだな…。

フウ 「いくら、強くなくても受ければダメージはあるし…」
ラン 「くらった時はひるんだりもするんだから!」

ユウキ 「条件はおなじだろ! ラグ! ソルロックに『とっしん』!」

フウ 「ラグラージに『サイコウェーブ』!」

ソルロック 「ソール!」

ラグラージ 「ラージ!」

ラグラージは壁を蹴りながら迎撃を潜り抜けて、ソルロックの後ろを取る。
その間に俺はサーナイトにも命令を下す。

ユウキ 「サーナイト! ルナトーンに『サイコキネシス』!」
ラン 「ルナトーン! サーナイトに『サイコキネシス』!」

サーナイト 「はぁ!」
ルナトーン 「トーン!」

ほぼ、同時に命令し、ほぼ同時に攻撃をする2匹。
サイコパワーが激突すると、ありえない空間が現れ、一瞬ヤジロンたちのサイコパワーを上回ったせいか無重力が解除される。

ラグラージ 「ラ、ラグゥ!?」

しかし、そのせいで高い所で浮かんでいるソルロックに『とっしん』ができなくなり、攻撃は空振りになる。

フウ 「! 『いわなだれ』だ!」

フウは重力が戻ったのを感じると咄嗟にそう命令する。

ソルロック 「ソルロック!!」

ソルロックの体から大量の岩が飛び出し、サーナイトとラグラージの頭上に降り注ぐ。

ラグラージ 「ラグゥ!?」
サーナイト 「うわっ!?」

両者ダメージを食らうと同時に無重力が戻る。
とうぜんながら、大小さまざまな岩石は宙を漂う。
さながら、宇宙戦闘だな…。

ユウキ (だが! この岩石地帯、利用させてもらう!)

ラグとサーナイトは岩石地帯に隠れる。
これなら遠距離攻撃は岩石に防がれてしまうだろう。
まさにアステロイドバリア…。
ただし、隠れているだけだからこちらも攻撃はしにくいが…。
こんな攻撃は例外だが…。

ユウキ 「サーナイト! ルナトーンに『10まんボルト』!」

サーナイト 「はぁ!」

バチィン!

ルナトーン 「ルナッ!?」

サーナイトの『10まんボルト』は漂う岩石の隙間を潜り抜け、ルナトーンに直撃する。

フウ&ラン 「くっ! 『コスモパワー』!!」

ルナトーン 「ルナ!」 ソルロック 「ソル!」

ルナトーンとソルロックは同時にコスモパワーを使う。
この状態じゃさしたる成果は上げられないな…。
そして、やや膠着状態のまま第3Rは終わりを告げる。


カーン!!


ユウキ 「第3Rは荒れたな…」

ラグラージ 「ラグ…」

サーナイト 「ポイント…どっちが取ったんでしょう?」

ユウキ 「さてな…」

さて、第4Rからはヤジロンのことも考えないといけない…。
そう考えると、戦力の要たるラグはヤジロンの攻撃に怯まないように特坊を上げる必要があるな…。
あとはもう一度『いいきずぐすり』を使おう。
とりあえず、このインターバルでは『エフェクトガード』と『いいきずぐすり』をラグに使う。
向こうはどう出るのだろうか?


ラン (どうする? フウ…)
フウ (やっぱりお兄ちゃん強いね…)
ラン (1R過ぎる度に一回り強くなっている気がする…)
フウ (対応力が高いんだね…こうなったらなんとしてでもラグラージかサーナイトを倒さないと!)
ラン (でも、どうするの?)
フウ (大丈夫! 俺のソルロックにはラグラージに対して必殺の技がある!)
ラン (! でもあれは…! それにはずしたらどうするの?)
フウ (なんとか当てるよ!)


ビィィィ!!


ユウキ 「よし! この気張っていけ!」

サーナイト 「はい!」
ラグラージ 「ラグッ!」

フウ 「頼むぞソルロック!」
ラン 「頑張ってルナトーン!」

ソルロック 「ロック!」
ルナトーン 「ルナー!」

第4ラウンドが始まる。
エフェクトガードも使ったし、強引に押す!

ユウキ 「ラグ、ソルロックに『みずでっぽう』!」

隕石が取り外され、まっさらな状態になったフィールドで俺は真っ先にラグに先制攻撃させる。
しかし、相手は。

フウ 「ソルロック! 『にほんばれ』!」

ソルロック 「ソーーーール!!」

カッ!!

突然、フィールド中央に人工太陽が作られる。
物凄い熱でフィールドは『日照り』状態になる。
これではたいしてソルロックにダメージを与えられない。

フウ (『下準備は』できた…でも、問題はあの素早いラグラージにどうやって当てる?)
ラン (まって! あくまでラグラージは無重力下での戦い方で戦っている!)
ラン (無重力下と重力下の境の瞬間なら!)
フウ (そうか! でも、どうやって?)
ラン (任せて!)

ユウキ 「サーナイト! 『10まんボルト』!」

ラン 「よけて! ルナトーン!」

ルナトーン 「ルナー!」

バチィン!

ルナトーンは上昇してサーナイトの10まんボルトを回避する。
しかし、それは天井近くにいるラグラージに近づく結果になった。
そのチャンスを俺は当然見逃さない。

ユウキ 「ラグ! ルナトーンに『とっしん』!」

ラグラージ 「ラグー!」

ラグは天井を蹴って頭からルナトーンに突っ込む。

ラン (きた! チャンスは一度! やるしかない!)
ラン 「ルナトーン! 『ヤジロン』に『れいとうビーム』!)」

ルナトーン 「ルナー!!」

ユウキ 「なんだと!!?」

突然、ルナトーンはジムリーダー側の左側の無重力空間を作るヤジロンを攻撃する。
ヤジロンって攻撃してもいいのかよ!?

キィン!

ヤジロン 「!!!?」

ヤジロンは一撃でダウンしてしまう。
そして、その瞬間、一匹失ったヤジロンたちの力は弱まり、無重力が解除されてしまう。
そして、突然重力に掴まったラグは姿勢制御が出来ないまま落ちる。

フウ (千歳一隅のチャンス! やるしかない!)
フウ 「ソルロック! ラグラージに『ソーラービーム』!!」

ユウキ 「なんだと!?」

ソルロック 「ソールロッーク!!!」

キュオオオオオオオッ!!!

ラグラージ 「ラ、ラグゥゥゥゥゥゥッ!!!?」

強大なレーザー…『ソーラービーム』がラグラージに直撃する。

ドカァァン!!!

爆発が起きる。
最悪の事態だ!

ユウキ 「ラグラージーーーッ!!!」




ポケットモンスター第48話 『Space Fight』 完






今回のレポート


移動


トクサネシティ


1月2日(ポケモンリーグ開催まであと58日)


現在パーティ


ラグラージ

サーナイト

ボスゴドラ

コータス

チルタリス

ユレイドル


見つけたポケモン 52匹

ルナトーン

ソルロック



おまけ



その48 「ハルカ帰還」




さてさて、今回のおまけはハルカのお話。
ある程度ポケモンの調査も終えたハルカは久し振りにミシロタウンに戻るのだった。



ハルカ 「たっだいまー! お父さん! ただいま!」

オダマキ 「おおっ! お帰りハルカ!」

久し振りに研究所に帰るとお父さんはいた。
よかった〜、お父さん研究所にいること少ないからいなかったらどうしようかと思ったんだよね〜。

ハルカ 「はい、これ調査データ」

オダマキ 「すまないな、ハルカ…どうだった? なにか面白いことはあったかな?」

ハルカ 「ん〜、ぼつぼつ無いわけじゃなかったわ」

これまで色んなことがあった。
ユウキ君と戦ったり、脅威のパッチールを相手にしたり、崖下ダイブもしたっけ…。
子供にしては大冒険しすぎね…。
ユウキ君はもっと大変なわけだし命が幾つあっても足りないかも…。

ハルカ 「はぁ…なんだかすっごい日常が懐かしく思えちゃう…」

オダマキ 「? 一体何があったんだ…」

ハルカ 「そりゃもう色々と…ね」

そう、色々あったのだ…。
とりあえず疲れた…今日は家でゆっくり休みたい。
明日からはどうしようかな?

ハルカ (また、ちょっと旅にでも出てみようかな?)

等と考えてみる。
でも、結局の所はどうしようか悩んでいる。
とりあえず今日はゆっくりする…それだけが決定事項かな?




おまけその48 「ハルカ帰還」 完



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