ポケットモンスター サファイア編




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第72話 『Aの終わり、Bの始まり』






『3月4日 時刻14:10 ポケモンリーグ本戦会場』


シャベリヤ 『さぁ、いよいよAブロックの試合も最後となります』
シャベリヤ 『Aブロック最後の組み合わせはチカ選手VSサトル選手!』

チカ (全く、随分待たせてくれたものよね…)

ようやく、私の出番か。
全く、本当に待たされたわ。

シャベリヤ 『さぁ、今回のフィールドは草地! 『すなかけ』は出来そうにないが、スタンダードなフィールドと言えるでしょう!』

審判 「両者、不正のないようポケモンをフィールドへ!」

チカ 「出番よ、ゲンガー」
サトル 「ルナトーン、いけ!」

ゲンガー 「ゲン!」

ルナトーン 「トーン」

私はとりあえず、誰が相手でも組しやすい、ゲンガーを出す。
相手のサトルって子はルナトーン、相性はこちら有利ね。

シャベリヤ 『さぁ、両者ポケモンを繰り出した!』
シャベリヤ 『チカ選手、落ち着いた様子で相手を見定めている!』
シャベリヤ 『サトル選手はどうするんだ!?』

サトル 「ルナトーン、『シャドーボール』だ!」

ルナトーン 「トーン!」

チカ 「あらあら、無用心ね、ゲンガー、『さいみんじゅつ』」

ゲンガー 「ゲッゲンッ!」

ゲンガーはルナトーンの『シャドーボール』を軽くかわしてルナトーンに『さいみんじゅつ』をかける。
意外と反応速度は速いみたいね…だけど、眠ったら、無駄♪

チカ 「ゲンガー、 『あくむ』」

ゲンガー 「ゲン!」

ルナトーン 「ル…ルナナ〜…」

シャベリヤ 『おーっと! ルナトーン、ゲンガーに見せられる悪夢に苦しんでいる!』
シャベリヤ 『しかし、一気に仕留めかからないチカ選手! これは何かの策か!?』

チカ (だって、いきなりじゃ倒せないかもしれないじゃない…それにね)
チカ 「ゲンガー…」

サトル 「くっ! 戻れルナトーン!」
サトル 「でてこい、グラエナ!」

サトル選手は咄嗟にルナトーンをボールに戻し、グラエナを出してくる。
反応はいいけど…ちょっと正直すぎるわよ。

チカ 「『きあいだま』」

ゲンガー 「ゲーン!」

グラエナ 「!? ガウゥゥッ!?」

ドカァン!!

シャベリヤ 『なんと、チカ選手交換を読んでいた! 見事に『きあいだま』がグラエナにヒット!』
シャベリヤ 『グラエナ、大丈夫か!?』

チカ 「ゲンガー、『あやしいひかり』」
サトル 「グラエナ、ふいう…なに!?」

ゲンガー 「ゲーン…」

グラエナ 「ガウ!? ガウウ…?」

シャベリヤ 『駄目だーっ!! サトル選手完全に読まれている!』
シャベリヤ 『その様はまるで釈迦の掌で踊る孫悟空のようだ!!』

チカ 「はい、残念♪ 『シャドーボール』よ、ゲンガー」

ゲンガー 「ゲーン!」

ゲンガーは『シャドーボール』を飛ばしてグラエナを攻撃する。
グラエナは耐え切れず、そのまま…ダウン。

審判 「グラエナ、戦闘不能!」

サトル 「く…もどれ、グラエナ!」

さて、次に出てくるのは誰なのかしら?
ふふ…このままだとゲンガーで何匹倒しちゃうかしら?

サトル 「でてこい、マルマイン!」

マルマイン 「マルマッ!」

シャベリヤ 『サトル選手の3体目はマルマイン! ここで流れを変えられるのか!』

サトル 「マルマイン、『10まんボルト』だ!」

チカ 「読まれるのを恐れて正攻法? でも、それじゃだめよ? ゲンガー、『トリックルーム』」

ゲンガー 「ゲーンー!」

ゲンガーはマルマインの『10まんボルト』を受けるけど、ゲンガーはそのまま『トリックルーム』を発動する。
これはその場にいるポケモンたちの素早さを逆転させる。
本来、素早さの早いゲンガーには不利な技だけど、いるのよね…ゲンガーの『さいみんじゅつ』を恐れてそれより早いポケモンを出す人。
結構、意味があるのよねぇ。

チカ 「ゲンガー、『シャドーボール』」

ゲンガー 「ガー!」

サトル 「マルマイン!」

マルマイン 「マルマ〜!?」

マルマインは少し、反応が遅れゲンガーの『シャドーボール』を受ける。
いくら、素早さが逆転したとはいえゲンガーも素早いポケモン。
でも、この少しのスピード差が恐ろしいのよね。

サトル 「く! マルマイン、『10まんボルト』!」

マルマイン 「マール!」

チカ 「ゲンガー、『かげうち』」

ゲンガー 「ゲーン!」

シャベリヤ 『ゲンガーが素早い! 相手の動きの怯みを感じ、素早くトレーナーの支持する技の体勢に入っていた!』
シャベリヤ 『そして、マルマインの後ろから一撃!! マルマイン、これでダウン!』

サトル 「戻れ、マルマイン…」

チカ (さて、次のポケモンは何かしら?)

サトル 「いけ! アズマオウ!」

チカ 「アズマオウ?」

シャベリヤ 『なんと、サトル選手が出したのはアズマオウ、水棲ポケモンだー!!』
シャベリヤ 『しかし、この場を見ればわかるとおり草のフィールド! 一体どうする気かー!?』

サトル 「アズマオウ! 『みずのはどう』!」

チカ 「ゲンガー、『まもる』」

ここは一回、時間を過ぎさせてもらうかしら?
どうせなら、記録を狙いたいしねぇ。

サトル 「くっ!? だったら『ちょうおんぱ』はどうだ!?」

チカ 「下手に勘ぐらない方がいいわよ〜、ゲンガー『10まんボルト』」

ゲンガー 「ゲーン!」

『ちょうおんぱ』は相手を混乱させる技だけど、命中率が悪いのよね。
普通に攻撃すれば倒せたかもしれないのに。
まぁ、当たるとは限らないけど。

バチィン!

アズマオウ 「ズマー!?」

審判 「アズマオウ、戦闘不能!」

シャベリヤ 『決まったー! またもやゲンガーが敵を撃破! そして、『トリックルーム』もいよいよ解けた!』

チカ (まぁ、やっぱり『トリックルーム』時は5回の行動が限度かしらね…)

とはいえ、さすがにこれ以上ゲンガーより早いポケモンが出されても困る。
ここらで戻ってくれるのはありがたいわね。

サトル 「エネコロロ、頼んだぞ!」

エネコロロ 「ニャー!」

サトル 「エネコロロ、『シャドーボール』!」

チカ 「ゲンガー、『きあいだま』」


エネコロロ 「エネー!」
ゲンガー 「ゲン!」

シャベリヤ 「両者の玉が敵に放たれた! 攻撃は…!」

チカ 「ゲンガー、飛びなさい」

ゲンガー 「ゲン!」

サトル 「!?」

ゲンガーはその場から3メートルほど地面より離れた場所まで動く。
相手はゲンガーの行動に理解を示していない。
わかってないわねぇ…これからどうなるか。

スォォッ!! ドカァン!

エネコロロ 「!? エネーッ!?」

サトル 「!? そんな、エネコロロ!」

シャベリヤ 『おおーっ! 『シャドーボール』と『きあいだま』、ぶつかることはなくすり抜けたー!』
シャベリヤ 『こんな事態は初めてなのか、サトル選手面食らっているぞ!!』

チカ (ふふ、知らなかったみたいねぇ…でも、単純に考えれば格闘攻撃はゴーストには通用しないからねぇ)

審判 「エネコロロ、戦闘不能!」

サトル 「そんな…まさかすり抜けるなんて…もどれエネコロロ」
サトル 「くそ! でてこいルナトーン!」

ルナトーン 「ZZZ」

シャベリヤ 「サトル選手、出したのはすでに眠っているルナトーンだ!」
シャベリヤ 「すでに残りは2匹! サトル選手絶望的だー!!」

チカ 「ふふ、だったら記録作らせてもらうわ、ゲンガー、『シャドーボール』」

ゲンガー 「ゲーン!」

ルナトーンは眠りから覚めない。
当然ね、深い眠りへと誘ったもの。
そして、ゲンガーの『シャドーボール』は容赦なく、ルナトーンを襲う。
ジ・エンド〜♪

ドカァン!!

ルナトーン 「!!? ル、ルナ〜…」

審判 「ルナトーン、戦闘不能!」

シャベリヤ 『決まったー! やはりルナトーン、散るしかなかった! これでチカ選手5連勝!』

サトル 「く…もうお前だけだ、サーナイト!」

サーナイト 「サ〜」

チカ 「つくづく、運がないわね」

とはいえ、油断はできない。
こちらは一撃でダウンするでしょうし、向こうは一撃でダウンは難しい。
というわけで、相手としてはこちらの行動を考えるでしょうね。
だったら、サーナイトのできる範囲の行動をするならば。

サトル 「サーナイト、『ふういん』!」
チカ 「ゲンガー、『あくのはどう』」

ゲンガー 「ゲーン!」

サーナイト 「!? サァッ!?」

シャベリヤ 『サーナイト、『ふういん』を仕掛ける! しかし、ゲンガー、『あくのはどう』で攻撃だ!!』

チカ (ふふ、相手の心理を読めなかったみたいね)

サーナイトは『さいみんじゅつ』も『シャドーボール』も使える。
だから、喰らいたくないこのふたつを『ふういん』したのでしょうね。
だけど、ゲンガーは『あくのはどう』を自力で覚えるのよ?
少し、無謀すぎたわね。

サトル 「そんな! そんな攻撃を使うなんて!」

チカ 「あなたの負けね」

サトル 「くっ! サーナイト、『シャドーボール』!」

チカ 「ゲンガー、『ふいうち』」

ゲンガー 「ゲン!」

ドカァ!

サーナイト 「サーッ!?」

シャベリヤ 『決まったー! 鮮やかにゲンガーの『ふいうち』がヒット! サーナイト、たまらずダウンです!』

審判 「サーナイト、戦闘不能! よって勝者チカ選手!」

シャベリヤ 『そして、これで試合終了! なんとチカ選手ゲンガー一匹で試合を終わらせた!』
シャベリヤ 『恐るべしチカ選手! 頭脳的戦闘で完封勝利!』

チカ 「はい、記録達成〜♪」

まだ交換を一度もせず、なおかつ1匹のポケモンで6匹全員倒したバトルはなかったからねぇ。
ふふ、楽しませてもらったわ。

チカ (これでゲンガーも大分レベルが上がったでしょうね)

元々、私はあまりバトルさせてなかったからレベルはかなり低い。
おかげで、効果抜群でも2発いる場面は多かったわね。
だけど、戦っているうちに大分レベルアップしたみたい。
ふふ…次はリュウトとのバトルね。



…………。



ケン 「…ようやく、Aブロックの試合が終わったんやな」

ヨー 「これから、俺たちの出番だな!」

イヴ 「…ふむ」

リフィーネ 「? イヴさん、何しているんデスカ?」

イヴ 「Aブロックの2回戦の組み合わせ表を作ってみた」

第1試合:ユウキVSシズク
第2試合:アスカVSツカサ
第3試合:レンVSイブ
第4試合:リュウトVSチカ

タクマル 「わぁ〜…わかっているとはいえ、実際にイメージすると凄いことになりそう…」

ケン 「せやな、どの試合もごっつ見ごたえありそうやわ」

リフィーネ 「一番みなさんが注目しているのはどの試合ですかー?」

タクマル 「おいらはアスカVSツカサかな?」

ケン 「ワイはリュウトVSチカ!」

ヨー 「俺はレンVSイブかな?」

イヴ 「私は…リュウトVSチカだな」

リフィーネ 「ナルホドー! ちなみに私はユウキVSシズクデース!」
リフィーネ 「これ見てる皆さんはどの試合が注目? 投票の間に投票お願いしマース♪」

ヨー 「? 何言ってるんだ?」

リフィーネ 「おっと、そろそろケンさん試合ですよ〜?」

ケン 「せやな、ワイも軽く蹴飛ばしてきたるわ!」

ヨー 「そんなこと言って、しくじるなよ〜?」

ケン 「誰に言っとんねん! 大丈夫や!」



…………。



シャベリヤ 「ふぅ、これで今日の項目は半分が終了っと!」
シャベリヤ 「大会進行はどうなってます?」

役員 「30分早く進行してますよ、今年のリーグは進行スピードが速いですね!」

シャベリヤ 「いや、これは恐らく一日目だけのスピーだと思うよ」
シャベリヤ 「今年は勝っている者と負けている者のレベル差が大きい」
シャベリヤ 「だが、2回戦からは拮抗することが受けあいだ」

役員 「はぁ…」

シャベリヤ 「今年は中々面白い大会になっているよ…さて」

私は体を実況席の方へと向け、マイクの位置を調整する。
そして、私は自分の机に置いてあったお茶を一口含むと、マイクを外部にして。



…………。



シャベリヤ 『さぁ! じゃんじゃんバトルが進む中、これからBブロックの試合のスタートだ!』
シャベリヤ 『まず最初のカードはケン選手VSアキラ選手!』
シャベリヤ 『両者同時に入場だーっ!!』

ケン 「さ〜、啖呵切ったからには勝たなあかんわな…」

ワイはとりあえずトレーナーサイドに立って相手を見る。
あんまり強そうやないけど、ああいう奴は、案外粘り強いってのが相場かのぅ。

ケン (突き崩してもええけど、今回はワイのバトルを見せたるわ! かかってこんかい!)

シャベリヤ 「さぁ、次のフィールドは…砂? サンゴ砂のような非常に微細な砂のようです!」

ケン 「あんや?」

砂は砂やねんけど、なんか今までのフィールドと違って柔らかそうやな。
なんか、やな予感するんやけど…。

審判 「両者、不正のないようポケモンをフィールドへ!」

ケン 「ええい! 一発目は既に申告済みじゃ! やったるわい! ハッサム!」

アキラ 「でてこい、マッスグマ!」

とりあえず、ワイはハッサムを出す。
フィールド見てから、ポケモンを選べへんのはつらいのぅ…。
せやけど、それは相手も同じか。

ケン (相手はマッスグマか、まぁ相性はええけどな…せやけどノーマルタイプは何使うかわからへんからなぁ〜)
ケン 「ちゅうわけで…」

アキラ 「マッスグマ、『みずのはどう』!」

ケン 「ハッサム、『かわらわり』!」

マッスグマ 「グマー!」

ハッサム 「ハッサ!」

マッスグマは遠距離から攻撃に入る。
なに来るかわからへんかったけど、『みずのはどう』やったな。
ハッサムはかまわへんとそのまま受けてもマッスグマに突っ込む。
あいつはああいう性格や、攻撃がこようと構わず突っ込んでいきよる。
ただ、あいつは受けるところを選ぶ。
ハッサムは当たっても倒すのに支障がでえへんところで受ける。
せやから、ちょっとやそっとじゃ怯まん!

ハッサム 「ハッサー!」

バキィ!

シャベリヤ 『マッスグマ、ハッサムの一撃を被った!』
シャベリヤ 『ハッサムも肩にダメージを受けながらも構わず突っ込むガッツは賞賛に値するぞ!』

アキラ 「まずいな…もどれ、マッスグマ!」

ケン 「もらいや! ハッサム、『おいうち』!」

ハッサム 「ハッサ!」

マッスグマ 「!? グマー!?」

シャベリヤ 『ハッサムの『おいうち』がマッスグマに決まったー! マッスグマ、ダウンだ!』

アキラ 「しまった! 『おいうち』があったか!」
アキラ 「く…、戻ってくれマッスグマ」

ケン (ふぅ〜…、とりあえず面目立てた…かな?)

アキラ 「でてこい、サンドパン!」

サンドパン 「サンド!」

ケン (さて…どうするかな、出してきたってことは勝つ自信あるんよな?)

下手なことされる前に戻す方が無難かな〜?
ここでやられると少し気まずいしのぅ…。

ハッサム 「サム…」
ハッサム (あいつ…なに考え込んでいるんだ…まさか今更体裁を気にしているんじゃないだろうな?)

アキラ 「サンドパン…!」

ケン 「わっと、戻りぃやハッサム!」

ワイは急いでハッサムを戻す。
手っ取り早くサンドパンに相性いいポケモンに交代や!

ケン 「カモーン、マンタイーン!」

アキラ 「『すなあらし』!」

サンドパン 「サン!」

ゴォッ! ビュオオオオッ!

マンタイン 「マンーッ!?」

シャベリヤ 『ケン選手ポケモンを交代! そしてアキラ選手のサンドパンによって会場は砂嵐だーっ!』

ケン 「あちゃ…しまったわ、まずは状況を作ってきたか…」

アキラ 「サンドパン、『きりさく』攻撃!」

サンドパン 「サン!」

ケン 「だっしゃい! 砂嵐がなんぼのもんじゃ! 砂隠れがなんぼのもんじゃ!」
ケン 「マンタイン、『なみのり』!」

マンタイン 「マーン!」

ザッパァン!!

サンドパン 「!? サーン!」

シャベリヤ 『マンタインの荒波がサンドパンを襲う! 効果は抜群だーっ!!』

グシャ!

ケン 「!? なんや!?」

アキラ 「これは?」

なんか、しらんけどマンタインが出した大量の水で水浸しになった地面は変化を始めていた。
地面がどろどろに…。

サンドパン 「!? サンッ!?」

シャベリヤ 『おーっと! 地面が泥のようになってサンドパンに纏わりつく! 潤うと泥になるのかーっ!?』

ケン 「なるほど、そういうフィールドやったか! マンタイン、『れいとうビーム』で決めや!」

マンタイン 「マーン!」

サンドパン 「サーン!?」

動きにくうなって戸惑っとるところわるいけど、もらいや!
サンドパンはマンタインの『れいとうビーム』をもろうておねんねや。

審判 「サンドパン、戦闘不能!」

ケン 「おーし、ようやったマンタイン!」

マンタイン 「マーン♪」

アキラ 「戻れ、サンドパン」
アキラ 「でてこい、マグカルゴ!」

ケン 「あんや!? そこで不利なポケモンやと!?」

なんと、相手さんは炎と岩のマグカルゴを出してきよった。
水が大の弱点やぞ?

ケン 「まぁええわい! このケン容赦せん! マンタイン、『ハイドロポンプ』や!」

アキラ 「マグカルゴ、『いわなだれ』!」

マグカルゴ 「マーグー!」

マンタイン 「!? マン!?」

ズドォン!

シャベリヤ 『おーっと! マグカルゴの『いわなだれ』がマンタインを襲う!』
シャベリヤ 『『いわなだれ』で体勢を崩されたマンタインの『ハイドロポンプ』はマグカルゴ手前の地面を抉るに留まった!!』

ケン 「しもた! はずしてもうたか!」

相手の『いわなだれ』に加え、砂嵐もまだ続いとるからな…。
一発当たったら終わりやねんけどな…。

アキラ 「マグカルゴ、『ストーンエッジ』!」

マグカルゴ 「マグッ!」

ケン 「やばっ! マンタイン!」

マンタイン 「マーン!?」

ズガガガッ!

なんと、マンタインは体勢を崩されて地表付近にいたところを地面から飛び出す鋭利な岩に攻撃される。
これはあかんわ…。

審判 「マンタイン、戦闘不能!」

ケン 「しもうたわ、戻りぃマンタイン」

ワイはマンタインをボールに戻し、少し考える。
別にそんなに突破が難しいわけとちゃう。
ただ、ちょいと焦っちまったわけやな。

ケン 「恐れることなんかなんもあらへん! いけ、カポエラー!」

カポエラー 「カッポ!」

シャベリヤ 『ケン選手、次のポケモンはカポエラーだ! 格闘タイプのポケモンで割り砕く寸法か!』

ケン 「一意専心真っ向勝負や!! 『インファイト』や!!」

カポエラー 「カポーッ!」

アキラ 「戻れ、マグカルゴ!」

ケン 「て…あらーっ!?」

なんと、相手はポケモンを戻しよった。
わい、技宣告してもうたで!?
こうなりゃなんでも砕いたるわい!

アキラ 「出番だ、フーディン!」

フーディン 「フー!」

ケン (フーディンか! タイプは悪いけどあんな打たれ弱い奴やったら!)

カポエラー 「カッポー!!」

ドカカ…!

シャベリヤ 『フーディン、出てきたところをカポエラーの『インファイト』が襲う!』

アキラ 「フーディン、『テレポート』!」

フーディン 「フ、フー!」

ヒュン!

カポエラー 「カポッ!?」

ケン 「そんなんありかー!?」

シャベリヤ 『なんとフーディン、攻撃中に無理矢理『テレポート』で抜け出したぞ!』
シャベリヤ 『とはいえ、元々打たれ弱いフーディンはピンチだ!』

アキラ 「フーディン、『サイコキネシス』!」

ケン 「だっしゃい! 死なばもろともや! 『じしん』!」

フーディン 「フー!」
カポエラー 「カポー!」

ズドォン!

フーディン 「フー!?」
カポエラー 「カポー!?」

シャベリヤ 『両者の攻撃が同時に炸裂! 両者ダブルノックアウトーッ!!』

審判 「両ポケモン、戦闘不能!」

ケン 「くっそ〜…ここでカポをもってかれるなんて…戻りぃ、カポエラー」

アキラ 「よくやった、フーディン」

まさかここでやられるなんてなぁ…。
これで4対3…かいな。

ケン 「ワイはただのギャグ担当やないってこと、ええ加減証明したるわ、デンリュウ!」

アキラ 「マグカルゴ、ゴー!」

デンリュウ 「リュー!」
マグカルゴ 「マグッ!」

アキラ 「マグカルゴ、『じしん』!」

ケン 「デンリュウ、耐え抜け! そして『きあいだま』や!」

マグカルゴ 「マグー!」

ズドォン!

デンリュウ 「リュ…リュゥーッ!」

シャベリヤ 『デンリュウ、耐えます、そして『きあいだま』がマグカルゴを襲う! 効果は抜群だー!』

ケン (砂嵐も消えとる! 耐えられると思うなや!)

マグカルゴ 「マ、マグ…」

審判 「マグカルゴ、戦闘不能!」

シャベリヤ 『やりましたー! 同時に攻撃を狙わず、あえて耐えた後の攻撃!』
シャベリヤ 『マグカルゴを確実に仕留めにいったぞ! ここでまたケン選手一歩リード!』

ケン 「大丈夫か、デンリュウ?」

デンリュウ 「リュ♪」

ワイが声をかけると、笑顔で応えるデンリュウ。
こいつは元々バトルが嫌いや、幼い頃ごっつ傷ついたメリープを拾ったんがこいつとの出会い。
ひどいダメージを負っていて、それがポケモンバトルによるものだというのはすぐにわかった。
ワイはアサギシティで当時一緒に住んどったミカンっちゅう姉ちゃんと一緒にメリープを看病した。
その甲斐あってメリープは無事元気になったんやけど、メリープ野生に帰れなくなってしもうてた。
仕方なく、メリープはワイが引き取ったんや。
メリープはバトルが嫌いで攻撃もほとんどできんかったんや。
でも、あいつはワイのために頑張ってくれた、傷ついてくれた。
ワイとデンリュウの絆は並やないで!?

シャベリヤ 「ここで一時休憩を入れます、少しの間だがみんなも一息入れてくれよ!?」



…………。



ケン 「ふぃぃ…すまんのぅ、デンリュウ…辛いバトルさせてもうて」

デンリュウ 「リュウ、リュウ!」

ワイは控え室に戻るとデンリュウと一緒にいた。
デンリュウはそれは違うと首を必死に振っている。

ケン 「お前、バトル嫌いやろ? せやのに無茶させとるわ、ワイ」

デンリュウ 「リュウ…」

デンリュウは申し訳なさそうやった。
頑張ってデンリュウは克服しようとしている。
せやけど、怖いもんは怖い。
傷つけるのも怖いけど、傷つけられるのも怖いんや。
まぁ、子供の頃にひどい経験があったからな…。

ケン 「せやけど、ワイはお前に期待しとる、ワイのために戦ってくれるか?」

デンリュウ 「リュ、リュウ!」

デンリュウは焦ったように首を縦に振った。

ケン 「おっし、ほな後半戦の準備や!」

デンリュウ 「リュー!」



…………。



シャベリヤ 「さぁ、いよいよ後半戦のスタートです!」
シャベリヤ 「ケン選手、デンリュウを出しっぱなしで登場だ!」

ケン 「さぁ、頼むでデンリュウ」

デンリュウ 「リュウ」

アキラ 「でてこい、ジュカイン!」

ジュカイン 「ジュカ!」

シャベリヤ 『アキラ選手ジュカインで逆転を狙う!』

ケン (ジュカインか…素早いな…せやけど、ワイのデンリュウは普通のバトルじゃ計れへんで?)

アキラ 「ジュカイン、『リーフブレード』!」

ジュカイン 「ジュカッ!」

ジュカインは素早い動きでデンリュウに突っ込む。

ケン 「デンリュウ、『ほうでん』!」

デンリュウ 「リュー!!」

バチチチィ!

ジュカイン 「!? ジュカッ!?」

シャベリヤ 『おおーと、デンリュウ激しい電気を放つ! その力は地面の砂を一気に巻き上げたー!!』

アキラ 「これは!?」

ケン 「デンリュウ、『ひかりのかべ』!」

デンリュウ 「リュ!」

ブォン!!

そして、デンリュウは『ひかりのかべ』で周りの砂を吹き飛ばす。
そして最後は。

ケン 「『シグナルビーム』や!」

デンリュウ 「リューッ!」

デンリュウの頭から赤と青のレーザーが交差して呆気に取られるジュカインを襲う。
ジュカインは咄嗟に反応するが、既に遅い!

ズカァン!!

ジュカイン 「ジュカー!?」

アキラ 「あ、ジュ、ジュカイン!?」

ケン 「ジュカイン、バトル・オフやな」

ワイはコーディネーターでもある。
元々デンリュウはバトルは好まんさかい、コンテストもやってきたんや。
まぁグランドフェスティバルには出られへんかったけど、それが今生きたわけやな。
相手は驚いとるな。
まぁ、コンテスト技を見せただけやけどな。

アキラ 「くぅ…戻ってくれジュカイン」

シャベリヤ 『見事な攻撃に私、言葉がありません!』
シャベリヤ 『さすがはコーディネーターでもあるケン選手、見事なコンボでした!』

アキラ 「降参だ! こっちに勝ち目はない! 降参だ!」

審判 「アキラ選手、降参を宣言! よって勝者ケン選手!」

シャベリヤ 「アキラ選手降参を選びました! これでBブロック最初の2回戦進出者はケン選手だ!」

ケン 「おっしゃ、戻りデンリュウ」

デンリュウ 「リュウ♪」

ワイはデンリュウをボールに戻す。

ケン 「ふぅ〜…なんとか面目立てた気がするわ…啖呵切ってもうたからな〜」




ポケットモンスター第72話 『Aの終わり、Bの始まり』 完






今回のレポート


移動


サイユウシティ


3月4日(ポケモンリーグ本戦1日目)


現在パーティ


ラグラージ

サーナイト

チルタリス

ユレイドル

ボスゴドラ

コータス


見つけたポケモン 66匹






おまけ



その72 「実は大変な状況のこの娘」





あ、テステス、マイクテースト。
あ、さてさて、今回も始まりました、おまけその72。
今回は海岸で黄昏ているユウキ…ではなく、それをストーカーしているペルのお話。
すでにBブロックの試合は始まってペルの出番もあと1試合あとという時間。
一体、彼女はどうなってしまうのか〜?

ペル 「……」

ユウキ 「……」

私はユウキを草葉の陰からずっと見守っていた。
ユウキは私のことに気付いているらしくちょくちょく、こっそりこっちに振り向いている。
隠れている意味はないけど、ついつい隠れてしまう。

ペラップ 「はぁ…これだからペルは」

私の足元でペラップがため息をこぼす。
ペラップはボールに入れていたはずなのに…いつも勝手にボールから出てくる。

ペラップ 「好きなら好きでズドンとやっちゃいな! それで砕け散った方がすっきりするでしょ!?」

ペル 「……」

ペラップ 「そんなんじゃいつまで経っても進歩はないわよ!? ザンジークだっていう負い目は忘れちゃいなよ?」
ペラップ 「じゃないと…彼が墓に入ってから告白することになるわよ?」

ペル 「……」

ペラップの言っていることは多分正しい。
だけど、理屈で実行できるほど恋心というのは簡単じゃないらしい。
だから、現実に私はこうやってユウキを眺めていることしかできない。

ペラップ 「はぁ…怖いのね、砕け散るのが…」

ペル 「死ぬのは怖くないわ」

ペラップ 「いや…生死の問題じゃなくてね…ああ、もう! こうなったらアタシが呼んできてあげるわ!」
ペラップ 「そして、絶対今度こそ告白させて…!」

ペル 「……」

私はペラップをボールに戻す。
さすがに迷惑です…。

ユウキ 「…もうこんな時間か…はぁ、かったる…」

ペル 「?」

突然、ユウキは時間を確認すると立ち上がった。
かったるいと言っていてけど…どうしたんだろう?

ユウキ 「おい、ペル?」

ペル 「あ…」

声をかけられた。
どうしよう…なんて言えば…。

ユウキ 「お前、そろそろ試合だろ? 戻ったほうがいいぞ?」

ペル 「あ…」

忘れていた…そういえば私も試合があった。
このままじゃ、不戦敗…。
でも、別にそこまでポケモンリーグに興味はない。
あるのはユウキの存在だけ。
だから、別に負けても問題はない。
だけど、この想いは別。
言葉では表せない…だから、バトルをしてユウキに伝えたい。
だけど、現実的はそれはとても難しい。

ユウキ 「おい、どうした? なんならついていってやろうか?」

ペル 「え?」

ユウキ 「どうしたんだよ?」

ペル 「あ…行ってきます…」

私は小走りに本戦会場に戻った。

ペル 「私が戦う理由があるとすれば、知りたい…ユウキの戦う理由…感じたい…ユウキの感覚…」



おまけその72 「実は大変な状況のこの娘」 完


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