ポケットモンスター サファイア編




Menu

Back Next



ルビーにBack ルビーにNext





第71話 『第7試合・逆転』






『3月4日 時刻13:30 ポケモンリーグ本戦会場』


シャベリヤ 『さぁ、みなさん昼食を食べ、眠たくなっている方も多いでしょうが、眠っている場合ではございません!!』
シャベリヤ 『これより、ポケモンリーグ第1回戦Aブロック第7試合が行われようとしているのですから!!』
シャベリヤ 『まずは対戦カードを紹介しましょう!』
シャベリヤ 『レッドサイドから出てくるのはリュウト選手!』
シャベリヤ 『ここ、ホウエン地方はトウカシティ出身でトレーナーカードは16歳の時に交付という遅咲き!』
シャベリヤ 『予選は32位でギリギリ突破ですが、いつもはらはらさせるバトルでなぜか人気が高い!』
シャベリヤ 『まさに、逆転男! リュウト選手!!』

ワァァァァッ!

リュウト (逆転か…そう言えばいつも苦戦しているな…いい加減バシッと決めたいものだな…)

だが、そう上手くいかないのが悲しいところだな。
客には受けるが、こちらとしては寿命が縮む。
恐らく、また寿命が縮むのだろうな…。
そう思うと、思わず笑みがこぼれた。

シャベリヤ 『対してブルーサイドから出てくるのはカガヤ選手!』
シャベリヤ 『リュウト選手と同じくホウエン地方出身だが、こっちはキンセツシティ出身!』
シャベリヤ 『トレーナーになって6年目のベテランでホウエンリーグは2回目の出場!』
シャベリヤ 『予選も3戦全勝で申し分なし!』
シャベリヤ 『さぁ、勝つのはどっちだぁーっ!!?』

カガヤ 「……」

目の前には俺より年下の選手が俺を睨んでいる。
そう言う俺も睨み返しているわけだが。
俺はみんなクールというが、見た目ほどクールではない。
むしろ誰よりも熱いのかもしれない。
こうやって相手と対峙している時も今か今かと闘志を抑えきれない。
早く戦いたい…そう、感じずにはいられない。

シャベリヤ 『さぁ、ついにフィールドも姿を現しました!』
シャベリヤ 『次のフィールドは、分厚い氷のフィールド! 下はプールになっている!』
シャベリヤ 『迂闊な技を使えば、即、下のプールにドボンか!?』

俺たちのバトルフィールドは氷だった。
どれ位の厚みがあるのかは知らないが、リーグで使うくらいだ、メタグロスが乗っても割れはしないだろう。
だが、『じしん』などの技は禁句かな。
もっとも、水中適正の高いポケモンなら別だが。

カガヤ 「ふふ…」

リュウト 「!」

カガヤ選手が笑った…。
このフィールドを見て?
ということは、フィールドに適したポケモン構成ということか。
だが、いかなる状況でも焦らず戦うこと…これまでのバトルで俺は学んだ。
俺は…負けん!

審判 「両者、不正のないようポケモンをフィールドへ!」

リュウト 「ミロカロス! いけ!」
カガヤ 「でろ、バクーダ!」

ミロカロス 「ミロー!」

バクーダ 「バックー!!」

シャベリヤ 『リュウト選手はミロカロス、カガヤ選手はバクーダだ!』
シャベリヤ 『水タイプは大の苦手のバクーダ! いきなりカガヤ選手不利か!?』

リュウト (さて、こっちはいままで怪我で療養させていたミロカロスだ、今回は同じく療養で育て屋さんに預けていたアブソルとキュウコンもセレクトしてある)
リュウト 「まずは一勝貰わせてもらう! ミロカロス、『みずのはどう』だ!」

ミロカロス 「ミロー!」

カガヤ 「バクーダ、『じしん』だ!」

リュウト 「なんだとっ!?」

バクーダ 「バクーッ!」

ズドォン!!

ミロカロス 「ミロッ!?」

シャベリヤ 『なんとぉー!? 開幕から氷が割れて、一面流氷の海状態に!』
シャベリヤ 『しかし、これでは水タイプであるミロカロスが有利なだけで、むしろバクーダは不利のはず!?』

リュウト (その通りだ! バクーダは水が天敵なのだぞ!?)

少なくとも、地面を砕き割ることでミロカロスの『みずのはどう』を逸らして、回避することは出来た。
しかし、それによってバクーダは溺れかけている。
ミロカロスも痛いダメージを受けたが状況はどう考えても向こうに分がない。

リュウト 「…何を考えているかわからんがここで沈んでもらう! ミロカロス、『ハイドロポンプ』!」

カガヤ 「バクーダ、『だいばくはつ』!」

バクーダ 「バークーッ!!!」

カッ!! チュドォォォン!!!!

リュウト 「なんだと!?」

シャベリヤ 『なんとぉー! カガヤ選手のバクーダ地面を割るだけ割って、後は大・爆・発!!!』
シャベリヤ 『ミロカロス共々全てを吹き飛ばすその破壊力! 恐るべしはカガヤ選手なのか!?』

審判 『両ポケモン、戦闘不能!』

カガヤ 「よし、戻れバクーダ」

リュウト 「戻れ…ミロカロス」

最悪のパターンだ。
水ポケモンを1匹失った上、向こうはバクーダというフィールドに適さないポケモンを失っただけか。
迷わず『じしん』、『だいばくはつ』とくるとはな…やられたな。

リュウト 「でてこい! アブソル!」
カガヤ 「出番だ、スターミー!」

シャベリヤ 『両者再び仕切りなおし! リュウト選手またもやポケモンの相性はいいが!?』

リュウト 「相性はな…」

だが、『だいばくはつ』で残り少なくなった氷の上にアブソルが乗っているのが現状。
逆に向こうは水タイプ故、フィールドにはまったく苦がない。
ほとほと俺は運がないらしい。
今日も今日とて不幸の女神が微笑んでいるらしいな。
これは陸上ならアブソルが有利だが、ここは陸ではない。
流氷のプールだ、泳げるとはいえ水タイプに水中で勝てるわけがない。

カガヤ 「スターミー、『ハイドロポンプ』!」

リュウト 「ちぃ! かわして『10まんボルト』だ!」

アブソル 「アブッ!」

アブソルはその場から飛び上がり、『ハイドロポンプ』をかわす。
しかし、足場が不安定でそれほど高くは飛べなく、飛行時間を保てないのでそのまま攻撃とはいかず、一旦着地した後になってしまう。

カガヤ 「スターミー! 潜って、『ほごしょく』!」

スターミー 「スター!」

シャベリヤ 『スターミー、水中に潜るとその色を水と同化させてしまう!』
シャベリヤ 『これではどこにいるか判別不能だ!!』

リュウト (くぅ! どうする!?)

状況は完全に相手ペースだ。
だが、こちらにはどうすることも出来ない。
どう考えてもアブソルが不利だ!

リュウト (くそ! 考えろ…この状況を打破する方法を…!)

手持ちはキュウコン、カイリュー、サナギラス、メタグロス、そして今出ているアブソル…!

アブソル 「アブッ!?」

ザパァン!!

リュウト 「! アブソル!」

シャベリヤ 『おおっと! アブソルの足場が揺れ始めた! スターミーの攻撃か!!』

リュウト(ちぃ…時間の問題か…だが、ただではすまさん!)
リュウト 「もどれ、アブソル!」

カガヤ 「!?」

リュウト 「でろ! メタグロス!」

メタグロス 「メター!!」

ズッシィン!!!

シャベリヤ 『おおーっと! メタグロス、自分の体重の性一瞬で底まで沈んでしまう!』
シャベリヤ 『しかし…これはぁ!?』

カガヤ 「しまった! まさか下敷きに!?」

俺はアブソルのいた位置にメタグロスを出す。
スターミーは下から攻撃していた。
だったら、見えなくても550キロの巨体で押しつぶす!

カガヤ 「大丈夫か! スターミー!」

スターミー 「ス…スター!」

シャベリヤ 『スターミーの姿が見え始めた! メタグロスの体に押しつぶされて大丈夫なのか!?』

リュウト (まだ、倒れはしないだろう…だが、こちらの攻撃もまだ終わりではない!)

カガヤ 「水中では動けないだろう! スターミー、『ハイドロポンプ』だ!」

リュウト 「甘いな! メタグロス、『でんじふゆう』!」

メタグロス 「メッター!!」

シャベリヤ 『なんと、メタグロス体が浮いたー! いや、これは…!?』

俺の目的はただ、浮くだけじゃない。
電気を氷りに通したら酸素と水素に変わり、電子が−なる。
一気にここで酸素水を生み出す!

スターミー 「ス、スタッ!?」

カガヤ 「!? ど、どうなっているんだ!?」

リュウト 「知ってるか? 酸素水は恐ろしく『重い』」
リュウト 「酸素水では人は浮くことさえ出来ず、溺れてしまう、そして…酸素は『有害』だ」

スターミーは水棲のポケモン。
今は水質が急激に変化して苦しいだろう。

リュウト (もっとも…この状態だと、伝導率が悪いから、電気の抵抗が大きいのが難だが…)

だが、状況はもらった!

リュウト 「メタグロス、『はかいこうせん』!」

メタグロス 「メッター!!」

ギュオオッ!! チュドーン!!

スターミー 「!?!?」

審判 「ス、スターミー、戦闘不能!」

スターミーはダウンしても浮いてこない。
浮力がなさすぎるため、底に留まっているのだ。
メタグロスは『でんじふゆう』で水の中から出てくる。

カガヤ 「戻れ、スターミー…」

審判 『カガヤ選手、ポケモンを戻します、その顔は何が起きたかイマイチ理解していない顔だ』

カガヤ 「でてこい、イルミーゼ!」

イルミーゼ 「イルミー♪」

スターミーの次に出てきたのイルミーゼだった。
微妙だな…このままメタグロスで押せるといいのだが。

リュウト 「まずは一撃様子をみる! 『バレットパンチ』!」

カガヤ 「! それなら! イルミーゼ、『アンコール』!」

イルミーゼ 「イールミー♪」

リュウト 「なんだとっ!」

メタグロスの『バレットパンチ』はイルミーゼの顔面にはいる。
しかし、アンコールで縛られた…。

リュウト 「ちぃ! 仕方がない…もどれメタグロス!」
リュウト 「でてこい、アブソル!」

アブソル 「アブソー!」

俺は相性が悪いのはわかりつつもアブソルを出す。
今の足場では他のポケモンでは戦えない!

カガヤ 「イルミーゼ、『おだてる』!」

イルミーゼ 「イルミ〜♪」

アブソル 「!?」

シャベリヤ 『おおーと! カガヤ選手上手い! アブソル、煽てられて混乱状態になってしまったぞ!』

リュウト 「しっかりしろアブソル! 『かえんほうしゃ』だ!」

アブソル 「ア、アブーッ!?」

しかし、アブソルの耳には正確に届かない。
『かえんほうしゃ』を放つにも見当違い…というか。

リュウト 「うおっ!?」

シャベリヤ 『おっとー! アブソルの『かえんほうしゃ』、リュウト選手を襲ったー!!』

俺はとっさに身を翻してアブソルの攻撃を回避する。
もしかしてまだ、不幸の女神はラブコールを送っているのか?

カガヤ 「よし! そのままメロメロだ!」

イルミーゼ 「イル〜♪」

シャベリヤ 『ああっと! さらにメロメロ状態になった! 一体どうするリュウト選手!?』

リュウト 「ええい! こうなったらどこでもいい! 『ふぶき』だ!」

アブソル 「??????」

アブソルは『ふぶき』を放つ。
ただし、イルミーゼにではない。
こちらにだ…。

リュウト 「くっそー!!」

俺は回避は無理と判断し、体を屈めて寒さを耐える。

アブソル 「アブッ!?」

ザァァン!!

リュウト 「!?」

なんと、アブソルは足を踏み外して水中に落ちてしまう。
だが、水中でも『ふぶき』を放っていると、なんと水面が凍ってきた。

アブソル 「……」

シャベリヤ 『アブソル、動きが止まった! これは危険だ!』

審判 「アブソル戦闘不能! 急いでボールに!」

リュウト 「くっ! もどれアブソル!」

俺はアブソルをボールに戻す。
アブソルのおかげで水面が若干凍り、足場が増えた。
これを活かさない手はないはず。

リュウト 「でてこい、キュウコン!」

キュウコン 「コーン!」

俺は足場の不利はともかく、キュウコンをだす。
アブソルのおかげで、少しは動きやすくなった。

カガヤ (さすがに、おなじことは通用しないだろうな)
カガヤ 「だから、ここは繋げる戦いを! イルミーゼ! 『あまごい』!」

リュウト 「キュウコン、『かえんほうしゃ』だ!」

イルミーゼ 「イールミー!」

イルミーゼは青い球体を作り出すとそれを空中に打ち上げる。
それと同時にキュウコンの『かえんほうしゃ』はイルミーゼを焼くのだった。
そして、雨が降りだした…。

イルミーゼ 「イールミ〜…」

審判 「イルミーゼ、戦闘不能!」

カガヤ 「戻ってくれ、イルミーゼ」

シャベリヤ 『さぁ、現在一進一退の攻防が続いています』
シャベリヤ 『カガヤ選手、イルミーゼ、スターミー、バクーダを失い残り3匹』
シャベリヤ 『リュウト選手は、ミロカロス、アブソルを失い残り4匹』
シャベリヤ 『カガヤ選手、次のポケモンを出します!』

カガヤ 「出て来い、ロズレイド!」

ロズレイド 「……」

ザァァァァァ…。

ロズレイドは大雨の中、水面に静かに佇む。
水面に体が浮いているようにさえ見えた。
ザァザァ降りの雨が、不吉に見える。

リュウト (キュウコン相手に草タイプ? どういうことだ?)

いくら炎が半減とはいえロズレイドには明らかに分の悪いはずのポケモン。
なにか手が…。

カガヤ 「ロズレイド、『ウェザーボール』!」

リュウト 「まずい! キュウコン、よけろ!」

ロズレイドは青い球体をキュウコンに放つ。
『ウェザーボール』は天候によってタイプが変わる。
今は水タイプの技だ!

カガヤ 「ロズレイド、『くさむすび』!」

ロズレイド 「!!」

キュウコン 「!? コン!?」

なんと、氷からツタが生え、キュウコンの足を捕らえる。
そして…。

バシャァァァン!!

キュウコン 「コーンッ!!?」

リュウト 「キュウコン!?」

シャベリヤ 『『ウェザーボール』が直撃! キュウコン、ダウンです!!』
シャベリヤ 『またもや逆転! 一進一退の逆転劇はどこまで続くのだー!!』
シャベリヤ 『ひとまず、この戦い、後半戦まで10分の休憩だー!!』



……………。



ケン 「…ぷはぁ! なんつーはらはらさせるバトルすんねん…」

ヨー 「今、どっちが押しているんだ…?」

ケン 「わっかんねぇ…」

チカ (やってやられての大どんでん返し…)

リュウトが詰めきれていないのもあるか。
たしか、トレーナーになったのは16歳から…。
通常、トレーナーになるのは遅くても14だと聞くけど…それよりリュウトは遅い。
経験は2年、積む期間としてはなんとかなるかしら。
だけど、問題はそれ以前。
あんまり昔のことは知らないけど、多分教科書トレーナーだったんでしょうね。
セオリーに忠実で、想定外に弱い。
だけど、彼は変わろうとしている。
今、その境にあるわ…過去の自分とこれからの自分の境目で戦っている。
だから、とても不安定なのね。

チカ (もしかしたら…化けるタイプなのかもしれないわね…)



…………。



リュウト (まだ、自分自身がバトルについていっていないのかもしれないな…)

俺は休憩時間、目を瞑って今までのバトルを振り返ってみた。
今まで苦戦はあったが、なんとか勝てていた。
多少、ポケモンに甘えていたのは事実かもしれない。
だが、俺はポケモントレーナーになるまでにトレーナーになる以上に勉強をしていたと思う。

リュウト (だが、所詮俺は井の中の蛙…)

俺はユウキ君に負けた…聞けばまだトレーナーになって一年どころか…半年も経っていないトレーナーだという。
だが、彼の放つオーラはすでに俺を越えていた。
そして…感じた。

リュウト (あのバトル…まるで俺では勝てる相手ではなかった)

セオリーが通用しない。
彼は恐らくそれほど危険な実戦に揉まれたのだろう。
あれ以来…あのルネでのバトル以来、ユウキ君とのバトルがちらついた。
どのバトルもそれまでのような安定したバトルは出来なくなり、常に苦戦と新たな条件が現われる。

係員 「リュウト選手、そろそろ時間です!」

リュウト 「…ああ」

俺は、俺なりに変わらないといけない。
ユウキ君のように、相手を撹乱し、詰めるわけでもなく…。
アダンさんのように…どうあっても自分のバトルを崩さないわけでもない…。

リュウト (まだ…形も見えない石膏彫刻を少しずつ、作っている気分…一体どんな完成形が姿を現してくれるのか…)

俺はフィールドへと戻る。
少しずつ…まずは形を見つけよう。
たとえを変えるなら…化石を探すように。
そして、壊さないよう…少しずつ削っていく…。



ワァァァァァァ!!

シャベリヤ 『さぁ、いよいよ後半戦が始まろうとしてます!』
シャベリヤ 『現在状況は3VS3 両者五分の戦いを繰り広げているぞ!』
シャベリヤ 『どっちが勝っても不思議ではないバトル! 最後まで一瞬も見逃せないぞ!!』

審判 「カガヤ選手」

カガヤ 「でろ、ロズレイド!」

ロズレイド 「……」

フィールドは再び、分厚い氷が地面を覆っていた。
天候もすでに戻っている。
状況が最初に戻るのなら、出し方をもう少し考えた方が良かったのかもな…。

リュウト 「でろ、メタグロス!」

メタグロス「メッター!!」

俺はメタグロスを出す。
さっきでた、『ウェザーボール』…あれが恐ろしいところだが、メタグロスはそこまで打たれ弱くはない。

カガヤ 「ロズレイド! 『にほんばれ』!」

ロズレイド 「ロズッ!」

リュウト (やはり、まずは『にほんばれ』か!)
リュウト 「メタグロス、『サイコキネシス』!」

メタグロス 「メタッ!」

ロズレイドの『にほんばれ』は空に人口太陽を作るが、メタグロスは『サイコキネシス』でロズレイドを捕らえる。

カガヤ 「ロズレイド! 『ウェザーボール』!」

ロズレイド 「ロ、ロズーッ!」

ロズレイドは『サイコキネシス』の呪縛に囚われながらもなんとか右の薔薇の手をメタグロスに向ける。

リュウト 「メタグロス、『ひかりのかべ』!」

メタグロス 「メタッ!」

メタグロスは『サイコキネシス』を解くと、『ひかりのかべ』を張って、ロズレイドの『ウェザーボール』を耐える。

リュウト 「メタグロス、『バレットパンチ』!」

メタグロス 「メッター!!」

メタグロスの『バレットパンチ』がロズレイドを襲う。
この技は素早く出せるのが利点だ。
ロズレイドには効きにくいが、すでにダメージはこれで十分だ!

ロズレイド 「ロズ〜…」

審判 「ロズレイド、戦闘不能!」

カガヤ 「戻れ、ロズレイド」

これでリード、しかしこのリードを継続しなければ意味はない。
ここからが正念場だ!

カガヤ 「でてこい、カクレオン!」

カクレオン 「カックレー!」

シャベリヤ 『カガヤ選手、次のポケモンはカクレオン! メタグロスをどう攻め立てるのか!?』

カガヤ 「カクレオン、『かえんほうしゃ』!」

カクレオン 「クレレレレ!!」

リュウト 「メタグロス、『まもる』!」

シャベリヤ 『日差しが強いのでカクレオンの『かえんほうしゃ』といえど油断は出来ない! リュウト選手のメタグロス、身を守った!』

リュウト 「よし! そのまま…!」

メタグロス 「メタッ!?」

ツルッ! ズドォン!!

リュウト 「はぁっ!?」
カガヤ 「おしっ!」

なんか、相手はいきなりガッツポーズ取ったんだけど…。
メタグロスはというといきなり足を滑らせて、腹から転んでしまう。

シャベリヤ 『なんと、この日差しに加え、『かえんほうしゃ』の熱で氷が解けた!! メタグロスが滑ったぞー!』

リュウト (まさか、ロズレイドの時点から足場狙いか!?)

メタグロスの足は爪になっており、ある種スケートのブーツのようだ。
急に滑ってすっ転んだ…というわけか?

カガヤ 「まずは動きを止める! カクレオン、『くさむすび』!」

カクレオン 「カク!」

メタグロス 「メ、メター!?」

シャベリヤ 『おおっと! ツタがメタグロスの肢体を氷の地面に張り付けた!』
シャベリヤ 『550キロの巨体、こういうときは不利だー!』

リュウト (く! これではパンチ系の技も使えない!)

カガヤ 「相手はもう動けない! そのまま『かえんほうしゃ』だ!」

カクレオン 「カックレー!」

カクレオンは口から炎を吐く。
メタグロスは重すぎてまともに動けない。
ましてや地面はあまりに不安定!

リュウト 「死なばもろともー! 『だいばくはつ』だー!!」

メタグロス 「!!」

カッ! チュドォォン!!

カクレオン 「!?」

シャベリヤ 『でたー!! 歩く核爆弾! メタグロスの大・爆・発!! 全てを吹き飛ばす一撃だー!!!』

審判 「りょ、両ポケモン、戦闘不能!」

シャベリヤ 『なんと、本日二度目の『だいばくはつ』! 今日は爆弾フェアなのかーっ!?』

カガヤ 「冗談じゃないぜ…もどれ、カクレオン」

リュウト 「まさか…本気で使う羽目になるとはな…戻ってくれ、メタグロス」

俺は万が一でメタグロスに覚えさせていた。
よもや、1回戦で使う羽目になるとは。
腕も足も封じられてしまってはあれか『サイコキネシス』の類しかなかった…。

リュウト 「でてこい、サナギラス!」
カガヤ 「最後の出番だ、ネンドール!」

サナギラス 「サナ!」

ネンドール 「ネーン」

最後のポケモンはネンドールか。
また…浮遊タイプ…ということは…!

カガヤ 「ネンドール、『じしん』だ!」
リュウト 「サナギラス、『いやなおと』!」

ネンドール 「ドー!」
サナギラス 「ガキガキガキガキッ!」

ズドォン!!

サナギラス 「サナーッ!?」

シャベリヤ 『サナギラス、効果は抜群だー! これは耐えられない、たまらずダウンです!』

ガシャァン!!

そして、例外なくやはり氷の地面が割れてしまった。
もはや地面はない。

リュウト (しかし…まさか効果抜群とはいえ、一撃でダウンを喰らうなんて…それだけ攻撃力が高いのか?)

俺はネンドールの戦闘能力を考えながら、サナギラスを戻す。
あれが最後の時点でこうなることは予想できた。
サナギラスが一度水中に入ったらおしまいだ。

リュウト 「こっちも最後だ! いけ、カイリュー!」

カイリュー 「リュー!」

シャベリヤ 『さぁ…ついに最後の時がやってきました…このバトル、勝利するのはカガヤ選手とネンドールか!?』
シャベリヤ 『それとも、リュウト選手とカイリューか!?』

リュウト 「カイリュー、『アクアテール』、いってみろ!」

カガヤ 「ネンドール、『テレポート』して『コスモパワー』!」

ネンドール 「ネン!」

俺は新しく覚えた技、アクアテールを行わせる。
シンオウ地方のカイリューは使えるらしく、俺もなんとか覚えさせてみた。
攻撃は当たらなかったが、技は問題ない。

リュウト 「『テレポート』は厄介だが…! カイリュー、『りゅうのまい』!」

カイリュー 「リュー!」

カガヤ 「能力アップか…ネンドール、『すなあらし』!」

ネンドール 「ネンドッ!」

ビュオオオオッ!

シャベリヤ 『フィールドは『すなあらし』に遭っているぞ! 視界が急に悪くなったー!!』

リュウト 「この程度の砂嵐…カイリューの力なら問題ない!」

カガヤ 「どうかな…?」

リュウト 「!?」

カガヤ 「ネンドール、『がんせきふうじ』!」

ネンドール 「ネン!」

リュウト 「まずい! カイリュー避けろ!」

カイリュー 「リュ、リュッ!?」

カイリューはなんとか、迫り来る岩を避ける。
しかし、視界が悪く徐々に反応速度が遅れ始めているように感じた。

カガヤ 「終わりだ! ネンドール、『れいとうビーム』!」

ネンドール 「ネンドー!」

カイリュー 「リュッ!? リューッ!?」

ザッパァァン!

リュウト 「カイリュー!」

カイリューは『れいとうビーム』の直撃を受けて、下のプールに落ちてしまう。
カイリューは水中でも問題はないが…。

カイリュー 「…ZZ…ZZZ」

リュウト (カイリュー? 自分で『はねやすめ』を?)

なんと、カイリューは危険を感じてかネンドールの手出しできないプールの底で『はねやすめ』をしていた。
なんとか、耐えられたか…。

カガヤ 「ち…しぶとい、だが! ネンドール、『はかいこうせん』!」

リュウト 「! カイリュー、『たつまき』!」

カイリュー 「!!」

ネンドール 「ネンドー!!」

ギュオオオッ! ズドォン!!

リュウト 「カイリ……! 『○×△◇』!!」

シャベリヤ 『『たつまき』と『はかいこうせん』がぶつかり合い、凄まじい水飛沫と爆音が鳴り響きます!!』
シャベリヤ 『マイクを通しても、私自身の声が聞き取りにくいです!!』

ああ、俺も思った。
あんな状態では声なんて聞こえないって…。
だから、取っておきの策を用意した。
とっさに『たつまき』と命令したがあれは俺の戦略ではない。
ほとんど無意識に出た言葉だ。
だが、ここからは違うぜ!?

リュウト 「終わりにしよう! カイリュー、『りゅうのいぶき』!」

カイリュー 「!!」

ゴォォォ!

ネンドール 「ネンッ!?」

カガヤ 「耐えろ! ネンドール! 相手も苦しい!」

シャベリヤ 『ネンドール、技の反動で動けません!』

リュウト 「トドメだ! カイリュー、『ドラゴンダイブ』!!」

カイリュー 「!!」

ザパァン!!

カガヤ 「! ネンドール、『れいとうビーム』!」

ネンドール 「ネンドー!!」

シャベリヤ 『ネンドール! 反応早く、カイリューに『れいとうビーム』が襲う! これでジ・エンドかーっ!?』

ボフゥン!!

カガヤ 「なっ!?」

ネンドール 「ネン!?」

シャベリヤ 『な、なんとー!! ネンドールが倒したのは『みがわり』だー!!』

ザパァァン!!

カイリュー 「リュー!!」

リュウト 「いっけー!!」

続いて、カイリューが水中から姿を現す。
そう、先に出てきたのはカイリューの作り出した『みがわり』。
爆音の中、俺は『みがわり』を命令したのだ。
そして、結果は見事に引っかかってくれる。

カイリュー 「リュゥッ!!」

ドッガァァッ!!

ネンドール 「ネンドー!!?」

ザッパァァン!!!

シャベリヤ 『カイリューの『ドラゴンダイブ』が炸裂!! ネンドールを水面にたたきつけたー!!』

ネンドール 「ネンド〜…」

シャベリヤ 『決まったー!! ネンドールダウン!! この激闘を制したのはリュウト選手だーっ!!!』

カガヤ 「…もどれ、ネンドール」

リュウト 「よくやった、カイリュー」

カイリュー 「リュッ♪」

俺はカイリューをボールに戻す。
そして相手に一瞥して、俺はフィールドを後にするのだった。

リュウト (結局…逆転勝ちか…逆転男の異名は、まだ消せないみたいだな…)




ポケットモンスター第71話 『第7試合・逆転』 完






今回のレポート


移動


サイユウシティ


3月4日(ポケモンリーグ本戦1日目)


現在パーティ


ラグラージ

サーナイト

チルタリス

ユレイドル

ボスゴドラ

コータス


見つけたポケモン 66匹






おまけ



その71 「それはお昼のお話」





あ、さてさて、今回は少し時間を遡り、昼休憩の時のお話です。
それぞれ別れて食事処に向かったトレーナーたち。
その中でカラクサに着いていったメンバーは?
それではおまけその71、始まりと御座候〜♪(テケンテンテン、テテン♪)


アンナ 「…これがサイユウ名物、サイユウソバ…」

サティ 「豚の角煮が入っているかしら〜」

リフィーネ 「ここが、カラクサ君のお勧めの店デスカー!」

カラクサ 「全員…ソーキ…」

サティ 「これ、とってもおいしいかしら〜♪」

リフィーネ 「…はぁ」

カラクサ 「? どうしたんです、リフィーネさん?」

リフィーネ 「いや、それが今朝目覚めたらパラソルが一本消えていたんデース…」

サティ (ギ、ギク…かしら)(汗)

リフィーネ 「私がこの国で集めた128本のうちの一本なのに…」

サティ 「て、あ、集めすぎかしら!?」

この人、一体何本パラソル持っているのかしら?

リフィーネ 「でも、あの水玉模様のパラソルはお気に入りデース…」

アンナ 「…これ、おかわり…」

カラクサ 「君、それ3杯目だよね?」

アンナ 「育ち盛りですから…餃子追加…」

サティ 「て、アンナは食べすぎかしらーっ!?」

こっちはこっちでサティの3倍は食べているかしら…。
あの体(112cm20kg)にどうやって入っているのかしら。

サティ (もしや、アンノーンの影響かしら!?)

恐るべし…アンノーン娘…。

サティ 「サティの周りには変なの多いかしら〜…」

カラクサ 「変なのといえば…君の頭も変だと思うが?」

サティ 「なっ!? それ、どういう意味かしら!?」

カラクサ 「いや、流暢な日本語の上、金髪なのにそのおかっぱ…」

サティ 「そんなに変かしら〜…?」

リフィーネ 「これぞ、日本のココロ〜、てやつですね〜♪」

アンナ 「?」

カラクサ 「リフィーネさんの真似てみたら?」

サティ 「髪の毛足りないかしら…」

リフィーネさんは長髪で括っているにも関わらず腰の辺りまで伸びているかしら…。

リフィーネ 「でも、面白そうネ!」

サティ 「う〜ん」

結局、なんでかサティったらイメチェンをすることが決定したみたいかしら…。

リフィーネ 「試合前に変えて、みんなをびっくりさせるネ!」

サティ 「う〜…なんか、納得いかないかしら…」




おまけその71 「それはお昼のお話」 完


ルビーにBack ルビーにNext

Back Next

Menu

inserted by FC2 system