ポケットモンスター サファイア編




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第78話 『似た者同士』






シャベリヤ 『会場は冷めやらぬなか、試合は第2試合へと進もうとしています』
シャベリヤ 『さぁ、次のカードはAブロック第2試合アスカ選手VSツカサ選手だ!』
シャベリヤ 『互い、何かを背負った者同士の戦い、はたして勝つのはどっちだ!?』

アスカ (相手はアイドルツカサちゃん…今をときめくってやつね)
アスカ (あれ? きらめくだったっけ? て、もう、そんなのはどうでもいいから!)
アスカ (とにかく、あたしはあたしで勝たないといけないんだから!)

ツカサ (あの人、なんだかこっち睨んでるけどどうしたんだろ〜? あはは〜…笑った方が〜…て、無理?)

シャベリヤ 『さて、今回は灰色の硬い地面のフィールドだが、マンホール大の穴がフィールドに計6個存在します!』
シャベリヤ 『一体、これは…おおっと! 間欠泉のようです!』

ザッパァァァァン!!

アスカ (間欠泉〜? また、凝った物を)

ツカサ (あ…よく考えたらムロジムそっくりだ)

間欠泉の場所は真ん中のラインを区切ってこちら側に3つ、向こう側にも3つと存在する。
間欠泉の噴出タイミングはランダムっぽいけど…。

審判 「両者、不正のないようポケモンをフィールドへ!」

アスカ 「出てきて、グラエナ!」
ツカサ 「ガルーラ、ゴー!」

グラエナ 「がぅぅぅ!」

ガルーラ 「ガール!」

シャベリヤ 『さぁ、両者ポケモンを繰り出しました! アスカ選手はグラエナ、ツカサ選手はガルーラだ!』
シャベリヤ 『互い最初のポケモンは奇しくも1回戦の時と同じだ!』

アスカ (あたしはポリシーみたいなものだし…)

ツカサ (いやぁ…まずは様子見だったんだけどね…)

さぁてと、相手のガルーラさんは格闘タイプの攻撃もお得意。
新聞のランキングじゃあなた10位、あたし15位ってなってるけど、あたしは負けているとは思わないんだから!
勝てればどんなに低くても8位ランクイン!
これはベスト16だからね。

アスカ 「アイドルさん、そっちから来なよ」

あたしは挑発的に相手を誘う。
乗るか反るかはあのアイドル次第だけど。

ツカサ 「お言葉に甘えて、先攻はもらいます! ガルーラ、『かわらわり』!」

ガルーラ 「ガールー!」

アスカ 「グラエナ、『ふいうち』!」

グラエナ 「ガゥッ!」

ドッカァァ!

グラエナは一瞬で、ガルーラの懐に入り、『ふいうち』を敢行する。
あまりのことに反応できないガルーラだが、さすがにすぐには倒れてくれず、そのままグラエナに『かわらわり』を放ってくる。

ブォン! ズガァン!

シャベリヤ 『おおっと! ガルーラの『かわらわり』は外れてしまうが、その威力は地面を削ってしまった!』

アスカ (あぶないあぶない…当たると危険そうね)

ツカサ 「ずるいじゃないですか! 『ふいうち』なんて!」

アスカ 「はぁ? いきなりなにを…?」

ツカサ 「普通あの展開なら一発受けた後返すってのいうのがパターンじゃないんですか!?」

アスカ (パターンって…あのね…)
アスカ 「これはポケモンリーグよ! 大体、そっちが攻撃技じゃなかったらこっちは不成立なの!」
アスカ 「すべて読みどおりできるのなら、苦労しないわよ! 相手を誘導するのもトレーナーの務め!」

ツカサ 「う〜、だったら! 『きあいパンチ』をだします!」

シャベリヤ 『なんと! ツカサ選手、攻撃の宣言を出してきました!』

ツカサ 「いいですか!? 『きあいパンチ』ですよ!?」

アスカ 「……」

なんていうか…もうすでに相手の行動が読めた気がする。
いや、失敗したらあれだけど…ていうか多分失敗しない。
なに考えているかわからないけど向こうは変な先入観が入ったらしい。

ツカサ 「ガルーラ、『にらみつける』!」
アスカ 「グラエナ、『いばる』!」

グラエナ 「ガウッ!」

ツカサ 「ええ!? なんで!?」

アスカ 「あのさ…ポケモンリーグなんだから、そんな幼稚な騙しはさ…やめたほうがいいよ」

ツカサ 「そっちだって、やったくせにー!」

アスカ (あれはツカサさんのとは違うと思うけどなぁ…)

ツカサさんのはジャンケンでいうグーを出すといいつつチョキをだすというあれだ。
さすがに駄目押しされると見当もつく。

ガルーラ 「ガールー?」

そして、まぁガルーラは『いばる』で混乱してしまった。
攻撃力が上がっている上、こっちの防御力を下げられてしまって一発受けるとはい、さようならになりそうだけど。

アスカ 「もどって、グラエナ」

とりあえず、一発が怖いのでグラエナはボールに戻す。
次に出てくるのは。

ツカサ 「ええい、ダメで元々! 『きあいパンチ』よ!」

アスカ 「…でてきて、マニューラ」

ちょっと焦るわね…なんせ格闘は天敵のマニューラ…いくらなんでも直撃は死ぬわ…。

ガルーラ 「ガールールー!?」

シャベリヤ 『ガルーラの拳、マニューラに突撃する! しかし混乱している今、正確にマニューラを捉えられるか!?』

アスカ 「よーく見て、『れいとうパンチ』よ!」

マニューラ 「マニュ!」

相手は混乱している、どこでピントがずれるかわからない。
その一瞬をついて攻撃するしかない!

アスカ (失敗すれば…こっちがダウン!)

ガルーラ 「ガールー!」
マニューラ 「! マニュー!!」

バキィ! カキィン!

ガルーラ 「!…!! …」

シャベリヤ 『マニューラ、ガルーラの攻撃を正確に見切り、腹部に『れいとうパンチ』を放った!』
シャベリヤ 『ガルーラここで凍ってしまったぞ!?』

アスカ 「トドメ! マニューラ、『かわらわり』!」

マニューラ 「マァニュッ!」

バッキィィ!

ガルーラ 「!…!…!」

ズッシィィン!

ガルーラは凍りついたまま彫刻のように倒れてしまう。

審判 「ガルーラ、戦闘不能!」

アスカ 「おし…!」

ツカサ 「戻ってガルーラ」
ツカサ 「さすが、強いんですね…私とは違う、戦う者の気配がわかります」
ツカサ 「私はあなたのようにはなれないですけど、でも私を見てくれる人のために私は諦めません!」
ツカサ 「出番よ、イルミーゼ!」

イルミーゼ 「イールミー♪」

シャベリヤ 『ツカサ選手、2匹目はイルミーゼだ! ツカサ選手、ここから押し返せるか!?』

ツカサ 「イルミーゼ、『むしのさざめき』!」

イルミーゼ 「イールミー!」

キィィィィン!

マニューラ 「マ、マニュ…!」

シャベリヤ 『イルミーゼの出す強烈な音の振動波、マニューラを苦しめます! どうするアスカ選手!?』

アスカ 「くぅっ!? マニューラ、『でんこうせっか』!」

マニューラ 「マニュ!」

ドカァ!

イルミーゼ 「ミィ!?」

マニューラの『でんこうせっか』がイルミーゼに当たる。
だけど、空中にいるイルミーゼにはこの後の追撃ができない。

アスカ (く…どうする!? やっぱりここは交換!? だけど、どっちみち『むしのさざめき』は止められない!)

あたしのエキスパートは悪、悪タイプの弱点のひとつがこの虫タイプ。
ちょっと厄介だわ。

アスカ 「どうする…どうする…ん?」

あたしはその時、フィールドに着目する。
穴…間欠泉…そうだ!

ツカサ 「イルミーゼ、もう一度『むしのさざめき』!」

アスカ 「やばっ! マニューラ、『まもる』!」

マニューラ 「マニュッ!」

マニューラは咄嗟に『まもる』をして、『むしのさざめき』を防ぐ。
あとは…!

アスカ 「マニューラ、もう一度『でんこうせっか』!」

マニューラ 「マーニュー!」

ドカァ!

イルミーゼ 「イルミー!?」

イルミーゼはまたもマニューラの『でんこうせっか』を受ける、しかしやはりこんな牽制技じゃ倒れてくれない。
だけど、ここからが目的!

アスカ 「マニューラ、そのままイルミーゼを間欠泉に投げつけて!」

マニューラ 「マニュ! マニュー!」

イルミーゼ 「ミィ!? ミーッ!?」

シャベリヤ 『なんと! マニューラ、イルミーゼを空中で捕まえてそのまま『なげつける』! イルミーゼ、間欠泉に飲み込まれた!』

ザッパァァン!

ツカサ 「イルミーゼ!?」

アスカ 「マニューラ、『ふぶき』!」

イルミーゼは間欠泉に押し上げられ、空中に放り上げられる。
あたしはそこを狙ってマニューラに『ふぶき』を指示する。

ツカサ 「イルミーゼ、『つきのひかり』!」

イルミーゼ 「イールミー♪」

シャベリヤ 『イルミーゼ、体力を回復させてマニューラの『ふぶき』を凌ぐ気か!? ここはどうするアスカ選手!?』

アスカ (どうするって? 別にどうもしないわ…結果はわかっているもの)

カキィン!

イルミーゼ 「!? !…!…」

ゴトン!

シャベリヤ 『な、なんとー!? イルミーゼまたもや凍ってしまった! 動かないまま地面にゴトリ!』
シャベリヤ 『ツカサ選手、絶体絶命です!』

アスカ (間欠泉の中に入って、イルミーゼは水浸しよ? 『ふぶき』で凍らされたらまず自分の周りの水分が凍りついてカチンコチンよ)
アスカ (あとは…こっちの推量次第の賭け!)

ツカサ 「も、戻ってイルミーゼ!」

アスカ 「マニューラ、『おいうち』!」

アスカ 「マニュ!」

バッキィィ! ズッサァァァ!

ツカサ 「!! イルミーゼ!!」

審判 「イルミーゼ、戦闘不能!」

シャベリヤ 『なんと! 交換は読まれていた! マニューラの『おいうち』が鮮やかにヒット! イルミーゼ、ダウン宣告が出されました!』

ツカサ 「もどって、イルミーゼ…」

アスカ (あなたはとてもポケモン思い、その思いは顕著に予選、本戦で現われている)
アスカ (相手を研究しないわけがない、あなたがあたしの弱点を執拗に攻めるように、あたしはあなたのその優しさを攻めるわよ)

ツカサ 「あは…また、ミソラさんに怒られるな…たとえ交換が成立したってイルミーゼはもう戦えなかったって…後続に負担をかけるだけだって…」
ツカサ 「アスカさんは、とてもバトルにしっかりしているんですね、手加減はしない、そしてバトルに誠実…バトルが生きがいなんですね」

アスカ 「あんまり、バトル中に多く喋るのは主義じゃないけど…ちょっと喋ってあげるわ」
アスカ 「あたしの専門は悪、あなたもこの会場の観客もきっと知っているわね、あたしはひとつ目標がある」
アスカ 「この大会の優勝じゃない、あたしは、悪タイプのジムを作りたい」

ツカサ 「ジムリーダーですか?」

アスカ 「世界には多くのジムがあるけど、なぜか悪のジムはない…そのイメージもあるかもしれないけど、なぜかね」
アスカ 「だからあたしは、悪タイプのジムを作りたいの、悪タイプのポケモンをもっと広くいろんな人に知って欲しい」
アスカ 「悪タイプは悪者の代名詞にされているけど、それは使うもの次第、あたしは例え悪でも歪んだ悪にはさせないわ」

ツカサ 「立派ですね…私はアイドルですから、みんなの声援に応えるのが仕事です」
ツカサ 「みんなのために歌い、みんなのために頑張るのが私の仕事…それはある種あなたと同じように結果を出さないといけない立場」

アスカ 「! そうね…」

アイドルだから…四天王の妹だから…。
あたしたちはくだらないしがらみで戦っている。
でも、あたしもあの娘もそんなことを気にして負けるのが怖くて戦ってなんかいない…そうでしょう?

ツカサ 「アイドルはまさに正義の象徴、そういう意味ではあなたは悪の象徴…」

アスカ 「一見対極しているようだけど、その本質は同じ…よね」

ツカサは頷く。
やっぱり、どこかで共通性をあたしたちは見ていたんだ。
大変ね…本当に。

ツカサ 「このバトルが終わったら…友達になれますかね!?」

ビークイン 「ビー…」

ツカサはそう言いつつ、次のポケモンを出す。
蜂の巣ポケモンビークイン、あたしのマニューラと同じくプレッシャーの特性をもつポケモン。

アスカ 「当たり前でしょ! 親友よ! マニューラ、『れいとうパンチ』!」

マニューラ 「マニュー!」

ツカサ 「ビークイン、『ぼうぎょしれい』!」

ビークイン 「ビー!」

ビビビビビビビビビッ! ガキィ!

シャベリヤ 『おっとー! ビークインの腹の穴から無数の小さな蜂が現われ、ビークインを覆います!』

ビークインは小さな蜂の群れに囲まれ、蠢く球体を作り出す。
これが『ぼうぎょしれい』…まるで、コ○ラ部隊のザ・○インね。

マニューラ 「ニュッ!」

ガキィ!

シャベリヤ 『ああっ! マニューラの拳はビークインの防御膜に止められてしまう! これを見る限りかなり強力な防御膜だ!』

ツカサ 「ビークイン、『こうげきしれい』!」

ビークイン 「ビー!」

ビビビビビビビビビビビビ!!

マニューラ 「マ、マニュ!? マニュー!? マニュー!? ……」

アスカ 「! マニューラ!?」

ビークインを覆っていた蜂たちは今度は一斉にマニューラを覆う。
しばらくはマニューラも暴れて抵抗するが、やがて抵抗が無くなる。

ビビビビビ…。

そして、役目を終えた蜂たちはビークインの体内へと戻るのだった。
蜂たちの襲った後には無残に倒れたマニューラがいるだけだった。

審判 「マニューラ戦闘不能!」

アスカ 「戻って、マニューラ」

シャベリヤ 『ここでツカサ選手、マニューラを倒し、一歩アスカ選手に近づいた!』
シャベリヤ 『さぁ、次のアスカ選手のポケモンは!?』

アスカ 「ゴー、ドンカラス!」

ドンカラス 「カー!」

あたしの次のポケモンはドンカラス。
とりあえず、飛行タイプは虫には強いからね…。

アスカ (問題はあれだけの蜂どうするよ?)

一匹一匹はとても小さな1センチもなさそうな本当に小さな蜂。
とはいえそれが10000匹は出ている…たまった物じゃないわ。
千でもなく万…あの小ささから考えたら多分いた。
毒性はないかもしれないけど、数には勝てないわよねぇ…さすがに。

ツカサ 「ビークイン、もう一度『こうげきしれい』!」

ビークイン 「ビー!」

ビビビビビビ!!

アスカ 「焦っちゃだめよドンカラス! 『わるだくみ』!」

ドンカラス 「ド、ドー!!」

さすがに数が数なだけにビークインのプレッシャーもあってまず普通のポケモンはビビる。
事前に戦ったことがあるのなら免疫もあるでしょうけど、あたしのポケモンたちは全員免疫なしだからね…。

シャベリヤ 『小さな蜂がドンカラスをマニューラ同様覆ってしまう! いくら飛行タイプでもこのままだと危険だぞ!?』

アスカ 「ちょっとの火力じゃ穴が開かなくたって、2倍なら! ドンカラス、『あくのはどう』!」

ドンカラス 「ドーン!!」

ビビビビビビ…!

ドンカラスは一気にドンカラスを覆っていた蜂を吹き飛ばす。
よし、これであの攻撃は大丈夫!

アスカ 「ドンカラス、そのまま『ドリルくちばし』!」

ドンカラス 「ドーン!」

ツカサ 「ビークイン、『ぼうぎょしれい』!」

ビークイン 「ビー!」

ビビビビビビ!

蜂たちは見事なくらい統率がとれており、ビークインを綺麗に覆った。
だけど、さっきは面で攻撃していたけど、今度は点で攻撃よ!

ドンカラス 「ドーン!!」

バババババッ!!

シャベリヤ 『ああっと! ドンカラスの嘴が蜂たちを押しのけ徐々にその鋭利な嘴をビークイン本体へと近づける!』

ツカサ 「! ビークイン、前面に蜂を集中させて!」

ビークイン 「ビー!」

アスカ (きた! この展開、絶対こうなったら前面に防御を回すと思っていたわ!)
アスカ 「ドンカラス、『つばめがえし』!」

ドンカラス 「ドン!」

ビークイン 「ビッ!?」

ザッシュウウ!!

シャベリヤ 『決まったー! ドンカラスの『つばめがえし』がビークインの背後から襲い掛かる!』

『つばめがえし』は相手の死角である真後ろに超スピードで回って攻撃する。
通常の『ぼうぎょしれい』の様に全面を蜂で覆われると成立しないけど、前方の攻撃に集中するあまり、後ろが手薄になった。
そこを上手くつけたわ!

ビークイン 「ビ…ビィ…」

ツカサ 「ビークイン、『かいふくしれい』!」

ビークイン 「ビー…」

ビビビビビビビビ!

シャベリヤ 『おおっと、今度は蜂たちがビークインの体をケアし始めた! ビークインの体力がみるみるうちに回復する!』

アスカ 「ドンカラス! 回復しきる前に『ドリルくちばし』よ!」

ドンカラス 「ドーン!」

ビークイン 「…!!」

ビビビ…ビビ…ビビ…!

シャベリヤ 『!? わずかな蜂の群れがドンカラスに纏わりつく! ドンカラス、鬱陶しそうだ!』

アスカ (僅かな蜂が邪魔しにきた!? 女王を守ろうってわけ!?)
アスカ 「いいわ、ドンカラス、『そらをとぶ』!」

ドンカラス 「カー!」

ドンカラスは纏わりつく蜂を吹き飛ばし空高く飛び上がる。
フィールドはところどころ穴から間欠泉が吹き上がる、トチってその間欠泉に一直線はやめてよ?

ドンカラス 「ドーン!!」

シャベリヤ 『ドンカラス、いったー!! そのままビークインへ急降下!』

ツカサ 「ビークイン!!」

ビークイン 「! ビィ!」

ビークインは捨て身なのか、周りから一切蜂を取り払い、その蜂はビークインに襲いいかかる。
勢いをつけたドンカラスの急降下を止める力は蜂にはないわよ!?

ドンカラス 「ドー!」

ドッカァァァァッ!!

ビークイン 「ビーッ!?」

ズッシャァァァ!

審判 「ビークイン、戦闘不能!」

シャベリヤ 『決まったー! ビークイン健闘むなしくやられてしまう! やはりタイプ相性は覆せなかったか!?』

ドンカラス 「!? ド、ド〜ン…」

ズシャァ!

アスカ 「!? ド、ドンカラス!?」

審判 「!? ドンカラス、戦闘不能!」

シャベリヤ 『な、なんと突然ドンカラスも倒れてしまう! これはビークインの『みちづれ』か!?』

ツカサ (ビークインではドンカラスは止められないと思った…ビークインごめんなさい、でも、あなたのおかげでドンカラスをダウンに追い込めたわ)

アスカ 「そこまで覚悟してたか…戻ってドンカラス」

相手は『かいふくしれい』で体力をかなり回復していた。
にも関わらず、ビークインの『みちづれ』を選んだ。
立って勝つことはできない…だから相打ちを選んだのね…。
あの蜂たちの行動は攻撃じゃない…ビークインのために全てを捧げた…それだけか。

アスカ 「それじゃ、仕切りなおしといこうか!」
ツカサ 「はい! でてきてミノマダム!」
アスカ 「グラエナ、もういっちょ!」

グラエナ 「ガウウウウッ!」
ミノマダム(鋼) 「ミノ〜」

シャベリヤ 『アスカ選手はグラエナ、ツカサ選手はゴミのミノのミノマダム!』

アスカ 「虫に鋼…徹底的に悪タイプを意識ね、けど相性だけでバトルはできないわよ」

ツカサ 「ですが、そちらが不利なのは確かです!」
ツカサ (と、強がってみるけど虫タイプの技の無いのよね…)

アスカ (さて、あたしのグラエナは威嚇じゃなくて早足だからね…まぁ、特性を気にする相手でもないか)

ツカサ 「ミノマダム、『ラスターカノン』!」

ミノマダム 「ミノー!」

アスカ 「グラエナ、『ほのおのキバ』!」

グラエナ 「ガゥゥッ!」

グラエナは『ラスターカノン』を素早く避け、ミノマダムに『ほのおのキバ』が襲い掛かる。

ツカサ 「に、逃げて!」

ミノマダム 「ミ、ミノーッ!」

ミノマダムはとっさに後ろに避けて、グラエナのかみつきを見事によけてくれる。
まぁ、回避されても恐怖感を植えつけれたらこっちとしたら作戦成功なんだけど…。

アスカ (気になるのよね…ミノマダムの特性は危険予知、それが姿を見せないってことは…4倍でも…)

ツカサ (どうする!? いくらなんでも炎技なんて貰ったらやられちゃう!)
ツカサ (交換? 相性がいいと思ったんだけど…これじゃ…え、待ってよ…?)
ツカサ (ミノマダムは炎が天敵…そしてその特性は…)

アスカ 「グラエナ、もう一度『ほのおのキバ』!」

とりあえず考える暇は与えない。
さっさと致命打を与えてとっとと退場してもらうわ!

ツカサ 「! そうか、わかった! ミノマダム、受け止めて!」

ミノマダム 「ミ、ミノッ!」

アスカ 「ばれたか! やるっきゃない! いっけー!」

グラエナ 「ガゥゥッ!!」

あわよくば急所に当たって想定外ダメージ狙い!

ガッ! ゴォゥ!

シャベリヤ 『グラエナの『ほのおのキバ』がミノマダムを襲う! ミノマダム、苦しそうだ!』

ツカサ 「倒れてはいないわ! ミノマダム、『じたばた』!」

ミノマダム 「ミ、ミノミノミノミノミノミノー!!」

グラエナ 「ワウー!?」

ズッシャァァァァ!

シャベリヤ 『なんとか耐えたミノマダム、『じたばた』で逆襲だ! グラエナは返り討ちにあいダウン!』

アスカ 「ふぅ…戻ってグラエナ」

やっぱり、無理か…なんとなくこうなる予感はしてたのよね。
ただ、気が動転したような顔したからひょっとしたらそのままいけるかな〜って思ったんだけどそう上手くいかないか。

シャベリヤ 『さぁ、それではこれにて合計6匹のポケモンが倒れましたので10分の休憩をとり、後半戦に入りたいと思います!』

ツカサ 「ふぅ〜、ありがとう、戻ってねミノマダム♪」

ミノマダム 「ミ、ミノ〜♪」

アスカ (けど、無茶したあのミノマダムは後がないわね…)

悪いけど、負けない。
今のところどうしてもタイプ的に相性悪いことが多いけど、そろそろネタ切れでしょう?
エキスパートになるということは弱点も特徴も普通に育てている人よりよく習熟している。
あなたは自分のポケモンのポテンシャルをどれくらい引き出せる?
あたしは100%…いや、120%引き出してみせる!



…………。



ケン 「これが女と女の意地のぶつかり合い?」

ヨー 「別に女の意地ってわけじゃなさそうだぞ?」

イブ 「そうだね、どちらかっていうと面子かな?」

ユウキ 「まぁ、こっちは意地もへったくれも無い女のバトルをしそうだがな」

ペル 「?」

俺はそう言ってペルを指す。
すると、その場にいる全員が無言の納得をする。
本人はそういうところも自覚なしらしく、頭に?を浮かべていた。

チカ 「それにしても今度はどっちが勝つかしらね」

ケン 「大将と偏屈の予想は?」

イヴ 「そうだな…6:4でアスカか…今のところ5分だが彼女は悪タイプエキスパート、バトルが拮抗した時自分がどれだけ自分のタイプを理解しているかで勝負は分かれる」
イヴ 「さっきのバトルで相当アスカへの有利なポケモンを消耗してしまった、ここから互い有利不利がなくなると…」

ユウキ 「そうっすねぇ、手持ちのカードが続々と出てますからね…ま、結局はやっぱり負けたくないって意地でしょうけど…ちなみに、偏屈って俺か?」

ケン 「そうなるか〜、ちなみに当然ながら偏屈はユウキや」

ユウキ 「…なんか納得いかないんだが」

ケン 「うっさいな〜、じゃあ欲情魔かカナブンのどっちかから選べ!」

ユウキ 「ちょっと待て! どっちも嫌じゃ!」

リュウト 「…はぁ」

ケン 「ちなみにリュウトはんは逆転男、サティはおかっぱ又はかしらでリフィーネはんはパラソル」

サティ 「かしらとはなにかしら〜!」

リフィーネ 「あ、やっぱり語尾がかしら…」

サティ 「かしらかしらかしらかしらかしら〜!」

ケン 「あとは、チカが生徒A」

チカ 「は? なぜ生徒Aなの?」

ケン 「だって、よう大将にあれはどう、これはなぜって聞くやん!」

リュウト 「たしかに…」

チカ 「もういいわ…好きにしなさい」

ケン 「さーて、んじゃ、悪対アイドルのバトルみせてもらおっか!」

レン 「ちなみに僕は?」

リュウト (女顔か…)
ヨー (女顔だな)
ケン (女顔やろ)
サティ (女顔かしら?)

レン 「ねぇ、僕は〜?」

ペル 「……」←そしてもう一人あだ名のわからない人、ここに。



…………。



シャベリヤ 『さぁ、10分の休憩も終わり、ついに後半戦! はたしてこの勝負に勝つのはどっち!?』

アスカ (さて…ここからが追い上げどころ)

ハーフバトル(3匹戦)ならそのまま押し切られることもあるけど、6匹だと押し返されることもあるわよ。
コンセプトが統一されているからね、長続きすればするほど力を発揮する。
タイプの統一は数が多くなればなるほど強くなるからね。
普通、相手もタイプを統一していない限り相手の全員がこちらに強いなんて事態はありえないんだから。

ツカサ 「でてきて、ミノマダム!」

ミノマダム 「ミ、ミノ〜…」

前半戦の終わりの状況からスタートなので、傷ついたゴミのミノのミノマダムがでてくる。
こっちがだすのは!

アスカ 「でてきて、ヘルガー!」

ヘルガー 「ガー!」

ミノマダム 「ミ、ミノミノ〜!?」

アスカ (ミノマダムの危険予知、って、さすがにヘルガーなら一撃か)

ミノマダムはわかりやすいくらい慌てふためいている。
さて、ツカサはどうするのかしら?

ツカサ 「…いきます! ミノマダム、『じたばた』!」

ミノマダム 「ミ、ミノミノ〜!」

アスカ 「…らしくないわね、ヘルガー、『かえんほうしゃ』!」

ヘルガー 「ガー!!」

ゴォォォ!!

ミノマダム 「ミ、ミノ〜…」

シャベリヤ 『ああっと! ミノマダム勢いよくヘルガーに突っ込んだがやはり焼かれた! ミノマダムそのままダウンです!』

初期位置が悪すぎる。
接近戦ならともかくスタート時の初期位置から接触技は格好の的だ。
ポケモンを思いやる彼女がどうして?

アスカ 「あなたなら、交換してくるかなとも思ったんだけど」

ツカサ 「戻ってミノマダム…それは、私もあなたの様にバトルを好きになってみようと思いました」

アスカ 「あたし?」

ツカサ 「はい、あなたは悪い意味でではなくいい意味でバトルを楽しんでいます」
ツカサ 「だから、少しバトルに徹してみようかと…悪い意味ではなく、あなたのようにいい意味で」

アスカ 「いい目ね…次のポケモンは!?」

ツカサ 「この娘です! ハピナス!」

ハピナス 「ハッピ〜♪」

ツカサの4匹目はハピナスだった。
たしかに、その耐久力は普通じゃないわね。
押し負けるわ。

ツカサ 「ハピナス!」
アスカ 「戻ってヘルガー!」

あたしはヘルガーをボールに戻す。
どう考えてもあれだけの特殊防御力をもつポケモンを特殊タイプのポケモンで押すのは無理!

アスカ 「出てきて、ブラッキー!」

ブラッキー 「キー!」

ツカサ 「『うたう』!」

ハピナス 「ピ〜ピピ〜♪」

ブラッキー 「!? キ〜…ZZZ」

シャベリヤ 『ああっと、出てきた瞬間、ブラッキーは眠ってしまったぞ!?』

ツカサ 「攻める時は徹底、そうしないと逆転されちゃいますよね?」

アスカ 「そうね、でも眠らしたことはかえってあなたの不幸かもしれないわよ?」

ツカサ 「え?」

アスカ 「ブラッキー、『ねごと』」

ブラッキー 「ブブ〜!」

ハピナス 「ハ、ハピ〜…」

ツカサ 「『なきごえ』? これなら、問題はないわ!」
ツカサ 「ハピナス、『ちきゅうなげ』!」

ハピナス 「ハッピー!」

ブラッキーはハピナスの『ちきゅうなげ』で大きく宙高く投げられる。
この技はレベルが高いほど威力が上がるといわれている、よくはわからないけど、相手の防御力は無視らしい。
その分攻撃力はそう高い物じゃない、ブラッキーのような耐久力の高いポケモンにはそう有効じゃない。

アスカ 「もう一度、『ねごと』」

ブラッキー 「ZZZ…!!」

バシャァ!

ハピナス 「!?!? ハ、ハピ〜…」

シャベリヤ 『ああっと、今度はブラッキーの『どくどく』だ! ハピナス、毒の状態に陥ったぞ!』

ツカサ 「しまった! 『どくどく』!?」

『どくどく』か…それはそれで意味あるんだけど…。

ツカサ 「ハピナス! 『リフレッシュ』!」

ブラッキー 「! ブラ?」

アスカ 「! ブラッキー、『ちょうはつ』よ!」

ブラッキー 「! ブラブラッ!」

ブラッキーは土壇場で目覚める。
私はすぐさま命令を出した。

ハピナス 「ハ、ハッピー!」

ツカサ 「ハ、ハピナス!?」

シャベリヤ 『ああっと、ハピナス『ちょうはつ』されてしまい『リフレッシュ』が成り立たない! そのまま『どくどく』のダメージが溜まっていくぞ!』

アスカ 「ブラッキー、『いやなおと』!」

ブラッキー 「キキキキキ!」

ハピナス 「ハ、ハッピー!?」

ツカサ 「くっ! ハピナス、『れいとうビーム』!」

ハピナス 「ハ、ハッピー!」

キィン!

ブラッキー 「!? ブラー!」

ハピナスの『れいとうビーム』がブラッキーに直撃する。
しかし、こちらでもそれほどダメージがあるようには見えない。
『ちきゅうなげ』とも『れいとうビーム』ともダメージはあまり期待できそうにないようね。

アスカ 「ブラッキー、『くろいまなざし』」

ブラッキー 「……」

シャベリヤ 『ブラッキー、冷たい瞳でハピナスを睨みつける! これでハピナス戻ることさえ許されなくなった!!』

ツカサ (くっ!? い、いったいどうすれば…このままじゃ毒のダメージだけでも馬鹿にならないし!)

まだ、『ちょうはつ』の効果は残っている。
やるからには徹底…言ったのはあなたよ。

アスカ 「ブラッキー、『いやなおと』!」

ブラッキー 「キキキキキキィキ!!」

ツカサ 「くっ! もう一度『れいとうビーム』!」

ハピナス 「ハ、ハピーッ!」

キィン!

アスカ (まだ大丈夫だけど、くらうと状態異常も怖い、とはいえ今から回避はちょっと無理そうか…なら!)
アスカ 「ブラッキー、『あやしいひかり』よ!」

ブラッキー 「ブ、ブラッ!」

ブラッキーは『れいとうビーム』をくらいつつも『あやしいひかり』でハピナスを混乱状態にする。
ここから『ちょうはつ』の効果も切れるけど、かわりに混乱状態に陥ったわ。
そして、フィナーレといこうかしら!?

ツカサ 「ハピナス、『リフレッシュ』!」

アスカ 「ブラッキー、『でんこうせっか』!」

ブラッキー 「ブラッ!」

ドカァ!

ブラッキーは『でんこうせっか』で大きなハピナスの懐に一撃を与える。
まだ、倒れないけど!

ツカサ 「ハピナス、『タマゴうみ』!」

アスカ 「ブラッキー、『よこどり』よ!」

ブラッキー 「キッキ〜…」

ハピナス 「ハ、ハピ? ハピピ!?」

シャベリヤ 『ああっと、ハピナスの『タマゴうみ』の効果はブラッキーに『よこどり』されたぞ! ブラッキーに溜まったダメージは一気に回復!』

アスカ 「ブラッキー、『おんがえし』よ!」

ブラッキー 「ブラーッ!」

ハピナス 「ハピー!?」

シャベリヤ 『ポケモンがなついていればなついているほど威力の上がる『おんがえし』! ハピナスたまらずダウンです!』

ツカサ 「戻って、ハピナス」

アスカ (ふぅ、ハピナスを倒すのは苦労するわ…さて、あと2匹!)

ツカサ 「出てきて、ニドクイン!」

ニドクイン 「ニドー!」

シャベリヤ 『ツカサ選手の最後の砦はニドクイン! アスカ選手はこれを突破できれば遂に王手!』
シャベリヤ 『逆にツカサ選手はここでなんとしても勝利をもぎ取り、後につなげなければ状況はまずいぞ!』

ツカサ (たしかに、ここで押されると『あの娘』でなんとかしないといけなくなる)
ツカサ (だけどアスカさんは強い、どこまでくらいつける? あわよくば首を狩りにいかないと! 負けを認めたわけじゃないんだから!)

アスカ (ひとつひとつの手に緊張を覚える…この娘は強い…いや、もっと強くなる)
アスカ (だけど、負けるわけにはいかないの、このまま押し切らせてもらうわ!)

ツカサ 「ニドクイン、『だいちのちから』!」

ニドクイン 「ニドー!」

ズドォン!

アスカ 「おっとと!」

地面に亀裂が走る。
フィールドは間欠泉用に穴は開いているとはいえ頑強。
これで下の機械が壊れることはなさそうだ。

アスカ 「あなたのニドクインはたしか特殊タイプだったわね! あぶないあぶない! ブラッキー、『サイコキネシス』!」

ブラッキー 「ブラー!」

ツカサ 「ブラッキーがエスパー技!?」

アスカ 「悪タイプだから使わないとは限らないわよ! だけど狙いはこれだけじゃないんだけどね!」

ブラッキー 「!」

バッシャァァン!!

ブラッキーは『サイコキネシス』でニドクインを捕らえたまま吹き上げる間欠泉の中にニドクインを放り込む。
ニドクインは地面タイプ、水は弱点だからね!

ニドクイン 「ニド!? ニドーッ!?」

ニドクインは強力な水圧に抗えずそのまま空に打ち上げられてしまう。
ニドクインも持ち上げるほど強力なのね…。
しかし、そんな入りたくも無い中に入ったニドクインはたまったものじゃないだろう。
肉体的にも精神的にもかなりダメージがあったはず!

ツカサ 「ニドクイン、『ヘドロばくだん』!」

ニドクイン 「ニ、ニドー!」

アスカ 「体が硬直しているよ! ブラッキー、かわして『すなかけ』!」

ニドクインはまだ体も冷えて硬直している、ブラッキーはそんなニドクインの『ヘドロばくだん』を悠々と回避し、逆にニドクインの目に砂を浴びせる。

ツカサ 「! ニドクイン、『ばかぢから』!」

ニドクイン 「ニ、ニードー!!」

ズッガァァン!!

ブラッキー 「!? ブラー!?」

ズッシャァァ!

シャベリヤ 『ニドクインの『ばかぢから』が決まったー!! ブラッキー一気にフィールドの端まで吹き飛ばされる! しかし、ブラッキー、よろよろになりながらなんとか立ち上がった!』

アスカ 「! ブラッキー、『つきのひかり』!」

ブラッキー 「キィ…!」

ブラッキーは体力を回復させる。
間に合って!

ツカサ 「ニドクイン、『だいちのちから』!」

ニドクイン 「ブラッキー、頑張って! もう一度『つきのひかり』!」

ツカサ 「渾身の力を込めて! ニドクイン、『だいちのちから』!」

ニドクイン 「ニードーッ!!」

ズッドォォン!

アスカ 「!?」

ブラッキー 「キーッ!?」

シャベリヤ 「おおっと!? か、会場が揺れました! 凄まじい一撃にブラッキー、溜まらずダウンです!」

アスカ 「く…戻って、ブラッキー」

やられたわね…押し切られた。
まさか『ばかぢから』を振るってくるなんてね。
特殊型って聞いたけど、もっているじゃない、強烈な物理攻撃。

アスカ 「出てきて、ヘルガー!」

ヘルガー 「ガー!」

あたしの5匹目はヘルガー、ニドクインには炎と地面という部分で相性はよろしくない。
だけど、ニドクインもヘロヘロ、なんとしてでも押す!

アスカ 「ヘルガー、『かえんほうしゃ』!」

ツカサ 「ニドクイン、『だいちのちから』!」

ズドォン! ゴォォォ!

シャベリヤ 『両ポケモンの攻撃がヒット! やはり互いに攻撃を回避して敵にだけ与えることは無理か!?』

アスカ (ヘルガーは素早い、でも、ニドクインは初めから確実に攻撃を当てることだけを考えていた)

ツカサ (ニドクインの体力を考えてもヘルガーの攻撃を回避して攻撃することはできない…初めからこれしかなった)

ヘルガー 「ガ、ガァ…」

ニドクイン 「ニ、ニド〜…」

シャベリヤ 「ああっと、ヘルガー一撃でダウン! ニドクインもダメージが重なりダウンだ!」

アスカ 「まさか、こうなるなんてね…」

ツカサ 「勝利を諦めない限り、きっとチャンスはある! 頑張ります!」

アスカ 「出てきなさい、バンギラス!」

バンギラス 「バーン!!」

ビュオッ! ゴォォォ!!

シャベリヤ 『アスカ選手が出したのはバンギラス、その巨体! そしているだけで巻き起こる砂嵐! まさに悪ポケモンの総大将、バンギラス!!』

ツカサ 「バンギラス…始めてみた、多分アスカさんのポケモンで一番強いんですね…だからこそ、私も全力を尽くします!」
ツカサ 「でてきて、ラティアス!」

ラティアス 「ラー!」

シャベリヤ 『そしてツカサ選手はラティアス! 伝説のポケモンとして伝えられ、神々しささえ感じさせるその風貌!』
シャベリヤ 『大いなる悪! VS! 夢幻の翼! 今激突だー!!』



…………。



ポケモン図鑑 『ラティアス:夢幻ポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:1.4m 重さ:40.0Kg タイプ:ドラゴン エスパー』
ポケモン図鑑 『知能が高く人の言葉を理解する』
ポケモン図鑑 『ガラスのような羽毛で体を包み込み光を屈折させて姿を変える』


ユウキ 「なるほどね…初めて見たな」

ケン 「なんやそれ? 携帯図鑑みたいやけど…」

ヨー 「ポケモン図鑑だよな…だけど見たことのないタイプだな」

リュウト 「市販品じゃないのか?」

ユウキ 「ん? いや、こりゃオダマキ博士から借りてる物だしな」

イヴ 「なるほど、研究者用の特別品か」

イブ 「はえ〜、この国には便利な物があるのですね」

リフィーネ 「オーレは代わりにP☆DAがありますからねぇ」

ケン 「P☆DA?」

ユウキ 「外国風のポケモン図鑑と思えばいい、ただこっちと違ってポケモンを認識したあと端末に接続し、データをインストールしないといけないのが難点だが」

ヨー 「お前、本当になんでも知っているんだな」

イヴ 「本当に博識だな…」

ユウキ 「…かったる」



…………。



アスカ (結局、この展開に持ち込まれたか)

ツカサ (ここまでこれた…後はこの人を超えたい! 越えられるのなら私はきっと…どこまでもいける!)

アスカ (悲しいかね、戦うということは勝利者と敗者に分かれるということ…あたしはもう負けない)
アスカ (あなたを倒して更なる高みに上がるわ!)

アスカ (勝つのはあたし!!)
ツカサ (勝つのは私!!)

アスカ 「バンギラス、『いわなだれ』!」

バンギラス 「バーン!!」

ツカサ 「ラティアス、『みずのはどう』よ!」

ラティアスはバンギラスの『いわなだれ』を回避し、その上で『みずのはどう』をバンギラスに放つ。
しかし、バンギラスを中心に放たれる『みずのはどう』は中心点に届く前に消滅してしまう。
通常の砂嵐と違ってバンギラスの起こす砂嵐はちょっとやそっとでは潰れないわよ!

ツカサ 「!? く、だったらラティアス、『めいそう』!」

アスカ 「バンギラス、『りゅうのまい』よ!」

シャベリヤ 『おーっと! 互い能力を高める! ラティアスは特殊攻撃力と特殊防御力を! バンギラスは攻撃と速度を!』

ツカサ (『りゅうのまい』!? バンギラスがドラゴン技を使えるの!?)

アスカ (だから言ったでしょ、悪タイプだから他の技を使わないとは限らない!)
アスカ 「あたしがエキスパートとして生きている以上、悪タイプができる最大限のことに挑戦しているわ!」

ツカサ 「くっ! ラティアス、『れいとうビーム』!」

ラティアス 「ラ、ラティー!」

キィン!

バンギラス 「!! ガァァァ!」

アスカ 「バンギラス、『ドラゴンクロー』!」

バンギラス 「!!!」

ドスドスドスドス!

ラティアス 「ラ、ラティ!?」

ザッシュウ!!

シャベリヤ 『いったー!! バンギラスの凶悪な爪がラティアスを切り裂いた! 効果は抜群だ!』

ラティアス 「ラ、ラティ…」

ツカサ (まずい! あの攻撃力は凶悪すぎる!)

アスカ (しとめきれなかった! どっかの一意専心なバンギラス使いなら即死だったんでしょうね…)

ツカサ 「ラティアス、『あまえる』!」

ラティアス 「ラティ〜♪」

アスカ 「そうくるんだ、だったらバンギラス、『いやなおと』!」

バンギラス 「バーン! ガガガガガガガガガッ!!!!!」

ラティアス 「ラ、ラティ〜」

シャベリヤ 『ラティアスがバンギラスの攻撃力を下げたら、バンギラスはラティアスの防御力を下げる! この戦いどっちに転ぶのか!?』

ツカサ 「く! ラティアス、姿を消して!」

ラティアス 「ラティ!」

ラティアスは突然、その場で透明になり姿を消す。
なるほど、伝説となるのはこの身を隠す術があるためかもね。

アスカ 「だけど! バンギラスの砂嵐はフィールドを覆う! その中で姿を消すことは不可能!」

バババッ!

ラティアス 「!?」

アスカ 「! そこね! バンギラス『ストーンエッジ』!」

バンギラス 「バーン!」

砂嵐は確実にラティアスにダメージを与える。
姿を消してもそこにラティアスは存在するのだ。
明らかに砂嵐の流れがおかしい場所がある、そこがラティアスのいる場所!

ツカサ 「ラティアス、『ミストボール』!」

ラティアス 「ラー!」

ズパァン!

バンギラス 「!?」

アスカ 「むっ!?」

突然、白い球体がバンギラスにぶつかったと思うと霧に包まれてしまう。
砂嵐のなかやっても無意味すぐ消えてしまうけど、その一瞬でラティアスも見失ってしまう。
『ストーンエッジ』の攻撃も失敗のようね。

アスカ 「鬱陶しいわね、バンギラス、地面を破壊して!」

バンギラス 「! バァァン!」

ズドォン!

ツカサ 「!? なにを!?」

バンギラスは『じしん』で地面を破壊する。
そうするとによって地面は隆起し、人工的に作られた間欠泉は異常をきたす。

アスカ 「そう、そこにいるの、『じこさいせい』は完了かしら?」

ツカサ 「!?」

ラティアスは間欠泉の噴水の裏に隠れていた。
そこならたしかに水に同化したらわからないわね。
だけどもう、隠れることはできないわよ?

隠れてやることといったらそれくらいしか考えられない。
そうじゃないなら、次々と攻撃がきそうなものだしね。

アスカ 「バンギラス! その大岩を『なげつける』!」

バンギラス 「バーン!!ギーッ!!」

シャベリヤ 『な、なんとー!? バンギラス4メートルはあろうという大きな岩を持ち上げた!! そこからぁ…投げたー!!』

ラティアス 「!? ラティー!?」

ラティアスは危険を感じ、とっさに動こうとするが、バンギラスの大岩が容赦なくラティアスを襲う。
ラティアスは岩に押しつぶされた。

ラティアス 「ラティ〜…」

審判 「ラティアス、戦闘不能!」

ツカサ 「あ…」

バンギラス 「バン!」

ガッ!

ラティアス 「…ラティ?」

バンギラスは戦いが終わるとラティアスを押しつぶした岩を持ち上げてどける。
モンスターボールの回収機能を使えば問題ないってのに。

ツカサ 「あ、あはは、ありうがとう、バンギラス」

ラティアス 「ラティ〜♪」

バンギラス 「……」

アスカ 「照れてる照れてる、バンギラス、戻りなさい」

あたしはバンギラスを戻し、ツカサに近づく。

ツカサ 「負けました、完敗です」

アスカ 「紙一重よ、結構ラティアスの『れいとうビーム』はバンギラスも効いていたんだから」

ツカサ 「でも負けです、勝利を追い求める力があなたに及びませんでした」

アスカ 「また、頑張ればいいわ、そうでしょ?」

ツカサ 「はい! あの、また戦いましょう、アスカさん!」

アスカ 「うん!」

あたしたちはフィールドのど真ん中で熱い握手をかわす。
いい好敵手と出会えた気がする。
この娘と戦ったことで私は更なる高みに登れる気がするわ。



…………。



アカネ 「いやぁ〜! ええ勝負やったわ!」

ハルカ 「うん、そうだね、最後のバトルとか本当に凄いよ!」

アカネ 「バンギラスは本来シロガネ山に生息するポケモンやな! バンギラスは山を突き崩すほどの力を持つ、せやからこれ位の地崩れは序の口やな」

ハルカ 「そんなに凄いんだ」

アカネ 「さぁって、次はまたおもろそうな組み合わせやの〜」

ハルカ 「イブVSレン…」




ポケットモンスター第78話 『似た者同士』 完






今回のレポート


移動


サイユウシティ


3月5日(ポケモンリーグ本戦2日目)


現在パーティ


ラグラージ

サーナイト

チルタリス

ユレイドル

ボスゴドラ

コータス


見つけたポケモン 66匹






おまけ



その78 「ここから連発しそうです…次回予告」





あ、さてさて、タイトルからもわかるとおり今回も次回予告。
じゃ、さっそくいってみよー!

Aブロック第2回戦第3試合、イブVSレンである。
知識は皆無だが圧倒的強さを誇るレン。
知識もあり、ポケモンを信じるイブ。
その決着は…そしてこの後に残るもの?

ユウキ 「ZZZ…ZZZ…」



おまけその78 「ここから連発しそうです…次回予告」 完


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