ポケットモンスター サファイア編




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第63話 『それぞれのバトルその1』






『3月1日 時刻13:30 第二小スタジアム』


審判 「これよりBブロック予選を始めます!」
審判 「シズク選手、リフィーネ選手バトルフィールドに入ってください」

シズク 「……」

リフィーネ 「わぁお! 楽しみですねーっ!」

審判 「では、ルールを説明します!」
審判 「使用ポケモン2体、ダブルバトルで行います」
審判 「道具の使用はなし、図鑑の参照は閲覧のみとします」
審判 「それでは両者不正のないように、ポケモンをバトルフィールドへ!」

シズク 「ナッシー、ウインディお願いします」

リフィーネ 「リーフィア、グレイシア、スタンバイ!」

ナッシー 「ナッシ〜」
ウインディ 「ウォォォン!」

リーフィア 「フィー」
グレイシア 「シゥ…」

シズク (リーフィアにグレイシア…たしか、シンオウ地方で僅かに確認されているイーブイの進化系…)
シズク (よくは知らないけど…まずは様子見からはじめた方がよさそう)

私はまずは相手の出方を見ることにする。
ポケモンのこともそうだけど、まずリフィーネという人物がどんな戦い方をするかがわからない。
あの人のような猪突猛進系なのか…それとも冷静系なのか…?

リフィーネ 「先手はいただきます! グレイシア、『こごえるかぜ』です!」

グレイシア 「グウゥ…!」

シズク 「ウインディ、ナッシーの盾になって」

ウインディ 「ウォン!」

グレイシアは小さな口から『こごえるかぜ』を放ってくる。
そうか…たしかグレイシアは氷タイプ、氷技は当然か。

リフィーネ 「オーケーオーケー! リーフィア『つるぎのまい』でーす!」

リーフィア 「フィ!」

シズク (攻撃力アップ? 物理型なのリーフィアって…)

確かリーフィアって草タイプのポケモン…でも、物理型なのかな?

シズク 「ウインディ、『ねっぷう』、ナッシーは『にほんばれ』」

ウインディ 「ウォォン!」

まず、ウインディが相手ポケモン2体に『ねっぷう』で攻撃する、両者炎が弱点だから有効。
その隙に後ろで攻撃を凌いでいるナッシーが頭上に熱い球体、『にほんばれ』を放った。
これでナッシーの『葉緑素』が発生し、ウインディの炎技が強力になる。

リフィーネ 「わぁお、まるでさながらオーレ地方みたいですねー!」
リフィーネ 「張り切ってきましたー! リーフィア! 前進です、グレイシアは左に!」

シズク 「?」

リフィーネさんは2匹を移動させる。
回避させるための行動じゃない…ポジションチェンジ?

リフィーネ 「グレイシア、ウインディの下に『れいとうビーム』です!」

グレイシア 「シィ!」

グレイシアは命令どおり、『れいとうビーム』を放つ。
ただし、地面に。

シズク (またわけのわからないことを…一体何をする気?)

まさか、ウインディのスリップ狙いなんて思えないけど…。
気にしてられないか…単にこっちの思考を乱しにかかっているだけかもしれないし。

シズク 「ウインディ、グレイシアに『ほのおのキバ』!」

ウインディはやや、斜め前方にいるグレイシアに接近する。
今は日照状態だから一撃ダウンも狙えるはず。

リフィーネ 「おっかないおっかないよ、 グレイシア『でんこうせっか』で逃げるね」
リフィーネ 「リーフィアはナッシーに『シザークロス』!」

シズク 「! シザークロス…」

たしか、虫タイプの技。
技マシン81だけどこのホウエン地方では手に入らない技マシンの技よね?

シズク (ナッシーが受けたら一撃でダウンもありえる…かといってウインディは場所を離れてしまった…)

まずい…どうも相手に引っ掻き回されてしまっている。
そういえばオーレ地方はダブルバトルが主流だったっけ…そう考えると相手はダブルバトルのスペシャリストといえる。

シズク (普通に考えてトレーナーレベルの判断では勝ち目はないか…)

こっちはオーレほどダブルバトルが盛んじゃない。
相手にとってはなれきっている当たり前のバトル。
素人…とまではいわないだろうけど、十分私はダブルバトルにはなれていないし、苦戦は必死だ。

シズク 「ナッシー、『まもる』!」

私は凡策とは思いながらもナッシーにそう命令する。
向こうにとっては『まもる』は当たり前だろう。
そういった点では二手目が恐ろしい。

リーフィア 「フィー!」

ナッシー 「ナッシー!」

キィン!

ナッシーは特殊なバリアを前方に張って、リーフィアの『シザークロス』を凌ぐ。
よし、これで反撃…!

リフィーネ 「『シザークロス』はクロスと言うだけあって×を描きますね、つまり、二撃放ちまーす」
リフィーネ 「もう一発は後ろの氷よ!」

リーフィア 「フィーア!」

パリィィン!!

シズク 「!?」

リーフィアは尻尾で後ろの凍った地面をたたくと、氷が割れて宙を舞った。
そして、リーフィアはそのまま氷の中に逃げてしまう。
しまった! これでは攻撃できない!
しかも微妙に『にほんばれ』の影響で氷が解けており、視界をぼかしている。

リフィーネ 「この作戦、もう1ステップありますね」
リフィーネ 「グレイシア! ウインディに『こおりのつぶて』!」
リフィーネ 「そして、リーフィアは『はっぱカッター』よ!」

シズク 「しまった! 挟み撃ち!?」

気がつくと、リーフィアは後退し、グレイシアが前進する。
その時、グレイシアを追ったウインディはリーフィアとグレイシアにはさまれてしまった。
両者氷と草の遠距離攻撃でウインディを狙った。

シズク (まずい! いや、これは逆にチャンスかも!)
シズク 「ウインディ、その場から飛んで! ナッシーはリーフィアに『さいみんじゅつ』」

ウインディ 「ウォン!」

ナッシー 「ナッシー!」

ウインディはその場からジャンプして、かろうじて2匹の攻撃を回避した。
そして、ナッシーはその隙にリーフィアに『さいみんじゅつ』を放つ。

リーフィア 「リ〜…」

リーフィアはそのまま目をトロンとして眠りに…。

カァァァッ!

リーフィア 「! フィー!」

シズク 「!? 眠らない!?」

リフィーネ 「無駄でーす、リーフィアは『リーフガード』という特性を持っています」
リフィーネ 「これは日差しが強いと状態異常にかからないという特性です、『さいみんじゅつ』はききません!」

シズク 「『リーフガード』!?」

初めて聞いた。
そんな特性もあるんだ。
でも、そうすると私は千歳一隅のチャンスを失ったのかもしれない。

リフィーネ (ちょっと冷っとしましたね…でもまぁ割とラッキー…て思っていいのかな?)
リフィーネ 「リーフィア、グレイシア、一旦デフォルトして」

シズク (デフォルト?)

ダブルバトル用語だろうか?
それを聞いたリーフィアとグレイシアは一列横隊に並んで、ウインディとナッシーの正面に構えた。

シズク (ああ、最初に出てきた時のポジション…)

ダブルバトルにおいて位置関係は重要だ。
考え方を変えてみたらこれはテニスのダブルスのようなものなのかもしれない。
戦い方を変えながら相手は戦っている。

シズク (こういうの上手っていうんだろうな…)

素直に感心する。
正直ダブルバトルなんてほとんど行われないこっちではダブルバトルになってもそこまで頭は回らない。
むしろ相手にとっては当たり前か…。
でも、それだったら…。

シズク 「ウインディ、ナッシーの1メートルくらい真正面で構えて」

ウインディ 「うぉう!」

リフィーネ (ワントップですか…あれは優れたトレーナーが使うと怖いんですよねぇ〜…)
リフィーネ (後ろのポケモンはわかりづらいし、攻撃もしにくい)
リフィーネ 「前衛に完璧に負担をかける戦術だけど…」
リフィーネ (嘘か真か…現在オーレ地方で登録中の200万ポケドルの賞金首レオの得意戦術って聞くけど…)
リフィーネ (本当に噂だけどとんでもない強さでずっと負け知らずのまま1000勝以上とか…現在スナッチ団にいるとか…まぁ眉唾だけど)
リフィーネ (シズクちゃん…まさかね…偶然だよね…)

シズク (ウインディの炎は氷タイプのグレイシア、草タイプのリーフィアに有効…)
シズク (問題はそんなことリフィーネさんも百も承知ということ…)
シズク (非常に難しい戦いになると思う…ウインディにすごく負担をかけることになるし)

ウインディはナッシーを守る盾であり、最大の攻撃を繰り出す槍。
どうやって戦うか…?

シズク 「やるしかないよね…ウインディ! 『しんそく』!」

ウインディ 「ウォン!」

ウインディは一吼えして突っ込む。
対象は気にしていない。
問題はリフィーネさんの行動だけど…。

リフィーネ 「リーフィア、『はっぱカッター』!」

シズク 「ナッシー! リーフィアに『サイコキネシス』!」

リーフィア 「フィーアー!!」

ナッシー 「ナッシ〜!」

リーフィアは『しんそく』で急接近するウインディに『はっぱカッター』で迎撃する。
しかし、そこは真後ろのナッシーがサイコキネシスでリーフィアの動きを封じた。

リフィーネ 「OK! 攻撃を一点に集中させただけで十分よ! グレイシア、『あられ』!」

グレイシア 「シィ!」

パキ! パキパキ!

シズク 「! 霰(あられ)…」

ウインディの放った『にほんばれ』の球体はグレイシアの『あられ』で上書きされると突然暗雲が立ちこみ、周囲はいきなり霰が降り始めた。
これでは氷タイプ以外のポケモンがダメージを受けるのは道理だろう。
2〜4ミリ程の大粒の霰が降っているのだ、痛いではすまないか…。

シズク 「一撃で終わらせる! ウインディ! 『フレアドライブ』!」

ウインディは『しんそく』のスピードを維持したまま体に炎をまといリーフィアに突撃する。

ウインディ 「ウォォン!」

リーフィア 「フィィィッ!?」

リーフィアはウインディの『フレアドライブ』の直撃を受けて吹っ飛ぶ。

リーフィア 「ふぃ〜…」

審判 「リーフィア戦闘不能!」

リフィーネ 「OK、よく頑張りましたねリーフィア、戻ってくださーい!」

リフィーネさんはリーフィアをボールに戻した。
これで2対1、大分有利になった。
後はグレイシアだけ…え?

シズク 「グレイシア…どこへ?」

私は驚愕する。
気がつくとグレイシアの姿が見えない。
霰の中に消えてしまった。

リフィーネ 「驚いているようね、シズクちゃん、グレイシアの特性は『雪隠れ』、この天気だとグレイシアを発見するだけでも困難だよ?」

シズク (まずい…この天気ではこちらは見えない敵と戦うようなものだ!)

リフィーネ 「グレイシア! 『ふぶき』よ!」

フォォォォッ!!

シズク (くっ!? 霰に混じってどこから吹雪いているのかもわからない!)

霰と共に突然吹雪くが状況がよくわからなかった。
まず目を開けるだけでもつらい。
この状況絶望的だった。

ウインディ 「ウィィッ!?」

ナッシー 「ナッシー!?」

2匹は成す術もなくグレイシアの『ふぶき』の直撃を受ける。

ナッシー 「な、ナッシ〜…」

ドッスゥゥン!!

シズク 「ナッシー!」

ナッシーはこの霰とグレイシアの『ふぶき』に耐えられずダウンしてしまう。
これで残ったのはウインディだけ…相性はいいとはいえ…危険だ。

シズク 「ナッシー戻って」

私は吹雪の中ナッシーをボールに戻す。
ここからはシングルバトル…。
考え方を変えよう…。

シズク (シングルなら…負けてない!)

私はウインディを信じる。
グレイシアは消滅したわけじゃない。
どこかに隠れてしまっただけだ。
一撃…一撃で決める!

シズク 「そうだ! ちょっと強引だけど! ウインディ、グレイシアの匂いを『かぎわける』!」

ウインディ 「! グルル…!」

リフィーネ 「! そう来たですか! でも、これで終わりです! グレイシア、『みずのはどう』!」

グレイシア 「シィ!」

バシャアアッ!!

『みずのはどう』の放たれる音。
でも、霰の降り続ける今は吹雪の音でほとんど掻き消えている。
それでも、ウインディは…わかるよね!?

ウインディ 「! ワン!」

ウインディは後ろを向く。
そう、グレイシアは後ろなのね!?

シズク 「ウインディ! 『しんそく』!」

ウインディ 「ウォン!」

グレイシア 「!?」

ウインディは『みずのはどう』が着弾するよりも早く、霰の中を駆け抜けた。
『しんそく』は一瞬でグレイシアとの距離をゼロにしてぶつかる。

リフィーネ 「まずい! グレイシア! よけ…!」

シズク 「終わりです! ウインディ! 『オーバーヒート』!」

ウインディ 「ウウゥ…ウォォォン!!」

ドカァァァン!!

グレイシア 「シィーッ!?」

ウインディの『オーバーヒート』がグレイシアを確実に捕らえた。
グレイシアは成す術なく宙を舞った。

リフィーネ 「オーマイガット…ヤラレチャッタってやつですね」

リフィーネさんは諦めたような顔をしていた。
さすがに耐えられないと思う…。

審判 「グレイシア、戦闘不能!」
審判 「よって勝者シズク選手!」

リフィーネ 「OK、よく頑張りましたねグレイシア、ゆっくり休みなさいね」

シズク 「ありがとうウインディ、あなたのおかげよ」

ウインディ 「ウォン♪」

私はウインディの頭を撫でてあげる。
霰で痛かったよねウインディ?
頑張ったよ、あなたは。

シズク 「もどって、ゆっくり休んでねウインディ」

ウインディ 「ウォン!」

私はウインディをボールに戻し、リフィーネさんの前まで歩いた。

リフィーネ 「あっはっは! 参りましたー! シズクちゃん強いです! でも、次やる時は私が勝たせてもらいますよ〜?」

シズク 「…ありがとうございました、リフィーネさん」

リフィーネ 「Your winner! シズクちゃん、あなたが勝者だよ」

リフィーネさんはそう言って私の手を取ってあげさせる。
ちょっと恥ずかしい。
それを見てこの予選を見に来た観客たちが歓声を上げてくれた。

リフィーネ 「それじゃ、シズクちゃん、Little Good-Byね!」

シズク 「……」(コクリ)

私たちは次の対戦があるのでフィールドを離れる。
勝てた…これでまた本選出場に一歩近づいた。



…………。



『同日:某時刻 第三小スタジアム』


タクマル (さってオイラの戦いか…)

オイラはタクマル。
ジョウト地方エンジュシティ出身のポケモントレーナー。
オイラはジョウト地方で普及しないダブルバトルを普及させるためダブルバトルを極めようとしている。
この予選はダブルバトル、負けるわけにはいかないぜ!

審判 「それではCブロック予選を始めます!」
審判 「タクマル選手、レン選手バトルフィールドに入ってください」

オイラは審判に呼ばれるとバトルフィールドに入って相手を見定める。

レン 「やっと始まったね〜頑張るぞー!」

相手はショートヘアーの似合う女の子のようだった。
年齢は12〜3くらいかな?
身長はあまり高くはない、明るいイメージを第一印象に受ける子だなぁ〜。

審判 「では、ルールを説明します!」
審判 「使用ポケモン2体、ダブルバトルで行います」
審判 「道具の使用はなし、図鑑の参照は閲覧のみとします」
審判 「それでは両者不正のないように、ポケモンをバトルフィールドへ!」

タクマル 「いっけー! オイラのオオタチ、ヨルノズク!」

レン 「じゃいっくよー? フローゼル、ムクホーク!」

オオタチ 「タッチ〜♪」
ヨルノズク 「ホーッ!!」

フローゼル 「ゼル!」
ムクホーク 「ムク!」

タクマル (見たことのないポケモン…あのムクホークってのは飛行タイプって見た目でわかるけど…)

問題はフローゼルってポケモン。
見た目はイタチだけど…オオタチと同じノーマルタイプかな?

タクマル 「考えても仕方がない! ヨルノズクはフローゼルに『じんつうりき』!」
タクマル 「オオタチは『てだすけ』!」

オイラは一気に畳み掛けることにする。
ヨルノズクの目は怪しく光るとフローゼルを…。

レン 「遅いよ♪ フローゼル、あの飛んでるのに『アクアジェット』!」

フローゼル 「ゼル!」

ヒュン!

タクマル 「なっ!?」

ヨルノズク 「ホーッ!?」

ドカァ!!

フローゼルというポケモンは水を巻き上げながらものすごいスピードでヨルノズクに体当たりした。
水を巻き上げた…まさか、水タイプ!?

タクマル 「だったら! オオタチ、フローゼルに『10まんボルト』!」

レン 「ちょっと〜、まだムッくんの行動が始まってない〜」
レン 「ムクホーク、電気放とうとしているポケモンに『インファイト』!」

ムクホーク 「ムクー!」

オオタチ 「タッチー!!」

ビビビビビビッ!

フローゼル 「!!!!!」

フローゼルはオオタチの『10まんボルト』で苦しむ。
やっぱり電気が弱点みたいだな!
でも同時にムクホークが凄い勢いでオオタチに襲い掛かった。
本能的に受けたらやばいと感じる。

タクマル 「ヨルノズク、『リフレクター』!」

ヨルノズク 「ホーッ!」

ヨルノズクは自分たちの周りに『リフレクター』を張った。
これで物理攻撃はダメージ減だ!

レン 「あれ? 『リフレクター』ってダブルバトルで使ったら効果も半分になるんじゃなかったっけ?」
レン 「それじゃあいくらなんでもムクホークのはたえられないんじゃない?」

などと向こうのトレーナーは呑気に言う。
確かに『リフレクター』はダブルバトルでは効果が2匹に渡る分効力が半分になってしまう。
しかしあのムクホークの攻撃…そんなに強いの!?

ムクホーク 「ムックー!!」

ドッカァァァ!!

オオタチ 「タッチー!?」

タクマル 「オオタチ!」

オオタチはムクホークの『インファイト』を受けて思いっきり吹っ飛んだ。
凄い攻撃力だ!

オオタチ 「タッチ〜…」

審判 「オオタチ戦闘不能!」

なんとオオタチは一撃で戦闘不能にされてしまう。
まさか…あれって格闘タイプの技!?

レン 「フローゼルの受けた分のダメージも返すよー? フローゼル残りのに『れいとうビーム』!」

フローゼル 「ゼル!」

タクマル 「あ、ヨルノズク、よけて! そして『さいみんじゅつ』!」

ヨルノズク 「ホー!!」

ヨルノズクは上昇しながらフローゼルの『れいとうビーム』を回避して、フローゼルに『さいみんじゅつ』をかける。

レン 「相手はフッくんだけじゃないよー!? ムッくん、もう一度『インファイト』!」

ムクホーク 「ホーク!!」

ヨルノズク 「!?」

ムクホークがヨルノズクを捕らえる。
まずい、もう避けられない!

ドッカァァァァァッ!!

タクマル 「ヨルノズクーッ!?」

ヨルノズクもオオタチ同様激しく吹き飛ばされた。
なんて威力だ!

ヨルノズク 「ホ、ホ〜…」

バッサァ!

ヨルノズクは力なく地面に倒れてしまった。

審判 「ヨルノズク戦闘不能! よって勝者レン選手!」

タクマル 「く…戻ってヨルノズク…」

レベルが違う…。
ダブルバトルとかそれ以前に相手が強すぎる…。
悔しいけど…オイラじゃどうやって勝てそうにない…。
ましてや、相手のポケモンのこと何にも知らない…。

レン (う〜ん…結局オオタチって何ポケモン? 電気技使ったし…電気タイプなのかな?)


しかし、レンはレンで相手のポケモンのことをぜんぜん知らなかったとさ。



…………。



『第四小スタジアム』


実況 『さぁ、Nブロックはこれより2回戦!』
実況 『互い一勝ずつのふたりの対決だ!』

アスカ 「…」

実況 「まずはレッドサイド『アスカ』選手! 一回戦ニーナ選手を安定したバトルで勝利したぞ!」
実況 「そして、ブルーサイド『ミソラ』選手! 同じく一回戦でコウ選手を倒した強豪だ!」

ミソラ 「……」

周りにお辞儀をする向かい側のミソラ選手。
紺色のスーツを着た女性だった。
身長は170センチ位、細長い長方形のサングラスをつけていた。
顔の輪郭が凛としており、美形だとわかる。
年齢的には…多分20くらいだと思うけど…。

アスカ (この人…自分のバトルすぐに終わらせたから見られなかったんだよね…)

でも、それはそれだけ強いってこと。
緊張する…ね。

審判 「これよりBブロック予選を始めます!」
審判 「使用ポケモン2体、ダブルバトルで行います」
審判 「道具の使用はなし、図鑑の参照は閲覧のみとします」
審判 「それでは両者不正のないように、ポケモンをバトルフィールドへ!」

アスカ 「いけ! マニューラ、ドンカラス!」

マニューラ 「マニュ!」
ドンカラス 「カー!」

ミソラ 「エビワラー、サワムラー、よろしく」

エビワラー 「エビ!」
サワムラー 「サワ!」

アスカ (うげ…格闘ポケモン)

なんと悪タイプの天敵格闘タイプを出してくる。
弱ったな…どうしよう。

審判 「バトルスタート!」

アスカ 「ええい! やるしかない! ドンカラス、エビワラーに『ドリルくちばし』!」

ミソラ 「エビワラー『みきり』! サワムラーはドンカラスに『ブレイズキック』!」

アスカ 「マニューラ! サワムラーに『ねこだまし』!」

マニューラ 「マニュ!」

マニューラはものすごいスピードでサワムラーの目の前まで行く。
そして。

パチィン!

マニューラはサワムラーの目の前で手を叩く。
サワムラーはそれに驚いて怯んだ。

ドンカラス 「カーッ!」

エビワラー 「エビ!」

大して、ドンカラスはエビワラーに『ドリルくちばし』を放つが、エビワラーはスウェーバックしてドンカラスの攻撃を見切った。

ミソラ 「エビワラー、ドンカラスに『マッハパンチ』!」

アスカ 「させるな! マニューラ、エビワラーに『こおりのつぶて』!」

マニューラ 「マニュ!」

マニューラはすばやく手元に礫を作り出し、それをすばやくエビワラーに打ち込む。
攻撃モーションに入っているエビワラーはよけられない。

ミソラ 「サワムラー、マニューラに『まわしげり』」

サワムラー 「サワッ!」

アスカ 「ドンカラス! サワムラーに『つばめがえし』!」

ドンカラス 「カー!」

ザシュウ!

サワムラー 「サワーッ!」

サワムラーはドンカラスの『つばめがえし』で手を地につける。
よし! 今の所こっちが優勢だ!

ミソラ 「…さすがだね、相性を覆してここまで戦うなんて」
ミソラ 「そろそろ、本気でやろうか」

アスカ 「!?」

なんだかプレッシャーみたいなものを向こうから感じる。
やばい…本能的にそう悟った。

アスカ 「あなたたち! すぐに相手から離れて!」

マニューラ 「マニュ!」
ドンカラス 「カー!」

私は2匹に後退を命じる。
あのままでいたらやばいと思ったからだ。

ミソラ 「だめだよ、そんな消極的じゃエビワラー『こうそくいどう』!」

エビワラー 「エビ!」

アスカ 「速っ!」

エビワラーはものすごいダッシュでドンカラスとの距離をゼロにした。
マニューラは何とか逃げ切れたが、ドンカラスでは追いつかれる!

アスカ 「ドンカラス! エビワラーに『つばめがえし』!」

私は咄嗟にそうドンカラスに命令する。

ミソラ 「甘いよ、エビワラー『カウンター』」

ドンカラス 「カー!!」

ザシュウ!

ドンカラスはエビワラーの後ろに回り鋭い一撃をエビワラーに与える。
しかし、エビワラーはなんとかその場に踏みとどまった。

エビワラー 「エビー!!」

ドカァァァァ!!

ドンカラス 「カーッ!!?」

ドッシャアアアッ!

エビワラーは渾身の右ブローをドンカラスの顔面に与えた。
ドンカラスは4メートルほど吹き飛び、動かなくなる。

審判 「ドンカラス! 戦闘不能!」

アスカ 「そんな…もどってドンカラス」

私はドンカラスをボールに戻す。
まずい…こんなにあっさりドンカラスを失う羽目になるなんて…。

アスカ (ううん! だめよアスカ! ドンカラスはただで負けたわけじゃないわ! エビワラーだってつらい!)

私はそう思うとマニューラに命令する。

アスカ 「マニューラ、エビワラーに『れいとうビーム』!」

マニューラ 「マニュー!!」

キィン!

マニューラは口から『れいとうビーム』を放ち、エビワラーを攻撃する。
当たればもうエビワラーの体力はないはず! いける!

ミソラ 「サワムラー、マニューラに『インファイト』」

サワムラー 「サワッ!」

サワムラーはためらわずマニューラに突っ込む。
『れいとうビーム』のモーションがある! クロスレンジに持ち込まれちゃう!

キィン!

エビワラー 「エビー!?」

エビワラーは『れいとうビーム』を受けて、凍ってしまう。

審判 「エビワラー、戦闘不能!」

アスカ 「マニューラ! くるわよ! 『まもる』!」

マニューラ 「マニュ!」

マニューラは守りの体制に入る。
これで『インファイト』をすかせる!
サワムラーだってドンカラスの『つばめがえし』をもらっている!
反撃されれば耐えられないはず!

ミソラ 「これで終わり、サワムラー『フェイント』!」

サワムラー 「サワッ!」

マニューラ 「!?」

サワムラーは『インファイト』で攻撃すると見せかけて、マニューラの真後ろに回る。
不意を突かれたマニューラはそのまま…。

サワムラー 「サワーッ!!」

ドッカッァァ!

マニューラ 「マニューッ!?」

マニューラはサワムラーの回し蹴りを食らって思いっきり吹き飛んだ。
あれがサワムラーの『フェイント』…やられたわ。

審判 「マニューラ戦闘不能! よって勝者ミソラ!」

実況 「決まったー! ミソラ選手やや苦戦しながらもアスカ選手を下した!」
実況 「これで本戦出場は確実かー!?」

アスカ 「…もどってマニューラ」

私はマニューラをボールに戻す。
強い…途中までこっち有利に運んでいたのに、いきなりあっという間にやられちゃった。
もしかしたら初めは遊ばれたのかもしれない。
相性…てことで逃げることは出来るけど、それならカゲツ兄貴やカリンおばちゃんは四天王なんてやってられない。
悔しい…こんなあっさり負けちゃうなんて…。



カゲツ 「アスカのやつ…気負いやがって」
カゲツ 「ありゃ、アスカが弱いんじゃねぇ…あいつが強い…」
カゲツ 「ミソラ…か、あの『元アイドル』がこれほどの実力者とはな…」




ポケットモンスター第63話 『それぞれのバトルその1』 完






今回のレポート


移動


サイユウシティ


3月1日(ポケモンリーグ予選日一日目)


現在パーティ


ラグラージ

サーナイト

チルタリス

ユレイドル

ボスゴドラ

コータス


見つけたポケモン 65匹




おまけ



その63 「とりあえず状況報告」





『さぁ、ついに予選も本格的に始まったぞ』

ユウキ 「俺何とか一勝」

リフィーネ 「負けちゃいました〜…」

アスカ 「あたしも…ついてないよ」

タクマル 「そんなこと言ったらオイラはもっとついてないんだけど…」

『まぁ、バトルに光と影が残るのみだからな』

シズク 「私も次勝てるとは限りませんし…」

『さて、そんな君たちに下馬評をみせよう!』

リュウト 「下馬評?」

ケン 「どういうことや?」

『…つまり、君たちの人気だ、誰が優勝できるか、オッズだな』

ヨー 「む…世間体から見た人気か…」

イブ 「私どれくらいだろう…」

『じゃ、一番上から教えてやろう』

アルタ 「……」(ドキドキ)

ペル 「……」←興味なし。

『まずはイヴ! オッズ1.3倍だ!』

イヴ 「俺か…」

ユウキ 「凄い人気だな…1.3倍って…」

『続いてシズク、オッズ1.7倍!』

シズク 「…恐縮です」

イブ 「凄いね、2番目だなんて」

リフィーネ 「そうじゃなきゃ、負けた私の立場ないデース!」

『次はアスカだ、オッズ1.9倍』

アスカ 「え!? 私!?」

ユウキ 「負けたくせにな」

カラクサ 「所詮は人気さ」

リュウト 「全くだな…」

アスカ 「あはは…みんな私に期待しすぎ…はぁ」

『次、ユウキだ、オッズ2.1倍』

ユウキ 「俺…ね、まぁ色々と有名になっちまったからな…」

リュウト 「絶対勝つ…!」

イヴ 「負けられないな…」

『次はミソラだ、オッズ2.2倍』

アスカ 「あ、あの人なんだ」

タクマル 「あの人ならもっと上にいても不思議じゃないの?」

ヨー 「知名度でしょうね」

『次いくぞ? 次はイブ、オッズ2.7倍』

イブ 「え? 次私なの!?」

シズク 「身内の中では上位です」

チカ 「ふ〜ん、でもオッズは飛ぶわね」

『次はリフィーネ、オッズは2.9倍』

リフィーネ 「OH! まぁまぁですね!」

ユウキ 「まぁ実際実力あるしな」

サティ 「サティはまだかしら〜?」

『次はタクマルだ、オッズ3.0倍』

サティ 「なんで!? タクマルがかしら〜!?」

ケン 「な、なんでこんなガキンチョがワイより上やねん…」

ユウキ 「お前ら知らんのか…」

ケン 「?」

ヨー 「タクマル君は去年ジョウトリーグでベスト16なのよ」

タクマル 「でも、あの時のジョウトリーグはレベル低いから…」

『はいはい! 次はいくよ? 次はリュウトだ、オッズ3.5倍』

リュウト 「俺…?」

ユウキ 「へぇ…」

イヴ 「成長率がいいからな…」

シズク 「しかも、トレーナーとしての歴もあります…もしかしたらという感がありますからね」

『さて次はケンだ、オッズは3.6倍』

ケン 「ワイ…こん中やったら実力ある方やと思うやけどな…」

ヨー 「まぁ、あくまで人気だからね」

『そういうこと、次はチカ、オッズ4.1倍』

チカ 「あら? 私なの?」

ユウキ 「ほう」

カラクサ 「僕はまだかい?」

『次はペル、オッズ5.2倍』

ペル 「……」

ユウキ 「ペルはこのラインか」

シズク 「でも、もっと強そう…」

サティ 「サティ…怖いかしら…」

アスカ 「私も同感…なんか苦手」

『次はアルタだってさ、オッズ7.5倍』

ユウキ 「跳ね上がるな〜」

アルタ (僕なんかが…?)

タクマル 「まだ、この下がいるんだよね?」

サティ 「うう…まだ下…」

カラクサ 「ふ…」

『次はアンナ、オッズ8.0倍』

イヴ 「あのアンノーン使い」

リュウト 「誰だ?」

ユウキ 「アンノーン使いながらやたら強い奴…」

アンナ 「……」
アンナ 「…そこまでは」

ヨー 「うっひゃあ!? いつの間に!?」

『次はヨー、オッズ8.3倍』

ヨー 「やったー! 最下位じゃない!」

サティ 「もしかして…かしら〜」

カラクサ 「……」

『次はレン、オッズ11.2倍』

タクマル 「あの子…あんなに強いのにこの位置なんだ」

ユウキ 「だから、あくまで人気だって」

リュウト 「うむ」

『さぁ、次はカラクサ! オッズ13.5倍』

カラクサ 「…微妙」

サティ 「そ、そんな…」

ユウキ 「最下位決定だな」

『最後はサティ、オッズ17.1倍!』

サティ 「そんな馬鹿なかしら〜!?」

ユウキ 「惨めだな」

ペル 「あなたは…弱い」

サティ 「むきーかしら! このオッズは間違いだって絶対予選で証明してやるかしらー!!」

ペル 「……」←サティの対戦相手。

ユウキ 「まぁ頑張れ」

『以上! お前ら気張っていけー!?』






おまけその63 「とりあえず状況報告」 完



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